2157 コシダカホールディングス

(株)日本ベル投資研究所
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ベル企業レポート
IRアナリストレポート
Independent Research Analyst Report
2157
コシダカホールディングス
~スマホアプリ型カラオケシステム「すきっと」で業態革新を推進~
2014 年 11 月 6 日
ジャスダック
ポイント
・カラオケに新しいイノベーションを起こそうとしている。従来の機器とは異なる画期的
なネットワーク型のシステムを独自に開発した。スマホを活用して、自分好みの動画や歌
を編集して、当社のカラオケ店で楽しむことができる。この「すきっと」
(SKIT:スマー
ト・カラオケ・インターネット・ターミナル)の全店導入が 2014 年 4 月に完了し、稼働
率が上がりつつある。
・韓国のカラオケは黒字化の目途が立った。今後 100 店を目指す。また、アジア展開を視
野に、シンガポールに統括会社を設立した。2014 年 2 月にはシンガポールトップのカラオ
ケチェーン店「K BOX」(11 店)を買収した。
「すきっと」を活かして、アジア展開の橋頭保
とする方針だ。2015 年 8 月期には動きが出てこよう。
・カラオケは、先行投資による開発費やのれんの償却が出るものの、
「すきっと」が全店
にそろったので、2015 年 8 月期には増益に転換しよう。全体の業績は、フィットネスのカ
ーブスが好調を持続し、温浴も黒字化に向かうので、ピーク利益の更新が続こう。
・当社は、カラオケの店舗数でトップクラス、フィットネスの店舗数では日本ナンバーワ
ンである。2014 年 8 月末現在、カラオケ国内 366 店、海外 16 店、フィットネス 1475 店、
温浴 7 店(10 月に 2 店閉店)を展開している。温浴を第 3 の柱にしていく方針であるが、当
面は「すきっと」によるカラオケの差別化戦略が期待できよう。
・当社の事業発展の軸は「既存業種新業態」、つまり、既存市場での事業を、新業態の仕
組みに変えていくことである。「総合余暇サービス提供企業」をビジョンに掲げ、アミュ
ーズメント、スポーツ・フィットネス、観光・行楽、趣味・教養の 4 つを事業領域とし、
その中で、
「既存業種新業態」を開発していく。将来は 1000 億円企業を目指している。
・08 年に買収したフィットネスの「カーブス」は、カラオケの利益率を大きく抜いてきた。
カラオケは 500 店へ、フィットネスは 1800 店へ拡大する方向である。経常利益 100 億円
は十分狙える体制を整えつつある。ROE は高く、独自のビジネスモデルで価値創造を行う
ユニークな企業として高く評価できよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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目 次
1.特色
「既存業種新業態」の総合余暇サービス提供企業
2.強み
カラオケの優位性を発揮しつつ、女性専用フィットネスが急成長
3.中期経営方針と展望
4.当面の業績
5.企業評価
アジア展開も視野に将来は 1000 億円企業をめざす
カラオケへの先行投資はあるが、カーブスが牽引
「すきっと」システムとワンカラの新業態ビジネスモデルに注目
企業レーティング A
株価(14 年 11 月 6 日) 1886 円
PBR 2.84 倍
ROE 20.5%
時価総額 362 億円(19.2 百万株)
PER
13.2 倍
配当利回り 1.9%
(百万円、円)
決算期
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2008.8
13649
691
731
421
22.0
4.5
2009.8
18955
1496
1427
549
28.7
4.8
2010.8
21932
2503
2579
1125
58.6
10.9
2011.8
29093
3356
3336
2877
149.9
12.5
2012.8
33746
4077
4096
2279
119.3
17.5
2013.8
34515
4151
4237
3072
162.1
25.0
2014.8
37720
4276
4370
2423
127.9
30.0
2015.8(予)
43700
5000
5100
2700
142.4
35.0
2016.8(予)
47600
5700
5800
3100
163.5
40.0
(14.8 ベース)
総資産 25926 百万円
純資産 13195 百万円
自己資本比率 48.5%
BPS 663.4 円
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース
08.8 期は単体ベース、それ以降は連結ベース。11.8 期末に 1:400 の株式分割、
14.8 期末に 1:2 株式分割を実施。それ以前の EPS、配当は修正ベース。
担当アナリスト 鈴木行生
(日本ベル投資研究所 主席アナリスト)
企業レーティングの定義:当該企業の、①経営者の経営力、②事業の成長力・持続力、③業績下
方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:
相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という 4 段階で示す。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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1.特色
「既存業種新業態」の総合余暇サービス提供企業
「既存業種新業態」を柱に、ビジネスモデルのイノベーションを実践
腰髙社長は、衣食住の次は余暇と考えた。当初はカラオケから入ったが、これは 1 つの
アイテムであり、フィットネスも 1 つのアイテムである。いずれも大衆的(ポピュラー)で
手軽である。この庶民的なものを新しい形で提供したい、というのが当社の基本戦略であ
る。当社の事業ドメイン(領域)は余暇。余暇市場はマクロの統計でみるとあまり伸びてい
ない。しかし、その中で、安・近・短志向は強まっている。安くて近くて短くという手軽
で身近なレジャーの集合体を攻めるべきターゲットとしている。
コシダカHDのビジネス領域
コシダカホールディングス
カラオケ本舗
まねきねこ
(カラオケ)
カーブス
(女性専用フィットネス)
まねきの湯
(温浴)
・カラオケ店舗数でトップクラス
・国内カラオケ366店を500店に
拡大することを計画
・年40~50店へ出店を拡大
・すきっとコマンダーを独自開発
・居抜き出店に加え、建築出店
も本格化
・投資は1年半から2年半で回収
・郊外ロードサイドで圧倒的な安
さとサービスの良さが強み
・2011年には1人カラオケ「ワンカ
ラ」を開発し、知的所有権を取得
・都心へは1人カラオケ(ワンカ
ラ)という新業態で参入を本格化
・韓国には4店ほど出店し、これ
から多店舗化を推進。アジア市
場への展開を目指し、シンガ
ポールでK BOX社(11店)を買収
・フィットネス店舗数でNo.1
・カーブスを1475店(うち直営50
店)から1800店に拡大する方向
・年90店ペースでFCを出店、
・女性向け30分フィットネスで中
高年の客層を掴む
・カーブスの収益性はカラオケを
上回る
・カーブスジャパンのFCからの
収入は10~12%
・2008年にベンチャーリンクから
20億円でM&A、事業拡大に拍車
がかかる
・2011年1月にシュクラン(直営
19店)を買収
・会員64万人へプロテインも販
売
・2010年に高崎の日帰り温泉
の再生からスタート
・カラオケと同じ居抜きビジネ
スで、独自の接客マネジメント
を導入し、収益向上を図る
・大分に続いて、東京健康ラン
ド、郡山、福岡へと店舗展開。
2店を閉店して、現在の5店。
将来は50店舗へ拡大すること
を目指す
・カラオケとのオペレ-ション
上のシナジー(相乗効果)が見
込める
・店舗の黒字化と省エネへの
対応が当面の課題。東京健康
ランドでは温泉を掘ってサービ
スを開始
ここにイノベーション(革新的な仕組み)を持ち込もうとしている。これを社長は「既存
業種新業態」と呼んでいる。取り組む事業分野に目新しさはないが、そこでやろうとして
いることは、全く新しい仕組みでサービスを提供しようというものである。まねきねこや
カーブスはまさにその典型で、温浴もこうしたものにしようとしている。
既存業種新業態といっても、新しいことはすぐ真似されてしまうのではないか、という
見方もできる。しかし、腰髙社長は、どんなビジネスでもそのまま続けていれば時代に合
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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わなくなってくる、と考えている。そこに新しい仕組み(イノベーション)を持ち込んでビ
ジネス化する。真似ができないようなもので先行し、後で真似されても、徹底的に考えて
先行すれば、結果的に真似できないものになる。カラオケ本舗まねきねこも、既存のカラ
オケ店を活用するという仕組みであるが、誰も同じような水準まで真似できず、当社が圧
倒的な低コストを実現している。
創業期の思い
コシダカホールディングス(HD)のグループ就業者数(8 時間換算)は、現在 2800 人に
達する。創業は 1967 年(昭和 42 年)で、当初は腰髙社長の父がラーメン店(上州ラーメン)
を営んでいた。その後、カラオケで実力を付け、2007 年(平成 19 年)にジャスダックに上場
した。08 年にカーブスジャパンを買収して、事業を一段と拡大してきた。
腰髙社長は東北大学卒業後、父のラーメン店を手伝い、5 年間厨房に入っていた。30 歳
の時に会社を立て直そうと考え、新規事業への参入を考えた。その時、2 つのことを考えた。
1 つは今の本業からかけ離れていない新規事業は何か、もう 1 つは生まれたばかりの新しい
業界のほうがよい、という点であった。そこで、カラオケボックスに行きついた。1 号店を
出したがなかなか客が来ないので、資金繰りには引き続き苦労した。
そこで商売の本質を学んだ。お客に喜んでもらうにはどうしたらよいか。それがなけれ
ば商売は長続きしない。そこで、どうやってお金を借りるかではなく、いかにお金をかけ
ないで商売をやるかを考え、それが居抜きビジネスへと繋がっていった。
1~3 号店までは自前で新規の店を作ったが、4 号店からは居抜きの展開に入った。実行
してみると資金効率がよい。すぐ回収できるので、これだと思った。うまくいったので、
30~40 店になった時に全国展開をしようと決断した。
全国展開にあたっては、事業部制をとった。人を先に送って、物件の選定を担当させた。
これによって、全国同時に居抜きを本格化させた。前のカラオケ店は経営がうまくいかな
かったのに、当社が入るとどうしてうまくいくのか。つぶれる店にはそれなりの理由があ
る。そのマイナス点を普通に直すだけで概ねうまくいく、と腰髙社長は表現する。
カラオケとフィットネスで基盤を確立、事業のドメイン(領域)は余暇
手軽さを差別化の核にして、圧倒的な強みを見せている。主力のカラオケは 3 年前に店
舗の数でシダックス(コード 4837)を抜き、日本でトップクラスとなった。第 2 の柱である
女性専用フィットネスのカーブス(スポーツクラブ)は、拠点数で圧倒的 No.1 である。
カラオケ本舗まねきねこは郊外を中心に展開しており、これまで都心ではあまり見かけ
なかった。これはターゲット層と店舗コストを優先した事業の特色に由来する。フィット
ネスのカーブスは、女性専用 30 分のサーキットトレーニングシステムを米国カーブス社か
