WEB機関誌206号 - 管理職ユニオン・関西

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FACE
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E-mail:[email protected]
2014.05.31
vol.206
忘れていけないのは
’不屈の精神力です!
現場からの報告
そこに見えたものとは
リコー中労委報告
~交渉・弁護士の立場とは~
多角経営学校法人からの報告
特集
「労働運動の再生を目指す交流が始まる」
〒530-0044 大阪市北区東天満1丁目10番12号
新日本天満ビル4階 401号室
TEL(06)6881-0781 FAX(06)6881-0782
MU関西NEWS編集委員会
労働問題のご相談はお近くのユニオンへ
次号
予告
次号
FACE vol.207
7月5日(土)発行
機関誌統合案内
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8月号より
管理職ユニオン・関西(MU)とアルバイト・派遣・パート関西労働組合(AHP)
の機関誌を統合する予定です。
日常的な相談活動や勉強会を含め両組合が一体として取り組み、
それに関連した記事も併用となっており、機関誌発行の業務効率改善
のため両執行委員会,AHPにおいては定期総会にて確認されています。
6月7月に合同の編集委員会を開催し、正式統合期日、機関誌名、
ページの扱いを決定します。
機関誌名などに関して編集委員会までご意見あればお願いします。
#01 特集
「幹部活動家養成講座を終えて」
報告と参加者の感想
UNION
LIST
関西エリア
管理職ユニオン・関西
06-6881-0781
アルバイト・派遣・パート関西労働組合 06-6881-0110
働く者のメンタルヘルス相談室 06-6242-8596
関東エリア
東京管理職ユニオン池袋 03-5957-7757
東京管理職ユニオン
03-5371-5170
ネットワークユニオン東京 03-5363-1091
FACE
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未組織労働者の組織化を!仲間を増やすための協同実践を重ねよう!
労働運動の再生をめざす懇談会から、実践交流へ!
書記長
2月後半に関西生コン会館に4つの労組・ユニオンのメンバーが
集まりました。私も参加しました。
ここで、①現状の情勢の変化に、労組がついていけず後手に回っ
ている状態から何を学ぶのか、②何を目標にするのか、どうすれば
多数派形成が可能になるか、③現状を変える場合、自らの行動を変
えないと変化せず、小さい単位から発展の要素を作り出す、という
ことを大まかに確認しました。
総評解散(1989年)連合結成以降も、労働組合の組織率は低下の一途をたどっていま
す。現在17.7%となっています。労働戦線・運動の現状は、社会的影響力の低迷としか
表現できないものとなっています。
管理職ユニオン・関西も加盟しているコミュニティユニオンは、解決型運動(個別相談 →
解決 → 職場離脱)といわれていますが、現実的にも組合員を増やすのがなかなか困難で歩
留まりがわるいです。財政基盤も脆弱で複数の専従者を維持できない組織が多い状態です。
どのようにしたら、こうした状況を脱却できるかということが大きなテーマとなっています。
これからの展望をどうするのかということでは、個人加盟方式での産業別・業種別・職能
別、一般(ゼネラルユニオン)などの方針とその実践が必要となっています。こうした組織
形態の労働組合運動の結集体化をはかるには、①各労組の解決すべきテーマは何か、②要求
を具体化するために何が必要か、今後、実践を通して具体化を進めようと提起がなされてい
ます。具体的には、ⅰ.拠点(センター)、ⅱ.協同ニュースの発行、ⅲ.組織拡大―拡大の
対象をどうしていくのか→(例)地域別、クラフト・産別化の分析が必要、ⅳ.労働学校が
あげられています。参加する労組・ユニオンの獲得目標は何か、具体化していくということ
になった。
4月初旬には、呼びかけの3労組に加え、5労組・ユニオンから11名が参加しました。
参加労組からの実践報告や抱えている問題点、共同でとり組みたいことなどを話しあいまし
た。
トラック、医療・介護労働者を抱えている労組が
意外と多いこと、地域における労働者、産業・業種
等を分析、掘り起こしをして共同した要求を組織す
ることの必要性などが共通項としてあげられました。
発言として、独占の支配に対抗するため - 中小
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労働者の組織化と中小経営者の協同組合化を、何を目的にするのかを明確にしようという意
見、執行部も60才以上が半分の現実、第三次産業サービス産業からの個別相談が多いとい
う悩みなどの報告がだされました。
その他の発言として、介護・医療職場は、個別に解決できない問題があるという現実。組
合員の定着を図るため職種・業種のグループ化の取り組みを始めている。運輸関係の組合員
が多いが、なかなか集まりにくい勤務状態。償却、時間待ち問題が大きく、運賃のダンピン
グは賃金に影響する。ワーカーズコープとして製造を、地域に見える社会的労働運動を行っ
ている。個別争議から出発し、介護業界のユニオンを結成、業種組織へ。共闘の原則、新し
いルールを作ったらと考えている。執行部の世代交代の問題、教育の場が少ない。最初は会
社が作った組合、社会保険も残業代支給もなかったが、現在は労働条件が良くなった。業種
別として大阪から広がって近畿となっている。労働運動としての課題はある。などの意見や
