畜産系の排出負荷について

畜産系の排出負荷について
目
次
Ⅰ 畜産系汚濁負荷 ............................................................ 1
1. 調査手法 ............................................................... 1
2.畜種、飼養頭数 ......................................................... 1
3.汚濁負荷量 ............................................................. 3
4.畜産系の汚濁負荷について ............................................... 5
1.調査手法
徳島県の家畜の飼養頭羽数の年変動のデータ及び流域内の飼養頭羽数(牛、豚、鶏)を入手し、畜産
場の位置を地図上に位置付けるとともに、過年度に設定した吉野川下流域の評価区間(8 ブロック)
の各流域別に畜種、飼養頭数を整理し、各ブロックからの汚濁負荷量について把握する。
流域分割ブロックの考え方を表 3-1 に示す。
表3-1 流域ブロックの概要
水質測定点(※) 流入河川
流域ブロック名
関連市町村
1.柿原堰下流
本線部分の流入負荷量は、L-Q式にて、一 柿原堰下流(農)
定値として与えるため、フレーム設定を
高瀬橋(公、農)
行っていない。
一条橋(国、農)
六条大橋(国)
第十堰上流(農)
第十堰直上(国)
第十樋門直上(国)
2.高瀬橋
3.第十堰上流
4.第十樋門下流
5.宮川内川合流前
6.分流前
7.旧吉野川河口堰
8.今切川河口堰
―
―
―
上板町、阿波市(吉野町)
第十樋門(農)
・流入水路あり
藍住町、板野町、上板町
藍染橋(公)
・流入水路あり
鳴門市
藍住町、板野町、上板町、阿波市(吉野町、
土成町)
鳴門市
松茂町、北島町
市場橋(公、農)
大寺橋(農)
・宮川内川、大板谷川、富の谷川、坂東谷川
・流入水路あり
徳島市
北島町
藍住町
・桶殿谷川、大谷川
共栄橋(公)
・流入水路あり
牛屋島橋(公)
旧吉堰直上(公)
鯛浜堰上流側(公) ・流入水路あり
三ツ合橋(公)
今切石直上(農)
※:地点名( )の内容は、公(公共用水域水質測定結果)、国(国土交通省及び建設省データ)、農(農政局データ;クロロフィルa)
2.畜種、飼養頭羽数
(1) 地区種別飼養頭羽数の推移(昭和元年∼平成 24 年)
-1-
※徳島県畜産課のデータから作成
(2) 市町別家畜飼養頭羽数の推移(平成 15~19 年及び 25 年)
市町別家畜飼養頭数(牛)
徳島市
鳴門市
松茂町
北島町
藍住町
板野町
上板町
阿波市
(頭)
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成25年
2,228
4,607
*
0
*
1,758
3,800
12,517
2,023
4,819
*
0
298
2,006
3,750
12,220
1,933
4,835
*
0
263
1,496
3,190
12,050
1,880
4,730
*
0
260
1,580
3,490
11,130
1,720
4,640
*
0
240
1,670
3,290
11,490
1,383
6,349
48
0
156
1,351
2,096
8,958
※平成17年までの阿波市は吉野町、土成町、市場町、阿波町の合計
※*は非公表
市町別家畜飼養頭数(豚)
徳島市
鳴門市
松茂町
北島町
藍住町
板野町
上板町
阿波市
(頭)
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成25年
433
*
446
*
0
0
0
0
*
21,846
440
*
0
0
0
0
*
21,400
470
*
0
0
0
0
*
23,500
400
*
0
0
0
0
*
19,600
108
*
*
20,556
※平成17年までの阿波市は吉野町、土成町、市場町、阿波町の合計
※*は非公表
-2-
849
24,900
市町別家畜飼養頭数(鶏)
(千羽)
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成25年
187
220
0
*
0
*
*
*
206
168
0
*
0
0
*
*
*
171
0
0
0
*
*
*
*
171
0
0
0
*
*
826
*
163
0
0
0
*
*
*
121
144
徳島市
鳴門市
松茂町
北島町
藍住町
板野町
上板町
阿波市
86
648
786
※平成17年までの阿波市は吉野町、土成町、市場町、阿波町の合計
※*は非公表
※阿波の畜産、徳島県畜産課のデータにより作成
(3) ブロック内の家畜頭羽数家畜家の分布
収集したデータ基に、流域ブロックごとに整理するとともに地図上に位置を整理した。(図1,表
3-3、図 3-2)
ブロック別の家畜頭数を表 3-3 に示す。
表3-3 ブロック内家畜頭数
ブロック
4
5
6
7
8
計
牛
飼養戸数
12
