7.昇圧形電源の実測 7-1 特性式と実測 (1) 定常特性(電圧変換率、定常リプル、出力Z) (2) 動特性(負荷応答特性) (3) ループ特性 7-2 性能検討 (1) スイッチング・ノイズ (2) 効率 小山高専/群馬大学 小堀 康功 群馬大学講義資料 7-1 7.スイッチング電源の実測-1 (昇圧形電源) I 7-1 特性式と実測 Ii Vi D L Io Vo (1) 定常特性 (A)電圧変換率 E Ioff Ion S ● 理論式(2-57) *M=Vo/Vi= 1/D’ 1+Zo/R Zo = r/D’ 、 r=rL + D・rs + D’・rd (rL=0.085Ω、rON =1.1Ω、rd=0.45Ω) M=1/D’(1+Zo/R) Zo =(1/D’M-1)・R (7-1) 群馬大学講義資料 Io=[A] 0.305 Vi [V] Ii [A] 4 R L=23uH(RL=85mΩ)、R=15.5Ω Co=OS200uF、Ci =100uF 2 ●実測値: C Vo= [V] 4.89 R= [Ω] 16 実測D' 実測M 実測Zo IL r 計算Zo 計算M 0.48 0.7 1.2 2.697 0.436 0.730 1.490 1.3 3.5 0.55 0.6 1.4 3.087 0.508 0.795 2.208 1.5 3 0.65 0.5 1.6 3.247 0.598 0.854 3.281 1.6 2.5 0.79 0.4 2.0 3.476 0.726 0.912 5.170 1.8 2 1.04 0.3 2.4 5.110 0.984 0.984 10.234 2.0 1.5 1.61 0.2 3.3 8.540 1.525 1.055 26.375 1.9 7-2 ● 電圧変換率 *実測値は素直な特性 *計算値は、低電圧で? 実測M 電圧変換率 計算M 5.0 4.5 4.0 3.5 ● インピーダンス *実測値はよいが、計算値はおかしい *Viが小さいと、Mは大きく、D’は 小さくなり、Zo は大きくなる ● 入力電流、効率 *Viダウンで Ii ,Zoアップし、効率ダウン Ii [A] 入力電流、効率 効率 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 1 1.5 2 30 1.6 25 1.4 3 実測Zo インピーダンスZo 1.8 2.5 3.5 4 Vi [V] 4.5 計算Zo 20 1.2 15 1 10 0.8 0.6 5 0.4 0 1 1.5 群馬大学講義資料 2 2.5 3 3.5 Vi [V] 4 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 Vi [V] 4.5 7-3 Nチェネル MOSFET (Fairchild:FDN335N) 20V、8A ● ON抵抗 *VGS< 4V では、ほぼ一定 *温度が上がると、抵抗は増加 RON = 1.0 + 0.2・(T-25) [Ω] (VGS=4.5V、Io=1.7A) (7-2) ● ショットキー・ダイオードは降圧型と類似 Fairchild 資料より 群馬大学講義資料 7-4 L=23μH, RL=85mΩ Ci=ケミコン100μF Co=OS200μF To=1.8μs (B) 定常リプル ● 理論式 (2-69)(2-70) ⊿Vo= D・To D・To Vo = Io ⇒ 出力にも依存 CR C *⊿Vo=0.009・D・Io = 0.55 [mVpp] (Io=0.305A、D=0.2 @Vi=1.5V) *周期To:降圧形の1/4(TDo=7.5μs) ● 実測値1: OSコン接続 (7-3) OSコンESR:80/2=40mΩ セラコンESR=60/2=4mΩ (測定 F=1kHz) IL=70mApp 70mApp ON OFF *実測値:⊿Vo = 58 mVpp (大きい) *ESRの検討 ⊿VESR=ESR*⊿IL =0.04・70=2.8 mVpp ∴ ⊿Vo=3.4 mVpp Vo=58mVpp 電圧リプル1(Vi=1.5V,D=0.2 ) 群馬大学講義資料 7-5 IL=80mApp ● 実測値2:Vi 変更(.3.5V ← 1.5V) ON OFF *実測値:⊿Vo= 20 mVpp(大きい) *理論値: ⊿o=0.04・80+1.65 ≒ 5 mVpp ?