課題がありました。
4月に続き5月28日に懇談会がもたれました。
そこでは、実践的交流懇談会の開催が決定されました。呼びかけの趣旨説明、トラック関
連からの提起、医療・介護からの提起、生コン・圧送から提起を受け、それらの共通の実践課
題の確認をめざすことを確認しました。参加労組から労働運動再生に向かっての考え方や、
積極的実践課題を交流することを決めました。
労働運動の再生をめざす
中小零細企業に働く労働者、非正規雇用の労働者と共に仲間作りの協力・協同へ
労働組合・ユニオン運動の交流・懇談会のご案内
<現状を克服しよう>
労働組合運動の衰退や再編が叫ばれて久しい。1989年には総評が解散し、連合、全労
連、全労協などが発足した。しかし、組織率は低下の一途をたどり、非正規雇用の増大、労
働法制の改悪が進んだ。また、賃上げなどの経済要求や労働争議、労働法改悪阻止のための
ストライキを含む統一闘争の声も聞かなくなった。
さらに、全国各地の闘う労働組合に対し、ストライキや抗議・街宣活動などへの権力弾圧
が続いている。裁判でも、問答無用の仮処分が打たれている。
しかし、労働現場では生活破壊、人権侵害、差別が蔓延している。この状況を突破し、労
働者の要求を実現するために、組織化し団結し闘争する労働組合は数多く存在する。さらに、
従来型の企業別労働組合の限界を個人加盟方式や産業別、職種別、一般(複合産業別)組織
形態で克服する労働組合も、あるいは地域に根差した労働組合結集の力で克服する運動も数
多く存在する。
私たちは、こうした素晴らしい実践が連携・連帯・共闘できる場を求めて発信する。
<実践を交流しあい、全国化するために>
労働運動の再編を、既存の労働組合間合同による規模の拡大で果たすということだけでは
現状の克服はおぼつかない。まずは、主体的な実践を通した連携をめざしたい。
特に、多国籍企業が進めるグローバリゼーションは日本の産業体制を構造的に変化させ、
独占大企業は労働者と共に中小零細企業の収奪も強めた。中小零細企業は低価格競争を強い
られ、企業数も長期にわたって大幅に減少し、衰退を余儀なくされている。
多くの産業・業種において、中小零細企業で働く労働者の要求実現には、個別企業内の労
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使攻防だけでは解決できないことが多くなった。製造・輸送業や医療・介護業など、多方面
にわたる過当競争・低価格の複層的な事業実態と共に、労働の格差・階層化が混在し、旧来
の企業別本工主義的方法論では解決できないことが日々明らかになっている。
また、困難な労使交渉や争議に追われる中小規模の労働組合では、個別相談による解決型
の運動となったり、財政基盤の確立が難しく、組合員の教育や幹部育成が手薄になっている。
さらに、執行部の世代交代や組合員の意思疎通の場や手段が求められている。
私たちが直面する以上のような諸課題に対し、実践を通して、共同で、団結して、克服し
ていこうではないか。
全国機械金属港合同は、『地域合同労組を「駆け込み寺」にとどめるのではなく、《闘いの
砦》にする。労働組合の強さ・弱さは、主体的立場を堅持して活動するオルグの質と数、労
働者の連帯感とその意識性、財政・統率力と闘争的結集力で判断できる』と主張する。
また、関西地区生コン支部は産業別業種別労働運動として中小企業を組織化し、大企業の
産業支配を民主化することを通して、中小企業労働者の賃金労働条件を改善している。
さらに、全港湾大阪支部は全国の港湾労働組合の結集による産別闘争のみならず、地域の
中小トラック業者と地域の関連労組との結集による集団的な労使関係の形成をめざしてい
る。
そして、関西の地のみならず、全国においても、多くの実践があり、モデルがある。
この発信を受けた労働組合・ユニオンの活動家の皆さん、
「労働運動の再生、中小零細企業
に働く労働者、非正規雇用の労働者と共に仲間づくりの協力・協同へ」、そのための労働組合・
ユニオンの交流・懇談会への参加のご検討をお願いする。
まず、多くの仲間に呼びかけ結集を求める「労働運動再生をめざす交流・懇談会」の前段
に、第1回実行委員会を開催する。その場で、参加労組の運動紹介や労働運動再生の考えな
どの交換をする。また、「労働運動再生をめざす交流・懇談会」の詳細を決定する。
ピンチはチャンス。各実践を交流しあい、協力協同する中で全国化の展望を開こう!
-
記
-
1.「労働運動再生をめざす交流・懇談会」第1回実行委員会
(1) 6月23日(月)18:30
(2) エル大阪701号(大阪市中央区北浜東3-14)
(3) 意見交換及び「交流・懇談会」の詳細検討
2.労働運動再生をめざす交流・懇談会
(1) 8月3日(日)13:00
(2) 協同会館アソシエ3階アソシエホール(大阪市東淀川区淡路3-6-31)
(3) 報告及び提起(案)
① 呼びかけの趣旨説明
②
業種別運動の一例として
トラック関連からの提起
③
医療・介護からの提起
④
建設産業における専門工事業協同組合と職種別業種別労働運動の成果と展望
⑤
参加労組からの労働運動再生及び業種別労働運動などの意見表明
3.呼びかけ労組
全日建関西地区生コン支部・全国金属機械労組港合同支部・全港湾大阪支部
5
労働問題解決報告
組合員
K
平成26年4月3日付けで、会社側との労働
問題について和解が成立した件をご報告します。
経緯は、会社から平成25年9月27日に、
平成25年10月1日付けでの人事異動及び半
額に近い大幅な減給、2ランク降格、退職勧奨
の申し受けがあったことが発端でした。
私は平成16年に今の会社に技術職として現
在の2代前の社長からスカウトされて入社し、
約10年経ちましたが、現在の社長(私が入社後3代目)が就任した直後に、それが起きま