ら導入したもので、このフランチャイズを 08 年に買収し、当社が全国に展開している。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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現在はカラオケ(アミューズメント)とフィットネス(スポーツ)、温浴(アミューズメン
ト)の 3 つを事業の柱とする。成熟経済に入った日本において、健康で快適に余暇を楽しむ
ことは大きなテーマであり、潜在需要は大きい。また、成長期のアジアにおいても豊かさ
が増してくれば、余暇に対するニーズは当然高まってくる。余暇産業は通常、アミューズ
メント、スポーツ・フィットネス、観光・行楽、趣味・教養に分けられるが、当社はすで
にある程度出来上がっている市場をターゲット(攻める目標)にしている。
セグメント別業績
カラオケ
売上高
営業利益
同利益率
カーブス
売上高
営業利益
同利益率
ボウリング
売上高
営業利益
同利益率
温浴他
売上高
営業利益
同利益率
不動産管理 売上高
営業利益
同利益率
合 計
売上高
営業利益
同利益率
2011.8
17389
2243
12.9
8431
1209
14.3
2898
-163
-5.6
174
-36
-20.7
579
296
51.2
29093
3356
11.5
2012.8
18543
2692
14.5
11320
1906
16.8
2961
-7
-0.3
695
-354
-60.0
589
284
48.4
33746
4077
12.0
2013.8
18725
2206
11.8
13860
2556
18.4
*
1539
-317
-20.6
389
238
61.1
34515
4151
12.0
(百万円、%)
2014.8
19854
1580
7.9
16028
3282
20.5
*
1538
-239
-15.5
299
130
43.7
37720
4276
11.3
(注)利益率は売上高営業利益率、*は無し
温浴に参入
カラオケにフィットネスが加わったことで、第 2 の成長期に入った。この 2 つだけでも
相当成長していけるが、2010 年に温浴とボウリングへ参入した。温浴は健康づくり、ボウ
リングは生涯スポーツと捉えた。腰髙社長は全く新規の成長分野を追いかけるのではなく、
カラオケやフィットネスのように当社の得意とするビジネスモデルが構築できるかどうか
という点から M&A を含めて事業化を練っている。
カラオケに次ぐ再生型のビジネスとして、温浴を立ち上げた。まねきの湯 1 号店「箕郷
温泉まねきの湯」
(高崎市)を 2010 年にスタートさせた。高崎駅から車で 30 分くらいの所
にある日帰り温泉を地元の不動産会社から運営受託した。全国に温浴施設は数多くあるの
で、ここに居抜きの経営ノウハウを持ち込もうという作戦である。
2011 年 11 月に大分で 3 店ほどオープンした。大分の 3 店は、らんぷの湯 2 店とまねきの
湯であり、一部店舗はすでに黒字化している。2012 年 6 月には東京と郡山で、11 月に福岡
にも開業し、全部で 7 店となった。しかし、そのうちの 2 店は採算上、この 10 月に閉店す
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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るので 5 店となる。
一方、ボウリングは収益化に時間を要し、既存事業とのシナジーも思ったほど働かない
とみて、早々に撤退を決めた。この決断の速さも当社の特徴である。
ホールディング体制のもと本部機能を東京へ集結
2014 年 7 月、コシダカホールディングスの本部機能を浜松町の貿易センタービルに集結
した。管理機能の一体化が図られた。グループの経営会議もここを中心に行われる。当社
は、2010 年 9 月よりホールディング(HD)体制をとった。これに合わせて、本部機能の一部
を東京事務所として東京駅近くに置いていたが、カラオケのまねきねこは前橋、フィット
ネスのカーブスは田町、温浴は日本橋と分かれていた。今回、これらを統括しマネジメン
トを担うホールディングス(持株会社)の本部機能を集結した。
現在は 3 つの事業を展開し、10 の子会社を有するが、その周辺にいろいろな事業の芽が
出つつある。会社の発展に伴って、人材の強化が一段と必要になっている。これに対して
は、幹部人材を逐次採用して強化している。現在のマネジメント層はほとんど外部からの
採用である。今後とも事業拡大に伴う人材に関して、社内で間に合わない時には適宜外部
から入れていくことになろう。
2.強み
カラオケの優位性を発揮しつつ、女性専用フィットネスが急成長
(1)カラオケ本舗まねきねこは成熟市場で優位性を発揮
既存のカラオケ店を「居抜き」でまねきねこへ
腰髙社長は 23 年前の 30 歳の時に、カラオケ 1 号店を出した。当時はカラオケボックス
(今のカラオケ店のタイプ)が始まったばかりであったが、7 年間で 3 店出し、資金的には
それが精一杯であった。97 年に成長の原動力となった「居抜き」出店を初めて展開した。
居抜きとは既存のカラオケ店が商売を続けられなくなり売りたいという時に、その店を継
承する。そのまま店を賃借し、まねきねこの看板を掲げて活用する、というものである。
中小のカラオケ店が次々に行き詰る中で、それを全国的に手に入れ、その後の 10 年で一
気に 300 店にまで拡大してきたのである。14 年 8 月末で国内の店舗数は 366 店となったが、
ほとんどの店はロードサイドにあり、駅前や繁華街はまだ少ない。今後は首都圏への出店
も強化するが、東京都内にはまだ 20 店舗(ワンカラ 13 店を含む)しかない。その中で、「リ
ーズナブルで安心・安全な店」というまねきねこのブランドイメージを確立してきた。
カラオケ店でない商業施設にも「建築出店」
店舗の立地は全国に広がるが、なかでも関東、中部が多い。居抜き出店はこれからも続
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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くが、一時ほどの勢いはなくなってきた。そこで、次は既存の商業施設をカラオケ店に転
換するという形も本格化させた。これを「建築出店」と称している。建築出店は既存のカ
ラオケ店を活用するよりは内装にお金がかかるが、出店の場所を居抜きより自由に選ぶこ
とができるというメリットがある。レストランなどの既存の店が売りに出されることは多
いので、それを活用してまねきねこのブランドが生きる有利な出店(神奈川、埼玉、千葉、
三多摩地区)をする。1 人でカラオケを楽しむワンカラは、この建築出店による本格的な都
心進出となる。
カラオケ事業の主要指標
(店、百万円、%)
2006.8 2007.8 2008.8 2009.8 2010.8 2011.8 2012.8 2013.8 2014.8
店舗数(国内)
193
229
277
294
309
315
323
338
366
(海外)
1
2
3
15
売上高
8799 11178 13483 15666 16495 17389 18543 18725 19854
1店舗当たり売上高 45.6
48.9
48.7
53.3
53.4
55.2
57.4
54.9
53.7
粗利益
1821
2152 2339
3260
3776 3610 4778 4297 4254
売上高粗利益率
20.7
19.3
17.3
20.8
22.9
20.8
25.8
22.9
21.4
(注)海外は韓国4店、シンガポール11店。シンガポールのK BOXは2015.8期より連結対象へ。
1人カラオケ(ワンカラ)を開発、収益の目途も立つ
1人カラオケのニーズは相当ある。かつて新宿の歌舞伎町に通常のカラオケ店を出店し
たが、昼間の 3 割は 1 人客であった。かき入れ時に 1 人で来られては困るが、1 人で楽しみ
たいというニーズはあるので、ワンカラを作ることにした。小スペースで、さらにヘッド
フォンを使うことによって、新感覚でカラオケを楽しむというスタイルである。
1 人カラオケの専門店として、2011 年 11 月に神田駅前に1号店をオープンした。
その後、
池袋東口、新宿、仙台、渋谷、秋葉原、四谷三丁目、南池袋へと出店し、8 月末で 13 店と
なった。楽しみ方は、練習ではなく、1 人で気兼ねなく好きな歌を好きなだけ歌う。1 人で
ゆっくり歌うことが楽しいのである。
これは偶然当ったのではない。腰髙社長の発案で、カラオケのいろいろな楽しみ方を研
究し、提案すべしという方針の中で、社長自身がやりたいと思ったことである。本社の社
長室の隣に実験ルームを作って工夫を重ねてできたものである。
飲食の消費はないが、効率よくピットの使用料が稼げるので、従来のカラオケに比べて
も採算は十分に見込める。単価が高いこと、シフトの人数が少なくて済むこと、稼働率が
高いことである。
2012 年末に、従来の店舗に比べて建築コストを 3 割程度ダウンさせたニュータイプの店
舗を秋葉原にオープンさせた。当社のカラオケ店(まねきねこ本舗)は都心には少なかった
が、これがうまく立ち上がってきたので、都心部での直営出店を本格化させている。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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カラオケ関連の上場企業比較(関連4社)
社名
カラオケ店舗名
コード
市場
コシダカ
まねきねこ
シダックス
シダックス
第一興商
ビックエコー
鉄人化計画
カラオケの鉄人
2157
4837
7458
2404
JQ
JQ
JQ
東証マ
業界順位
店舗数
売上高(13年度)(億円)
経常利益 (億円)
売上高経常利益率(%)
4位
366
377
44
11.6
1位
301
1916
28
1.5
2位
342
1306
212
16.3
11位
64
102
3
2.9
株価 (11/6)(円)
時価総額 (億円)
PBR (倍)
ROE (%) PER (倍)
配当利回り (%)
1886
362
2.84
20.5
13.2
1.9
502
205
0.82
23.0
3.6
3.0
2851
1654
1.60
11.8
13.6
2.3
458
31
1.60
18.9
8.5
2.4
(注)売上高、営業利益は全社ベース。業界順位はカラオケ部門の売上高ベース。
コシダカ、鉄人化計画は2014.8期ベース。
PBR、ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。
新規出店は 1 年半から 2 年半で投資回収
もともと本社のある前橋(群馬県)からスタートしているので、コストの高い都心ではな
く、地方郊外の居抜きをベースに経営ノウハウを蓄積してきた。典型的な形は、既存のカ
ラオケ店を利用する。まずそこの土地は借りて地代と保証金を払う。建物の改装やカラオ
ケ機械の入れ替えなど、しめて投資額は 2000 万円程度で済む。このようにして 17 ルーム
を持つ中小型のカラオケ店を再スタートし、年商 5000 万円は稼げる。そうすると店ベース
での営業利益として 20%は見込め、営業利益と減価償却を合わせたキャッシュ・フローで、
投資は 1 年半で回収できる、というのが基本モデルである。
もし新規に同じカラオケ店を作ったら、3 倍から 5 倍の投資がかかる。オープンまでの期
間も短く、通常の 6 ヵ月~1年に比べ、2 ヶ月程度で済む。前の店を知っている客は、料金
は安い、機械(カラオケマシーン)は新しい、内装は一新している、営業時間が延びた、社
員の接客レベルが高い(スタッフ全員が入店から会計までを担当する)、ドリンクバーや持
ち込みシステムなど使い勝手がよい、などその差がはっきりわかるので、満足度が上がる
