EV用3大バッテリ「鉛/ Liイオン/NiMH」の基礎知識

第3部
[製作の素2]改造も修理も自分で!電装品いろいろ
第3章
小さく軽くて大容量,入手性も 進化中!
バッチリ! 理想を求めて…
EV 用 3 大バッテリ「鉛 /
Liイオン/NiMH」の基礎知識
宮村 秀夫
250
エネルギ密度[Wh/kg]
EV は,電気をバッテリに溜めて走ります.
一口にバッテリといってもいろいろ種類がありま
す.一般に EV 用のバッテリには充放電可能な 2 次
電池
(蓄電池)
を使用します.ここでは,現時点で手
に入る手作り EV に合ったバッテリを紹介します.
進化中! 理想の電池を求めて
Ni系正極
200
リチウム・
イオン蓄電池
150
(Jungner, 1899)
Co系正極
Mn系
(1991)
100
ニッケル
(Plante,
ニッケル・
1859)
カドミウム蓄電池 水素蓄電池 (1990)
50
鉛蓄電池
0
1850
● 小さくて軽いことはいいことだ
EV に限らず,およそ乗り物に使う部品は機能も性
能も「小さく軽いこと」が求められます.
EV を構成する部品で一番重くてかさばる部品は,
走行に必要なエネルギを溜めておくバッテリです.こ
のため,大手メーカが開発する本格的な EV は,その
時代に実用化された 2 次電池のうち,最も軽くて小さ
いものが採用されてきました.
図 1 に示すように,蓄電池は進化してきました.縦
軸は 1 kg の 2 次電池が溜めておける電力量で,「重量
1900
1950
1990 2000
[年]
鉛蓄電池の活躍は19
世紀後半から,ニッケ
ル・カドミウム蓄電池
の活躍は1960年代から
90年代初頭,ニッケル水素蓄電池と
リチウム・イオン蓄電池が登場して
以降,小型軽量化
(エネルギ密度の
向上)
のペースが速くなった
図 1(1) 性能向上の歴史(小型 / 軽量化)
エネルギ密度」といいます.値が大きいものほど軽い
電池です.
16,000
ニッケル・カドミウム蓄電池など
(特定用途に需要あり)
14,000
12,000
10,000
実用化された蓄電池で最も小型/
軽量だが,ちょっと気難しい
(取り扱いが面倒)
リチウム・
イオン蓄電池
8,000
6,000
ニッケル水素蓄電池
4,000
2,000
「充電できる乾電池」
として使える
ほど手軽で安全性も高い
2010
2009
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
鉛蓄電池
1992
1991
0
2008
販売容量[MWh]
Hideo Miyamura
最も実績があり低価格.
種類も豊富で根強い需要がある
[年]
リチウム・イオン蓄電池やニッケル水素蓄電池の販売容量が90年代以降拡大
(ノート・パソコン,携帯電話,ビデオ・カメラなどの携帯可能な電子機器の電源として需要が伸びた)
鉛蓄電池のおもな用途は自動車のエンジン始動用.ほかに,UPSなどの携帯しない機器には根強い需要がある
図 2 おもな電池の国内販売量
(容量ベース,推定)
国内販売額推移と容量あたり単価の推移から計算して推定した(鉛蓄電池は 40 円 /kWh 一定で推定)
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2014 年 11 月号