「5年後の コンタクトセンター 」サミット in東京・夏

“体験”を“満足・感動”に変える
「5年後の
コンタクトセンター」サミット
in東京・夏 イベントレポート
日時:2014年8月26日
(火)会場:コクヨホール(品川)
主催:株式会社リックテレコム
「コンピューターテレフォニー」編集部
5年後のコンタクトセンター研究会
協賛:株式会社セールスフォース・ドットコム
8月26日、東京・品川のコクヨホールにおいて「5年後のコンタクトセンターサミット in 東京・
夏」が開催されました。これからのお客様窓口は、単なるオペレーション部門ではなく、お客
様に素晴らしい“体験”を提供し、
“満足・感動”を創造する戦略組織になる必要があります。
それによって、継続利用・他者への推奨というロイヤルカスタマーを創り出すことができます。
本サミットでは、コンピューターテレフォニー編集部と業界の有識者で立ち上げた「5年後
のコンタクトセンター研究会」を中心に、
『顧客接点のあるべき姿』
を検証しました。
J.D.パワー アジア・パシフィック
基調講演
コールセンターの体験は顧客ロイヤルティと相関
オペレータの一次解決率の重要性が明らかに
鈴木 郁 氏 代表取締役社長
基調講演では、顧客満足度に関する調査・コンサルティ
を常に意識することが CS 活動には重要」と指摘しました。
ングの国際的な機関である、J.D. パワー アジア・パシ
調査データからは「オペレータの用件理解」が CS に
フィック代表取締役社長の鈴木 郁氏が登壇。
『1万人超
大きく影響すること、エスカレーションはマイナス要因
の顧客体験に見るコンタクトセンター「真の役割」
』と
だが引き継ぎがきちんと行われていれば CS は下がらな
題し、同社の調査データ(日本コールセンター満足度調
いことを説明。またコールセンターで問題解決できず、
査)をもとに、主にオペレータの対応がお客様満足度に
その後に他チャネルを利用した人の満足度は低いことか
与える影響について解説しました。
ら、オペレータの一次解決率がいかに重要かを強調しま
この中で鈴木社長は、お客様満足とは「期待に対する
した。鈴木社長は「コールセンターの体験は顧客ロイヤ
充足度」であると定義。企業がいくら良いサービスと思っ
ルティと相関があります。米国ではセンターへの“投資”
ていても、お客様の期待に応えて“良い体験”と感じて
が成長戦略のカギと考えられています」と説明していま
もらえなければ満足度は低く、それゆえに「お客様視点
す。
アメリカン・エキスプレス・ジャパン
「問い合わせは“処理”ではなく
“関係構築”の機会」
オペレータへの権限委譲で顧客に添った応対を実践
萬年 良子 氏 アメリカン・エキスプレス・ジャパン 取締役 兼 ワールドサービス・ジャパン 副社長
続く講演は、アメリカン・エキスプレス・インターナ
評価できる指標を取り入れています」と説明。さらに同
ショナルワールドサービス・ジャパン担当副社長の萬年
社のネット・プロモータ・スコア(NPS)の導入から
良子氏による『アメックスが創る「カスタマー・エキス
実際の取り組みまでを紹介しました。
ペリエンス」の条件』でした。同社は、お客様満足は“感
NPSは「貴方は当社のサービスを友人に薦めますか?」
動体験”から創られるという方針のもと、カスタマーサー
と11段階で推奨度を聞くもので、顧客ロイヤルティを知
ビスという言葉を使わず、一貫して「カスタマーエキス
る“究極の質問”と呼ばれます。同社は、お客様に感動
ペリエンス」を唱え、常にお客様視点でサービスを考え
体験を届けるという意志のもと、2006年から導入準備
提供しています。萬年氏は「1つひとつの問い合わせは
を進め、2007年に正式導入。2010年からはオペレータ
単なるトランザクション(取り引き)ではなく、お客様
個人の業績評価にも紐付けました。当初は、思うような
との関係を築く貴重な機会です。電話の向こうのお客様
評価がされない人もいましたが、繰り返しの研修とトレー
の状況を想像し、問い合わせの背景は何か、どんなサー
ニングにより、現在は全社員が共通言語でNPSを語れる
ビスがベストなのかを考えながら応対します。そのため、
ようになっています。全社でNPSの向上に努めたことで、
オペレータには可能な限り権限委譲し、かつ顧客視点で
退会率の減少、利用額の向上につなげています。
「 5 年後のコンタクトセンター」
サミット in東京・夏イベントレポート
セールスフォース・ドットコム
お客様・パートナーとつながり、信頼関係を築く!