した。
会社は大手企業の子会社で、社長が数年サイクルで変わり、その度に大幅な人事があるの
ですが、現在の社長は平成 25 年 7 月に交代したばかりであり、経営の見直しを急速に進めよ
うとする動きがありました。
一代前の社長から待遇面で優遇されていることを快く思っていない発言を聞いていたのと、
若い人材の育成をしきりに謳っていましたので、定年を数年後に控えた私を早く若い人材に
とって変えようという空気を当時から感じていた次第です。
技術が必要な職場であり、仕事が日常的に忙しいにも関わらず部下は流動的で、新しいメ
ンバーが入るたびに短期間での技術習得の必然性があった私は、教育に関して割と厳しく接
してきたことが多かったように思います。
新社長が就任した直後から私の就業態度について調査する動きがあり、同
年9月半ばより人事異動と減給、もしくは退職勧奨を申し渡され、どちらを
選択するかの回答を数日後の期限で要求されました。
理由として、①部下への指導が厳しく、排除行為があった。②残業や休日
出勤が多すぎる。③勤務態度に問題がある。④生産効率が悪い。等というこ
とでしたが、私には全く身に覚えのない話や誤解があり、一方的な聴きこみ
調査による主観的な判断で、私に対する反論の場すらも与えない不当な行為としか言いよう
がありません。
部下への指導は、スキルを上げる為であり、残業・休日出勤の多さは受注量や納期的事情
が関係しており、勤務態度に於いては指摘される覚えが何もなく、生産効率については職場
の体制に問題がありました。
会社は私の反論を聴取する場も与えることなく、一方的に労働条件の不利益変更をしよう
6
としておりましたので、会社からの圧力に対抗するには個人の力では無理だと判断し、平成
25年9月28日に管理職ユニオン・関西の門をたたきました。
最初はどういう展開になるのか不安でしたが、O.N 行委員、O.S 執行委員、書記長が真剣に
話を聞いてくださり、「心配いらない」という言葉に大きな安堵を感じました。
会社にはその2日後、私の組合加入通知と団体交渉を申し入れました。
1回目の交渉は平成26年10月中旬。会社の近くのホテルを会場とし、会社側は、弁護
士2名、社長、常務、開発部長の5名。組合側は、書記長、O.S 執行委
員、私の 3 名でした。
内容は、会社側から私に対する不利益変更の理由の陳述のみ。
2回目の交渉は翌月中旬。会場は同ホテル。同メンバー構成。
内容は、組合から会社に対し、前回の陳述内容に対する反論と要望を申し入れ。
3回目の交渉は平成26年1月下旬。会場は同ホテル。同メンバー構成。内容は、妥協点
に向けての話し合い。
合計3回の団体交渉の後、相手側弁護士と組合との間で和解案を折衝して頂いた結果、平
成26年4月3日付けの和解書により双方合意に達しました。
合意内容は、降格と人事異動については認め、給与は20%カット。但し、和解金として
毎月支払うという条件で、結局総額として給与ダウンは100%避けられました。
持前の技術を生かせない人事異動には残念な思いもありますが、私にとって最低条件は死
守できた結果となり、大変満足しております。
管理職ユニオン関西には感謝の言葉しかありません。
「忘れていけないのは不屈の精神力」と機関紙に書かれてありま
すが、弱い労働者の立場であっても、困難に立ち向かう気さえあれ
ば、真剣に味方になって補助して頂ける心強い組織があるというこ
とに感謝し、この組織を永続させる為の一助となるべきだと思いま
した。
本当にありがとうございました。
管理職ユニオン・関西には感謝の言葉しかありません。
「忘れていけないのは不屈の精神力」と機関誌に書かれてあります
が、弱い労働者の立場であっても、困難に立ち向かう気さえあれば、
真剣に味方になって補助して頂ける心強い組織があるということに感
謝し、この組織を永続させる為の一助となるべきだと思いました。
本当にありがとうございました。
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ハローワークではフルタイム、契約書は有期雇用
のアルバイト?
解雇攻撃に一定の譲歩を勝ち
取ったが‥‥
私は昨年の9月12日にハローワークからの紹介で、和泉市に有る学校法人 M 学園が経営
する保育園に社員募集の面接に行きました。
面接の際、園長から「最初暫くはアルバイトになると思う」と言われ、
「試
用期間の間ですか」と尋ねた所、
「それくらい」だと言う事でした。その時、
私は、保育士資格は有るが、保育士証を紛失している事と自分の登録番号を
伝え、再交付申請をし、後日提出すると言う事で納得の上採用されました。
16日から働き出し一週間程経ち、園長から「契約書にサインをするよう
に」と渡された書類には「H26年3月31日までのアルバイト」と書かれ
ており愕然としました。しかし、長い求職活動後の採用だった上,社会保険
も有り「何れは社員に」との事だったので暫く様子を見ながら取り敢えず働
く事にしました。そして最初の給料の時、また問題が起こりました。社会保
険の記述が無かったので園長に尋ねると「最近、人の出入りが激しく加入しても直ぐに取り
消すなど、手続きが大変だから」と理不尽な理由を言われ、加入希望を伝えると「理事長に
相談する」と言ったきり何の返答もありませんでした。そこで私は採用条件の件も含めハロ
ーワークに相談しまた。すると「求人票通りの内容で採用して貰わないと契約違反になる。
」
と言われました。
問題はそれだけに留まらず、9時間拘束で休憩が無いような状態にも関わらず、給料は 8
時間分しか出ず、正社員も連日のサービス残業が日常になっていました。その上、園長のパ
ワハラ的言動や行動や劣悪な労働環境と杜撰な管理状態が人材の入れ替わりの原因になって
いました。また保育園も認可保育園で援助金を受けていながら、国の規定を守らず運営する
