Journal Club 2012.5 Fryer Journal Club 2012.5 Fryer Inappropriate Requesting of Glycated Hemoglobin (Hb A1c) Is Widespread: Assessment of Prevalence, Impact of National Guidance, and Practice-to-Practice Variability Owen J. Driskell1, David Holland2, Fahmy W. Hanna3, Peter W. Jones4, R. John Pemberton5, Martin Tran1 and Anthony A. Fryer1,* 1Department of Clinical Biochemistry, Keele University School of Medicine, University Hospital of North Staffordshire, Stoke-on-Trent, UK; 2National Pathology Benchmarking Service, Department of Medicines Management, and 4School of Computing and Mathematics, Keele University, Staffordshire, UK; 3Department of Diabetes and Endocrinology, Norton Unit, University Hospital of North Staffordshire, Stoke-on-Trent, UK; 5Diabetes UK North Staffordshire Branch, Newcastle-under-Lyme, Staffordshire, UK. * Address correspondence to this author at: Department of Clinical Biochemistry, Keele University Institute of Science and Technology in Medicine, University Hospital of North Staffordshire, Hartshill, Stoke-on-Trent ST4 7PX, UK. Fax +44-1782-744568; e-mail [email protected]. ジャーナルクラブ 急性冠不全症候群、および急性冠不全を伴わずに血中トロポニン濃度が増加した患 者群の、高感度心臓トロポニン T の絶対的・相対的な動態変化 ■要旨 【研究背景】依頼される病理検査のうち、約 25 %は必要ではないと推測されている。糖尿病でさえ、国家的ガイダンスに よって推奨する検査頻度が提唱されているが、検査依頼の慣習には多くの種類がある。糖尿病マーカーである HbA1c を 用いて、我々は(a)検査不足または過剰検査の広がり、(b)普及に対する国際的ガイダンスの影響、(c)診療ごとのばら つきを調査した。【方法】我々は北スタフォードシャー州大学病院の臨床生化学によって行われる HbA1c の依頼(2001 年 1月から 2011 年 3 月までの期間において、115,730 名の患者の 519,664 件の依頼)を調査し、検査依頼の間隔がガイダ ンスから外れている依頼の普及について算出した。検査依頼は“適切”、“早すぎ”、“遅すぎ”に分類した。我々は普及に 対し、診療ごとのばらつきに加えて、人口統計的な要因やガイダンスの出版の効果についても評価した。【結果】検査依 頼のうち 49 %だけがガイダンスに合致していた;21 %が早すぎであり、30 %が遅すぎであった。一次診療や女性患者、若 年の患者、概ねコントロール不良の患者においては依頼不足が多かった(全て、P < 0.001);逆は過剰依頼が多かった。 ガイダンスの出版(例えば、米国糖尿病協会、英国国立臨床研究所)は検査依頼の不足または過剰な検査依頼に対し、 有意な影響はなかった。不適切な検査依頼の実施は、診療の間で約 6 倍の違いがあった。【結論】過剰な検査依頼は多 いが、検査依頼の不足はより広がっており、長期的な健康上の転帰に強い影響がある。国家的ガイダンスは検査依頼 の慣習を変えるには効果がないように見え、ばらつきを減らすようなアプローチが必要である。 ■本文 世界の健康管理費用は質を維持しつつも、コストを削減するプレッシャーに直面している。