「ユーザー企業様の成功」
を支える取り組みを公開
仲澤 輝宏 CFL本部 カスタマーサクセス部 シニアディレクター
セールスフォース・ドットコムは『
「お客様の成功」
パートナーのソリューションを紹介・レビューする
のために行っていること』と題し、自社の CRM 活動を
「AppExchange」の仕組みを解説しました。お客様と
紹 介。と く に 強 調 し た の は「Trust(信 頼 獲 得)
」と
同社の間の透明性を高めることで信頼を得ています。
「Customer Success(成功の支援)
」の2点でした。
お客様の成功を支えるのは全社ミッションですが、と
信頼獲得では、同社サービスの稼働状況を公開する専
くに重要なのがカスタマーサクセス・マネージャーの存
用サイト「Trust.salesforce.com」や、監査体制やセ
在。サービス利用状況からビジネス成長のための次の一
キュリティへの取り組みを紹介。またお客様の要望やア
手を提案する精鋭部隊の取り組みや、お客様同士が情報
イデアをサービスに反映していく「IdeaExchange」
、
交換しあうユーザーグループの活動を紹介しました。
イー・パートナーズ
経営貢献は顧客理解からはじまる――
“戦略的コールセンターの作り方”を解説
谷口 修 氏 代表取締役
コールセンターの役割は“ビジネスを成功に導く”こ
応対品質の追求について説明しました。第3段階は「情
と、そのためにはお客様のニーズを理解し、顧客ロイヤ
報提供による徹底した経営貢献」と指摘。お客様の声の
ルティを高めていく戦略的運営が必須です。イー・パー
収集・分析と社内各部署へ改善提案できる部門への進化
トナーズ代表の谷口 修氏は『進化する組織を創る! 戦
を訴求しました。最後に、問い合わせする必要がないサー
略的コンタクトセンターのすすめ』を講演しました。
ビスの構築「ベスト・サービスはノー・サービス」を強
役割の変遷として、第1段階は「つながりやすさの追
調、これを実現する8つのポイントを紹介しました。こ
求」を挙げ、徹底的な数値管理が必須と解説。第2段階
の詳細は書き下ろし単行本「戦略的コールセンターのす
は「顧客ロイヤルティの追求」として、期待値の把握と
すめ」としてリックテレコム社より刊行されています。
東京海上日動コミュニケーションズ
価値あるレポートと科学的運営で説得力を持つ
経営・社内他部署に牽引する部門に生まれ変わる!
田口 浩 氏 執行役員
東京海上日動コミュニケーションズ執行役員の田口
経験や勘ではなく数値に基づき論理的・科学的に管理す
浩氏は、実務担当者の観点から『
「経営貢献するコンタ
ること、それがないと外部説明もできないと問題提起し
クトセンター」のあるべき姿』を解説しました。
ています。この2点を踏まえ戦略的運営を実践します。
講演の中で田口氏は、コールセンターの課題として、
経営貢献の方法はさまざまで、その1つがVOC活動で
①経営層の理解不足、②運用がブラックボックス、③戦
す。既に実践している企業は多いですが、コールリーズン
略的に活用されていない――という3点を指摘。その要
を集計してイントラネットで公開するだけでは不十分です。
因として、経営方針に基づいた顧客戦略とコールセンター
田口氏は「普段からお客様と接しているオペレータは
の運営戦略が乖離していることを挙げ、まずはここをつ
VOCに関して常に意識している存在です。彼らの意見に
なぐ専任組織や担当者の必要性を説きました。さらに、
耳を傾け、単に声を収集するだけではなく、声の背景を分
経営の理解を得るにはレポーティングが重要で、一般的
析・理解して改善提案まで行ってこそ経営貢献となり得ま
に多い応答率や対応件数などではなく、経営貢献度(例
す」と強調しました。この他、お客様の現在の状況を踏ま
えば離反防止率など)を報告して価値を認識してもらう
えた事前の情報提供は“小さな感動”を呼び、顧客ロイヤ
べきと強調しました。一方、運用の透明化を図るには、
ルティにつながりやすいとも話しました。
panel discussion
コールセンターの経営貢献度をどう捉える?
!
ネット・プロモータ・スコアに議論紛糾
サミットの最後は、パネルディスカッション『5年後
は、アメックスでも導入している NPS について議論紛糾。
のコンタクトセンターを考える「センターの価値を可視
日本人は他人に積極的な推奨をしない性格であることや、
化する」効果と実践』が行われました。パネラーには、
業種や商材によってスコアが低くなりがちな点を小川氏
エンパスリンク代表取締役の高見俊介氏、DHL ジャパ
と田口氏は指摘。これに対し、顧客ロイヤルティのコン
ン カスタマーサービス本部カスタマーサービスセンター
サルティングを行う高見氏は、単に自社のスコアだけを
長の小川景徳氏、東京海上日動コミュニケーションズの
見るのではなく業界内や他業界とベンチマークすること
田口氏が登壇。モデレータは、月刊コンピューターテレ
で見えてくること
フォニー編集長の矢島竜児氏が務めました。
も あ る と 反 論。
まずは「コールセンター白書2014」のデータを踏ま
NPS の 効 果 的 な
えて討論。ミッションは「お客様満足度の向上」と回答
活用で " 価値を可
しつつ、顧客満足度調査を行っていない企業が多いこと
視化 " する方法に
が問題視されました。また「センター価値の可視化」で
言及しました。
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