靴型修正と検証結果 ∼婦人靴を中心に∼

Digital Human Research Center
靴型修正と検証結果
∼婦人靴を中心に∼
河内まき子
産業技術総合研究所
デジタルヒューマン工学研究センター
2014/03/14
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靴型修正
Digital Human Research Center
2011年度 基本靴型選定 ボール線角度修正検討
ボール線角度修正検討
2012年度 ボール線角度修正靴検証 靴底修正検討
靴底修正検討
ボール線角度修正
靴は、細身で足が
薄い人に好まれる
足長サイズ6
足囲サイズ3
靴タイプ2
15分歩行
後の評価
2013年度 靴底修正検討 合体修正検証
合体修正靴検証
アロ
メトリ
足長サイズ6
足囲サイズ4
靴タイプ4
15分歩行後
の評価
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基本靴型の選定
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■  ヒール高が約6cmの市販の靴で、
履き心地が良いという評判があり長期に売れている靴
を作った靴型から選定
–  4種の靴の履き比べ実験(23cm)
–  靴のボール位置と足のボール位置の一致度を調べる
–  58名が評価
■  4足のうちで最も良いと評価し、かつこの履き心地な
らば買っても良いと評価した人が多い靴を選定
■  靴のボール位置と足のボール
位置の関係を調べる
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ボール線角度修正-1
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■  どの靴も、外側ボールの位置が足
よりも前方にある(婦人靴、紳士
靴に共通の傾向)
■  靴のボール位置を足のボール位置
に合わせる
ボール線角度
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ボール線角度修正-2
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■  ボール外側部の靴底が深い→スペーサ使用
■  ボール外側部上面を薄くする
基本靴型とボール線角度修正
靴型の3次元形状の比較結果
緑:ほとんど差がない
水色∼青:修正靴型の方が小5
黄色∼赤:修正靴型の方が大
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スペーサの役割
■  ボール線角度修正
におけるボール外
側部靴底の肉盛り
により、靴内靴底
形状が変化して足
と靴底の間にス
ペースができる
■  スペーサがこのス
ペースを埋めるの
で、足のボール外
側部は靴底に接す
るようになる
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靴底形状修正の検討
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■  足裏と靴底の接触面積をふやし、靴内の足の前すべり
を止める
■  踵部を深くする→おわん修正
■  アーチ部を持ち上げる→アーチ持ち上げ修正
おわん深さ
基本:2mm
4、6、8mmを検討
22名が評価→おわん深さ6mmの評価が高い
アーチ持ち上げ
基本:0mm
2、4mmを検討
おわん深さ
6mm+アーチ持ち上げ2mm
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おわん6mm修正を採用
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■  おわん深さを6mmにする
ここにおわん修正の
靴型の図
8
合体修正=ボール線角度+おわん6mm
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■  Sakuraタイプ
ここに合体修正の靴型の写真
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内盛りタイプ
■  ボール線角度修正は口周り線の親指付近がきつくなる
傾向がある
■  1つ小さい足囲サイズのボール部内側に肉盛り
■  足囲が基本タイプと同じになるよう、足囲サイズグ
レーディング
–  基本靴型と足囲は等しいが、
ボール部の幅が広く、厚みが
薄い
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女性108名による評価:内盛り/合体修正
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■  ふだんからヒール5cm以上の靴をはいている人
■  ふだんはいている靴の足長サイズが22∼24.5cm
■  靴サイズ 足長サイズ6(22∼24.5)
足囲サイズ4(C、D、E、EE)
■  足の寸法と形状を測る
■  適正サイズを選ぶ
■  基本タイプと内盛りタイプを比較
■  好きなタイプで無修正靴と合体修正靴を比較
VAS (Visual
analogue scale) 法
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評価結果:基本タイプと内盛りタイプ
■  どちらが好きか?
■  評価得点が80点以上の人の割合は、内盛りタイプが加
わると32%→56%
■  評価得点が60点未満の人の割合は、内盛りタイプが加
わると31%→9%
靴評価得点(100点満点)
70
60
50
人数
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–  ほぼ半々
40
30
20
10
0
0-20
20-40
40-60
60-80
80-100
基本タイプ
4
8
22
39
35
基本と内盛りの良い方
1
4
5
38
60
12
評価結果:無修正と合体修正
■  どちらが好きか?
■  評価得点が80点以上の人の割合は、合体修正が加わる
と36%→54%
■  評価得点が60点未満の人の割合は、内盛りタイプが加
わると26%→10%
無修正vs合体修正 N=108
60
50
人数
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–  ほぼ半々
40
30
20
10
0
0-20
20-40
40-60
60-80
80-100
修正なしの得点
1
3
24
41
39
無しか合体の高い方の得点
0
1
10
39
58
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修正靴は、どんな足の人に効果があるか?
■  足の3次元形状分析(104名の右足データ)
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–  主成分分析法
–  多次元尺度法
■  どちらの靴が好きかにより、104名を2群に分け、形
状特徴の得点に有意差があるかどうかをt-検定
好きな靴に
より、どの
特徴に差が
あるかを検定
相同モデル化
統計的分析
形状特徴の抽出
主成分分析(PCA)
多次元尺度法(MDS)
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内盛りタイプ:第7主成分に有意差
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■  ボール部の幅は広いが厚みがない人が好む傾向がある
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合体修正
40
■  全員
30
–  細身でボール断面が薄い人
(MDS尺度5得点が+)
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■  基本タイプが好きな群
–  指断面幅が大きく、おそらく
大きめの足長サイズを履かざ
るを得ないであろう人
(PC09得点が−)
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Dim5-3SD
10Dim5+3SD
0
-50 -40 -30 -20 -10 0
10 20 30 40 50
■  内盛りタイプが好きな群
–  ボール断面の中央部がとくに
薄い人(PC10得点が−)
PC09
+3SD
-3SD
PC10、平均形状と
比べた-3SD形状
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提案靴型修正まとめ
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■  提案修正靴型は
–  修正靴型を加えることで、「かなり満足度の高い」靴を
みつけることができる人が約35%から約60%に増加する
–  基本タイプ無修正靴型では満足できなかった人の一部に、
新しい履き心地を提案できる
–  靴型・足形・フィット情報を集積する第一歩
■  基本タイプ・無修正靴型
–  Hikariタイプ
■  基本タイプ・合体修正靴型(ボール線角度修正+おわ
ん深さ6mm)
–  Sakuraタイプ
■  内盛りタイプ・合体修正靴型
–  Fujiタイプ
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今後の課題
■  6cm以外のヒール高
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–  ローヒール、フラット、8-10cmヒール
■  グレーディングの方法:足のアロメトリと靴型のアロ
メトリ
■  店頭での推奨方法
■  靴型・足形・フィット感の関係分析
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ご清聴ありがとうございました
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参考­2:歩行ルート(H25年度)
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■  全長1.25km
■  自宅から駅まで歩
く、を想定
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参考-2 紳士靴型の評価
■  ボール線角度修正による履き心地向上効果はなかった
■  靴底修正は、おわん深さ修正のみを検討した結果、お
わん深さ4mmを採用した(基本靴型では1mm)
■  103名による評価実験では、基本靴と修正靴を好む人
は半々であった(平均年齢47歳、週5日以上ビジネス
シューズをはく人が76%)
–  修正靴を良いと評価した理由:足が靴の中で動かない;
踵まわりのホールド感がよい
–  修正靴を悪いと評価した理由:踵がうく、甲が当たる
–  基本靴が悪いと評価した理由:踏まずのサポート感がな
い;足が靴の中で動く;踵の底が固い
基本靴型と修正靴型の比較
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