不動産のお役立ち情報 2014 年 9 月 10 日 基礎知識:LED 照明導入のポイント ~第 1 回 色温度と演色性~ エネルギーコストの上昇や環境配慮から省エネに関心が高まっている中、建物の新築時に LED 照明を 選択する建築主が増えてきた。また、既存照明を LED に改修するケースも多数見受けられる。LED の品 質が安定し、価格も下がってコストパフォーマンスが以前に比べて高くなってきたことが、普及を後押 ししている。 注目を集める LED ではあるが、蛍光灯や白熱電球などの従来型照明とは少し違いがある。選び方や使 い方を間違えて「こんなはずではなかった」とならないよう、十分に理解した上で導入していきたいも のだ。 ■電気代削減に貢献し、投資回収年も短い LED 改修 LED を導入し大きな削減効果のあった事例を、ザイマックスグループの改修実績から見てみよう。 ドラッグストア 薬 コスト削減効果 約 60 万円/年 CO2 削減率 -59% 投資回収年 2.5 年 300 ㎡超えのドラッグストアで、既存の 110W 蛍光灯器具に直管形 LED ランプを取り付けた。改修によ り従来の 1,200 lx(ルクス)から 1,500 lx へと照度を上げた。導入した LED ランプの色温度は 6,000K (ケルビン) 、全光束と効率は、5,350 lm(ルーメン)及び 138 lm/W(ルーメン/ワット)であった。 スーパーマーケット コスト削減効果 約 760 万円/年 CO2 削減率 -52% 投資回収年 3.7 年 11,500 ㎡のスーパーマーケットで、天井高は 4,000mm。LED のスペックは、色温度 5,000K、全光束 4,500 lm、効率 98 lm/W で、導入後の平均照度は 783 lx(従前 750 lx)であった。 ショッピングセンター コスト削減効果 約 750 万円/年 CO2 削減率 -54% 投資回収年 3.2 年 31,000 ㎡のショッピングセンターで、共用部の既存蛍光灯器具に LED ランプを取り付ける改修を行っ た。工事後の平均照度は 1,050 lx(従前 840 lx)で、LED スペックは、色温度 5,000K、全光束 4,850 lm、 効率 120 lm/W であった。 ※当リリース記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。 当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。Copyright©XYMAX corporation. All rights reserved 1 直管形の LED ランプを導入した 3 施設のケースを見てきたが、いずれも電気使用量・料金は削減され、 CO2 削減率は 50%以上、4 年未満での投資回収ができる計算だ。 ■用途によって使い分ける「色温度」 LED はコストパフォーマンスが高く、急速に普及しはじめているが、一方で、ご紹介した事例の中に、 「全光束」 「色温度」など、聞き慣れない用語が出てくる。そこで、LED についての特徴や用語を今後数 回にわたってシリーズでご案内していくことを予定している。第 1 回として、今回は「色温度」と「演 色性」についてご説明しよう。 「色温度」とは、光の色を定量的な数値で表すもので、単位はケルビン(K)を用いる。 【図表 1】で、色温度の例を見てみよう。色温度の数値 は青みがかった色ほど高く、赤みがかった色ほど低い数 【図表 1】色温度と主な使用場所 値で表される。 明るく清潔で涼やかなイメージのある昼光色(D 色) の色温度は 6,000K で、病院などで多く使われ、一方、 落ち着いて暖かなイメージの電球色(L 色)の色温度は 3,000K で、レストランや商品へのスポットライト用途な どで使われている。 蛍光灯の従来型のランプは、使っているうちに少しず つ色温度が低下し、また、白熱灯は調光して光量を絞る と赤みがかった色に変化する。一方、LED ランプは劣化 や調光で色温度は変化しない。「既存白熱灯に定格色温 度が 3,000K のランプがついているが、調光により照度 を絞って使っている」ケースでは、照度だけでなく色温 (出所)㈱ザイマックスビルマネジメント 度も下がっている。従って、定格(3,000K)通りのランプを選んでしまうとイメージと違ってしまうの で注意が必要だ。また、調光によって、明るさと落ち着いた雰囲気の二つのシーンを使い分けしたい場 合には、色も調節できる調色機能付きの LED 器具も製品化されている。 光の色の変化は空間の雰囲気を変える。オフィスでは知的生産性にも影響すると言われている。集中 力を高め業務効率を上げるには高めの色温度、クリエイティブな業務や自由なディスカッションには低 めの色温度が適しているようだ。 LED を導入の際には、劣化や調光で色温度が変化しない LED の特徴を理解し、目的に合ったランプや 器具を選んでいただきたい。 【図表 2】 ■「演色性」は、お客様の購買意欲に直結する 「演色性」とは、照明器具が室内や商品などを照らしたときの色 の見え方を言い、平均演色評価数(Ra)という指数で表す。 Ra100 が最も太陽光に近いと言われており、Ra 値が低くなるほど 本来の色が再現できず、ズレが大きいということになる。例えば、 トンネルなどで使われるナトリウムランプの演色性は Ra25 程度で、 ※当リリース記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。 当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。Copyright©XYMAX corporation. All rights reserved 2 【図表 2】のように黄色っぽくて実際の光とはずいぶん違って見える。 当初、LED は明るさ優先で、Ra70 以下の商品が多かった。「使ってみたら顔が緑色に見えた」などの 声が聞かれたのは、この演色性の低さによる。最近では、オフィスでも Ra85 以上の製品が使われてい る。さらに Ra95 の高演色性の製品も発売されており、 【図表 3】のように、ずいぶん鮮やかに見える。 店舗の場合、商品の見え方は来店者の購買意欲に直結するので、LED 【図表 3】 選定の際は慎重に行いたい。また、同じ Ra 値であったとしても、欲 しい色が再現できるかどうかは、メーカーや製品によっても違いがあ る。 「店主の望むマグロの赤身の色が出るかどうか、全メーカーの器 具を取り寄せて実験して選定した」「設置後、生鮮食品売り場のラン プに、足りない赤色のランプを補って商品を演出した」などの事例に 見るように、 「演色性」は売り上げにつながる重要なポイントだとと らえられている。 今回は、LED の特徴のうち「色温度」と「演色性」についてご紹介した。従来型照明の蛍光灯や白熱 電球などとの違いをご理解いただき、LED 導入の際の参考にして頂きたい。 次回 2 回目は、 「照度」と「寿命」についてご案内する。 以上 ※当リリース記載の内容等は作成時点のものであり、正確性、完全性を保証するものではありません。 当社の事前の了承なく、複製、引用、転送、配布、転載等を行わないようにお願いします。Copyright©XYMAX corporation. All rights reserved 3
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