阪神南リーディングテクノロジー実用化支援事業の検証報告書

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域
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作 成 部 局
情
勢
報 告)
平成 26 年 3 月 17 日
阪 神 南 県 民 局
阪神南リーディングテクノロジー実用化支援事業の検証報告書
阪神南リーディングテクノロジー実用化支援事業は、(一財)近畿高エネルギ
ー加工技術研究所(AMPI)の協力のもと、ものづくり中小企業の新技術・新
製品等の創出を支援するため、平成 19 年度から実施している。
「ひょうご経済・雇用活性化プラン」における目指すべき産業構造の一つ
である“ものづくり企業などの優れた技術や製品等の付加価値を高め、世界の
中で競争に勝ち抜く中小企業を生み出す産業構造”に資するものとなるよう、
これまでの取り組みの検証と今後の取り組み方針をとりまとめた。
AMPI による指導
支援機関:(一財)近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI)、兵庫県立工業技術センター、
(公財)ひょうご産業活性化センター、(公財)新産業創造研究機構(NIRO)、
協同組合尼崎工業会、商工会議所(尼崎・西宮)
、尼崎市、西宮市
1.これまでの取り組みの検証
(1)支援対象企業(以下、「LT 企業」という):92 社
本社所在地
業態別
尼崎市
西宮市
芦屋市
その他
製造業
非製造業
66 社 (72%)
23 社 (25%)
1 社 (1%)
2 社 (2%)
81 社 (88%)
11 社 (12%)
産業中分類別
金属製品
23 社(25%)
はん用機械 生産用機械 電気機械器具 業務用機械器具
化学工業
その他
10 社(11%)
5 社(5%)
31 社(34%)
9 社(10%)
9 社(10%)
5 社(5%)
(2)支援実績
本事業における支援は、新技術開発、製品開発、製品実用化・販路開拓、コア技術高度化、
要素技術改善の5分野で、支援延べ件数は 120 件にのぼる。
支援の状況
区分
支援内容
新技術開発
市場の動向や先端技術の開発状況を見据
え、技術シーズの発掘を支援
31
14
5
12
製品開発
試作品の制作、性能試験・評価、試作ラ
イン設置等に関する支援
15
8
1
6
製品実用化
・
販路開拓
量産化技術、製品の認証・認定、特許取
得等に関する支援
製品の PR や具体的な取引先・連携先の
発掘・拡大に関する支援
28
9
3
16
コア技術
高度化
既存コア技術の改良や主力製品の品質向
上等に係る支援
20
11
6
3
要素技術改善
要素技術(IT・設備工程等)の改善によ
る生産性の向上に係る支援
26
19
3
4
120
61
18
41
件数
計
1
成果あり 成果なし
継続中
(3)支援後の LT 企業の取り組み
本事業による支援を受けたLT企業がその後に獲得した補助金及び認定・表彰実績のうち確
認できたものは、次のとおりである(実用化事例は【別添】(p.3)参照)。
① 補助金獲得の実績:45件(25社)〔総額9億6千万円〕
補助金の獲得が最も多かったのは、新技術開発で、支援 31 件中 14 件にのぼる。
【獲得件数】
製品実用化・販路開拓 コア技術 要素技術改
区分 新技術開発 製品開発
高度化
善
製品実用化 販路開拓
件数
14
13
6
6
3
3
【内訳】
区分
件数
国補助金
28
県補助金
4
市補助金
12
その他
1
② 認定・表彰の状況:51社
【支援した新技術・新製品等が認定・表彰を受けたもの】(重複あり)
認定・表彰制度
認定・表彰者
「経営革新計画」認定企業
兵庫県
ひょうご新商品調達に係る認定企業
兵庫県
ひょうご No.1 ものづくり大賞
兵庫県
あましんグリーンプレミアム
尼崎信用金庫
計
45
計
45
認定企業数
25 社
3社
2社
4社
【支援したLT企業(技術者を含む)が認定・表彰を受けたもの】(重複あり)
認定・表彰制度
認定・表彰者
対象企業数
成長期待企業
(公財)ひょうご産業活性化センター
27 社
KANSAI モノ作り元気企業
近畿経済産業局
9社
尼崎技術・技能優良事業所
尼崎市
9社
西宮市優良事業所顕彰
西宮市
9社
2.今後の取り組み方針
機能
支援機能
の充実
取り組み内容
資金確保への支援
強化
販路拡大への支援
強化
先を見据えた開発
プロセス支援
・補助金確保に向けたサポートの強化
・投資資金の活用などに関する情報提供
・国際フロンティア産業メッセ 2014 などの展示会への
