水素エネルギーシステム Vo 1 .35, No. 4( 2 0 1 0 ) トピックス トヒ。ックス 油脂の水素処理による軽油代替燃料生産 ーノミイオ水素化軽油 (BHD) 松村幸彦 広島大学 干7 3 9 8 5 2 7 広島県東広島市鏡山 1 す1 . 1 はじめに 学的あるいは生物化学的な処理を行って得られるもので ある。これに対して、植物から直張得られるパーム油やひ 水素は、さまざまな周志に適用されるが、バイオマスの まわり油、新重油などを直謝吏うことも考えられるが、通 分野でもその用途はある。代表的なところでは、水素化脱 常、これらをそのまま利用することは少ない。これは、こ 酸素による発熱量の向上や改質 [ 1 ]であり、急速都瀞油 れらの油が長鎖の脂肪酸がグリセリンとエステルを構成 などに用し、られる。近年、バイオマス由来の油脂分から軽 したトリグリセリドの形を取っているために、粘性率が高 油代替燃料を得る反応として水素処理が用いられる例が く、現在のディーゼル機関に直張燃料として供給すること 告されている。興味をお持ちの方もあるよう 記事などで幸R が望ましくないためである。粘性率を低下させるためには なので、ヰヰ高では、入手できる↑静陪整理して紹介するこ 分子量を小さくすればよしこのため、これらの油を使用 とにしたい。 する場合にはメタノールと反応させて、バイオデ、イーゼル 1 ) で表される。 燃料とする。このときの反応は式,( 2 . バイオ水素化軽油(日D ) とは 。 目 バイオマスから得られる液体燃料としては、表 1に示す R1-COO H2 RII-COO-CH + 3CH30 H R111-COOCH2 回 ように、急速熱分解油、直蹟夜化油、間協夜化油、メタノ R , -COOCH~ HO-CH RlLcoocH;+HOやH乙 R1 -COOCH3 HO-CH2 I 1 司 ール、ジメチルエーテル、バイオディーゼル、エタノール、 一一歩 ブタノールなどがある凶が、いずれもバイオマスに索引七 ω 表1.バイオマスから得られる各樹琳燃ヰ 液体側斗の種類 概要 急j 親ゆ解油 バイオマスを側む程度で瞬間的に索ぬ理することによって油を得る 直張ヲ夜化油 別む程度の加圧熱水中で処理することによって油を得る バイオマスを3 間接液化油 バイオマスを一度ガス化して、このガスからフイツシャー・トロプ。シュ反応によって炭化水素 を得る メタノール バイオマスを一度ガス化して、得られた合成ガスからメタノールを合成する ジメチルエーテル バイオマスを一度ガス化して、得られた合成ガスからジメチルエーテルを合成する バイオディーゼル 油脂とメタノールを反応させて、脂肪酸のメチルエステルを得る エタノール デ、ンフ。ンキ糖を酵母で発酵させてエタノールを得る ブタノーノレ クロストリジウムという微生物を使い、アセトン、ブタノール、エタノーノレを同時に発酵によ って生産する -75- 水素エネルギーシステム Vo 1 .3 5, No. 4( 2 0 1 0 ) トピックス なお、これらの油はオクタン価が低いため、ガソリン燃 料としての利用はほとんど考えられなし¥ 合軽油約1 側 Lを、洞爺湖温泉とサミット会場開をj 童話予す るシャトルパス等に供給することが報道されている凶。 海外では、フィンランドのN田 飴 αl がNEXBTL フ。ラント 一方、分子量を小さくするためには、メタノールと反応 させず、水素と反応させることも考えられる。筑ゆ 制。C、 という名称で大規模プラントを建設、この燃料を生産して 6 " ' ' 1 0 M P a の高温高圧で水素を作用させれば、油脂の水素 いる。フィンランドのフラントは 2ヶ所あり、パーム油、 化分解を行うことができる。この場合の反応は理想的には 副方の混合物を原料として、合計で38 万ぜ年 菜種油、動物H の生産を行っている 生産された燃料の市場は、欧州と北 O +12H2 米である。