特に病理学的検査は、診 断や治療に影響する全ての健康管理の決定の 70-80 %におよぶため、臨床検査の利用はこの圧力から逃れることがで きず、例えば英国の国民健康保険(NHS)6 は、年間£2.5 億(4 億 US$)の費用がかかる(NHS の全支出の 4%に相当す 1 Journal Club 2012.5 Fryer る)(1)。さらに多くの研究室において、年間平均 8%-10%の仕事量の増加に直面している。 不適切な検査依頼管理の重要度が増している。多くの報告書において病理検査の約 25 %が不適切であると見積もって おり(1、2)-ある研究ではもっと多く見積もっている(2、3)-財源の莫大な無駄と述べている。英国保健省の Carter 報 告では、“おそらく依頼不足と同じだけある”と認め、英国の病理検査サービスの再検討を要請した(1)。これについて論 文報告された証拠はほとんどなく、恐らくそのようなデータを得ることの難しさを反映しているのだろう。 一般開業医(4-7)と病院(8)の間で、検査依頼の種類に大きな違いがあることも、不適切な依頼が普及しているという意 見を指示する。これは、米国糖尿病協会(ADA)(9)や英国国立臨床研究所(NICE)(10、11)、カナダ糖尿病協会(12)な どが検査頻度についてガイダンスを出している糖尿病(DM)のような疾患においてでも認められた。このように種類が多 いことや、過剰検査や検査不足などの不適切な検査の普及と影響を特定するための新たな試みによって、患者の不便 さを減らす事に繋がり、限りある健康サービス資源を患者の利点とすることができるだろう。 不適切な検査依頼の規模を特定するため、我々はモデルとして糖尿病患者に対する糖化ヘモグロビン(HbA1c)のガイ ダンスに則っていない検査の依頼の普及状況を特定した。我々は、10 年以上の期間に渡る、115,730 名の患者の 519,664 件の HbA1c の検査依頼のデータを用いて、イギリスとアメリカでのガイダンスの出版の影響も調査した。一次診 療からの検査依頼を用い、一般開業医の間の普及のばらつきについて明らかにした。 ■対象 患者 我々は、英国 North Staffordshire NHS Trust 大学病院臨床生化学科の Lab Centre Laboratory Information Management System database (Clinisys 社)から、2001 年 1 月から 2011 年 3 月までの全ての HbA1c 検査依頼 (n=520,273)のデータを抽出した。この間、限られた地域において、HbA1c が診断ツールとして用いられているという証拠 (検査依頼によってもたらされる臨床上の詳細から)はわずかしかなかった。 集められたデータは、依頼データ、HbA1c 結果、匿名化した患者識別番号、年齢、性別、依頼者の情報を含んでいた。 データは外部品質保証を省くため、Excel2007(Microsoft)で処理した-検査と,それぞれの固有患者 ID に割付けられた 検査依頼を関連付けたため、患者個人の検査結果の間隔の長期的な評価が可能となった。これが 115,730 名の患者か らの 519,664 件の検査のコアセットとなった。予想通り、調査期間の間に、他の患者は主要群にいるが新たな患者も加わ った。そのため 115,730 名には、調査期間中に加わった患者も含んでいる。 ■依頼不足と過剰依頼の定義 I 型および II 型糖尿病の英国 NICE のガイダンスでは、不安定型糖尿病の患者において HbA1c を 2~6 ヶ月間隔で測 定し、新たな定常状態よりも変化の方向性の指標として使うためには、3 ヶ月以下の間隔で検査をすること推奨している (10、11)。治療を変更しない安定型糖尿病では、6~12 ヶ月間隔の検査が推奨されている。これは NHS Clinical Knowledge Summaries でも補足されている(14)。同様に、ADA は治療目標を達成している患者(また、血糖コントロール が安定している患者)に対して、1 年に少なくとも 2 回の検査を推奨し、治療内容が変動したり、血糖値が目標値に達成し ていない患者に対しては、1 年に 4 回の検査を推奨している(9)。ガイダンス内の更なる詳細は補足資料の Table1 にあり、 http://www.clinchem.org/content/vol58/issue5 にあるこの論文のオンラインバージョンで入手できる。