わけである。
シダックスなど大手の進出で中小のカラオケ店が立ち行かなくなり、それを当社が引き
継いで再生するというパターンも多い。大手と稼働率が変わらないとしても、固定費が圧
倒的に安いので、当社の収益性は高まるのである。
建築出店になると投資コストは上がる。
改装に 8000 万円はかかるので、負担は増えるが、
それでも同業の大手よりは少ない。一方、ドミナント効果も考えて立地を選ぶので、集客
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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はこれまでよりやり易く、成功の可能性がより高まる。初年度は投資負担で居抜きよりも
苦しいが、営業利益率は 20%が見込め、投資回収は 2 年半でできると見込んでいる。
(2)女性専用フィットネスのカーブスが急成長
手軽な 30 分フィットネスで健康増進
カーブスではサーキットトレーニングを行う。筋トレマシーンを 12 台円形において、そ
れを 30 秒ずつ運動して、2 周まわる。週 2~3 回やっていると、筋肉に効果がある。有酸
素運動+筋力アップ+ストレッチという運動である。筋力をつけると基礎代謝が上がるの
で、身体の燃焼効率もアップする。いわば、女性専用の筋トレクラブといってよい。ダイ
エットが主目的ではなく、健康を維持して老化防止や病気にならないようにする。メンバ
ーの 80%が 50 代以上である。
カーブスが日本でビジネスを開始する時から、当社はこのフランチャイズに参加してき
た。14 年 8 月末時点で全国に 1475 店、会員数 64.1 万人、1 店当たりの平均会員数は 435
人である。フィットネスの売上規模では業界 5 位だが、店舗数では断然トップである。
大手のフィットネス企業とは顧客ターゲットが異なり、棲み分けている。カラオケと同
じように関東、中部が多い。既存の大型フィットネスクラブとのバッティング(競合)はほ
とんど感じられない。フィットネスに未経験の女性を新規に囲い込んでいる面が大きい。
無駄な贅肉を落として、必要な筋肉をつける。筋肉がつくとエネルギーの消費も効果的に
なる。その筋力強化をサポートするめに、プロテインをサプリメントとして活用している。
カーブス事業の主要指標
2008.8 2009.8 2010.8 2011.8
店舗数
712
754
864
1038
総会員数(千人)
216
254
322
399
1店当たり会員数(人/店)
303
337
373
384
売上高
na
3288
5436
8431
粗利益
na
1545
2469
3434
売上高粗利益率
na
47.0
45.4
40.7
(注)2008.8期は合併前、2009.8期は合併後の9ヶ月分
2012.8
1197
503
420
11320
4249
37.5
(店、百万円、%)
2013.8
2014.8
1339
1475
586
641
438
435
13860
16028
4999
5786
36.1
36.1
カーブスのFC権を買収
女性専用フィットネスのカーブス(Curves)は、米国のゲイリー・ヘヴィン氏が 1992 年に
創業したもので、
世界 85 ヵ国でフランチャイズチェーン(FC)を 1 万店(クラブ)近く展開し、
会員 400 万人を有する世界最大のフィットネスチェーンである。日本では国内コンサルタ
ント会社が FC 権を取得してカーブスジャパンを設立し事業を展開、当社はそのフランチャ
イズ店として参加していた。2006 年に当社のカーブス 1 号店を北海道にオープンし、北海
道コシダカ(100%子会社)がそれを担ってきた。その後コンサルタント会社の経営が厳しく
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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なり、日本における FC の元締めであるカーブスジャパンが売りに出された。カーブスジャ
パンの経営は順調で、とくに問題があったわけではない。そこで、当社が 08 年 10 月に日
本における FC 権を持つカーブスジャパンを 20 億円で買収した。
腰髙社長は、カーブスについて日本進出前から知っており、当社に合う面白い事業だと
思っていた。コンサルタント会社が日本での権利を取得し、FC 店を募集するということを
知って参加することにした。同社とは何の面識もなかったが強い思いで交渉し、北海道で
の参加権(FC のエリアパートナー)をとったのである。FC として 8 店ほど経営していたので、
カーブスのマネジメントについては充分実績を積んでいた。売りに出た時はその価値をす
ぐに評価できたし、対抗する企業もなかったので予定通り手に入れることができた。
フィットネス関連の上場企業比較(関連5社)
社名
店舗名
コード
市場
コシダカ
カーブス
東祥
ホリデイ
セン トラ ルスポーツ
セントラル
ルネサンス
ルネサンス
メガロス
メガロス
2157
8920
4801
2378
2165
JQ
東1
東1
東1
JQ
業界順位
店舗数
売上高(13年度)(億円)
経常利益 (億円)
売上高経常利益率(%)
5位
1475
377
44
11.6
7位
60
152
35
23.0
2位
194
483
23
4.7
3位
114
407
22
5.4
6位
26
146
2
1.2
株価 (11/6)(円)
時価総額 (億円)
PBR (倍)
ROE (%) PER (倍)
配当利回り (%)
1886
362
2.84
20.5
13.2
1.9
2091
401
2.85
16.0
17.7
0.9
1769
203
1.27
8.3
15.3
2.0
965
206
1.91
12.9
14.7
1.8
1505
59
1.22
1.0
117.6
0.2
(注)売上高、営業利益は全社ベース。業界順位はフィットネス部門の売上ベース。
コシダカのフィットネスはFC加盟店ベース。PBR、ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。
既存のフィットネスとは違ったビジネスモデルで大発展
カーブスジャパンの経営陣は、増本会長兼 CEO をはじめそのまま引き継ぎ、事業を継続
している。カーブスジャパンには腰髙社長が取締役として入り、管理部門には人材を送り
強化したことで、経営の自主性は尊重しながら成果を上げている。全体のマネジメントは、
カーブスホールディングスを中間持株会社として作り、そこが担っている。その下にカー
ブスジャパン(FC を統括)や直営のハイ・スタンダード(北海道コシダカとシュクランが 2014
年 9 月合併)がある。
カーブスは既存のスポーツクラブとは全く違ったシステムで、従来とは違う顧客層を開
拓している。FC 店としてカーブスをオープンするには、オーナーはまず 2000 万円ほど用意
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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する必要がある。40 坪のスペースを借りて家賃を払い、内装に 400~500 万円、運動器具等
の初期投資に 600 万円、スタートしてから 2~3 か月の運転資金に 1000 万円といった具合
である。顧客会員の月額利用料は 6000 円程度で、300 人の会員で損益分岐点となり、それ
を超えると利益になる。立ち上げ期の店にとっては 300 人をどう集客するかが黒字化のポ
イントであるが、全店平均の会員数は 400 人を超えており、そのピッチも上がっている。
FCだけでなく直営店も経営
カーブスの直営店は、従来の北海道カーブスにシュクランを吸収合併し、社名をハイ・
スタンダートとした。シュクランを M&A を実施して 2 年が経ち、直営店としての経営の一
体化が特に問題なくできると判断した。
直営店は北海道コシダカで展開してきたが、2011 年 1 月に東京に本社のあるシュクラン
(現在直営店 25 店)を買収した。両社合わせて、現在の 50 店の直営店を有するが、今後
これも必要に応じて増やしていく予定である。フランチャイズとのバランス、ドミナント
の形成、カラオケとのシナジー(相乗)効果などを考えている。ハイ・スタンダードはその
ための拠点になり、直営店の地域は徐々に広がって行こう。
元来、カーブスの本部であるカーブスジャパンは自ら投資しなくてもフランチャイジー
を増やせば収益は上がることになるため、FC の本部を経営するだけでは、フランチャイジ
ーの経営の実態を必ずしもつかめない。腰髙社長はもともとカーブスのフランチャイジー
として事業を始め、カーブスの日本の本体を買収した。したがって、直営店の目的は、直
接経営することによって、加盟店と絶えず同じ目線で経営を展開し、加盟店を含めたカー
ブス事業全体の経営効率を上げることにある。
3.中期経営方針と展望
アジア展開も視野に将来は 1000 億円企業をめざす
アクティブシニア層へのサービス展開
人々は歳を重ねても元気でいたい。若者には負けられないという気持ちを持っている。
健康であり続けるには、運動、コミュニケーション、家族、食事、ストレス発散、リラッ
クス、睡眠などが大事である。ここを市場にしていけば、マーケットは開拓できる。
カラオケでも中高年が増えている。カーブスはもともと中高年の女性が多い。活動的な
アクティブシニア層をどう開拓して、コミュニティ化していくかが焦点で、今の時代に合
った方向である。消費のボリュームは安・近・短にある。シニア層では過去に経験した余
暇活動にニーズがある。そのリバイバル需要を取り組むことを考えている。
中期的なテーマは、
「アクティブシニア層に合致する業態の作り込み」(腰髙社長)であ
る。健康カラオケ教室、カーブスのサプリメントなど、いかに健康を保つか、これをサポ
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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ートするビジネスモデル作りが注目される。
アベノミクスと成長戦略 ~ 地方創生とクールジャパン
アベノミクスは地方創生に力を入れる。地方は高齢化と人口減少で厳しくなる。地方に
一定の需要はあるが、それを担う人手が足らない。従来と違って、単なるバラ撒き、補助
金ではなく、集約と退出を促進しようとしている。延命ではなく、企業として活性化し、
生き残っていく方策を支援しようという姿勢が強い。
この点を踏まえて、腰高社長は、全国に展開するカーブスやカラオケの位置付けを再認
識している。カーブスはまさに高齢者の健康を保ち元気にする。カーブスの FC のオーナー
は地元の中小企業からも数多く参加している。彼らの収益機会となり、雇用も作り出して
いる。カラオケは社員独立による FC 化で、より地元密着を図ろうとしている。
アベノミクスで経済の流れは変わった。しかし、短期的には、当社へのマクロ的影響は
必ずしも大きくない。当社のレジャーは安近短をベースとする。大震災後はかなり活況で
あった。国内の景気は明るくなっているが、その効果の寄与としては 2 番手グループであ
る、と腰髙社長はみている。
もうひとつアベノミクスの成長戦略との関連では、クールジャパン(ポップカルチャー)
が注目される。カラオケのアジア展開に当って、ジャパンテイストを活かすことができる。
その意味で、韓国に次ぐアセアン地域への進出に向け、シンガポールに拠点を設置した。
先義後利が会社経営の基本
常に新しいサービスを作り出し、そこにおもてなしの心を込めていくことが、当社の基
本戦略である。会社のビジョンとしては、日本に留まることなく、アジアを始め全世界へ
展開していくことを挙げている。
