Law, Political Science, Sociology IV 法律・政治・社会 IV. 法律・政治・社会 067 ボダン「国家についての六書」第4版 リヨン刊 Bodin, Jean Les Six Livres de la République de J. Bodin Angeuin. Lyon: Par Jacques du Puys, Libraire Juré en l'Université de Paris, 1579. ¥432,000 Folio. Fourth edition. (viii), 739, (19) tables.; engraved title. Contemporary full vellum. [PMM no. 94 for 1st ed. of 1576] フランスの法学者、政治思想家、歴史家であるボダン (1530-1596) の主著の初期の版です。本書は、近代的 な意味における「主権」の概念を初めて明確にした著作として知られています。当時のフランスはユグノー (カルヴァン主義者)の反乱によって激しい宗教的 ・政治的闘争のるつぼとなっていましたが、ボダンは同 時代の諸問題の解決に寄与する為に、政治の理論的な問題の究明を自らの課題となし、それを通じて政治 学を「普遍科学」として定立しようとしました。彼は「歴史認識方法論」(1556) において自らの歴史哲学を 明らかにし、それに基づいて、政治学を総合的な学問体系の一部門足らしめるために本書を執筆しました。 本書は題名の通り6巻に分かれており、5巻までにおいて国家の構造分析、社会学的分析を行い、結論と して第6巻において、君主国家こそ最善の国家形態であるとし、 「正義」を媒介とした君主の絶対権力と市 民の自由との調和を求めています。 初版は 1576 年に刊行され、1593 年までに8版を重ね、イタリア語 (1588)、スペイン語 (1590)、ドイツ語 (1592)、 英語 (1606) などの各国語に翻訳され、幅広い読者を得ました。(3074) 068 ランゲ「民法理論」全2巻 初版 Linguet, Simon Nicholas Henri Théorie des Loix Civiles, ou principes fondamentaux de la société. Londres: n.p., 1767. ¥540,000 12mo. 2 vols. First edition. Half title, title, 496 pp.; half title, title, 528 pp. Contemporary half calf, elaborate gilt spine, slightly rubbed. Initials "C.T." on front cover, contemporary signature on endpaper. ランゲ (1736-1794) はフランスの弁護士、著述家で、のちフラン ス革命の恐怖政治のもとで絶対主義の擁護者として処刑された 人物です。本書は彼の主著で、 「法の精神とは財産を神聖化する ことである」というモンテスキュー批判に始まり、文明諸国では 生産諸条件を失った労働者は、 「貧困のために余儀なく富者の前 にひざまずき」富者の富を増加させるために労働することを明 らかにし、このような事情が続く限り人間は決して解放されえ ないことを宣言して、啓蒙主義者達のブルジョア=自由主義思 想に論難を浴びせました。このモンテスキュー批判は、自由主義 者アンドレ ・モルレとの論争を引き起こしました。またマルク スは、ランゲの思想の中にアジア的専制主義、奴隷制の擁護をみ ていたといわれています。(2598) 46 Law, Political Science, Sociology 069 ミル「代議制統治論」ポーランド語版初版 Mill, John Stuart O rzadzie reprezentacyjnym. Krakow: W. Kirchmayer, 1866. ¥240,800 8vo. First edition in Polish. Contemporary half calf, marbled boards, spine lettered direct. Ownership inscription to the front free endpaper. Small circular library stamp to the titlepage. Spine a little worn. 経済学者 ・思想家 J.S. ミル(1806-73)が、その新自由主義を政治に適用したもので、初版は 1861 年に出 版されました。 イギリスは 1832、1867、1884 年の3回にわたって選挙制度に大改正を加えました。特に第1回と第2回の 改正の間には、都市の労働者階級への選挙資格の拡大を巡って激しい議論が繰り広げられました。ミルは 本書の序文で、この点についての自由 ・保守両党の論争に、たんなる妥協ではなく、その二者を含んだ共 通の場を提供することを意図したと述べています。その共通の場とは、労働者階級の興起と参政権付与の 必然性を認めながら、そこから出てくる多数者の無知の支配の危険性をいかに防止するかという問題意識 に支えられています。 本ポーランド語初版は 1863 年のロシアに対するポーランド独立運動(1 月蜂起)の 3 年後に、ジャーナリ ストの Gustaw Czernicki(1827-1911) によって出版されました。当時のポーランドでは、ミルの提唱した選 挙論 ・デモクラシー論は依然として切実な問題としてとらえられていました。(12479) 070 セルデン「封鎖海論」初版 Selden, John Mare clausum, seu de dominio maris. London: Excudebat Will. Stanesbeius, pro Richardo Meighen, 1635. ¥972,000 4to. First edition. (24), 304, (12) pp. Title in red and black, 2 engraved maps in text, a few woodcut illustrations, errata leaf at end, with the initial and final blanks. Throughout browned. Contemporary calf, 5 raised bands on spine repaired. イギリスの法学者セルデン (1584-1654) の代表作です。グロティウスの《自由海論》に反対して、イギリス の海洋領有を弁護するため 1617 ∼ 18 年に執筆された書で、のちにチャールズ1世の勅令で公刊されまし た。副題に「海洋の支配について」とあります。兵力による実効的支配を基準として海洋に対する所有権 と管轄権とを領有権で統一的に把握したことは、当時の国際慣行にも一致し、グロティウスの理論よりも 実証的で正当でした。(2607) 47
© Copyright 2024 ExpyDoc