NICE や ADA で提 唱しているとおり、安定した血糖コントロールを定義するための HbA1c のカットオフ値は 7.0 %以下(53 mmol/mol 以下)で あるため、我々は検査依頼を“早すぎ(過剰依頼)”または“遅すぎ(依頼不足)”と定義をするために、ガイダンスが推奨 2 Journal Club 2012.5 Fryer している以下の検査間隔を用いた:早すぎる検査依頼は、最初の HbA1c が 7.0 %以下の患者に対して 6 ヶ月以下の間隔 の検査依頼や、最初の HbA1c が 7.0 %以上の患者に対して、2 ヶ月以下の間隔の検査で構成されている;遅すぎる検査 依頼は、最初の HbA1c が 7.0 %以下の患者に対して、前回の検査から 12 ヶ月以上経過している検査依頼や、最初の HbA1c が 7.0 %以上の患者に対して、前回の検査から 6 ヶ月以上経過している検査依頼となっている。前回の HbA1c 値 は、次回の検査依頼を適切な間隔にするために用いられていた。そのため、患者の血糖値コントロールが次第に変化す るのに合わせ、それぞれの患者にとっての適切な間隔は変わるだろう。 ■データ分析 我々は 2 つのアプローチによってデータを分析した。最初に、調査の全期間(すなわち、9 年の調査期間)のデータを用 いて、2010 年の間に依頼された検査(2010 データセット)から、早すぎるまたは遅すぎる検査依頼の普及について、正 確な評価を算出した。遅すぎる検査依頼は、データ収集期間が長くなるほど増えることが データ計算から分った(オンラ インの補足資料 Fig.1 参照)。データ収集期が進むにつれて、検査と検査の間の期間が長い患者が、遅すぎる検査を示 す図の領域に含まれているので、この点は予想できた。この普及に関する推察は 9 年で頭打ちとなったので、データ収 集期間をさらに延長しても推察の質を向上させるとは思えなかった。反対に、早すぎる検査依頼の普及は比較的安定し ており、データ収集期のベースラインの長さに関係はなかった。早すぎる検査依頼の定義は 3 ヶ月以下または 6 ヶ月以 下のため、比較的短期間のデータ収集期が求められ、この点についても予想できた。我々は、早すぎるまたは遅すぎる 検査依頼の広がりについて、一般開業医(GP)の診療ごとのばらつきを評価するために、これらの 2010 データセットを用 いた。 検査依頼レベルよりもむしろ患者レベルで、不適切な検査が変わるのかを決定するために、我々は最初に MLwiN ソフ トウェアを用いたマルチレベルモデリングを使用した[version 2.22、Centre for Multi-Level Modeling、University of Bristol;この方法は Stata 統計ソフトウェア version 8.0 で、“xt”コマンドと一緒に“gllam”と“xtmixed”を用いることによって も入手することができる(15)]。モデルは 2 つのレベルに合致した:検査依頼データは患者データにネスト化した。モデル 内で、切片と傾きの両方は患者レベルで変化した(患者内での臨床検査結果間の相関関係の可能性を示唆している)。 しかし、どのモデルにおいても患者レベルでの有意な違いは認められなかった。それゆえ、我々は検査依頼レベルにお いて、ロジスティック回帰モデル(Stata“logistic”コマンド)を用いた;これらの解析は Result に示している。我々は、オッズ 比と有意差を得るために、Stata 解析ソフトウェアによってロジスティック回帰モデルを合わせ、早すぎるまたは遅すぎる 結果依頼の広がりと、年齢、性別、依頼者、血糖値コントロールの度合いの間の関係にについて検討した。 次に、我々は普及の経時変化と国家的ガイダンスの影響について、2003 年 1 月から 2011 年 3 月まで、前 2 年間を導 入期とし月ごとに評価した。例えば、2003 年 1 月時点の普及推定は、その月の間に依頼された検査から得た。それらを 導入期である 2001 年 1 月から 2002 年 12 月までの前データによって、早すぎるまたは遅すぎると定義した。同様に、2010 年 1 月の普及データは、2008 年 1 月から 2009 年 12 月までを導入期とし、2010 年 1 月に依頼された検査から算出した。 この 2 年間の導入期によって、早すぎる検査依頼の普及に関する推測を一定のものとし、普及の経時変化について同条 件での比較が可能となる。この短期間の導入期により、遅すぎる検査依頼の全体的な普及(オンラインの補足資料 Fig.1 参照)が過小評価されるように見えるが(9 年で停滞期に対し約 6%)、これによって月ごとの評価が可能となる。 ■結果 ガイダンス外に依頼される検査の普及 3 Journal Club 2012.5 Fryer 65,610 件の依頼からなる 2010 データセットの検討によって、11,614(17.7 %)がガイダンスと比較すると早すぎる検査 (過剰検査依頼)であり、 16,291 件(24.8 %)が遅すぎる検査依頼(検査依頼不足)であることが明らかとなった。以前の データ[例えば、Lyon ら(16)]と比較するため、我々はそれぞれの患者の最初の検査依頼を除外し(通常、適切であると 考えられている)、合計 54,537 件の反復検査依頼が残った。そのため、1 回しか検査依頼をされなかった患者は部分解 析から除外した。これは、モニタリングや検査依頼より診断による潜在的効果を低減した。 反復検査依頼のうち、21.3 %がガイダンスと比較すると早すぎ(過剰検査依頼)であり(Table 1)、HbA1c の検査費用が £3(US$4.80)とすると、測定費用だけで£34,842(US$55,747)に相当する。しかし、遅すぎる(検査依頼不足)とみなされ た反復検査依頼の割合は 29.9 %であり、測定費用は£46,242(US$73,987)に相当した。 Table1 は不適切な検査依頼の広がりに対する、患者と検査依頼者の影響をそれぞれ示している。二次診療(病院で の検査依頼)と比較して、一次診療(一般開業医)では遅すぎる検査依頼が多く、早すぎる検査依頼は少なかった(共に、 P < 0.001)。しかし一次診療による検査依頼は、反復検査依頼の総数の 87.5 %を占め、このグループがガイダンスから外 れた検査依頼の最も大きな要因であった(Table1)。早すぎる検査依頼は、糖尿病のコントロールが不良な患者よりも、 糖尿病のコントロールが安定している患者の方が多く(P < 0.001)、遅すぎる検査はその逆であった。反復検査の間隔の 分布を作成するため、 我々は 2003-2011 データセットを用いて、週単位の間隔で検査依頼の相対頻度をプロットした。 これらのデータは、一般開業医によるコントロールが良好な患者とコントロール不良な患者の両方において、3、6、12 ヶ 月に顕著なピークを示したが、病院での検査依頼のパターンよりも鮮明ではなかった(そして一般的にもっと早かった) (Fig.1、A と B)。 早すぎるまたは遅すぎる検査依頼の割合は、男性患者よりも女性患者で有意に多かったが、絶対差は少なかった(相 対頻度プロット参照)(Fig.1、C と D)。年齢について、最初に 5 年区切りの集団でデータを検討したところ、それぞれの年 代の I 型と II 型糖尿病の患者数は知られていないが、I 型と II 型糖尿病の患者の予想分布(データは示していない)から 予想した通り、年齢が高くなるにつれて偏りのある分布となった。この検討と分布図を基に、我々は患者を 40 歳未満と 40 歳以上のグループに分けることにした。早すぎる検査依頼は、2 つのグループで同様であった;しかし相対頻度プロッ トでは、40 歳以上のグループと対照的に、若年グループにおいて反復検査依頼のパターンに大きな変化が認められ、不 連続なピークはなかった(Fig.1、E と F)。年齢が高いグループでは、遅すぎる検査依頼が有意に少なかった(P < 0.001)。 全体的に早すぎる検査依頼が最も多かったグループは、二次診療によって検査依頼されている糖尿病のコントロール が良好な 40 歳以上の男性であった(41.6 %)。遅すぎる検査依頼が最も多かったグループは、二次診療によって検査依 頼されている糖尿病のコントロールが不良の 40 歳未満の女性であった(54.9 %)。 国家的ガイダンスの影響 我々は 2003-2011 データと 2 年の導入期を用いて、ガイダンスの影響を評価した。全体的に英国の糖尿病に関する National Service Frameworks、NICE ガイダンス、英国の一般開業医を対象とした Quality Outcomes Frameworks、ADA ガイダンスは、このガイダンスから外れている検査依頼の広がりを防ぐ効果はなかった(Fig.2)。 4 Journal Club 2012.5 Fryer 診療ごとの違い 我々は次に、それぞれの一般開業医の診療において、早すぎるまたは遅すぎる検査依頼の分布の違いを、2010 データ によって検討した。2010 では、早すぎる検査依頼の分布に関して、診療の間に約 6 倍の範囲(6 %-32 %)があった (Fig.3A)。遅すぎる検査依頼の分布もかなりの違いがあった(約 6 倍;9 %-54 %)(Fig.3B)。 