経営の基本方針を定めるに当たって、先義後利という標語は、腰髙社長が行動基準に入
れたものの1つである。まず人の道として、顧客のニーズに合った価値提供が最優先であ
って、利は後から追い付いてくるという考え方である。
4 つの戦略目標 ~ 新しい楽しみ方を追求
中期的にはカラオケを 500 店、
カーブスを 1800 店に持っていく方向である。
そうすると、
売上高で 600 億円以上、営業利益で 100 億円は見えてくる。会社の目標とする 1000 億円企
業を目指すには、カラオケやカーブスとともに、次の事業の柱が内外で必要になる。海外
カラオケや温浴に続く事業の柱を立てるべく戦略を練っている。
今後の重点戦略の 1 つ目は、カラオケの業態進化である。まねきねこの居抜き出店はか
つてに比べれば、余地は少なくなっている。建築出店は手掛けていくが、投資効率をよく
考える必要がある。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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「既存業種新業態」をテーマにイノベーションを起こそうとする当社にとって、カラオ
ケにどのようなイノベーションを起こすかが問われていた。ポイントは、新しいカラオケ
の楽しみ方を提供することである。それを新業態として、1 人カラオケ(ワンカラ)と「す
きっと」(スマホアプリ型カラオケシステム)で開始した。新しいビジネスモデルである。
2 つ目は、カラオケのアジア展開である。ファミリーカラオケの下地があるところに、新
業態を持ち込もうとしている。
3 つ目はカーブスの次なる展開である。カーブスは急成長している。FC の店舗はこの 10
月に 1500 店は実現した。1800 店くらいまで拡大できようが、この店舗と会員をどう活かし
ていくかが重要である。メンバーへのサービス向上を図ることがポイントである。ショッ
ピング、物販の拡充もその一つである。
4 つ目は、温浴の収益化である。温浴は、2011 年 11 月に大分で 3 店出店し、2012 年 6 月
に東京、郡山へ、11 月には福岡で 7 店目を出店した。しかし、多店舗は当面止めており、
収益力の強化に取り組んでいる。2 店舗の閉店も実行する。
次の新規事業については現在検討中である。キャッシュ・フロー(CF)からみると、ま
ねきねこは金のなる木(キャッシュカウ)になっている。カーブスは FC ビジネスなので、
資金はいらず、ここもキャッシュカウである。ここでの収益を次に投資していくことが十
分できる。
今後の重点施策
具体的には、カーブスの出店拡大ペースが少しずつ落ちてくるので、利益成長の源泉を
いかにバランスさせた事業ポートフォリオを作っていくかにある。
カラオケでは、
「すきっと」による差別化を強化、ワンカラも含めて出店を拡大し、しか
も従来とは違って首都圏を攻めていく。
海外では、シンガポールの K BOX にまねきねこのノウハウを導入して、黒字化した後、
アセアンを攻めていく、韓国は黒字経営のビジネスモデルをほぼ確立したので、早急に 100
店を目指す。
温浴は主力の東京健康ランドが温泉掘削を活かした集客と省エネで黒字化を図る。同時に
不採算の 2 店を閉鎖して、収益力の向上を図る。温浴を再生事業として、本格拡大できる
かどうかの確認も行うことになろう。
カーブスの店舗数については、10 月に 1500 店を達成した。今後の出店余地については、
カニバリ(自店競合)を起こさないという点で現状では 1800 店を目途としている。しかし、
健康を維持したいという 50 代以上の女性はまだまだ多い。1 店当たりの会員数とのバラン
スを図りながら、さらに出店を拡大するという工夫もありえよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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コシダカHDの将来展望
2012.8
2013.8
2014.8
(百万円、%)
2015.8(予)
5年後
カラオケ
売上高
18543 [54]
18725 [54]
19854 [53]
24800 [57]
35000
営業利益
2692
2206
1580
1700
4500
同利益率
14.5
11.8
7.9
6.9
12.8
カーブス
売上高
11320 [33]
13860 [41]
16028 [42]
17000 [39]
27000
営業利益
1906
2556
3282
3600
6000
同利益率
16.9
18.4
20.5
21.2
22.2
温浴
売上高
695 [2]
1539 [4]
1538 [4]
1600 [4]
5000
営業利益
-354
-317
-239
100
500
同利益率
-60.0
-20.6
-15.5
6.3
10.0
不動産管理
売上高
589 [2] 389 [1] 299 [1] 300 [1] 300
営業利益
284
238
130
130
130
同利益率
48.4
61.1
43.7
43.3
43.3
合 計
売上高
33746 [100]
34515 [100]
37200 [100]
43700 [100]
67300
営業利益
4077
4151
4276
5000
10000
同利益率
12.0
12.0
11.3
11.4
14.8
(注)5年後の数値は、シミュレーション(試算値)でアナリスト予想。カラオケには海外分も含む。
カッコ内は構成比。
[52]
[40]
[7]
[0] [100]
カラオケの大量出店がスタート、370 店を 500 店に拡大し、圧倒的トップの店舗体制へ
まねきねこ 40 店、ワンカラ 5 店の出店を 1 つの目標としている。2013 年 8 月期の 3 倍ペ
ースである。2014 年 8 月期はそれぞれ 30 店、7店であったので、さらにピッチを上げる方
向である。
この大量出店は、カラオケの体質転換に目途が立ってきたからである。①「すきっと」
の展開や、②社員独立による人材の活性化も寄与している。これによって、店舗のスクラ
ップ&ビルトにも力が入っていこう。
カラオケの出店は、まねきねこで建築出店と居抜き出店が半々、ワンカラは建築出店が
柱となろう、ワンカラは償却前黒字が十分達成できるようになってきた。カラオケの居抜
きや M&A にも改めて力を入れていく。2 年前には一巡感があるのかと思っていたが、ここに
きて案件が増えている。中小チェーンの後継者難もあり、案件は恒常的にありそうだ。
店舗オペレーションを基本から見直しや改善にも力を入れている。厨房レイアウトの標
準モデル化や、製造業における生産管理のような基本動作を具現化し、生産性を上げよう
としている。
店舗数では、業界トップクラスになっているが、売り上げ規模でも現在の 4 位から早晩 3
位には入って行こう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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ワンカラは収益化に目途が立ち、100 店を目指す
ワンカラの収支については、前期は若干の赤であったが、今期は収支トントンまでもっ
てくることができよう。
ワンカラの新規出店は 2014 年 8 月期で 7 店であった。建築出店になるので、1 店当たり
5000~6000 万円の投資となる。立地のポイントはオフィスワーカー層と賃料である。ユー
ザーはサラリーマンやサラリーウーマンが多いので、彼らが通い易く、賃料がリーズナブ
ルであるところに出店する。施設サービス型なので、稼働率が収益性を左右する。従来当
社のカラオケは競争を避けて、都心にはほとんどなかったが、ワンカラは差別化された業
態なので出店が可能となった。
ワンカラはこれまで先行投資が続いていたが、初期投資を抑えることができるようにな
り、秋葉原の店は 3 月に償却前で黒字化した。神田のワンカラは 24 ピットが上手くいって
いるが、高田馬場の 44 ピットは少し多すぎた。
ワンカラは 2012 年 8 月期に 6 店ほど出店したが、2013 年 8 月期は 1 店の出店に留め、1
店(高田馬場)は閉鎖した。1 ピット(1 個室)への投資を減らすように工夫し、1 店当たり
のピット数についても適正規模にもっていった。ワンカラは建築出店の形態をとるので、
初期投資がかかる。これを適正にしたニュータイプのワンカラモデルをほぼ確立したので、
出店を拡大することにした。
オリジナルの「すきっと」
(Smart Karaoke Internet Terminal)を開発、全店へ展開
「すきっと」は現在 1600 台入っているが、ルームの中で「すきっと」のみというルーム
はまだ 200 室程度である。機械の稼働状況を見ながら、単独の室を 400~500 へ増やしてい
くことになろう。
「すきっと」については、2014 年 2 月末で 600 台が入り、4 月には全店に 1500 台が入っ
た。
「すきっと」の全店展開は 4 月で完了した。スマホやインターネットと連動して、自分
のコンテンツを楽しめるという点では、これから効力を発揮してこよう。
「すきっと」は、当社オリジナルのカラオケコマンダ(機器)である。2013 年秋から当社
のカラオケ店に導入を開始した。このコマンダ(機器)は小型軽量で、スイッチも電源と
ログオフの 2 つのボタンしかついていない。リモコンはスマホアプリなので、自分のスマ
ホに「すきっと」のアプリをインストールすると、リモコンとして使用することができる。
PC かスマホで「すきっとねっと」をひらき、まずはそこの無料会員になる。無料会員は、
自分の動画を 300M(メガ)までは無料でアップロードできる。3M(メガ)の動画なら 100
曲は入るという容量である。それよりも大量に動画を保存しておき、自由に使いたい時は、
例えば月 500 円で 2.5G(ギガ)まで、月 800 円で 5G(ギガ)まで使える。
「すきっとねっと」で、マイコンテンツを登録していく。カラオケは 1.5 万曲用意され
ていて、新しいものも遂次入っていく。自分の持ち歌に、自分好みの背景映像をのせてい
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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く。自分だけの動画を利用する。
顧客は、1)自前の映像をのせて、自分と仲間で楽しむことが出来る。同じ歌を自分の表
現で歌う時、自分だけの映像が使われるわけだ。また、2)投稿ができるので、皆にみせて
アピールすることもできる。
「すきっと」の採点機能は、既存の機械よりもシビアである。よって、楽譜により正確
に歌おうという頑張りにも結び付く。例えば 90 点とると 1 時間は無料というような、イン
センティブを付けて機械の楽しみ方を分かってもらう普及にも力を入れていく。また、地
方のローカルアイドルの持ち歌を「すきっと」に入れていく。この「すきドル」の曲を客
が歌えるようにして、アピールしていく。
これは、スマホなどのウェブサイトと店舗に設置した「すきっと」端末が連動して、個
人のコンテンツも、カラオケルームで自由にダウンロードできる。動画であればカラオケ
の背景映像に指定して楽しめる。つまり、ユーザー自身が作成したコンテンツを使えるよ
うにした、参加型のアプリケーションである。これが人気になれば、既存店増収率が上が
ることになるので、そのインパクトは大きい。今後の展開が注目される。
「すきっと」の7つの機能
~オリジナル動画や自作カラオケをアップして楽しめる~
・スマホがリモコンになる ・・・自分のスマホにすきっとのアプリをインストール
・自分の好きな動画を背景に歌える ・・・自分の動画を自由に入れられる
・お気に入りの曲を200曲登録 ・・・すきっとネットでマイコンテンツを登録していく
