IH式舗装撤去工法の紹介

IH 式舗装撤去工法の紹介
- 作業時の騒音低減が可能な鋼床版上の既設舗装撤去工法 -
工法開発の背景
近年、鋼床版上の舗装は、交通荷重や床版構造など様々な要因で損傷を受け、舗装の全層打換えを行う
ケースが増えてきております。全層打換えの修繕工事における鋼床版上の舗装撤去作業は、床版面やボルト
への損傷の危惧から、鋼床版を損傷しない深さまで路面切削したあとに、人力のハツリ作業により既設舗装
を撤去せざるを得ません。
しかし、その撤去作業では、ハツリ作業中に発生する騒音や鋼床版損傷の可能性、作業効率の低さなどの
問題があり、これらの改善が求められております。
工法の概要
「IH 式舗装撤去工法」は、これまでの舗装撤去作業に伴う問題を解決するために、㈱竹中工務店・㈱
竹中道路・グリーンアーム㈱の 3 社が基本原理を開発(3 社が特許保有)し、当社および大林道路㈱、㈱
NIPPO、㈱竹中道路、グリーンアーム㈱の計 5 社が共同研究として取り組み実用化したものです。
本工法のメカニズムとしては、家庭で使用される IH 調理器の原理を応用したものです。すなわち、電磁
誘導加熱技術注)を利用し、鋼床版を60 ~ 90℃に加熱することで、グース舗装などを直接加熱することなく、
鋼床版とアスファルト舗装の界面にある接着層を軟化させたあと、界面にバックホウバケットなどの平爪を
挿し込んで舗装体を剥ぎ取るものです。
発電機
加熱コイル
電磁誘導加熱パネル
アスファルト舗装
接着層
グースアスファルト舗装
接着層
鋼床版
加熱
渦電流
うず電流
加熱パネル
(内部にコイルあり)
磁力線
IH 式加熱撤去工法(イメージ)
注)電磁誘導加熱技術とは
鉄系鍋
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渦電流
IH 式加熱機械
コイルに強い高周波電流を流すと、強力な磁界が発生しま
す。その磁界上に電気を通しやすい鉄やステンレスといっ
た金属を置くと、電磁誘導により渦電流が発生し、その結
果、抵抗により金属自体が発熱するものです。
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IH 式調理器の仕組み(イメージ)
IH 式舗装撤去工法の特長は、以下のとおりです。
①鋼床版とアスファルト舗装の界面を加熱し、それらの接着を緩めることにより、アスファルト舗装の剥
離・撤去が容易に行えます。
②騒音の発生を抑制でき、沿道や作業時の環境改善に寄与できます。
③鋼床版をほとんど傷つけることなく、アスファルト舗装の剥離・撤去が可能です。
今後の展開
IH 式舗装撤去工法の実施工については、施工能力やコストの点で課題は残るものの、今年 1 月の東京支店・
首都高集中工事でも本工法が設計に盛り込まれ施工を実施するなど、
「都市部における鋼床版上舗装の低騒
音撤去工法」として注目を集めております。今後は技術提案等積極的に展開していく予定です。
(トピックス)2/1 付けで日刊建設工業新聞、日刊建設通信新聞、日刊建設産業新聞、橋梁新聞の計 4 紙に、
本工法の紹介記事が掲載されました。
問合せ先
KAJIMAROAD
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技術部 三根([email protected])
KIT Vol.37