など、何から何までブラックな学園でした
11月になり新しい先生が入ったので、折を見て採用形態を訊いてみると社員だと言う事
だったので私の現状を伝えた結果、やはり同じ様に3月末迄のアルバイトの契約書を出され、
理事長に直談判に行ったが受け入れられず、その先生は辞めました。
私は何とか現状を改善しようと労働基準局や大阪府労働事務所や府庁等の行政機関に相談
に行きましたが、時間も掛かる上に私の納得出来る結果は中々出し難いと思い、組合に現状
報告のような形で相談しました。それからも状況は変らないまま日々が過ぎ、園長のハラス
メントはどんどんエスカレートしていきました。
それでも4月には社員になれる事を願い、子どもの笑顔と保護者の信頼、保育士間の人間
関係に助けられながら頑張っていましたが、劣悪な勤務状態に社員保育士の殆どが3月末で
退職する事になりました。そして2月19日に私を含むアルバイト保育士全員が3月末まで
8
の契約にも関わらず、
「アルバイトの給料〆日だ
から」と言う理由で辞めさせられる事になりま
した。
ここは元々保育士と調理師学校が母体に有り、
保育園も卒業生を受け入れる為のもので、結局
私は新卒が入る迄の繋ぎに利用されたとしか思
えませんでした。
そして私は本格的に組合にお願いし、3月5日に団交の申し入れをしました。
内容は、1、解雇問題について、2、上記関連事項について、でした。第1回目の団交は、
3月15日でした。
こちらは2名。先方は理事長が出席せず、弁護士と部長、後1名の計3名でした。
先方は私の解雇の理由として園長からの報告と言う事で、保育室の清掃をしない。検便の
提出日を守らない、爪が伸びていた等、身に憶えの無い事や時系列の合わないこじつけの様
なものと保育士証の提出が遅れた事を指摘されたが、保育士証についてもその都度理由を説
明し園長も納得の上で、届き次第提出すると言う事で同意していました。
そこで解雇の撤回を申し入れ、少なくとも契約期間を強制的に短縮するのは違法だ!と訴、
え、職場復帰を検討するよう求めたが「ポジションが無い」と返答はNOでした。
更に、最低限当初の契約期限迄の保障を検討するよう提言し、その日は終わりました。
3月25日付けで新たに園長の名で私の退職理由についての文章が届いたが,異議申し立
てと2回目の団交申し入れをし、4月15日に行われました。
再度、職場復帰を求めたが要求は通らず、先方が早期解決に向けての要求の提示を組合に
求めて来たので検討し後日返答する事にし、その日は終了しました。
そして、①3月31日迄の給料保障。②在職中に遡り社会保険(健保、年金)と雇用保険に
加入、③休憩を取れなかった分を残業代として支払う、の 3 点を要求し、その後何度かの交
渉により解決に至りました。
私の個人的な事は何とか解決に至りましたが、村川学園の体制が変らない限り第2第3の
被害者が、今も出続けている事に心が痛みます。
子ども達の為にも少しでも改善されますように‥。
組合員 F
大阪労働者弁護団主催
201 年春連続基礎講座③
5月28 日(水)午後6時30分~8時30分
「長時間労働・不払い残業」…労働時間・残業代(講師:弁護士)
※事前申込み必要 参加希望の方は組合まで御連絡を!
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リコー事件
主張を貫く!
交渉権限責任者が、弁護士に委任ということをもって
丸投げすることが不誠実団体交渉の極みである!
<大阪府労委への不当労働行為申し立て>
昨年4月18日、リコーと第1回団体交渉を行った。その時に会
社側から出席した弁護士2名が団体交渉を取り仕切り、会社から出
席していた人事本部の社員に発言させなかったこと、そして弁護士
が社員を引き連れて退席したことに抗議をした。
その後、再度の団交申入れを会社にしたが、弁護士からの返事はあったもののリコー人事
部からの返事はなかった。
組合として、リコーが弁護士に団交を丸投げしていたことを認めない行動をとった。
大阪府労働委員会に求めた救済内容は、「管理職ユニオン・関西が2013年5月2日に申
入れた協議事項に基づく団体交渉と、その交渉を開催にあたっての条件を満たす団体交渉に
応じること。条件を満たす団体交渉とは、①今後の管理職ユニオン・関西との窓口に責任ある
株式会社リコー担当者を設けること、②株式会社リコー役員を代表とする団体交渉メンバー
の選出すること、③第1回団体交渉に出てきた2名の弁護士を窓口、交渉委員としないこと、
④法的アドバイザーとして弁護士の団交出席を希望する場合は、弁護士の同席は認めるが、
あくまで法的アドバイザーとすることである。
<敗訴命令>
大阪府労委の命令の前提は「一般的に、団交の交渉権限を第三者に委
任することは、労働組合及び使用者双方に認められている」としている。
さらに「団交の使用者側窓口を誰にするか、団交の交渉担当者として、
誰を出席させ、労働組合からの要求事項に対し、回答ないし説明を行う
ものを誰にするかについては、いずれも使用者の判断に属するもの」と
している。
従って、2013年4月18日の団交での組合の主張、対応が、「い
ずれも使用者の判断に属するもの」、「組合の主張は採用できない」、「組合が真摯に対応
したとはいえない」、「退席したことは、そのことをもって不当であるとはいえない」と判
断でした。
<中央労働委員会へ再審査申立、その主張「準備書面1」>
中労委へ再審査申し立て後の5月12日、組合から提出した主張「準備書面1」を以下に
掲載します。
第1
労使対等の原則
憲法28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、こ
10
れを保障する」としている。労働組合法第1条は「この法律は、労働者が使用者との交渉