・自分の歌を録音してダウンロード ・・・自分の歌を記録できる
・自分の歌を録画して再生、公開 ・・・再生したり、投稿して、皆にアピールできる
・原曲に近いサウンドで採点 ・・・採点を楽しめる
・自分でカラオケが作れる ・・・自分の作品が作れる
ネットワーク化を狙う画期的な取り組み
「すきっと」は自社開発なので、改良をすぐに実行できる。これは、オリジナルコマン
ダを持つメリットである。
「すきっと」の機械は、ダム、ジョイサウンドと並んで入れてい
る。各店に 3 分の 1 は「すきっと」の機械が入っていくというパターンであるが、既に「す
きっと」のみのルームもでき始めている。
今までカラオケの機械というと、第一興商(ダム)とエクシング(ジョイサウンド)しかな
かった。もっと楽しめるオリジナルな機器を作ろうと、ここ 2 年かけて開発してきた。開
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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発に当たっては、富士通と連携した。
当社にとっては、カラオケの新しい楽しみ方を提供できる。しかも、新しいカラオケ機
器を自ら開発した。現在のコマンダは第一興商とエクシング(ブラザー工業の子会社)の 2
社が市場を寡占しており、機器の価格もかなり高い。これに対して、新しい楽しみ方を低
コストで実現することができる。コマンダについては、外部にアウトソーシングして作っ
てもらい、当社はファブレスである。ネット型の全く新しいイノベーションである。
既存のカラオケ機器と併存して、第 3 の機器として使われる。当社の独自のものなので、
今のところ当店のみで利用して、外販する計画はない。この機器はアジアでも通用する可
能性が高いので、競争力を確保する鍵となろう。
実用新案など特許も取っているので、他社に先行して「すきっと」を自社店舗の差別化
に活かしていくかが決め手となる。このハードのコストは既存のカラオケ機械よりも相当
安いので、投資負担もいずれ軽くなってこよう。
すきドルグランプリを実施し、稼働率もアップ
「すきっと」を活用したローカルアイドルを応援するキャンペーン「すきドル Project」
では、2014 年 7 月に「すきドルグランプリ」を開催した。全国 30 組から 7 組が選ばれて最
終選考に進出した。ホームページで投票もできるが、当社のカラオケ店で「すきっと」を
使って応援するアイドルの歌を歌うと、ポイントが大幅にアップする。さらに、最終会場
に参加した 400 人はさらに大幅なポイントを有する。こうした活動で「すきっと」の普及
を図ろうという狙いである。投票結果は、第 1 位が宮城の「みちのく仙台 ORI☆姫隊」
、第
2 位が地元群馬の「あかぎ団―AKAGIDAN」
、第 3 位が「岡山の My♪ラビッツ」であった。
「すきっと」の稼働も上がってきている。ルームによっては、ダムやジョイサウンドを
置かずに、当社の「すきっと」システムだけで稼働するようになっている。それだけ認知
度が上がり、利用されるようになっている。
社員独立制度「Be Ambitious」を活かし、FC を増やしていく
ビーアンビシャスというカラオケの社員独立による FC 化は、2013 年 8 月期に 3 店、2014
年8月期で 11 店となったが、2015 年 8 月期も 10 店は出したい意向だ。
カラオケについては、社員独立(ビーアンビシャス)制度を推進していく。直営店の 3
分の 2 は独立店にしたい方針である。独立店にした方が、モチベーションが上がり、業績
が格段によくなるからである。社員独立の条件で、最も大事なのは夫婦二人で経営に当た
るという点である。妻がパートナーとして果たす役割が大きく、ここがしっかりしている
と成果は確実についてくるからである。
社員の独立の FC 化を進めても、当社の売上げの仕組みに大きな変更はない。つまり、FC
化によって、売上げは立たず FC のロイヤルティが入るという形に変わるわけではない。独
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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立社員への業務委託の形をとるので、店舗も当社の所有である。ただ、売上げに見合って、
独立社員の会社の収入が増えるので、オーナーには売上歩合の取り分が従来の社員として
のボーナスよりはずっと大きくなってくる。その分、当社の取り分が減る可能性はあるが、
全体の売上げが拡大すれば問題はない。
アジア市場への展開では韓国モデルが見えてきた
海外のカラオケの店舗数はシンガポール 12 店、韓国 4 店である。韓国のまねきねこは、
今後 5 年を目途に直営で 100 店を目指していく方向である。
韓国については、現在 4 店で売上高は 2 桁の伸びを見せている。4 店のうち 2 店は償却前
黒字となっている。既存店でみれば、2015 年 8 月期は収支トントンまでこよう。但し、出
店に力を入れるので、韓国全体では当面赤字が続く公算もある。
韓国は 3 店目の富平店(ブピョン)が居抜きで黒字化の目途がたった。4 店目の果川(グ
ァチョン)店は 4 月にオープンした。ソウルの郊外の果川にある居抜きの店である。韓国
の 4 号店果川(グァチョン)もうまくいっており、韓国モデルはできたといってよい。韓
国での成功のパターンは、家賃があまり高くないソウル中心ではない近郊に出る。飲食店
街のそばであれば、カラオケを楽しむニーズを受け入れやすい。現在 4 店であるが、もう 1
~2 店を出しつつ次の拡大に向けて作戦を練って行く方向である。
当社は、4 年前からまねきねこをアジアでどう展開するのか、当社のカラオケがアジアで
通用するかを検討してきた。中国では海外からの進出企業に 25%の娯楽税がかかるので、
時期尚早と判断した。台湾は競合が激しい。韓国については、消費文化が定着しており、
カラオケも人気がある。ただし、飲食にカラオケを付加したような大人向けの店は多いが、
歌そのものを楽しむ若者も気楽に入れるタイプのカラオケチェーン店は少ない。韓国のカ
ラオケボックスは、20 年前の日本のイメージで、これから伸びる余地があると判断した。
そこで、まず現法として韓国コシダカを 2010 年 7 月に設立した。11 年 6 月には 1 号店が
オープンし、12 年 4 月に 2 号店もオープンした。そして 13 年 4 月に 3 号店を出した。韓国
のカラオケの 3 号店は、ソウル市内ではなく、インチョン(仁川)の郊外にある。居抜き
の店なので、コストもかなり安い。1、2 号店は実験店で、3 号店が勝負であった。
韓国の 3 号店、4 号店は低コストの出店が実現した。収益的にも黒字化の目途が立った。
反日感情については、特に影響は出ていない。2015 年 8 月期も地方、郊外、駅前など周辺
を狙って出店を進めていく。カラオケ専門のノレバンだけではなく、お酒や食事のサービ
スのできるノレタウンにも進出していく。現法の社長は日本人だが、韓国人のマネジメン
トと中心に多店舗展開に入ることになろう。
シンガポールに統括会社を設立し、K BOX を買収、ここ拠点にアセアンで市場開拓
シンガポールについては、今期中に黒字化に持っていく方向である。K BOX については、
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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カラオケのハード、ソフトについて日本からサポートできるものについては導入を図って
いく。現地でのコスト削減にも力を入れるので、2016 年 6 月期(6 月決算)からは利益貢
献してこよう。但し、このあたりからはアセアンへの新規出店が増えるので、新規投資と
のバランスでみる必要がある。
カラオケのアジア展開は、韓国についでシンガポールに拠点を築いた。今後はタイ、マ
レーシア、インドネシア、ベトナムなどへの展開が検討されよう。2015 年 8 月期には、新
規出店の動きも出てこよう。
2013 年、シンガポールにコシダカインターナショナルを設立した。ここがアジアの統括
会社となって、カラオケのアジア展開の司令塔となる。
2014 年 2 月に買収したシンガポールのカラオケ K BOX は、カラオケ店を 12 店有する。
2013 年 12 月期の業績は売上高 21 億円、店舗ベースの営業利益 2 億円、販管費を入れて全
体では収支トントンというレベルである。この会社を 15 億円で買収した。現在、シンガポ
ールの K BOX には社員を 3 人送って、海外の事業モデルをどのように展開するか検討中で
ある。K BOX は、今の 12 店をシンガポールで拡大するというよりは、東南アジアのインド
ネシア、タイなど別の国での展開のハブにしていく方針である。
シンガポールでは、コシダカインターナショナルの下に、コシダカマネジメントシンガ
ポールという孫会社を作った。日本の文化であるファミリーカラオケを普及させることを
狙っており、日本のクールジャパン構想にも乗っている。
すきっとシステムをアジアで展開する時のソフトウェアを扱う会社と位置付けている。
アジアでのカラオケ展開は、自社でやる場合、合併でやる場合、FC 展開など、いくつかの
パターンがあろう。また、直接店舗を運営するのではなく、
「すきっと」システムというソ
フトウェアで展開する可能性もある。
ジャパンテイストの差別化がポイント
ポイントは、
「すきっと」を海外にどのようにもっていくかである。ファミリーカラオケ
の市場は東南アジアの各国にもあるので、ジャパンテイストとサービスの差別化に工夫し
ていく必要がある。一方、アジアの楽曲を日本でも歌えるようにするという逆のパターン
も検討していく。
海外でのカラオケ展開については、日本のまねきねこを持っていくという発想ではなく、
現地に合ったものを作り上げ、そこに独自のサービスの良さを加えていくという考えだ。
日本と同じようなカラオケボックスが東アジアにも増えつつある。中間層の所得が増え
ていけば、カラオケボックスの市場はさらに開けてくる。海外は若者、ファミリー層にか
なり受けるはずである。ここを攻めて新しい市場を作っていこうとしている。アジアへ進
出すれば、類似のモノマネがすぐ出てくる。日本で培ったノウハウを活かして、ジャパン
テイストをいかにアピールしていくかである。腰髙社長は「誰もが儲かる商売はない、工
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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夫次第である」と強調する。
日本のサービスには優位性がある。おもてなしの心による、しっかりしたサービスは日
本の特色(ジャパンテイスト)としてアジアの人々に受け入れられる。日本に来る観光客
が感じる日本の良さをアジアにうまく持っていくことができたら、それが差別化になる。
まねきねこのサービスは、サービスのマニュアルが具体的に設計されており、日本で実践
してきたものである。アジアの人々をうまく教育、訓練できれば通用するものとなろう。
カーブスは今の 1500 店を 1800 店まで増やす方向
会社側では加盟店数について、当面現状の延長では 1800 店を 1 つの上限の目途としてい
る。しかし、その後の展開についても、やりようはあろう。健康を維持したいという女性
は相当いる。1800 店で会員が 80 万人になったとしても、まだ 80 万人である。会員数から
みると今後の拡大余地はある。介護予防まで含めれば、可能性はさらに広がろう。
カーブスジャパンは、FC 店からのロイヤリティ(会費収入の 5%など)、広告料、事務手
数料などが主な収入で、これが当社の売上となる。規模の効果が働くので、売上営業利益
率は 20%を超えてきている。