表 1. Hb A1c.a の不適切な再検査依頼の広がり Too late, Factor Overall Primary care Total, n 54 537 47 698 Secondary care Female n (%) Too soon, P 25 706 11614 (29.9) (21.3) 14489 9274 (30.4) (19.4) (26.3) 0.82 <0.001 28 810 (0.77– 0.87) (34.4) 5607 (31.1) (21.8) (28.8) 1.12 <0.001 (1.08– 1.16) P OR (95% CI) 2330 7995 8290 Male n (%) 16291 1783 6783 OR (95% CI) 2.17 (2.05– <0.001 6003 (20.8) 2.29) 1.06 (1.02– 0.005 1.10) 1860 Age <40 years 3766 (49.4) 775 (20.6) 14431 Age ≥40 years 50 771 Well controlled 29 521 Poorly controlled (28.4) 0.41 <0.001 0.44) 10839 (21.4) 8099 8043 (27.4) (27.3) 8192 25 016 (0.38– (32.8) 1.29 <0.001 (1.24– 1.34) 1.05 (0.97– 0.266 3571 (14.3) 1.14) 0.44 (0.43– <0.001 0.46) a 有意差(P) 、オッズ比(ORs) 、95%信頼区間はロジスティック回帰を用いて計算した。 5 Journal Club 2012.5 Fryer 図. 1. コントロール良好な患者(最初の HbA1c < 7%)とコントロール不良な患者(最初の HbA1c ≧ 7%)に対する反復検査依頼 間隔の分布に関する相対頻度プロット:一時診療(A)、二次診療(B)、男性(C)、女性(D)、40 歳以上(E)、40 歳未満(F) 図. 2.ガイダンスによる最小の再検査間隔に準じた、2003 年から 2011 年の間の HbA1c 検査依頼の分布とこの分布に対する英 国の糖尿病に関する National Service Frameworks(NSF)、NICE、英国の一般開業医を対象とした Quality Outcomes Frameworks(QOF)、ADA などの国家的ガイダンスの影響(ガイダンスの詳細についてはオンラインの補足資料 Table1 参照)。 6 Journal Club 2012.5 Fryer Fig. 3. 2010 データセットによる、北スタフォードシャー州の 87 名の一般開業医における早すぎ(A)と遅すぎ(B)な反復検 査依頼の分布のばらつき。 ■考察 糖尿病患者に対して、反復検査の間隔がガイダンスから外れている検査が広まっていることが、この研究によって明 らかとなった。実際に、このガイダンスによると、反復検査のうち、51.2 %が不適切であった。我々は検査依頼のパターン や、一般開業医の診療の間に広まっている違いに対し、ガイダンス出版は影響を及ぼしていないことも示した。早すぎる 反復検査は、糖尿病マーカーである HbA1c の依頼の約 21 %を占めることが我々のデータで示されている。この普及は、 診療での過剰検査依頼 (1-3)、特に糖尿病での過剰検査依頼(17-19)に関して、以前、推察した結果と一致している。 最初に、我々は検査不足についても評価した。我々のデータは、遅すぎる検査依頼は検査依頼の約 30 %を占め、より多 くの検査の必要性を示している。しかし我々の分析は、少なくとも一部の患者に対して、ガイダンスに合致するために必 要な追加検査数を著しく過小評価している。例えば糖尿病のコントロールが良好な患者に対し、前回の検査から 3 年後 に依頼された検査は、 我々の分析では遅すぎる検査と定義した。しかし、ガイダンスに合致(6-12 ヶ月ごと)するために 依頼された検査依頼数は、実際には少なくとも 3 件だろう。もし、この検査不足に関する評価を我々のデータに当てはめ ると、2010 年におけるそのような検査の最小数は 30,313 件であり、検査費用は£90,939(US$145,502)に相当し、早すぎ る検査の費用よりも有意に多い。 この研究では、早すぎる検査が最も多いのは二次診療、コントロール良好な患者、高齢患者であり、遅すぎる検査は 反対の条件であることを示している。