において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労
働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動
を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労
働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助
成することを目的とする」とし、労働契約法の第3条は「労働契約は、労働者及び使用者
が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきでものとする」としている。
労働基準法の第2条は「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべき
ものである」としている。
労働者個人と使用者(経営者、雇用者)の関係は、個別の労働契約を結ぶ場合は、労働
契約法・労働基準法上は、「労使対等の立場」で決定、締結又は変更するべきものである
となっている。
しかし、労働者一人一人ではあまりにも弱すぎるため、憲法の団結権があり団体交渉権、
団体行動権が保障されている。そして労働組合法で、使用者と労働者の集団、通例は労働
組合との関係は利害対立するからこそ、
「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立
つ」との対等関係が明記されている。
この労使対等の原則というものが理解できなかったり、飲み込めなかっ
たり、あるいはわかった上で無視し、なめてかかり弁護士に丸投げすると
いう使用者がいる。それが再審査被申立人会社リコーである。日常の対従
業員の施策や制度、措置、人事労務管理の諸方策にそれが反映して、組合
否認、組合蔑視、個別紛争における弁護士丸投げの不誠実団交やその他不
当労働行為や、無用に事態をこじらせ裁判になったり、時には労使関係を
険悪化させ破局的な場面にさえ立ちいたるのである。
はじめから、使用者が自ら決定権者としての対応を回避し、団体交渉相
手を相手として認めないという姿勢=弁護士丸投げでは、まともな話し合いの団体交渉の
場が持てようはずがない。
再審査被申立人会社リコーの弁護士丸投げが、労使対等原則の認識と尊重とを欠くこと
の態様に他ならない。
第2
西谷敏「労働法《第 1 版》」の論拠・論点について
再審査申立人(以下、組合という)は、委任そのものに異議を唱えているのではなく、
あくまでも労働法に則った、団体交渉に望むに当たっての再審査被申立人の誠実な対応を
求めている。
その前提は、西谷敏「労働法《第 1 版》」(2008 年 12 月 20 日第 1 刷発行)521 頁にあ
るように
三 団体交渉の担当者 の 2 使用者側の交渉担当者 として「使用者側の交渉担
当者は、交渉事項につき決定権をもつ者でなければならない。具体的には、個人事業主、
法人役員、もしくは部長などの管理職などで決定権を与えられた者である。この決定権限
の付与は実質的でなければならない。団体交渉とは対面交渉を意味するので、団交を弁護
士などの第三者に委任し、使用者の役員・管理職が出席しないような場合は、誠実な交渉
11
とはいえない。弁護士は、法律事務に関する代理権を授与されていても、通常は、要求事
項につき労働組合の生の声を聞いてその実現性について直接検討し、また資料や根拠にも
とづいて会社の立場を具体的に説明して、合意達成のために努力するという、交渉担当者
としての役割を果たせる立場にはないからである」(甲第 7 号
証)と記載されている。組合は、この論拠を前提にしている。
つまり、労使対等を原則とした団体交渉であること、決定権
者である再審査被申立人会社リコーの代表者(本件の場合は、
社長もしくは取締役、人事労務管理の責任者)の出席が必要で
あることを主張している。
再審査被申立人会社リコーが弁護士のみに団体交渉を任せ
る姿勢そのものが誠実な団体交渉とはいえないとしている。
第3
委任についての認識について
再審査被申立人会社リコーの弁護士は、「仮に企業外の第三者に対して団体交渉の交渉
権限の委任が認められないのであるとすれば、再審査申立人組合のうち、再審査被申立人
の従業員でもない者も同様に交渉担当者たりえないこととなるが、再審査申立人は、自ら
が企業外の第三者であることを棚上げにしながら、会社側が交渉権限を企業外の第三者に
委任することを否定するものであるから、かかる一貫性の無い主張は失当である。」(答
弁書 2 頁下から 8~3 行目)と記載されているが、明らかな失当である。
再審査被申立人会社リコーの弁護士は、組合の組合員を「再審査被申立人の従業員でも
ない者も同様に交渉担当者たりえないこととなるが、再審査申立人は、自らが企業外の第
三者であることを棚上げ」としているが、当該組合員と同様、組合の組合員であるので第
三者とはならないのである。
上記、西谷「労働法」によれば、団体交渉権とは、労働者の団体がその代表者もしくは
その交渉責任者を通じて、労働条件などについて使用者と団体でもって直接交渉する権利
であり、使用者は労働者団体の代表者もしくはその交渉責任者を含む交渉団との団体交渉
を正当な理由なく拒否することはできないということである。一人では何もできない労働
者を組織する労働組合に、使用者との直接交渉を行うことができる関係として団体交渉権
が位置づけられている。
従って弁護士や社労士などに使用者が委任したからとしても、使用者の団体交渉への不
出席、もしくは団体交渉の場における第三者への一任はできないし、現実的にありえない