カーブスは、10 月で 1500 店を超えた。加盟店の出店意欲は高い。既存店が好調で儲かっ
ているので、もっと店を出したいのである。1 店当りの BEP(損益分岐点)は会員 300~350
人であるから、ほとんどの店舗は利益が出るようになっている。そうすると、既存店のオ
ーナーがもう 1 店出そうとする。既存のオーナー(会社)が複数店を出店するというパタ
ーンである。約 1500 店の FC のうち加盟店オーナーは 500 前後である。つまり 1 人(または
1 社)で 2 店以上出している人がおり、10 社以上出している FC も 2 桁近くある。
2014 年 8 月期の出店は予定を上回り、136 店の増加となった。2015 年 8 月期も 90 店の出
店を計画している。ただし、東京や神奈川では新規出店の余地が今までの基準ではなくな
ってきている。今後、カーブスはドミナント化を効率よく図っていく。FC 希望は多いが、
地域でのバッティングを避け、うまく出店していくには、特定の FC がその地域をまとめて
いく方が効果的である。
ただ一部でカニバリ(競合による食い合い)も起こりうるので、十分調整していく必要
がある。そうすると、出店ペースはこれまでよりもやや鈍化してくるとみておいた方がよ
い。1 店当たりの会員数は 435 人と高い。キャパシティの問題があるので会員をどんどん増
やすわけにもいかない。会員数にも上限があるので、500~600 人以上に増やすことは混み
具合から見て難しい。また、カーブスの退会率は当初の 6%から今は 3%を切るところまで落
ちており、定着率が高まっている。今後の出店はカニバリを調整しながら、年 90~100 店
程度を目指すことになろう。
カーブスは 10 年目を迎えている。今の規模 1500 店舗、会員数 64 万人を、最終的には 2000
店舗、会員数 100 万人まで増やすことはできよう。本部の当社にとっては、初期投資にお
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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金はいらないので、出店の負担はない。FC がきちんと集客して、十分なサービスを提供で
きるように指導する力が問われているのである。1 店当たりの会員数は増えている。また、
それぞれの店のスタッフによる会員フォローも効果を上げ、退会率はフィットネス業界の
中でも低い数値となっている。つまり、収益性が向上しているのである。
世界のカーブスの中でも、日本は優等生
カーブスがこれだけ定着しているのは、日本だけといってもよい。本家の米国ではピー
ク 7000 店までいったが、今では 3000 店程度に減っている。韓国など健闘している国もあ
るが、
日本が FC のマネジメントシステムも含めて独自進化して、
圧倒的成功を治めている。
カーブスの米国があまり上手くいっていないのは、競争環境にある。ダイエットを強調
すると、ダイエットを促進するというエクササイズは他にもいろいろある。日本のカーブ
スはダイエットよりも、健康増進をアピールしている。40 代以降の女性が病気にならずに、
健康を維持できるエクササイズを位置付けている。また、FC である加盟店の指導では、日
本はかなり上手くマネジメントしている。
カーブスのビジネスモデルが優れているので、FC に加盟した人たちが十分経営できる。
また、経営ができるように本部が教育指導をしており、PDCA をきちんと回している。日本
のカーブスのマネジメントは良好である。世界の他の地域と比べても日本の方が進んでい
るという点が注目出来る。現在のテリトリーは日本国内に限られているが、いずれ海外へ
展開する可能性があるかもしれない。
カーブスはサプリメントも好調
ショッピング販売は会員にモノを売る。2010 年 12 月から力を入れているプロテインが好
調である。会員のうち 15%前後の人がプロテインを購入している。プロテインは月 5000 円
程度である。筋肉がつくと、脂肪の燃焼効率が高まるので、健康によいという理由である。
プロテインは有酸素運動と結びついて、筋力を高める。そのエビデンス(根拠)ははっきり
しており、使っている人も実感できる。そうなると継続率は高まる。
プロテインの販売に伴う利益率は、セグメントの利益率の半分程度である。加盟店にと
っても収益商品になるので、ショッピングの拡大はインセンティブに結び付く。
物販としてはプロテインに次ぐものを開発中である。収益源の多様化という点では、プ
ロテインに次ぐショッピング商品を考えていく。また、加盟店への支援を強化して、会員
のリテンション(保持)と拡大に力を入れていく。
カーブスの売上高は大幅に増えているが、これは FC のスポット売上(新規 FC に伴うも
の)
、FC のベース売上、直営店、ショッピングの売上増という内訳である。スポットという
のは、加盟店が 1 店増えるごとに入る収入で、ベース売上は会員数の増加に比例するもの
である。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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まねきの湯は黒字化を最優先
温浴では、福岡のイオンモールと大分のらんぷの湯の 2 つを 10 月に閉める。イオン志摩
湯処は、ショッピングモール自体の集客がさほどでもなく、まねきの湯の入りも十分でな
い。ここは、2012 年 10 月に 7 店目としてオープンした。0.4 億円の投資で年商 3~4 億円
が見込めると踏んだが、予定通りにいかなかった。
大分のらんぷの湯高松店は老朽化しており、近くに大分森温泉まねきの湯、ランプの湯
花園店があるので、2 つで十分と判断した。
温浴については、かつてのボウリング事業と同じように、お荷物になっているのではな
いか、という心配もある。しかし、集客と省エネという点で改善効果は出ており、黒字化
も見えているので、特にネガティブになる必要はない。東京健康ランドの温泉掘りは完了
し、11 月からは温泉のサービスも始まる。2015 年 8 月期には、かなり効果を上げてこよう。
温浴は、顧客へのサービスという点でカラオケと同じであり、シナジーがある。オペレ
ーションのソフト、食事、接客は同じノウハウが通用する。カラオケと同じ居抜き再生の
事業モデルである。
温浴業界をみると、兼業で温浴事業をやっている会社が多い。一定の期間続けてきて、
さて次の事業展開をどうしようかと考えた時、追加投資をするほどではないケースもある。
そういう温浴を居抜きで借りて、当社のマネジメントを導入して再生するというパターン
である。2012 年 4 月に温浴事業本部を作った。
温浴は年商が 1 店当たり、2~3 億円と、カラオケの 0.6 億円に比べて大きい。1 号店の
箕郷は年商 3 億円規模である。郡山は 1 億円の投資で年商 5~6 億円、東京健康ランドは年
商 10 億円も期待できる。
温浴は、カラオケのノウハウがほぼ、そのまま使える。歌というサービスと温浴という
サービスは異なるが、入場料をとって接客して飲食のサービスを提供するという点では類
似性が高い。温浴は初期投資がカラオケよりも大きいが、1 店でカラオケ 5~10 店分の収入
効果があるので、インパクトは大きい。
健康歌体操プログラムも開発した。カラオケしながら体操する、体操しながらカラオケ
をする、という発想である。例えば、美空ひばりの「川の流れのように」で体操する。声
と身体を連動させることで、より健康作りに役立てようとしている。この健康カラオケに
ついては、脳のトレーニングという点で効果があるのかどうかについて研究を進めている。
東京健康ランドでは、温泉を掘った。出ることは分かっていたので、温泉による集客と
省エネ効果が見込める。また、温浴はろ過膜の利用を進めている。これによって省エネを
図ることができる。さらに、2013 年 12 月にカラオケのまねきねこを併設した。2 階に 30
室ほどのカラオケルームを設けた。これで相乗効果を狙っている。
再生居抜きの案件はいろいろある。早急に既存店の黒字化に目途をつけて、次の拡大に
備える方向である。
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知られていないカーブスの効果
カーブスジャパンでは、30~60 代以上の女性 516 名に認知症に関する意識調査を行い、
その結果を 2014 年 4 月に公表した。79.7%が認知症への不安があるにも関わらず、88.1%の
人が特に予防対策をしていないという内容であった。なぜかといえば、59.1%の人が予防を
したいと思うが、対策方法がわからないというものであった。
東北大学加齢医学研究所とカーブスジャパンの共同研究では、
「筋力トレーニング」と「有
酸素運動」
(サーキットトレーニング)を行うことで認知症の予防につながることが実証さ
れている。認知症予防対策としてのカーブスの効果について、今後活動が活発化すること
になろう。
「30 分健康体操」の科学的効果についてワークアウトの効果を測定してみると、メタボ
予防、介護予防、認知機能の確保に寄与がみられる。こうした効果を実証していくことが、
カーブスにとってカスタマーリテンション(顧客保持)となろう。つまり、長く続けること
に訴求できるので、プラスに働こう。
東北大学と共同研究、健康維持と要介護リスク低減について実証
熟年層が健康を維持することは、社会的な課題の解決にも結び付く。腰髙社長は、“筋ト
レは歯磨き”と同じであると言う。つまり、日常の習慣にして、健康を増進していこうと
いう発想である。そのエビデンスについても、東北大などと研究を進めている。
腰髙社長は東北大学出身である。その関係もあり、東北大学といくつかの共同研究を行
っている。1 つは、2013 年 10 月に東北大学加齢研究所とカーブスジャパンが共同研究につ
いて発表した。4 週間のサーキットトレーニングが高齢者の記憶など認知機能の改善に寄与
するというものである。認知症の予防や認知機能のリハビリへの応用が期待できる。
これは、東北大学加齢研究所の川島隆太教授チームによる研究である。川島教授は脳機
能の研究者で、任天堂の脳トレでも知られるように、認知症患者のケアに用いられている
「学習療法」の第一人者である。これまでの先行研究では、42 週間(10 ヶ月半)ほどサー
キットトレーニングを継続することで高齢者の記憶力が改善する効果がもたらされるとい
うことは知られていた。
今回は、短期間のサーキットトレーニングが健康な高齢者において認知機能を改善する
かどうかを検証した。4 週間(1 カ月)60 歳以上の男女 64 人を対象に実施したところ、実
行機能(例えば、赤色の「あか」と青色の「あか」を認識するストループ検査や、「た」で
始まる名詞を可能な限り沢山言う流暢性検査)、エピソード記憶(物語記憶検査)、処理速
度(符号検査、記号検査)などの認知機能が改善した。これは今後、急速な増加が見込ま
れる高齢者の認知症予防や認知機能リハビリへの応用が期待される。
また、もう 1 つは、東北大学の別のチームと「カラオケ健康体操」が要介護リスクの低
減やメンタルヘルスの改善に効果があるという検証も進めている。2013 年 10 月に、その結
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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果が公表された。カラオケの曲に合わせて、歌を歌いながら、曲調に合わせた 15 の健康増
進動作を体操形式で行うものである。
これは、東北大学の永富良一教授(医学博士)チームによる研究である。永富教授は運
動学研究の第一人者で、日本体育協会公認のスポーツドクターである。当社の温浴施設へ
来る 274 人を対象に、プログラム(カラオケ健康歌体操)の健康増進効果について科学的
