KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Role of the primary auditory cortex in auditory selective attention studied by whole-head neuromagnetometer.( Abstract_要旨 ) Fujihara, Naohito Kyoto University (京都大学) 1999-11-24 http://hdl.handle.net/2433/181267 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 名 遥 遠 士 岩 造 学位( 専攻分野) 博 ( 医 学) 学 位 記 番 号 論 医 博 第 1 7 01号 学位授与の日付 平 成 1 1年 1 1月 2 4日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4条 第 2項 該 当 学位論文題 目 Rol eoft hepr i ma r ya udi t or yc or t e xi naudi t or ys e l e c t i veat t e nt i ons t udi e d bywhol e he a dne ur oma gne t ome t e r . ( 聴覚 選択 的注意 にお け る一 次聴覚 野 の役割 ( 主 論文調査委員 全頑型脳磁場計による検討 査) 教 授 川 口三 郎 論 ) 教 授 橋本信夫 文 内 容 の 要 教 授 柴崎 浩 旨 (目的) :ヒトの能動的注意に伴 う脳活動の変化を電位 または磁場の形で捉えることが可能である。刺激呈示後 2 0 0ミリ秒 以内は初期の選択的注意処理過程 と考え られ, この早い潜時帯で生 じる成分の発生機序を解明することは,注意処理機構を 明 らかにする上で重要である。 この早期成分の中では,聴覚刺激に対 し潜時 1 0 0ミリ秒前後で観察 される一次聴覚野由来の NI O O( 電位)または Nl o om ( 磁場)成分が,選択的聴取課題遂行により振幅が増大 し,聴覚注意を反映する現象 として注 目されてきた。 しか しなが ら, この現象が一次聴覚野の活動その ものの増大なのか,一次聴覚野以外の脳活動が重畳 してき たものなのかは明 らかになっていない。そこで本研究では,音刺激の選択的聴取課題遂行中に脳磁場 と脳電位を同時記録 し, 注意処理における大脳皮質機構を非侵襲的に検討 した。 2名に音刺激の選択的聴取課題を行わせ, 6チャンネル ( Fpz ,Fz ,C3,Cz ,C4,Pz )の脳 ( 対象 ・方法) :健常成人 1 電位 と 1 2 2チャンネルの脳磁場を全頭部 より同時記録 した。選択的聴取課題では,無作為に左右いずれかの耳 に 3 0 0ミリ秒 か ら5 0 0ミリ秒の刺激間隔で,9 0 0Hzもしくは 9 5 0Hzの トー ンバース トをそれぞれ 9 0 % と1 0 % の確率で呈示 した ( 9 0 0 Hz( 左):9 5 0Hz( 左):9 0 0Hz( 右):9 5 0Hz( 右) -4 5 %:5 %:4 5 %:5 %) 。指定 した耳に注意を払い,当該側の低頻度 育( 9 5 0Hz)の呈示回数を数えるように指示 した。脳磁場 は 0 . 0 3-1 0 0Hz ,脳電位は 0 . 0 7-1 2 0Hzの周波数応答で増幅 し, 音刺激開始時点を基準 に して,音刺激前 1 0 0ミリ秒か ら後 6 0 0ミリ秒のデータを加算平均 した。左耳へ呈示 した高頻度音 ( 9 0 0Hz)刺激に対する脳電位 ( NIOO成分) と脳磁場 ( NI O Om 成分)の変化を,左耳注意条件下 と右耳注意条件下の間 で比較 した。 また同様に,右耳へ呈示 した高頻度音 ( 9 0 0Hz)刺激による反応を,右耳注意条件下 と左耳注意条件下の間で 比較 した。次に,注意時および非注意時における高頻度音に対する脳磁場成分 NI O Om の電流源推定を行 った。さらに,注 意時の高頻度音に対する脳磁場波形が,非注意時のそれの推定電流源の活動が単に増大 したものとして説明できるか否かに ついて,検証を行 った。 ( 結果) : (1)NI O O成分は,左右いずれの耳の刺激の場合 も,全被験者で注意時に増大が認め られ,選択的聴取課題が O Om 成分は,選択的注意によって増大 し,その増大は右耳刺激 適切に遂行 されたことを示 した。側頭部か ら記録 される NI では 1 2名中 7名,左耳刺激では 1 2名中 3名でそれぞれ両側性に,また左耳刺激の 4名では右半球のみに認め られた。なお, 両側性に増大を示 した例の中では, 1例を除 きその増大は右半球により顕著であった。(2)NI O Om の電流源は注意時,非 注意時 ともに一次聴覚野に推定 された。 また,注意時の電流源は,非注意時 と比較 して大 きさが有意に増大 していたが,電 流源の推定位置には有意な相違を認めなか った。 (3)非注意時の NI O Om の推定電流源によって,注意時の NI O Om の分 布 も説明で きた。このことは,選択的聴取課題遂行に伴 う NI O Om の変化が,一次聴覚野以外の活動の寄与 によるものでは な く,一次聴覚野その ものの活動の増大である可能性を示唆 した。 ( 結論) :(1)NI O Om に反映 される聴覚選択的注意効果は,主 として一次聴覚野における脳活動の増大による.(2)聴 -1 5 2 7 - 覚選択的注意の効果 は,右半球に優位 にみ られる。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本研究では,大脳皮質での選択的注意処理過程の解明を目的 として,聴覚誘発反応の早期皮質成分の注意 による変動を検 2名を対象 として,左右の耳へそれぞれ 2種類の音が別 々に呈示 される条件下で,-側耳 に注意を向け榛 討 した。健常成人 1 的音を検出する選択的聴取課題遂行中に,聴覚誘発脳磁場 と聴覚誘発脳電位を同時記録 した。 なお,脳磁場 は 1 2 2チ ャ ンネ ル全頭型脳磁場計測装置で記録 した。音刺激開始時点を基準 に して各刺激 に対する反応を加算平均 し,非榛的音に対する反 応を注意時 と非注意時 との間で比較 した。その結果,脳電位の NI O O成分 は,全被験者で注意時にその振幅が増大 した。右 2名中 7名で両側側頭部 に NI O Om 成分の増大が認め られた。一方左耳刺激では,1 2名中 3名で 耳刺激の脳磁場記録では,1 両側性,1 2名中 4名で右半球 にのみ増大が認め られた。両側性 に増大 した 1 0名中 9名では,刺激側にかかわ らず注意による 増大 は右半球でよ り顕著であ った。 NI O Om の電流源 は,注意時 と非注意時 ともに左右それぞれの一次聴覚野 に推定 され, 注意時にその部位の電流源の活動が増大することが示 された。以上の所見か ら, N I O Om に反映 される選択的注意効果は, 主 として一次聴覚野の脳活動増大によるものであ り, しか もその効果は右半球優位であることが示 された。 以上の研究 は選択的注意の早期の処理過程の解明に貢献 し,聴覚注意処理機構を明 らかにす る上で寄与す るところが多 い。 したが って,本論文は博士 ( 医学)の学位論文 として価値あるものと認める。 なお,本学位授与申請者 は,平成 11年 1 0月 5日実施の論文内容 とそれに関連 した研究分野並びに学識確認のための試問 を受 け,合格 と認め られたものである。 -1 5 2 8 -
© Copyright 2024 ExpyDoc