2
29
5
0
48
100頭以上
1
0
10
3
0
14
(管理基準対象畜産家)
鶏
豚
飼養頭数
飼養戸数
飼養頭数
飼養戸数
638
71
3,639
4,421
0
8,769
1
0
2
0
0
3
293
0
556
0
0
849
0
2
11
2
0
15
10万羽以上
0
0
3
0
0
3
飼養羽数
0
90,000
699,396
23,500
0
812,896
*1 管理基準の対象規模:牛 10 頭以上、豚 100 頭以上、鶏 2000 羽以上
(4) 流域内の畜産の状況
1) 牛
・県内の牛の飼養頭数は昭和の後半から減少し始め、現在もその傾向が続いている。
・流域内の市町では鳴門市で最近急増しているが、その他の市町では減少傾向を示している。特に阿
波市、上板町でその傾向が強い。
・流域ブロック 6,7 で飼養頭数が多く、また 100 頭以上飼育している畜産家がそれぞれ 10 戸、3 戸
存在している。
2) 豚
・県内の豚の飼養頭数は昭和 55 年をピークに減少し始め、近年 10 年位は 4 万頭前後で安定してい
る。なお、平成 24 年からは増加の傾向も見られている。
・流域内の市町では阿波市が主要な飼養となっており、県の飼養頭数の半数を占めている。徳島市は
大幅に減少傾向を示している。
・流域ブロック内の畜産家としては上板町の 3 戸が、4,6 ブロックで関与している。
3) 鶏
・県内の鶏の飼養頭数は昭和 61 年をピークに減少し始め、近年 600 万羽弱で小規模に変動をしなが
ら推移している。
・流域内の市町は阿波市、上板町、鳴門市が主要な飼養地となっている。徳島市、鳴門市では近年飼
養頭数の減少が見られる。
-3-
・流域ブロックをみると阿波市、上板町、鳴門市を含む 6 ブロックを筆頭に、上板町、藍住町を含む
5 ブロック、鳴門市を含む 7 ブロックで飼養羽数が多くなっている。なお、6 ブロックには 10 万羽
以上を飼養する畜産家が 3 戸含まれている。
3.汚濁負荷量
流出率については、過年度の検討と同様に流域別下水道整備総合計画調査指針と解説 平成 20 年 9
月(以下「H20 流総指針」という)を参考に、畜産系の汚濁負荷量原単位、流出率を設定する。(表
3-4)
また、8 ブロックには対象となる家畜がいないことから、畜産系による水質汚濁を考慮する必要は
ない。
3−4 家畜による発生汚濁負荷量及び排出負荷量原単位
牛(g/頭/日)
COD
豚(g/頭/日)
鶏(g/頭/日)
発生負荷量 排出負荷量 発生負荷量 排出負荷量 発生負荷量 排出負荷量
530
53
130
13
3
0.3
T-N
290
29
40
4
1
0.1
T-P
50
5
25
2.5
0.15
0.00195
※排出率は10%。ただし、鶏T-Pのみ1.3%。
これらから想定されるブロック毎の汚濁負荷量を表 3-5-1、3-5-2、3-5-3、図2に示す。
3−5−1 畜産系の排出負荷量(COD)
ブロック
牛
4
5
6
7
8
計
豚
33.8
3.8
192.9
234.3
0
464.8
鶏
3.8
0
7.2
0
0
11
4ブロック COD
0
27
209.8
7.1
0
243.9
5ブロック COD
牛
37.6
kg/日
(kg/日)
計
37.6
30.8
409.9
241.4
0
719.7
豚
鶏
-4-
牛
30.8
kg/日
豚
鶏
6ブロック COD
7ブロック COD
牛
409.9
kg/日
牛
241.4
kg/日
豚
鶏
豚
鶏
3−5−2 畜産系の排出負荷量(T-N)
ブロック
牛
4
5
6
7
8
豚
18.5
2.1
105.5
128.2
0
254.3
計
鶏
1.2
0
2.2
0
0
3.4
0
9
70
2
0
81
(kg/日)
計
19.7
11.1
177.7
130.2
0
338.7
3−5−3 畜産系の排出負荷量(T-P)
ブロック
牛
4
5
6
7
8
計
豚
3.2
0.4
18.2
22.1
0
43.9
鶏
0.7
0
1.4
0
0
2.1
-5-
0
0.2
1.4
0
0
1.6
(kg/日)
計
3.9
0.6
21
22.1
0
47.6
4.畜産系の汚濁負荷について
表 3-6 畜産系の汚濁負荷について
ブロック
4
COD
T-N
T-P
牛が主要な負荷源となってい
る。
負荷源の 9 割弱が鶏となって
いる。負荷総量は小さい。
牛が主要な負荷源となってい
る。
負荷源の 8 割以上が鶏となって
いる。
鶏による影響検討が必要と考
えられるが、負荷総量は小さ
い。
牛の頭数多く、主要な負荷源と
なっている。
牛が主要な負荷源となってい
る。
負荷源の 2/3 が牛、1/3 が鶏と
なっている。
負担総量は小さい。
5
6
7
8
鶏と牛でそれぞれ負荷源の半
数を占めている。
負荷総量が大きい。
負荷源のほぼ全てが牛となっ
ている。
負荷源の 98%が牛となってい
る。
対象となる畜産場が存在しない
-6-
牛の頭数多く、主要な負荷源と
なっている。
他ブロックに比べ鶏の飼育頭
数が多い。
牛が全ての負荷源となってい
る。
図 1 畜産場位置図
-7-
図 2 畜産場の推計排出負荷量図
-8-