検証を行った。2 つの項目について調べた。
1 つ目の項目は、MFS(Motor Fitness Scale)で、移動性、筋力、並行性の 3 つについて評
価した。MFS 値の改善は、将来の要介護リスクを低減させることが、東北大学の先行研究で
明らかになっているが、今回、健康歌体操 1~2 ヶ月参加者は MFS 値が改善していることが
分かった。
2 つ目の項目は、
「気分スコア」である。歌体操前後の気分について 18 項目の感情表現(す
がすがしい、ウキウキする、イライラする、一人でいたいなど)を評価した。気分スコア
のデータも改善を示した。
この結果、カラオケ健康歌体操は、将来の要介護リスクを低減し、メンタルヘルスの改
善にも効果があることが分った。これもまねきの湯など、いろいろな場面で応用可能であ
る。温浴施設での固定客作りに貢献することが期待できるので、おもしろい展開となろう。
こうしたことを実証的に調べようという姿勢が、腰髙社長のマネジメントスタイルである。
既存事業で経常利益 100 億円は達成可能
今後の事業の収益性については、セグメント別の売上高営業利益率でみて、カラオケは
13~15%水準が見込める。ワンカラに飲食の収入はないが、人件費もかからないので、賃
料と回転率のバランスで、秋葉原店をイメージすれば収益性は悪くない。むしろ、まねき
ねこよりも高く持っていける。全体としては、17~18%に持っていくこともできよう。
カーブスは、FC のマネジメントなので、販管費が相対的にかからない。スケールメリッ
トが生きてくるので、22%~25%の利益率が見込める。会員に対するプロテインなどの物販
は、通販と同様に考えると、会員への訴求なので広告、宣伝費がさほどかからないので、
一定の収益性は十分確保できよう。
温浴のポイントはエネルギー費用である。売上高エネルギー比率が 2 割以上と高いので、
これをいかに省エネ化できるかがポイントである。カラオケ健康歌体操教室による差別化
など工夫も取り入れていく。全体として、10%を超える利益率は十分狙えるビジネスである。
コシダカ HD は、まねきねこにカーブスがオンして成長の第 2 ステージを進んだが、
「す
きっと」
・ワンカラのカラオケと、温浴で第 3 ステージにアップできる可能性が高まってい
る。経常利益 50 億円台から、次のステージである 80~100 億円が視野に入りつつあるとい
えよう。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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4.当面の業績
カラオケへの先行投資はあるが、カーブスが牽引
2014 年 8 月期はピーク利益を引き続き更新
2014 年 8 月期は、売上高 37720 百万円(前年度比+9.3%)、営業利益 4276 百万円(同+
3.0%)
、経常利益 4370 百万円(同+3.1%)、当期純利益 2423 百万円(同-21.1%)となった。
カラオケの先行投資負担をカーブスの拡大でカバーして、7 期連続で増収増益を確保した。
当期純利益については、2011 年 8 月期は負ののれん益 1193 百万円が加わり、2014 年 8
月期は不動産の売却益 1536 百万円が上乗せとなっており、それらの影響でその翌期は減益
となっているが、実質的には経常利益と同じパターンで順調である。
カラオケは前年度比+6.0%増収、-28.4%減益となった。上期の既存店が低調だったこと、
出店や「すきっと」の全店導入などによる先行投資が加わったことで、減益幅が大きくな
った。カラオケは全店で 28 店増加して 366 店となった。新規出店 37 店、閉店 9 店という
内容である。そのうちワンカラは 7 店出店して計 13 店となった。既存店は上期-3.5%、下
期+1.8%で、通期では-0.8%であった。
カーブスは、同+15.6%増収、+28.4%増益であった。セグメントの売上高利益率も 20.5%
と 20%台にのせてきた。出店は 137 店、退店は 1 店のみで、会員の退会率も 3%弱と低い。8
月期の店舗数は 1475 店、会員数 64.1 万人となった。
プロテインを主力とするショッピング売上は、49 億円とカーブス部門全体の売上 160 億
円の 30%を占めている。ショッピングの売上高は前年度比で 4 割近く伸びており、好調であ
る。カーブスの会員の年齢構成は、30 代以下 5%、40 代 11%、50 代 26%、60 代 37%、70 代以
上 20%となっており、50 代以上で 8 割強を占める。
カーブスについては、買収時ののれんの償却(年 3 億円)が 2013 年 8 月期でほぼ完了し
たので、セグメントの利益はその分上乗せとなってくる
温浴は、売上高横這い、赤字縮小と未だ低調であった。手は打っているが、この期は目
標の黒字化には届かなかった。その効果は 2015 年 8 月期から本格化してこよう。
業績の季節性
当社の業績の季節性はカラオケに左右される。カラオケは 12 月に最も稼ぐことができ、
次が 8 月である。逆に 10 月、11 月はやや低調となる。これを四半期でみると、2Q(12 月
~2 月)が最もよく、次が 4Q(6 月~8 月)、その次が 3Q(3 月~5 月)で、1Q(9 月~11 月)
が相対的に低い。
消費税には外税で対応
4 月から消費税のアップに対しては、外税で対応している。カラオケについてはこれまで
内税表示であったが、外税表示に変えており、4 月からは 3%分を上乗せしている。温浴も
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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同じである。カーブスについても内税から外税表示にして、3%分は値上げした。ここは自
動引き落とし型なので、さほど影響はない。
セグメント別業績予想
カラオケ
売上高
営業利益
同利益率
カーブス
売上高
営業利益
同利益率
温浴
売上高
営業利益
同利益率
不動産管理
売上高
営業利益
同利益率
ボウリング
売上高
営業利益
同利益率
合 計
売上高
営業利益
同利益率
2010.8
2011.8
2012.8
2013.8
2014.8
2015.8(予)
(百万円、%)
2015.8(予)
16495 [75]
1974
13.4
17389 [58]
2243
12.9
18543 [54]
2692
14.5
18725 [54]
2206
11.8
19854 [53]
1580
7.9
24800 [57]
1700
6.9
2700 [57]
2100
7.8
5436 [25]
529
9.7
8431 [29]
1209
14.3
11320 [33]
1906
16.9
13860 [41]
2556
18.4
16028 [42]
3282
20.5
17000 [39]
3600
21.2
18500 [39]
3900
21.1
695 [2]
-354
-60.0
1539 [4]
-317
-20.6
1538 [4]
-239
-15.5
1600 [4]
100
6.3
1800 [4]
200
11.1
*
174 [1]
-36
-20.7
*
579 [2] 296
51.1
*
2989 [10]
-163
-5.6
589 [2] 284
48.4
2961 [9]
-7
-0.3
21932 [100] 29094 [100] 33746 [100]
2503
3356
4077
11.4
11.5
12.0
389 [1] 238
61.1
299 [1] 130
43.7
300 [1] 130
43.3
300 [1] 130
50.0
*
*
*
*
34515 [100]
4151
12.0
37720 [100]
4276
11.3
43700 [100]
5000
11.4
47600 [100]
5700
12.0
(注) (予)はアナリスト予想
利益率は売上高営業利益率、カッコ内は売上高構成比
* は無しを意味する
2015 年 8 月期も好調を持続
2015 年 8 月期の会社計画は、売上高 43685 百万円(前年度比+15.8%)
、営業利益 4946 百
万円(同+15.7%)
、経常利益 5066 百万円(同+15.9%)、当期純利益 2668 百万円(同+10.1%)
と、順調な拡大を見込んでいる。
カラオケは、+24.7%増収、+6.9%増益と、増益に転換するが、売上の伸びに比べて、利
益の伸びが小さい。これは、シンガポールの子会社が連結に入るので、売上高が 20 億円ほ
ど嵩上げされるが、収益的にはまだ赤字なので、利益貢献がないことによる。また、M&A に
伴うのれんの償却 2 億円も入ってくる。国内は 30 店以上の出店を見込んでおり、既存店も
100%で計画している。
カーブスは+5.9%増収、+8.0%増益を見込んでいる。好調ではあるが、従来よりも伸び
がやや鈍ってくる。90 店の出店を計画しており、
会員も 68.4 万人へ 4.3 万人ほど増えよう。
プロテインなどのショッピングは+10%を見込んでいる。プロテインは 64 万人の会員に対
して、月 10 万個を販売しているが、これが 1 割ほど拡大するとみている。
温浴は+6.0%増収で、いよいよ黒字化する。前期の-239 百万円から+126 百万円へ黒字
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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転換し、セグメントの利益率も 7.7%を見込んでいる。
2015 年 8 月期は、カラオケにおいて、40 店(居抜き 25 店、建築出店 15 店)を目指す。
ギターを持ち込んで、自分がギターパートを実演できる「ギタすき」やアニメとのコラボ
などによって、
「すきっと」のコンテンツを活かす。また、シニア向けのモーニングサービ
スや朝カラで集客を図っていく。ワンカラは 5 店を目指す。
温浴では、イオン志摩湯まねきの湯、らんぷの湯高松店を閉店する。温浴の黒字化は、
ほぼ確実にみえているので、ようやくいい方向に入ってこよう。
2015 年 8 月期のセグメント別の動きについて、まずカラオケは売上が伸びるわりに利益
の伸びが鈍い。これは、シンガポールの K BOX が連結に入ってくるので、売上高が 20 億円
ほど上乗せされる。現地ベースで収支トントンというレベルなので、まだ利益貢献は見込
めない。一方で、M&A に伴うのれんの償却 2 億円(5 年償却)が発生するので、この分セグ
メントの利益を押し下げられる。
連結バランスシート
流動資産
現金・預金
固定資産
有形固定資産
のれん
ソフトウェア
関係会社株式
資産合計
流動負債
1年以内長期借入金
固定負債 長期借入金
社債
純資産
有利子負債
有利子負債比率
2009.8
3717
2530
6797
4163
1283
229
2010.8
5156
3607
6818
4412
981
179
2011.8
6910
4319
11544
8765
712
139
10514
4598
1179
3217
3104
0
2699
4451
42.3
11975
5179
1250
3044
2957
0
3751
4275
35.7
18454
7120
1377
4870
1858
2040
6464
5516
29.9
(百万円、%)
2012.8
2013.8
2014.8
7406
9544
9813
4333
5891
5207
12637
11103
16112
9647
6783
10156
409
98
21
220
235
1110
1720
20043
20648
25926
7241
7255
8378
1264
1037
1826
4518
2316
