Bousfield 局所化された安定 homotopy 圏のピカール群について 加藤 諒、 下村克己 S をスペクトラムの安定ホモトピー圏とする。Bousfield により、任意のスペクトラ ム E に対して、Bousfield 局所化関手 LE : S → S が定義されている。LE の像の成す S の部分圏を LE と表す。これらは Hovey, Palmieri and Strickland [3] の意味で安定ホモ トピー圏である。さらにスペクトラム E の Bousfield 類を ⟨E⟩ = {X ∈ S : E ∧X = 0} とし、順序 ⟨E⟩ ≥ ⟨F ⟩ を ⟨E⟩ ⊂ ⟨F ⟩ で定義すると Bousfield 類の集合は束になるこ とも示されている。Hopkins は、圏 LE のピカール群 Pic(LE ) を LE の可逆スペクト ラムの同値類の成す群として定義した。ここで、X ∈ LE は、LE (X ∧ Y ) = LE S 0 となるスペクトラム Y が存在するとき、LE の可逆スペクトラムであると呼ばれる。 ピカール群についてこれまでに知られていることとしては Pic(S) = Z, Pic(LK(n) ) ⊃ Zp ([2]), Pic(LE(n) ) = Z if 2p − 1 > n2 + n ([4]) などがある。さらに • LE S 0 = LF S 0 かつ ⟨E⟩ ≥ ⟨F ⟩ のとき Pic(LE ) ⊂ Pic(LF ) ([5]). • ⟨E⟩ ≥ ⟨HZ/p⟩ のとき、Pic(LE ) = Z ([5]). • p = 3 のとき、Pic(LE(2) ) = Z ⊕ Z/3 ⊕ Z/3 ([1]). などがある。 ここではさらに安定ホモトピー圏の thick 部分圏を考える。充満部分圏 T が (1) コファイバー列 X → Y → Z があるとき、このうちの二つが T に入っていれば残り の一つも入る (2) X ∨ Y ∈ T なら、X ∈ T の二つの条件を満たすとき、thick であ ると呼ぶ。さらに、X を含む最小の thick 部分圏を thick⟨X⟩ と書く。ここで、 ⟨ ⟩ τ (LE ) := Pic(LE ) ∩ thick LE S 0 を考える。E が smashing なら、τ (LE ) = Pic(LE ) であることに注意する。このと き、以下のような結果を得た。 定理 系 LE S 0 = LF S 0 なら、τ (LE ) = τ (LF ). LE V = V となる有限スペクトラム V があれば τ (LE ) = Z. これに関して別方法で次が得られる。 ⟩ ⟨∨ ∨ K(n) のとき、Pic(LE ) = Z. 定理 ⟨E⟩ ≥ p n≥0 素数 p を一つ固定する。Johnson-Wilson スペムトラム E(n) に対して LE(n) を Ln と、Pic(LK(n) ) を Picn と略記する。Pic(Ln ) に関しては、 定理 局所化関手 LK(n) で誘導される準同型 Pic(Ln ) → Picn は単準同型である。 [1] での Pic(L2 ) の構造決定には [5] の結果を用いているが、この定理を使えば [5] を使わずに決定できる。 系 局所化関手 LK(n) で誘導される準同型 τ (Ln ) → τ (LK(n) ) は単準同型である。 References [1] P. Goerss, H-W. Henn, M. Mahowald, and C. Rezk, On Hopkins’ Picard groups for the prime 3 and chromatic level 2, preprint. [2] M. J. Hopkins, M. Mahowald, H. Sadofsky, Constructions of elements in Picard groups, Contem. Math. 158 (1994), 89–126. [3] M. Hovey, J. H. Palmieri, and N. P. Strickland, Axiomatic stable homotopy theory, Mem. Amer. Math. Soc. 128 (1997), no. 160. [4] M. Hovey and H. Sadofsky, Invertible spectra in the E(n)-local stable homotopy category, J. London Math. Soc. 60 (1999), 284–302. [5] Y. Kamiya and K. Shimomura, Picard groups of some local categories, Publ. RIMS, Kyoto Univ. 43 (2007), 303–314. [6] D. C. Ravenel, Nilpotence and periodicity in stable homotopy theory, Annals of Mathematics Studies, 128, Princeton Univ. Press, 1992. 1
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