要約版 - 鉄道・運輸機構

平成 26 年 9 月 5 日
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
御中
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構第三者委員会
委 員 長 弁護士 頃安 健司
副委員長 弁護士 三谷
紘
委
員 弁護士 吉戒 修一
調査結果報告及び提言書(要約版)
第 1 本委員会の設置の経緯等
本委員会は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)
からの依頼に基づき、公正取引委員会が機構に対し発した、平成 26 年 3 月 19 日付け
「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が発注する北陸新幹線融雪・消雪基
地機械設備工事に係る入札談合等関与行為の改善措置について」(公犯第 20 号)及び
「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の発注業務に係る入札談合等関与行
為の防止等について」(公犯第 22 号)に対応するために必要となる事実関係等の調査
を実施してその結果を取りまとめるとともに、機構の策定に係る改善措置(再発防止
策)についてこれを評価して所要の提言を行うことを目的として設置されたものであ
る。
第 2 調査の結果
1 予定価格の漏えい行為
機構鉄道建設本部東京支社(以下「東京支社」という。)設備部長ほか同部の職員が、
個別に又は共同して、平成 23 年 3 月から平成 25 年 3 月にかけて、東京支社が発注す
る北陸新幹線等の機械設備工事案件 11 件について、予定価格を業者に漏えいした。
2 総合評価落札方式において、特定の JV に対し評価点の最高点を付けない等の指示及
び運用をした行為
(1) 機構では、平成 17 年の総合評価落札方式の導入以降、一部の機構役員が、支社長や
地方局長(以下「機関長」という。
)に対して、同方式によって実施される入札におい
て、過去に施工品質上重要な問題を起こした経歴のある企業が落札することを防止す
るために、当該企業が含まれる JV については総合評価落札方式における評価点の最高
点を付けないなどの指示をしていた。実際、機構の地方局の入札において、地方局長
が、特定の JV について加算点を操作したと認められる入札も存在する。
(2) その後、遅くとも平成 22 年以降、一部の機構役員が、機関長に対し、
(1)の指示に
加え、総合評価落札方式によって実施される入札において、当該入札に参加する各 JV
の構成員の中で代表者に次ぐ構成員に位置付けられている事業者(以下「2 番手」とい
1
う。)に機構から再就職した者(以下「機構 OB」という。)が在籍していない場合には、
当該 JV に対し、評価点の最高点を付けないなどの指示をしていた。
(3) 総合評価落札方式における評価点の操作は、評価点のうち応札事業者からの技術提
案を評価する項目(加算点)を操作する方法によって行うことが可能であった。
(4) 一部の機関長は、総合評価落札方式の入札について JV の組成や評価点に関する情
報を本社に報告したり、2 番手に機構 OB がいない企業の情報を本社から受領したりす
る等前記指示を実行するための一定の行動を行うなど、前記指示に従った行動をとっ
ていたが、すべての入札において、当該指示に基づく評価点の操作が行われたわけで
はなかった。
3 書類等の隠蔽及び電子メール等の隠蔽行為
機構本社の一部の役職員が、平成 25 年 9 月 4 日に行われた公正取引委員会による機
構東京支社への立入検査後、歴代の機構 OB の再就職等に関する資料を本来の保管場
所以外の場所に移動させたり、当該データを機構のサーバー上から削除したり、関連
する電子メールを削除したりするなどの隠蔽行為を行った。また、機構本社の一部の
役職員が、同年 11 月 6 日に行われた公正取引委員会による機構本社への立入時、総合
評価落札方式での工事案件における応札 JV の組合せ等に関する資料(JV を構成する
各企業体の企業名、所在地、出資比率及び当該入札における評価確定前の客観的な評
価点等が記載されているもの)について同様の隠蔽行為を行った。
第 3 機構の改善措置(再発防止策)についての評価と提言
1 機構では、機構において予定価格の漏えいが行われていた事実を受け、大要以下に掲
げる改善措置(再発防止策)を策定し、一部実施している。
・コンプライアンス担当理事の選任、理事長を委員長とするコンプライアンス委員会
の新設、本社及び地方機関におけるコンプライアンス推進会議の新設等コンプライ
アンス体制の整備。
・監査部門の人員強化及び独立性強化(将来的には理事長直轄組織とする予定)
。
・入札監視委員会等の事後監視機能の強化。
・機構職員と事業者及び機構 OB との接触制限。発注に関する機構内外における情報
統制の強化。
・機構全役職員へのコンプライアンス教育の実施、内部通報制度の拡充、ペナルティ
の強化。
・コンプライアンス施策の定期的な検証。
上記の機構の再発防止への取組は、今回の予定価格の漏えいが生じた原因を分析し
た上で、コンプライアンスに関する PDCA の仕組みを導入したものであり、従来の機
構のコンプライアンスへの姿勢からは大きく前進が見られる。
2 機構では、総合評価落札方式により実施される入札において、特定の JV に対し評価
点の最高点を付けないよう指示した行為について、機構役職員の再就職に関する依頼
等の規制を強化しており、また、書類等の隠蔽行為がなされていた点についても、機
2
構役職員のメールの管理の徹底等の改善措置(再発防止策)を策定、実施しており、
いずれも再発抑止効果が期待できる。
3 今後、上記の改善措置を厳格に運用するとともに、継続してその改善を図ることが期
待される。
以上
3