JQ International Review 2015 January Vol.1 新製品開発におけるフロント・エンド・ローディング ― Innovative Made in Japan の台頭 ― (株)ジョンクェルコンサルティング 落合 以臣 A Front End Loading in New Product Development “The floating of “Innovative Made in Japan” Shigemi Ochiai, Jonquil Consulting Inc. Keywords: GDP・ B to B・B to C・品質・テーマ創造 新年明けましておめでとうございます。本年は、Innovative Made in Japan の台頭として位置 付け、我が国の経済成長の原動力となるような新製品開発におけるフロント・エンド・ローディ ングを詳解していきたいと思います。 ここ20年にわたる製品開発の実態を整理してみますと、極端な円高に押され製品開発の大 半がアジア諸国に移転され、その結果、GDP はほぼ横ばいで推移しているといえます。確か に円高という第二の黒船の到来ともいえる出来事は、企業運営に大きな影を落とし、それをカ バーするために海外へと生産拠点を移していったことは当然の仕組みであったといえば納得 のゆく回答になるかもしれません。しかしながら、一方では製品開発の仕組みが見事に破壊さ れ、Made in Japan の根幹であった品質保証の考え方が陳腐化されたといっても過言ではない でしょう。 このような状況の中で、どのような方法を駆使すれば Innovative Made in Japan の製品が開 発されるのであろうか。我が国の企業の多くは、IT を多く取り入れて複雑化された製品を作るこ とに翻弄してきたとも言えます。逆に言えば、その御蔭でスマホあるいはハイテクを積み込んだ 製品の部品の多くを日本企業が背負っています。その反面、B to C のビジネスモデルが後退 したとも考えられます。その隙間に中国、韓国企業が入り込み、あっという間に製品の品添え をされてしまいました。この原因は、テーマ創造を放棄した結果、自らが招いたと言っても決し て言い過ぎではないと思います。なぜならば、B to B のビジネスモデルはその企業の顧客がテ ーマを持っているからです。言い換えますと、顧客の製品に合わせた中間材を提供すれば B to B のビジネスモデルが成立するわけです。つまり、限りなく小さく、薄く、軽く、そして優れた 性能などを目指して開発すれば、必ず的を射ることができます。一方、B to C のビジネスモデ ルはテーマを創造しなければ、消費者のニーズに答えることができません。しかしながら、テー マの創造はトレンド予測を十分に行うことが重要となります。ある意味では、日本人にとって馴 染みの薄い領域となります。過去の製品開発は、品質をよくすることを第一の目的として Made in Japan を世に送り出し、その品質のよさを世界中が絶賛したわけです。現在の状況は、過去 と180度違うと言っても良いかもしれません。それは、確かに富裕層の間では品質のよい日本 製品を欲しがることは事実ですが、現実に富裕層の期待する製品を分析しますと、品質だけ でなく新たなテーマを兼ね備えた製品を希望していることがほとんどです。日本の企業は、こ の事実を受け止めず、相変わらず品質保証を追いかける製品開発となっています。この結果、 新製品が販売されて数か月も経てば、3割~4割もの販売価格がダウンすることになります。 こうしたことを鑑みますと、ニュートラルな視点で数年先をトレンド予測し、その時の世情を見 据えたうえで消費者のニーズを先取りしたテーマの創造が重要になります。このトレンド予測に よって誕生した新製品を“Innovative Made in Japan”と呼ぶことにしたいと思います。 本年は、製品開発を新製品開発と改め、世界を誘引し我が国の経済の発展を後押しする 新製品開発を目指した内容にしていきたいと思います。そして、この JQ International Review が、愛読される方の背中をさらに押すことができれば幸いと思います。 All Rights Reserved. Copyright © 2015 Jonquil Consulting Inc. Publication: 1st January 2015
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