相対頻度プロットで評価した検査依頼パターンのうち少なくとも一次診療からの依 頼は、Lyon らによるカナダの研究(16)と同様であり、その研究ではカナダのガイダンス(12)に一致して 1、3、6 ヶ月での ピークを実証している。我々のピークは、3、6、12 ヶ月(1 ヶ月には恐らく肩がある)においてより顕著であり、最初の HbA1c 値が検査依頼パターンに少し影響するように思われるが、英国のガイダンスを反映している可能性がある。さらに、 二次診療の検査依頼パターンと若年患者に対する検査依頼パターンはもっと特殊なように思われ(はっきりとしたパター 7 Journal Club 2012.5 Fryer ンがない)、これらの領域に特に注意が必要であると強調している。興味深いことに、Lyon ら(16)が検査依頼間隔に毎 週スパイクがあると説明したように、我々もスパイクを検出し、一般開業医の診療内で毎週同じ日に採血が行われる傾 向を確認した(オンラインの補足資料 Fig. 2 参照)。相対頻度プロットによっても、ガイダンスの制限から外れて、一部の 患者は 1-2 週ごとに検査をする傾向があることが示唆されている。2 週間の“猶予期間”を含めるためにデータを再解析 をしたところ、早すぎるまたは遅すぎる検査の分布はそれぞれ 21.3 %から 18.2 %へ、29.9 %から 27.0 %に減少した。これら のデータは、検査依頼者、少なくとも一般開業医が推奨されている反復検査の範囲よりも、再検査の間隔に対する指針 を好むことを示唆している。 過剰検査に対する我々の見知は Salvagno ら(17)と一致しており、相対頻度プロットによって表されているとおり、明確 なカットオフ値(Table1)による入院データの解釈は注意をすべきと強調されるべきだが、3 ヶ月以内の反復検査は外来 患者(特に HbA1c > 7 %)よりも入院患者(特に HbA1c < 7 %)に多いということを彼らは示した。同様に、Akan ら(19)は、 過剰検査は外来患者よりも入院患者に対し一般的であり、外来患者においては HbA1c < 7 %で多いことを示した。検査 不足や年齢の影響について検討をした研究はなかった。この入院の影響は HbA1c に限ったことではないことも明らかで ある(18)。HbA1c が 7 %以上(53 mmol/m、必ずしも者分布は、一次診療と二次診療で同じであるため(約 44%)、二次診 療で過剰検査が多いことは、一次診療よりも二次診療にコントロール困難な患者(より頻回の検査が必要な患者)が多 いという要因を、必ずしも反映しているわけではないようである。若年患者において早すぎる検査が平均よりも少ないこと は、このグループにおいて遅すぎる検査が多いこと反映している。実際に、我々のデータでは、コントロール不良(HbA1c ≧7 %)の若年患者において、42.2 %(786/1862)の検査が遅すぎであった。この理由は、進学のために引っ越した学生は どこかでフォローアップをされているため、一部はデータセットの制限の反映だろう。しかし、相対頻度プロットによって示 されているように、若年患者のサービスへのアクセスや状態の調節が困難な I 型の患者数が、このグループで増加して いるなどの要因も重要である。Rankin ら(20)は I 型糖尿病患者に関する知識や理解が不足している理由として、若年時 の診断、 両親に決定責任があること、良くなったと感じると予約を忘れること、ケアの変遷、情報提供のばらつき、知識 の不足や不完全さに対する自覚の欠如を示している。これらの要因は、ヘルスケア専門職にこのグループに最適な検査 を提供しなければならないという問題を提示するだろう。 よく知られている項目でさえ、各一般開業医の診療やもっと大きな組織が依頼する検査に大きな違いがあるといった 意見は提唱されていた(4-8)。実際に O'Kane ら(7)は最近、HbA1c の状況においてこれを認めている。しかし、検査依頼 の妥当性に関するばらつきについて、これまで評価したことはなかった。一部の診療に対する教育や専門知識、基礎医 学教育のばらつき、患者の人口統計、リスクや訴訟への心構え、局所的知識の範囲などの要因がばらつきの原因とな るが、ヘルスケア全域の最善の診療をスタンダード化することが目標となるだろう。このばらつきを減少させるためのアプ ローチについて、他の所でも議論されており(2、3、13、 21)、この研究の範囲を超えている。過去の検査データや結果 に関するデータは、過剰検査を制限するための手段として提唱されている(3、13)。