からです。仮に、団体交渉権において使用者の第三者への委任が認められるとしても、限
られた範囲である。すべてを任す全権委任などあり得ないのである。さらに付け加えるな
らば、労働組合の団体行動権行使の対象は、使用者である企業、使用者概念を拡大した位
置にある企業、つまり労使関係の交渉事案の解決能力を持つ決定権者である。弁護士がそ
れらも含めたすべての権限を委任されるということはありえないのである。
組合は、再審査被申立人会社リコーの委任一般を否定していない。再審査被申立人会社
リコーの代表取締役もしくは役員会が、人事の決定や職場環境改善、労働条件のある部分
の決定について人事部長やその他の部長等に決定権を委任することは了解している。この
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ことは団体交渉協議事項において決定できることである。
職場領域における労働条件、職場環境など交渉に関わる事実を熟知し、かつそれについ
て決定権限を有しているのは、使用者の代表者、代表者から決定権限の委任を受けている
使用者側団体交渉責任者自身である。
こうした事から弁護士や社労士など法律の専門家が委任を受け仮に同席しても、それら
の者にできるのは、使用者側団体交渉責任者らに対して専門分
野である法律問題についてのサポートすることアドバイスす
ること以上のことではない。
とりわけ、本件出向問題は、出向に至るまでの経過、判断基
準、判断が再審査被申立人会社リコーで行われた事であり、そ
のことが団体交渉事項として関わっている。そのような問題に
ついて代理人弁護士が理解して十分な回答が出来るはずがな
い。職場領域の使用者側の担当者からの報告を受けて作文をし
たりその範囲において対応は可能であったとしても、実際にあった行為、行動、判断は、
まったく関与していないから、団体交渉の場での使用者なりえない。
にもかかわらず委任を受けたからといって、それらの者が法律問題におけるサポート、
アドバイスの域を越えて団体交渉に介入したり、再審査被申立人会社リコーの出席者に答
えさせなかったり、答えようとしているのにあえてそれを遮るような態様、ましてや弁護
士が団体交渉を取り仕切ってやることはそのこと自身が不誠実団体交渉である。
本件において組合は、仮に委任を受けたとする弁護士に退席を求めたわけではなく、弁
護士が取り仕切るので、発言をやめる様求めただけである。にもかかわらず、団体交渉を
拒否し退席したのは弁護士自身である。逆に組合が、不誠実団体交渉の是正を求め、会社
側弁護士が態様を改めない場合、団体交渉の中断として退席することは許される
範囲である。
そもそも、本件では、団体交渉への弁護士の出席は、単に同席を求めたのでは
なく、使用者が誠実に交渉することを阻むための役割を持って出席したのである
。使用者側からの出席者則友氏は、使用者を代表する立場にない人物であった。
本件団体交渉時では、団体交渉が始まってからずっと再審査被申立人側の弁護士が一人
が中心でしゃべりもう一人の弁護士が同調し、会社側出席者則友氏
はまったく発言せず、させてもらっていないという態様であった。
「Nさん、Nさん」と組合がくり返し問いかけられているのに対
して、まったく答えていない(甲8、11頁)。
N氏がこのような対応をしたのは、あらかじめ、再審査被申立人
会社リコーの本来の交渉権限責任者が弁護士に丸投げし、団体交
渉の進め方について「弁護士が取り仕切る」ことを任せた不誠実
団体交渉の姿勢で臨んだからである。
再審査被申立人会社リコーの本来の交渉権限責任者が弁護士に
委任ということをもって丸投げすること自体が、不誠実団交の極みである。
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以上
報告
大阪労働者弁護団基礎講座
「『追い出し部屋』・・・退職強要」を受講して
講師:F 弁護士
報告者:あぱけん組合員S
大阪労働者弁護団主催の基礎講座を受講しました。本講座では、追い出し部
屋をテーマに、藤原弁護士にお話を伺いました。
「追い出し部屋」とは、俗に社員・職員を自己都合退職に追い込むために配属させる部署
の事です。皆様はご存知かもしれませんが、どのような退職勧奨が違法になるのか、判断
枠組を記します。これは、昭和 55 年 7 月 10 日に最高裁で下された判決です(下関商業高
校事件)。
退職勧奨の態様における限界
① 勧奨の回数
② 勧奨の期間
③ 自由な意思決定を妨げるような言動の有無 →
会社にとってお荷物だ、などの相手に
プレッシャーを掛けるような言葉
④ 勧奨を行なう者の数
→
3~6 人以上。多くなれば多いほどよい。
⑤ 優遇措置の有無 →
例えば、退職金の上積みなど。
以上の5要素を総合考慮して判断すべきだとされています。藤原弁護士は、次に違法と判
決された事例、されなかった事例を数例上げて紹介されていました。ですが、どちらかとい
えば、皆さんは次のテーマの方に興味があるのではないでしょうか?
ずばり、
「退職勧奨に
応じて、誤って退職届を提出してしまったら、撤回できるのか、できないのか?」です。結
論からいえば、よっぽどの悪質なケースではない限り、撤回することは難しいのが現状のよ
うです。ここで、労働契約の解除とはどのような種類があるのか上げておきます。
【労働契約の終了事由の整理】
① 期間の定めのある労働契約における期間の満了。
② 合意解除(一方が申し込みをし、相手方が承諾する。両者の合意に基づく。
)
③ 解雇の意思表示(使用者が一方的に解雇する。労働者の合意なし。)
④ 辞職の意思表示(労働者が一方的に辞職する。使用者の合意なし。)
以上の4要素からなります。
さて、労働者の退職届の提出は、「合意解約の申し込み」なのか、「辞職の意思表示」なの
かどちらなのでしょうか?
