金属球衝突と塑性変形痕

金属球衝突と塑性変形痕
図1は金属球を塩ビパイプを通して金属製センサに
落下した様子です。この方法で実験を行いました。
ピーク衝撃でした。SS400 はアルミ合金よりも硬いの
で残余振動が少し大きくなっています。
表2は落下運動量 mV、反発係数を考慮した運動量変
化 mV(1+e)、および波形力積を示します。mV(1+e)≒
力積になっています。
Steel ball drop onto steel (SS400) sensor
2.5
Impact force (kN)
0
-2.5
-5
-7.5
h=0.5m
h=1.0m
h=1.5m
h=2.0m
-10
-12.5
-15
金属球の落下衝撃試験
0
1. 鋼球のアルミ合金センサへの落下
図2は鋼球をアルミ合金製センサに落下した時の衝
撃力波形です。鋼球の質量は 0.068kg、落下高さは
h=0.1~2.0m です。衝撃時間は約 0.1msec で h=2.0m
の場合のピーク衝撃は約 8kN でした。センサは金属定
盤に置いただけの状態なので、波形の後半に振動が生
じています。
表1は落下運動量 mV、反発係数を考慮した運動量変
化 mV(1+e)、および波形力積(Impulse:衝撃力波形の面
積を数値積分したもの)を示します。mV(1+e)≒力積に
なっています。
Steel ball drop onto aluminum sensor
1.0
Impact force (kN)
0.0
-1.0
-3.0
h=0.1m
h=0.25m
h=0.5m
h=1.0m
h=1.5m
h=2.0m
-5.0
-6.0
-7.0
-8.0
-9.0
0
図2
0.1
0.2
Time (msec)
0.3
表2
鋼球―軟鋼(SS400)センサの落下運動量、波形力積
Mass of steel ball
m (kg)
Drop height
h (m)
0.5
1.0
1.5
2.0
Coefficient of restitution e=0.53
0.1
0.3
0.5
0.068
1.0
1.5
2.0
Coefficient of restitution e=0.316
mV(1+e)
(N・sec)
Impulse
(N・sec)
0.095
0.151
0.213
0.301
0.369
0.426
0.125
0.198
0.280
0.396
0.485
0.560
0.118
0.192
0.280
0.395
0.462
0.531
Momentum
mV (N・sec)
mV(1+e)
(N・sec)
Impulse
(N・sec)
0.213
0.301
0.369
0.426
0.326
0.460
0.564
0.651
0.332
0.448
0.535
0.618
3. 鉛玉のアルミ合金センサへの落下
図4は鉛玉をアルミ合金製センサに落下した時の衝
撃力波形を示します。落下高さは h=0.5~2.0m です。
衝撃時間は約 0.2msec です。また、h=2.0m の場合約
5.5kN のピーク衝撃でした。
1
Lead ball drop onto Aluminum sensor
0
0.4
Momentum
mV (N・sec)
Drop height
h (m)
0.068
-1
鋼球―アルミ合金センサの落下運動量、波形力積
Mass of steel ball
m (kg)
0.25
鋼球を SS400 製センサに落下したときの衝撃波形
鋼球をアルミ合金製センサに落下したときの衝撃波形
表1
0.2
0.1
0.15
Time (msec)
表3は落下運動量 mV、および波形力積を示します。
力積(Impulse)は落下運動量 mV よりも少し大きい値に
なっています。
-2.0
-4.0
0.05
図3
Impact force (kN)
図1
-17.5
2. 鋼球の軟鋼製センサへの落下
図3は鋼球を SS400 製センサに落下した時の衝撃力
波形です。落下高さは h=0.5~2.0m です。衝撃時間は
約 0.07msec です。また、h=2.0m の場合、約 16kN の
-2
-3
h=0.5m
-4
h=1.5m
h=1.0m
h=2.0m
-5
-6
0
図4
0.2
0.4
0.6
Time (msec)
0.8
1
鉛球をアルミ合金製センサに落下したときの衝撃波形
表3
鉛球―アルミ合金センサの落下運動量、波形力積
Mass of lead ball
m (kg)
0.105
Drop height
h (m)
0.5
1
1.5
2
Momentum
mV (N・sec)
0.329
0.465
0.569
0.657
Impulse
(N・sec)
0.371
0.535
0.645
0.748
4. 塑性変形を伴う衝撃力波形
鉛玉をセンサに落下すると、鉛玉は図5のように塑
性変形で扁平になりました。また、鋼球落下の場合は、
逆にセンサ表面側が窪みました。
図6はゴルフボールをアルミ合金センサに落下した
時の波形を示します。この図では衝撃力波形がほぼ左
右対称です。これに対して図2~4の衝撃力波形は、
負荷時間が長く、除荷時間が短い、右側に偏った波形
になっています。非対称性は塑性変形を伴う衝撃波形
の特徴です。塑性変形に時間を費やすので負荷時間は
長くなり、一方、除荷時には塑性変形を残したまま、
球が離脱するので除荷時間は短くなります。
鋼球を S45C や SUS のセンサに落下すると、衝撃時
間はさらに短くなり、3角形的に先端が尖った波形に
なります。
なお、今回使用したセンサは、塑性変形痕で表面に
凹凸が生じると、金属板を交換するようにしました。
Impact force (kN)
図5
Golf ball drop onto Aluminum sensor
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.2
-1.4
-1.6
-1.8
h=0.5m
h=1.0m
h=1.5m
h=2.0m
0
図6
鉛球とアルミ合金センサの塑性変形痕
0.5
1
1.5
Time (msec)
2
2.5
ゴルフボールをアルミ合金製センサに落下したとき
の衝撃波形
(有)計測サポート