また、シンガポールで80 万ぜ年のプラントを 2010 年の1 1 月から運転開始しており ω RU 。ι 0 0 ι H ワ ι + HEH, H CCC HHH + quququ HHH CCC ↓ RRR R1 -COO-CH2 RII-COO-CH R1 I-COO-CH2 ロッテルダムにも 80 万ぜ年のプラントを2011 年の完成予定で建設中である。 5 , シンガポールのフ。ラントでは1 2 0 人の雇用を生んでいる [ d。 となり、パラフィンとフ。ロパン、水が得られる。こうして 5 . 記号 得られるパラフィンを主成分とする液体燃料がバイオ水 BHD:BHDとは、 B i oH y d r o f i n e dDi蹴l の略で、あり、ノミ 素化軽油 (BHD) と呼ばれる燃料である。 素化軽油を示す。上記の東京都を含む研究グルーフ。 イオフk 3 . バイオ水素化軽油(問。の特徴 が利用している用語であるが、学制詰去や海外の報告ではこ の用語は用いられていなし 1。 バイオオ℃素イじ燃料は主成分がパラフィンであり、含酸素 /kgの高し溌熱量 閥斗でなし、ために、発熱量は高く、 47MJ 参考文献 を得ることができる。 2号軽油と比較すれば、密度は多少 1 . Q .Z h a n g ,J . αl3l1g, T .WangandY .x i 凶 E副 部TC o n v e r s .M a n a g e . 4 8 ,8 7 切 鉱 閉? J . F e n n e n t血 溜 事 π , 5 7 5 '5 7 8 ( 1 悌4) ゆもほど大きい。セタン価は9 8ときわ 低く、動粘性係数は1 8Cと高い値を示す。セタン めて高く、また、引火点も 9 0 ・ 坂,オ」 2 . 日本エネルギー学会編;"バイオマスハンドブック H 第2 是鎖パラフィンであるセタンを基準に測定されてい 価が、 f ることからもわかるように、王期生用いられているディーゼ ム社倒籾) 3 .h t t p : / / w w w 担 即W.I明 . o r jJY凶n o l ゆ問料験制lBmia1sIP3 . 凶 ω1 0 .1 1 .1 7アクセス) ルエンジンをそのまま利用することが可能である。これは、 代替燃来十として大きなメリットである。また、油脂の中に 4 .h ! 匂i . / ! n 司:o na j p ' a r 出話獄泊。7 t 0 3 ' l 1 1 2 3 8 l r 血乱 ω 1 0 . 1 1 . 1 7アクセス) 相生する二重結合は、水素の付加によって単結合となるた め、酸化に対する安定性も向上する闘。バイオマスには 5 .h t t p : / / w w w . n e s 凶 ∞m J 抽 吐 同 初 出 二1 , 4 1 , 5 4 0 , 1 2 5 9 , 1 2 6 1 , 0 0 6 3 , 1 0 錨 もともと酸素が含まれているため、バイオマスから得られ る液体燃料で、これだけ高し溌熱量やセタン価を得られる ω 1 0 . 1 1 .23アクセス) 6 . h t t p : / / w w w l鴎 刷 倒n 雄血u l t a s p ? p r 仕F1, 4 1 ,湖沼5 9 , 1 2 6 1 , 1 3 例はフィッシャー・トロプシュ合成油以外になく、軽油代 替燃来十として望ましい性質を示十燃料である。 4 . バイオ水素化軽油(聞)の使用例 素イ曜油は、我が国では東京都、 トヨ夕、 このバイオフk 新日本石油、日野自動車の共同研究として開発が進められ、 似 BHD 加 7 年1 0 月1 0日 か ら 湖 畔3 月3 1日の問、軽油に1 パスによる走行実験も行われ を混合した側斗を用いて、朝3 配 た。さらに、加鮮の洞爺湖サミットでは、 BHD10% -76- , 1 側 4ω1 0 .1 1 .23アクセス) 2 9 1
© Copyright 2024 ExpyDoc