「辞職の意思表示」と考えた場合は、使用者に到達または届い
た時点で解約告知としての効力が発生し、撤回できずに 2 週間後で労働契約が終了します。
一方、「合意解約の申込み」と考えた場合は、使用者の承諾の意思表示がなされるまでの間、
労働者が撤回できるという判例があるそうです。
(白頭学院事件)このように、撤回できる時
期の誤差が生じます。
「合意解約の申込み」なのか「辞職の意思表示」なのかが焦点になるそ
うです。
次に、退職の申出をなかったことにする為にはどうしたらいいのでしょうか。これには、
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「退職の意思表示をしていない」、「退職の意思表示を撤回する」、「退職の意思表示は本意で
はない(意思表示に瑕疵がある)」という考え方があります。
【退職の撤回方法】
①
「退職の意思表示をしていない」→
実際に労働者が「退職したい」
という趣旨の発言があったのか、確定的に「退職」という法律効果を意
欲する意志が表示されたものと評価できるかが争点となる。裁判では、
何ら書面を作成することなく、口頭による退職の意思表示が確定的に行
われたと評価できる状況は、かなり珍しい事案。とはいえ、口頭で退職の意思表示をして
から、音信不通になったり、会社から貸してもらった鍵や携帯の返却、社会保険終了の手
続きをとって、退職することが決まったものと評価されてしまう行動をとってしまうのは
NG。
②
「退職の意思表示を撤回する」
→
合意解約の申込みの意思表示は、使用者が承諾す
るまでは撤回することができる。が、使用者に到達した後は、撤回が難しくなる。その時
に「合意解約の申込み」なのか「辞職の意思表示」なのか焦点になってくる。
③ 「退職の意思表示は本意ではない(意思表示に瑕疵がある)」
法的に5つの考え方ができるそうです。
ア) 心裡留保(しんりりゅうほ)
(※心裡留保とは、ウソの意味。) →
本心では退職する
つもりがないのに退職届を出した場合。使用者側が本心から退職するつもりがないことを
知っている場合、無効となる。
イ) 錯誤
→ 思い違いをしていた場合。無効を主張するために①通常人であれば、退職の
意思表示をしなかったであろうほどに重大な誤解があったこと、②退職の意思表示をする
に至った動機が表示されていること、③退職の意思表示をしたことについて労働者に重大
な過失がないこと、の3点が必要になる。
ウ) 詐欺
→
使用者に騙されて退職届を出した場合。「自ら辞職しなければ解雇になる」
などと退職届を出させた場合がこれにあたる。使用者の詐欺によってなされた退職の意思
表示は、取り消すことができる。
エ) 強迫
→ 使用者に脅されて退職届を提出した場合。心理的圧力を加えて退職届を提出
させた場合などがこれにあたる。この場合も退職の意思表示を取り消せる。
オ) 公序良俗違反
→
労働組合に加入したこと、特定の宗教団体に入らないことを理由に
退職届を出させられたような場合。
以上の3点を簡潔にまとめてあげてみました。ご参考程度におねがいします。
労働組合としての対処として、退職勧奨を受けてはいても退職届を出していない当該につ
いては、IC レコーダ、日記、労組組合員へ毎日の報告メールを送るなどの証拠作り、団体交
渉においても、裁判を視野に入れた質問を組み込むことが必要ということです。とはいえ、
当組合へは退職届を出してしまった後に、相談に来られる方も多くおられます。その場合は、
弁護士へ相談することも、手段の一つに上げてもいいのではないか、ということです。
以上を持ちまして、基礎講座の報告を終わらせていただきます。稚拙な文章で申し訳あり
ません。お読みいただきまして、有難うございます。
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報告~社会問題学習会~
「労働市場改革の経済学-正社員「保護主義」の終わり」を読む
報告k.N
組合事務所で 5 月 10 日の午後 3 時から、社会問題学習会をしました。前回よ
りも参加者が増えて 10 人以上の人が集まりました。今回、取り上げた本は、
「労
働市場改革の経済学―正社員「保護主義」の終わり―」です。著者は八代尚宏
です。八代尚宏氏は国際基督教大学教養学部および東京大学経済学部を卒業後、
経済企画庁に入庁しています。そして在職中の 1981 年にメリーランド大学大学
院(アメリカ合衆国)にて経済学博士号を取得しました。その後、OECD 主任エ
コノミスト、日本経済研究センター主任研究員、上智大学国際関係研究所教授、
日本経済研究センター理事長、国際基督教大学教養学部教授を歴任し現在客員
教授になっています。経歴を見るとわかりますが、役所職員や研究所畑の人で
民間企業に働いた経験のない人であることがわかります。まことに僭越ながら、
私見を述べますと八代氏の展開する理論は実際の市場競争社会に身を置いたこ
とがないため、机上の空論的側面があるのではないかという感じを受けます。
それでは、以下、学習会で取り上げた内容を簡単に報告し
たいと思います。
八代氏は、日本の大企業では、「労使対立」が深刻でな
い代わりに、「労・労対立」があるといいます。これは正
社員とそれ以外の非正社員との利害対立、大企業とその下
請けの中小企業や男性と女性の正社員との間に大きな賃金格差があることを指
しています。
そして、失業率の上昇や非正社員数の増加は、小泉政権以降の構造改革、市
場の規制緩和や企業の利益追求のせいで引き起こされたものであるという世間
の認識があるが、八代氏の見解としては、それは的外れであり、実態は年功賃
金の中高年齢社員の過剰な雇用を守るために、新卒社員の採用枠を減らし、雇
用調整の容易な非正社員を増やさざるをえない結果になったため生じていると
いっています。そして基本的に企業と資本家は、いかなる状況でも利潤を追求
するものであり、戦後の高度経済成長の下では、企業では正社員をどんどん新
卒一括採用し、長期に熟練労働者を育成する内部労働市場が大きな発展を遂げ
てきたのも、それは、高度成長下にある日本においては、そのやりかたが企業
の利潤追求に適っていたためのことであり、しかしそれが長期経済停滞期にあ
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る現在においてもいまだ正社員の長期雇用保障・年功昇進・賃金の日本的慣行に
固執していることが、数々の歪みをもたらしていると分析しています。
八代氏によると、これまでやってきたような非正社員の規制
強化ではなく、非正社員の規制を緩和し、反対に正社員に金銭
賠償を前提とした解雇ルールを策定し、経営者が従業員を解雇
しやすくすることで、流動的で機能的な労働市場が生まれ、技
術や能力のある勤労者にとって再就職が容易になり、また生産
性の低い分野から高い分野に労働者が円滑に移動できるようになるといいます。
そして、その結果、大企業から中小企業、正社員と非正社員との雇用格差は縮
小されるとも言っています。八代氏はどの企業でも通用するような人的資本を
自分で蓄積した勤労者が、企業と対等の立場で交渉し、仕事能力や成果に見合
った報酬を得るのが望ましいとしていますが、しかし、企業と対等に労働条件
を交渉できるような卓越した能力のある者は例外的少数者ではないでしょうか。
そうなると大部分の労働者にとっては、継続雇用の安定性が損なわれただけで、
正社員も非正社員の雇用待遇のレベルにまで下げられ、雇用の不安定化から、
労働者の賃金や労働条件はどんどん切り下げられることに繋がっていくのでは
ないかと懸念されます。八代氏の新自由主義思想はセフティーネット強化も主
張していますが、結局は、弱者切り捨ての激しい競争社会をもたらすように思
われます。
学習会の最後には、私からそれに代わる方策として、①長期経済停滞期を乗り
切るためにはベースアップがあるように経営悪化になれば企業、会社単位のベ
ースダウンを導入すればよいのではないか(または、ベースダウンとまではい
えないまでも、一旦決まった賃金を下げようとするために、苦肉の策として無
理やりにでも人事評価を下げたり、または降格処分にして賃金を下げ、数々の
軋轢が生じるよりも、いっそのことペナルティ(処罰)ではない減給制度をつ
くるほうがいいのではないか)、②人員削減の必要性があれば、アメリカ型のよ
うに勤続年数の逆順に解雇にし、ふたたび経営状況が戻れば再雇用できるよう
にすればいいのではないか、③技術継承のためには年功序列制度を維持したほ
うがいいのではないかということを提案しましたが、これについては参加者の
人たちでいろいろ活発な意見が交わされ、なかなか白熱した議論になりました。
しかし、現状の各企業で行われる職務能力評価制度は弊害が大きく、やはり人
の能力評価は難しいという部分では皆の意見が一致したように思います。
次回の社会問題学習会は、6 月 28 日(土)15 時から、「新しい労働社会―
雇用システムの再構築」、著者濱口桂一郎氏の本を取り上げる予定です。是非、
ご参加ください!