限られたヘルスケア経済において、 研究を行っていた期間の間、二次診療は一般開業医の結果にアクセスしていたが、逆はそうではなかった。2009 年 10 月、一般開業医が二次診療の結果にアクセスできるよう、電子依頼システムが始まった が遅かった。我々は不適切な 検査に対するこのシステムの効果を検討したが(最近の方法と過去の方法の比較)、驚くことに影響はほとんどなかった (データは示していない)。実際に我々は今、過剰検査を減らすという観点で、電子依頼システムの教育を強化する方法 を検討している。 8 Journal Club 2012.5 Fryer 我々のデータがはっきりと示したことは、全般的に国家的ガイダンスに従ってないことと、検査依頼方法に影響するガ イダンスの効果がないことである。英国では、I 型と II 型糖尿病の両方に対する NICE ガイダンスによって、HbA1c の再検 査間隔の最小と最大が提唱されている(10、11)。しかし、多くの他のガイダンスのように、このガイダンスは曖昧で証拠 立てていない。一般開業医のための英国の Quality and Outcomes Framework で表されているように、検査頻度に限った ガイダンスは非常に限られており、過去 15 ヶ月以内に HbA1c 検査を行った糖尿病患者の記録を、各診療科で維持する ことだけに焦点をあてている。これは限られた動機や、強固な証拠に基づいたガイダンスを支持するためのフィードバッ クの必要性を強調している。 検査不足の理由として、他の理由も考えられる:労働時間外は一次診療にアクセスしないこと、高齢患者の運動性に 影響する合併症、ガイダンスの認識不足などである。同様に、患者のプレッシャー、検査自体の能力に関する認識不足 などの理由から、患者はガイダンスよりも早く検査を受けるだろう(13、21)。これらの理由のいくつかはもっともであるが、 適格であるかどうか分からない。Smellie ら(22)は、論文として広がっているガイダンスは存在するが、検査依頼者よりも 検査スペシャリストに影響していることを示している。そのため、我々の研究は、費用の削減(直接的にも間接的にも)と 質の向上のためには、ヘルスケアサービスにとって不適切な検査が主な対象となるという意見を支持している。重要なこ ととして、 現在の国家的なガイダンスには効果がないことが明らかであるため、地域のヘルスケア経済全体を取り囲ん でいる新たなアプローチに多系統なアプローチを利用して、患者と検査依頼者の両方を取り込む必要がある(3、13、21)。 さらに、研究所は変化/違いを有意に特定するために必要な最小の検査間隔を検査依頼者に説明する必要がある。 上記の制限に加え、我々の分析は、HbA1c を診断のために利用することが、最近支持されていること、検査間隔に影 響をしている比較的少数の型に当てはまらない患者によるバイアス、2010 データセットの限定した導入期、I 型と II 型糖 尿病を区別することの難しさなどの要因によって影響されているだろう。これらの要因を緩和するために、我々は(a)単 発の検査依頼を削除するために反復検査に着目し、診断ツールとしての HbA1c の利用に関するガイダンスが出版され る前のデータを収集し、(b)結果が患者に特異的な要因によって影響されるか検討するためマルチレベルのモデリング を実施し、(c)遅すぎる検査の過小評価の大きさについてデータを示し(オンラインの補足資料 Fig. 1 参照)、(d)患者を 年齢によって分けた(我々はこれを採用したが、これはより多くの確かなデータがない糖尿病タイプの大まかな代用であ り、最善のものである)。 我々の研究によって推測された不適切な検査の広がりは限界があると我々は認識しているが、ガイダンスから外れて いる検査(検査不足と過剰検査の両方)は重要な問題であると我々のデータがはっきりと示している。この問題に筋の通 った理由があるとしたら、我々の研究では、一般開業医の間のプロトコルに大きなばらつきがあるようだと提唱するだろ う。Carter Report は不必要な過剰検査の費用削除に注目するため利用されているが、恐らく同じ量の検査が不足してい るという認識(1)は、我々の見知によって裏付けられている。このコストの意味合いは、少なくとも HbA1c では大きい。 我々のデータを英国の国家的状況に外挿すると、この 1 つの検査の追加検査費用だけで約£5 億(US$8 億)になる。し かしこの費用は、患者の潜在的利益やより良いコントロールと合併症の削減から生じるヘルスケア予算で相殺される。 そのため全体の患者の経路を考慮し、病理検査の影響を評価するためのより包括的なアプローチが適切である。