W58b VSOP-2による活動銀河核降着円盤とジェット撮像の画質検証 亀野 誠二, 浦田 麻衣(鹿児島大学)、土居 明広, 永井 洋, 村田 泰宏, 望月 奈々子 (ISAS) 要約 VSOP-2で活動銀河核の降着円盤とジェット加速機構および高エネルギー放射機構を解明するには、分解能と共に感 度・ダイナミックレンジ (DR)・信頼性 (fidelity) など画質の高さも要求される。必要な撮像性能を実現するには、画質 に影響のある要因を洗い出し、それぞれの要因ごとに画質への影響を評価した上で、VSOP-2の要求仕様へとブレーク ダウンする必要がある。VSOP-2の画質を評価する目的で、ASTRO-G衛星のSEFD, 姿勢変動による利得変動, およびリ ンク局数の要因によって得られるダイナミックレンジがどのように影響を受けるか、シミュレーションを行った。 試験方法 試験ケース 変動要因 共通条件 • 地上観測局:9局 (BR, PT, SC, MK, VLA, GBT, NRO, ATCA, EB) • ASTRO-GのSEFD : 6000 Jy, 12000 Jy (2ケース) • Mrk 501 : 検出限界程度の輝度, コンパクトな構造 • 観測時期:2015年10日 - 360日(10日間隔) • リンク局数: (3ケース) • M 87 : 検出限界程度の輝度, 降着円盤+ジェット構造 • 観測時間:24時間 1(臼田のみ), • CIT Package “fake” でビジビリティ生成, Difmapでイメージング 2(臼田+Yebes), • 各局のゲイン不定性:5% 3(臼田+Yebes + SEST) • 3C 273 : 高い輝度, 広がったジェットの微細構造 • ASTRO-Gの利得変動:5%, 10%, 30%(3ケース) • 周波数:22 GHz 結果 Mrk 501 M 87 CLEAN Map (u, v) coverage 3C 273 CLEAN Map (u, v) coverage (u, v) coverage CLEAN Map Synthesized beam (PSF) Synthesized beam (PSF) 性能 image RMS (mJy/beam) Dynamic Range 性能 image RMS (mJy/beam) Dynamic Range 性能 image RMS (mJy/beam) Dynamic Range Best 0.21 396 Best 0.45 442 Best 2.14 1737 Median 0.34 245 Median 0.76 264 Median 23.6 158 Worst 1.51 55 Worst 1.85 108 Worst 103 36 3C 273 Frequency 100 100 150 200 250 300 350 400 0 0 50 Frequency 150 100 50 0 50 100 200 300 400 M87 150 Mrk 501 Frequency Dynamic Range の度数分布 Synthesized beam (PSF) 100 150 200 Dynamic Range 250 300 350 400 450 0 500 Dynamic Range 1000 1500 Dynamic Range 考察 Dynamic Rangeの決定因子 Dynamic Rangeの各要因への依存性線型回帰で、DR が衛星SEFD, 衛星ゲイン安定性, リンク局数の要因にどのように依存してい るかを調べる。モデル DR = a SEFD + b σamp + c Nlink + ε として、a, b, c の値と有意水準を検定。 Mrk 501 M 87 最尤値 標準偏差 P値 a (SEFDへの依存性) -5.67E-03 4.29E-04 <2e-16 b (ゲイン安定性への依存性) -5.52 0.12 <2e-16 c (リンク局数への依存性) 14.7 1.6 <2e-16 ε(上記以外の要因) 340 5.4 <2e-16 3C 273 最尤値 標準偏差 P値 a (SEFDへの依存性) -0.004 0.002 0.028 < 2e-16 b (ゲイン安定性への依存性) -1.54 0.53 0.004 2.7 0.005 c (リンク局数への依存性) 26.3 7.1 2.18E-04 9.2 <2e-16 ε(上記以外の要因) 183 24.4 2.13E-13 最尤値 標準偏差 P値 a (SEFDへの依存性) -2.80E-03 7.24E-04 < 2e-16 b (ゲイン安定性への依存性) -3.49 0.201 c (リンク局数への依存性) -7.5 ε(上記以外の要因) 355 Dynamic Rangeを決める衛星関連の要因として最も強いのゲイン安定性、次に衛星SEFD, Dynamic Rangeを決める衛星関連の要因として最も強いのゲイン安定性、次に衛星SEFDで Dynamic Rangeを決める衛星関連の要因はリンク局数で、ゲイン安定性と衛星SEFDは有意水 最後にリンク局数であることが分かる。どれもP値が非常に小さく、決定因子として有意 あった。この2要因はP値が非常に小さく、決定因子として有意にDRに影響している リンク局 準が低く、リンク局数が決定因子として弱いことがわかる。 にDRに影響していることがわかる。 数は負の回帰となったが、有意水準は低く、リンク局数が決定因子として弱いことがわかる。 単純な構造の弱い天体: 感度・較正精度・(u, v)台の全てが効く 複雑な構造の弱い天体: 感度と較正精度が効く 複雑で明るい天体: 主に(u, v)台が効く ジェット観測要求 (DR > 200) を満たす条件: 降着円盤観測要求 (DR > 200) を満たす条件: ジェット観測要求 (DR > 200) を満たす条件: •利得変動 < 17% •利得変動 ≦ 5% •リンク局数 ≧ 3 •SEFD < 10,000 Jy •リンク局数 ≧ 2 •SEFD < 15,000 Jy • (u, v)のよい軌道条件(観測日を選ぶ) 結論 • M 87で降着円盤撮像を検出するには感度 (SEFD < 15,000 Jy)および較正精度 (≦5%)が重要 • 3C 273のような明るいジェットの観測では、(u, v)の条件が重要(リンク局数≧3) • Mrk 501のような微弱なジェットの観測では、感度・較正精度・(u, v)全てが重要
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