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報告~メタボ解消!
遊歩会 春真っ盛り
山之辺の道 北コースを歩く
5 月 11 日(日)近鉄天理駅集合。週間天気
予報では雨模様とのことだったが、当日は快
晴。春の陽射しとは言え、日陰のない場所を
歩くと相当暑い。10 時には全員集合。石段も
険しい山道もないなだらかなコースというこ
ともあり、リーダーの O 氏の表情も晴れ晴れ
としていた。
多少うらびれた商店街を歩き始めたが、そ
こら中天理教の施設だらけで、天理教専門の
本屋まである。
物見遊山で天理教本部を訪れ、
広大な境内を横切った。そこから少し山に入
り、林間の参道を抜けて石上神宮へ。日本最古の神社と言われ、有名な七支刀などがある。
そこから、いよいよ山之辺の道北コースへ。有名な山之辺の道だが、特に見所があるというわけではない。里
山散策といった雰囲気。畑や山林の間を細い道が縫い、時おり舗装道路に出る。しばらく木陰を歩いたかと思う
と、春の陽射しを満喫しながらまたしばらく歩く。野辺に咲く草花や山菜の名前をあれこれあげながら、なんと
ものんびりしたハイキングであった。途中、あまり有名でない古墳に立ち寄り、石室跡を見学し、昼頃に白川ダ
ムに到着。広々としたダム湖を眺めつつ、野外休憩所で昼食をとった。ここで、ダム湖を背景にして記念撮影。
腹も満ち、暖かい春の陽射しを浴びて、動きたくないという気持ちもあったが、怠惰な心にムチ打って一行は
後半の路程に出発した。さて、後半には「火の見櫓」や「時計台」を見物する予定であったが、歩けど歩けど無
い。どうやら路を間違ったようである。方向だけを頼りに車のほとんど走っていない舗装道路を歩き、何とかバ
ス停までたどり着いた。一応ここで解散とな
り、歩いて奈良まで出るという急進過激派を
切り離して、本体はバス乗車。
奈良市内では、更にバラバラになったが、
リーダーO 氏他数名は有名な阿修羅像が展示
されている興福寺国宝観を見学。展示は驚く
ほど充実していて、阿修羅像の影が薄くなる
ほどである。一見の価値あり。そこから、更
に奈良女子大へと足を伸ばし、重要文化財に
指定されている旧本館と正門を見学して帰途
についた。
自然と文化に包まれた一日を過ごせたのだが、唯一つ残念なことがあった。奈良公園を歩きながら、鹿せんべ
いを購入。
つぶらな瞳をした愛らしい鹿たちにあげようと、
鹿は修学旅行生からふんだんにもらっているらしく、
見向きもしない。しかたなく、物ほしそうな顔をして見つめてくる O 氏に差し出さざるを得なかった。
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★法律対策部学習会★
ゲオホールディングス事件大阪府労委命令、
リコー事件大阪府労委命令を読む
ゲオホールディングス事件は、AHPが申立てを行った事件です。会社が愛知県で
の団交開催に固執したことについて、救済命令が出されました。また、リコー事件は、
MUが申立てを行った事件です。会社側弁護士が団交を取り仕切ろうとしたことにつ
いて、大阪府労委は申立てを棄却しました。現在、中央労働委員
会で係争中です。いずれも重要な事件です。是非、御参加くださ
い。
6月14日(土)15 時~17 時
組合事務所にて
~メタボ解消!
遊歩会
初夏~潮風企画
瀬戸の海~舞子海上プロムナードを歩く
時は初夏!
瀬戸の潮風を満喫し、明石焼きを心行くまで頬張りましょう!
日時:6 月 8 日(日)10 時
集合場所:JR垂水駅
【コース】
垂水海岸~五色塚古墳~舞子海上プロムナード~明石魚の棚~元祖明
石焼き
※ 五色塚古墳(ごしきづかこふん)は、兵庫県神戸市垂水区にある、兵庫県下最大
の前方後円墳。別名「千壺(せんつぼ)古墳」。築造年代は4世紀末から5世紀初
頭と推定されています。国の史跡に指定されています。
※ 舞子海上プロムナードは、海面からの高さ約 47m、陸地
から約 150m、明石海峡へ突出した延長約317m の回
遊式遊歩道です。
※ 明石魚の棚は鮮魚店等が集中する商店街。明石焼きの
店も並んでいます。
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