最後 に、我々のデータは国家的な再検査間隔に関するガイダンスに基づいていることに留意すべきである。これらの間隔を 支持するために用いられた証拠は厳しく制限され、臨床転帰や患者に施される検査依頼パターンに対する潜在的影響 について、現在は理解が浅い。Fu ら(23)の最近のデータは、予期した通り、検査頻度と糖尿病コントロールは反比例の 関係であることを示している。この研究では、HbA1 を 7 %(53 mmol/mol)以下にするための最適な検査頻度は 1 年に 4 9 Journal Club 2012.5 Fryer 回であることを示している。Turchin ら(24)も、最初の HbA1c 値や治療に付随する因子、ヘルスケア専門家と会う頻度、 患者の人口統計のような交絡因子とは無関係に、糖尿病患者に対する頻回の HbA1c 検査によって、目標とする HbA1c 値に到達するまでの時間が短くなると示した。国家的ガイダンスによって提唱されている間隔に対しはっきりとした証拠 を提示するために、さらなるデータが求められている。 (訳者:間下 有子) Acknowledgments: We are grateful to the Health Foundation for the Shine award to A.A. Fryer and O.J. Driskell. Footnotes Previously presented at Focus: Association for Clinical Biochemistry National Meeting, Harrogate, UK, May 2011. 6Nonstandard abbreviations: NHS, UK National Health Service; DM, diabetes mellitus; ADA, American Diabetes Association; NICE, National Institute for Health and Clinical Excellence; GP, general practice. Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the Disclosures of Potential Conflict of Interest form. Potential conflicts of interest: Employment or Leadership: D. Holland, National Pathology Benchmarking Service, Keele University; P.W. Jones, Keele University. Consultant or Advisory Role: A.A. Fryer, National Pathology Benchmarking Service. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: O.J. Driskell, National Institute for Health Research Scientist Fellowship award (HCS/08/011), supervised by A.A. Fryer. Expert Testimony: None declared. Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of data, or preparation or approval of manuscript. Received for publication September 23, 2011. Accepted for publication January 19, 2012. © 2012 The American Association for Clinical Chemistry References 1. Department of Health. Independent review of NHS pathology services. http://www.dh.gov.uk/ab/Archive/IRNHSPS/index.htm?ssSourceSiteId=en (Accessed April 2012). 2. Rao GG, Crook M, Tillyer ML. 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