出展支援
支援方法
・技術だけでなく、中小企業経営、知財権等も支援する
の充実
技術経営支援の強化
・販路開拓、資金調達を支援するため、商工会議所等と
産官学連携による
の連携を強化
支援の多様化
・LT 企業同士の連携を図るための交流機会の提供
フォローアップによる成
・LT 企業を対象とした経営状況、技術開発動向、製品
果検証と支援内容
の実用化状況の調査と成果検証
の充実
新 た に 追 地域産業クラスタ
・LT 企業を中心とするサポーティング・インダストリ
加 す る 取 ーとしてのマーケ
ー(基盤技術型産業)クラスターの形成を目指す
り組み
ティング
〈問い合わせ先〉
阪神南県民局産業振興・地域連携課
2
Tel 06-6481-7669
支援対象企業(LT 企業)の実用化事例
スイコー(株)(尼崎市)
ポリエチレン製品製造販売
【別 添】
〔2007 年度認定〕
■ 大型タンクからデザイン商品まで、あらゆる顧客ニーズに応える
樹脂の回転成形のパイオニア
・ポリエチレンタンクの回転成形(金型に樹脂粉末材料を入れ、加熱し、金型を回
転することで樹脂を金型面に密着させて製品化)では国内トップのメーカー
・AMPI では、高機能・高強度素材の実用化技術の開発・評価等に協力しているほ
か、仕上げロボットの開発など、生産工程の自動化や合理化に関する支援を実施
・培った技術力を活かし遊具や照明器具等の新分野にも乗り出す
(株)ヤマシタワークス(尼崎市) 自動車用、
薬品用金型製造販売
▲ポリエチレン製プランター、
照明器具の商品化
〔2008 年度認定〕
■ 鏡面仕上げへの挑戦から新たな技術・製品の創造へ
・特許出願によるパテント戦略で技術基盤を固めながら、製品の事業化に成功
・工業用ダイヤモンドパウダーを混ぜた独創的な研磨材を開発し、金型の鏡面仕上げ
加工が可能な装置(製品名:エアロラップ)を製品化
・多品種金型の寸法計測が可能な高精度形状計測装置(製品名:AMS)を AMPI と共
同開発
▲立体形状PTPシート
・LT 事業の共同研究を活用し、立体形状の医薬品包装 PTP を開発
平井工業(株)(尼崎市)
総合研削加工
〔2009 年度認定〕
■ フィルム製造にブレークスルーをもたらした新金型の開発・製造
・HIP(熱間等方圧加圧)処理技術と呼ばれる新技術を活用し、高硬度が要求される
フィルム製造装置等向けの新金型を開発
・AMPI では、試作材料の基本特性評価や耐摩耗性などの実用性能評価により、同社
の基礎技術の開発に協力。また、フィルム製品の長尺(広幅)化や高品質化に対応
▲新技術による金型開発
した技術開発、製品の低コスト化につながる新技術開発についても助言・指導
六甲電子(株)(西宮市)
半導体ウエハ研削・研磨・洗浄
〔2009 年度認定〕
■ 「六甲プレミアムプロセス」の構築による成長の実現
・シリコンウエハの各種加工を中心に展開し、我が国の半導体製造工程の一翼を担う
・半導体ウエハの新素材化(シリコンカーバイト、サファイア)や大口径化に対応し、
顧客の悩みを解決した新しい研削-研磨-洗浄プロセス(名称:
「六甲プレミアムプ
ロセス」
)を世界で初めて実用化
・AMPI では、サファイアの研削・研磨技術の開発というテーマで、共同研究を実施 ▲研削・研磨の一貫加工
し、研究開発を支援
(株)ライトニックス(西宮市)
医療機器開発、製造販売
■ 世界初の植物生まれの樹脂製ランセット針の開発
〔2010 年度認定〕
ひょうご No.1 ものづくり大賞受賞
・医療用マイクロデバイスの開発・製品化を目的に設立された医療ベンチャー
・開発・製造・販売のスキームづくりに 10 年余りの歳月をかけ、世界初の植物由来樹
脂製ランセット針(穿刺針)の製品化に成功(商品名:
「ピンニックスライト」
)
・AMPI では、同社がランセット針の技術を活かして、ワクチン投与針の開発に乗り
出した際に、超精密微細成形加工技術と量産化技術の開発を支援
▲樹脂製ランセット針
(株)モルファ(尼崎市)
精密・微細部品加工
〔2011 年度認定〕
■ 超精密・微細加工技術から生まれたスマートフォンケースの開発
・超微細な細穴加工や鏡面加工、溝加工等の精密加工技術に強みをもつ企業
・自社製品の開発に乗り出し、世界で初めてネジレス薄金のスマートフォンケースを
製品化し、一流デザイナーとのコラボレーションで、デザイン性の高い製品を提供
・AMPI では、国際フロンティア産業メッセ 2013 への同社の出展をコーディネートす
るなど、モルファの販路拡大に協力
▲ネジレス薄金ケース
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