4352
1947
1501
3403
1800
0
0
8283
11075
13195
5252
2636
5230
26.2
12.8
20.2
(注)「すきっと」の開発費を、2014.8期からソフトウェアに計上。関係会社株式はK BOX。
圧縮記帳の効果を狙い、シティホテルを購入
カラオケの新システム「すきっと」の開発には 10 億円を要したが、これに伴いソフトウ
ェア勘定が増加した。現在「すきっと」の導入が本格化したので、その機器が設備資産と
してバランスシートにのっており、減価償却も始まる。5 年で償却するので、年 2 億円ほど
の費用が発生してこよう。
また、2014 年 8 月期のバランスシートでは、シンガポールのカラオケの買収(17 億円)
と、不動産の購入による投資(17 億円)で固定資産が 50 億円ほど増えた。それを賄うため
に長期借入金が 27 億円ほど増加した。自己資本比率が 48.5%(前期末 51.5%)とやや下が
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
ついては、担当アナリストが全責任を持つが、投資家の投資判断については一切関知しない。本レポートは上記作成者
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ったが全く問題ない。
不動産管理に変化はない。
厚木のホテルは買い替え資産の特例で 17 億円ほど投資したが、
負の繰延税金資産が 4 億円ほどある。その分税負担が安くすむ。このホテルは年間売上高 3
億円、営業利益 1 億円という採算である。ホテル事業については、マネジメントは委託し
ており、当社は賃料をもらう不動産賃貸収入という位置付けである。厚木のビジネスホテ
ルの賃料は年間 1.2 億円であり、これが不動産収入に入っている。
池袋のボウリング場が入っていたビルの売却益については、新しい施設(有形固定資産)
を購入することによって、圧縮記帳ができる。そのために厚木のホテルを購入した。165 室
のシティホテル、17 億円の物件である。ホテルの稼働状況はよいので、利回りは十分確保
している、投資額のうち売却益の 15 億円分を資産圧縮できるので、その効果で投資リター
ンの向上が見込める。当社はホテル事業を本業にするつもりはないが、レジャーという領
域の中で、高い投資リターンが見込めるので十分意味はあろう。
カラオケへの出店と資金規模
2015 年 8 月期の国内出店では、まねきねこで年 40 店、ワンカラで 5 店を目標とする。ま
ねきねこは居抜きで 1 店 20~30 百万円、建築出店で 60~100 百万円ほどかかる。ワンカラ
は建築出店で、同じく 60~100 百万円ほどかかる、目標通りの出店をすると、まねきねこ
は居抜き 25 店で 3~4.5 億円、建築 15 店で 15~45 億円、ワンカラで 3~5 億円となり、総
額では 21~34.5 億円の投資となる。
居抜きは 3~6 カ月で黒字化、建築出店は 6 カ月~1 年で黒字化というのが、通常のパタ
ーンである。ワンカラはまだ黒字になっていないが、本来のビジネスモデルとしては、ま
ねきねこよりも収益性が高くなる、ポイントは稼働率にあるので、土日の利用など、コン
スタントな稼働が見込める立地が重要である。
通常投資は内部資金で十分賄えるが、M&A には外部ファイナンスも必要
2014 年 8 月期のキャッシュ・フローは、M&A と不動産投資が加わったために、フリー・
キャッシュ・フローがマイナスになったが、通常の投資は営業キャシュ・フローで十分賄
える。大型の M&A が発生する時には、ファイナンスが必要であるが、その時の調達力も十
分有している。
2014 年 8 月期のキャッシュ・フローでは、シンガポールの M&A に 17 億円投資、節税対策
も含めて厚木のシティホテルの購入した有形固定資産投資の 17 億円が通常ベースの投資に
加わっている。カラオケの出店を中心にした投資は半期で 14 億円ペースであった。通常の
投資は営業キャシュ・フローで賄えるが、それ以外のシンガポールとホテルの分について
は借入金で対応し、長期借入金は 26 億円ほど増えている。
カーブスの FC の拡大に資金はさほど必要ない。直営店には資金が必要だが、1店 2000
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
企業に対する理解促進をサポートすることを目的としており、投資の推奨、勧誘、助言を与えるものではない。内容に
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の見解を述べたもので、許可無く使用してはならない。
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万円レベルなので、100 店出しても 20 億円である。カラオケ店は建築出店のウエイトが高
まってくると投資額は今までより増えるが、リニューアルも含めて年間 50~60 億円の営業
キャッシュ・フロー(CF)で賄うことができよう。温浴の投資も基本は居抜きなので、増加
するキャッシュ・フローで賄うことができ、CF も拡大してくるので、借入金の返済も十分
できよう。
通常の設備投資については、35 億円程度になろう。カラオケ中心である。減価償却は増
えてくるが、24~25 億円程度となろう。よって、設備投資は、営業キャッシュ・フローで
十分賄える。
連結キャッシュ・フロー計算書
2010.8 2011.8 2012.8 2013.8
営業キャッシュ・フロー
3447
4412
4241
4289
税引き利益
595
2678
1787
3509
減価償却
1450
1949
2048
1797
のれん償却
302
308
310
311
負ののれん発生益
0 -1194
0
0
投資キャッシュ・フロー
-2397
-1822 -3283
401
有形固定資産取得
-1705
-2197 -2687
-1828
有形固定資産売却収入
17
21
60
3758
無形固定資産取得
-21
-56
-347
-697
子会社・関係会社株式取得
-15
341
0
0
フリーキャッシュ・フロー
1050
2590
958
4690
財務キャッシュフロー
-337
-1521
-749
-3148
現金・同等物期末残高
3036
4100
4308
5860
(百万円)
2014.8 2015.8 (予) 2016.8 (予)
4042
5300
5800
2220
2700
3100
1956
2400
2500
86
250
200
0
0
0
-6931
-3500
-3500
-5043
-3500
-3500
5
0
0
-221
0
0
-1720
0
0
-2889
1800
2300
2198
-1600
-1700
5169
5369
5969
配当性向は 20%を目途とする
2014 年 8 月期の配当は 30 円と、7 期連続の増配となった。2014 年 9 月 1 日付で、1:2 の
株式分割を行ったので、前期との比較では、55 円配が 60 円になったことになる。
株主については、当社のビジネスが B to C(対個人顧客サービス)であることに鑑み、
株主=お客様という路線で進みたいと会社は考えている。配当性向については 20%を目途
に考え、引き続き成長志向を強めていく方針である。配当については毎期増配が続いてお
り、今後とも業績の拡大につれて増配が期待できよう。
5.企業評価
「すきっと」システムとワンカラの新業態ビジネスモデルに注目
今後の成長パターン~差別化で先行
今後の業績パターンは、カーブスの利益を着実に伸ばしつつ、国内のカラオケを「すき
っと」とワンカラで収益性を高める。温浴は黒字化の後、再び店舗の拡大を目指す。海外
は現地に合ったビジネスモデルでいずれ大きな成長を目指す、という展開にある。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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カラオケでは新しい業態作りに取り組んでいる「すきっと」とワンカラが注目される。
温浴についても再生案件はいろいろありうる。サプリメントなどカーブスの顧客への新サ
ービスも可能性を有している。海外事業も本格的な展開が加速しよう。
いずれも本業強化を図りながら、周辺多角化を検討し、各事業のシナジーを出そうとい
うものである。課題は人材の育成、強化である。事業の拡大ピッチは人材に依存するので、
ここのバランスを図っていく必要がある。
当社のカラオケは従来からロードサイドで低料金(低コスト)であるが、シダックスは料
金が高め、ビッグエコー(第一興商)やカラオケの鉄人は繁華街にある、という具合で差別
化が効いている。今後は、
「すきっと」とワンカラでさらに差別化を強化し、都心にも展開
していく。フィットネスも会員数の損益分岐点が、当社の 300 人対他のスポーツクラブの
数千人という具合に全く違う。
経営者の経営力、事業の成長性・持続性、業績の下方修正リスクという 3 つの評価軸か
ら見て、当社は「良好である」
(ベルレーティング法で「A」ランク)と評価できる(表紙
の注を参照)
。1)企業の将来のビジョン、計画を明確に定め、それに経営トップがコミット
していること、2)中期的な事業の持続力と成長力は十分確保していること、3)当面、業績
の下方修正リスクは少なく、着実な利益成長を達成していくものと評価できること、など
がその要因である。独自のビジネスモデルを築いていくコシダカ HD の企業価値創造は大い
に期待できよう。
東証 1 部の条件は満たしている
コーポレートガバナンスの強化という点では、監査等委員会設置会社への移行が検討課
題である。社外取締役を複数置きながら、監査機能の充実も図れる。2015 年 8 月期の株主
総会で移行するとして、その後に1部上場が実現するという動きが想定される。
9 月 1 日付けで 1:2 の株式分割を行った。これによって、流動性は高まっている。
株主数については東証 1 部上場基準の 2200 名を超えている。あとはオーナー一族の持株
比率を下げながら、さらに流動性を高めることである。同族グループの持株比率が 70%を
超えているので、資本政策も含めて、これを相対的に下げていくことが必要である。
当社の業態で最も大事なことは、飲食・サービス業であるため、未成年に対する顧客マ
ネジメントの頑健さが求められる。コンプライアンスを徹底して、未成年へのアルコール
飲料の禁止、大人であっても飲酒運転にならないような配慮、仕組み作りも進んでいる。
当社のサービスを受けるには、会員になることが必要なので、最初の会員カードを作成
する時に、身分証明書の提示、大人への成り済ましの防止などを随時進めている。免許証
のコピー、写真の記録など、厳しいルールを設けて対応を進めている。
コンプライアンスへの対応を含めて、会員管理システムの強化を図っており、カラオケ
業界の中では厳しい会員管理を実施しつつある。こうした点を踏まえながら、1 部上場が実
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現していくことになろう。
株価(11 月 6 日時点)をみると、PBR2.84 倍、ROE20.5%、PER13.2 倍、配当利回り 1.9%
である。PBR からはすでに一定の評価を受けているが、ROE から見た PER にはまだ割安感が
ある。今後の当社の成長性を考えると、実績を確認しながら業績拡大を評価し、つれて株
価も見直されていくものと予想され、中期的な上昇余地は大きいと判断できる。
本レポートは、独自の視点から書いており、基本的に会社側の立場に立つものではない。本レポートは、投資家の当該
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