なぜ こんなに違うのか? ● 実測値3: セラコン使用 *Co=100uFセラコン + OSコン100uF ・⊿Vo ・・・変化なし *他の要因有 負荷側への電流は急峻 ・コンデンサ両端電圧を測定 電圧リプル<10mVpp 理論値と合っている!! (ダイオード電流はうまく測れない) Vo=20mVpp 電圧リプル2(Vi=3.5V,D=0.6 ) コンデンサ両端:Vc < 10mV Vo=35 mV (OSコン+セラコン)時のリプル電圧(Vi=3.5V) 群馬大学講義資料 7-6 (C) 入力電圧と定常リプル ● 理論式 (2-69)(2-70) ⊿Vo= D・To To・Io Vo ≒(1-D’) CR C L=23μH, RL=85mΩ Ci=ケミコン100μF Co=OS100μF +セラコン47uF To=1.8μs (7-4) ● 実測値4: 出力コンデンサ両端リプル *Viダウンで、D’ダウン(Dアップ) *ダイオードピーク電流と類似 ● 上式を図で考えてみると Vr = D・Vro ∝ D (7-5) リプル[mV] Vr [mV] Id計算 Id [A] 45 2.0 40 35 30 1.5 25 Id I2 I1 20 1.0 15 10 0.5 5 Vc Vro D2 D1 群馬大学講義資料 0 0 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 Vi[V] ダイオード電流と電圧リプル (Vo=5.0V,Io=0.305A ) 7-7 ⊿Vr=0.14V (2) 動特性(負荷応答特性) (A)電流ステップと電圧ドロップ ● 出力リプル *条件: ⊿Io=0.45A Vi=2.5V ⊿Io=0.4A (Io=0.35~0.75A) di/dt=120 mA/us ⊿Vo=13 mV *実測性能: オフセット:⊿Vo=-13mV ドロップ :⊿Vp=-75mV/50us ・右波形は、LPFによりSWノイズ除去 Fc=3.4kHz (C=0.1uF、R=470Ω) 1 ms 昇圧形負荷応答特性 群馬大学講義資料 7-8 (B)入力電圧 vs 負荷応答リプル ⊿Vo 出力リプル [mVpp] *条件:前ページと同様 250 *実測性能: 200 150 ・入力電圧が高いと、リプル小 100 *理由は・・・ 応答特性式(2-89)において (2-81)(2-45)より 50 0 1 R+RD’2 wn = LCR 2 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 Vi [V] 入力電圧 vs 負荷応答出力リプル ● 昇圧型電源の動特性: P(s)=1+2δ(s/wn)+(s/wn)2 1.5 (2-81) (7-6) *入力電圧が高い ⇒ M=1/D’が小さい ⇒ D’が大きい ⇒ wnが高い 群馬大学講義資料 7-9 (3) ループ特性 Vi=4.0V (A)閉ループ伝達関数 *入力電圧 vs. 伝達特性 (Io=0.35A、OSコン:100uF) Vi=2.5V Vi=1.5V ● Vi=4.0V,2.5 ではFc に大差はないが 減衰係数(ピーク)が異なる ● Vi=1.5V では、急激にFcが低下 もっとゲインを高めるべき 群馬大学講義資料 7-10 Fc=12kHz (B)ESRと伝達関数 ● 出力コンデンサによる相違 (Vi=2.5V、Io=0.35A) *出力Co2倍 ⇒ Fc半減 *ESRの低減(セラコン100uF変更) Fc不変なれど、特性明確化 OSコン:100uF Vi=2.5V Fc=6kHz Fc=7kHz OSコン:100uF セラコン:100uF 群馬大学講義資料 OSコン:200uF 7-11 7-2 性能検討 (1) スイッチング・ノイズ (A)SW-ON時に共振 F = 80 kHz Rg=47Ω (B)リプル低減検討 (Co:OSコン100uF+セラコン47uF) ●ゲートドライブ抵抗の変更 *抵抗: 47 ⇒ 147Ω ⇒ リプル: 0.80 ⇒ 0.45Vpp ON OFF ● ESRの低下 *Co にセラコン47uF 追加 ⇒ 大差なし 群馬大学講義資料 Rg=147Ω 7-12 (C)入力Cと電源ノイズ *初期状態 ・入力 Ci:ケミコン100uF ・電源ノイズ:0.60Vpp 上:出力ノイズ *OSコン:100uFの追加 両ノイズとも 効果なし *セラコン:47uFの追加 両ノイズとも 効果なし [理由]ダイオード導通時には 電源ラインは無関係 (D)インダクタンスとノイズ *L:23uH ⇒ 47uH *出力ノイズ: レベル・周波数共 同じ *電源ノイズ:やや低下(0.50Vpp) 群馬大学講義資料 下:電源ノイズ 共振LCは? 7-13 (2)効率:Lの違いによる効率変化 *条件: Vi=2.5V、Vo=4.98V、Io=0.35A *インダクタンス ・ Lo:22.7uF、0.086Ω ⇒ L1:47.1uF、 0.108Ω *効率 ・ηo =75.5 % ⇒ L1 =71.2 % ・コイル内部抵抗の増加により、効率低下 ・入出力の共振ノイズも不変 ⇒ Lを下げ、rLを小さくして 効率を上げたほうがよい 群馬大学講義資料 7-14
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