小原 康裕 氏 - 日本ホテルレストランコンサルタント協会(JHRCA)

株式会社パレスホテル
取締役社長
ホテリエはできるだけ若いうちに
「本物」を感じ取ってもらいたい
小原 私は日本のホテリエの皆さまに、できるだけ若いうちに
ヨーロッパの名門と言われるホテルに宿泊してほしいと願ってい
ます。若者に真に一流と言われるホテルが持つ独特のオーラを感
じ取ってほしい。ホテルはその国、その都市の文化や芸術の具現
化した象徴でもある。セレブリティ―の立ち居振る舞い、スタッ
フのスマートな応対などさまざまなものを感じ取ることで、グロー
バルな視点でものごとを見られるようになると思います。
今回の写真集のメッセージとして、日本の若いホテリエやホテ
ル業界を目指す若者たちに向けて、
「この写真集で紹介している
ホテルジャーナリスト
小林 節 氏
小原 康裕 氏
というものをしっかりと見極めていく必要があります。
パレスホテル東京の客室のスタンダードを 45㎡に決定するまで
にも、紆余曲折がありました。それはホテルのポジショニングを
どうするかにもかかわる問題です。建物トータルの面積は決まっ
ているので、部屋を広くすれば数が減る。部屋数を少なくすると、
コンベンションやセミナーが獲得できなくなります。
はじめに提案された客室は 36㎡でしたが、私の経験からする
とバスルームをしっかり造ったらそれでは少し狭い。次に出てき
たのが、42㎡、48㎡という案です。しかしそれでは 48㎡の部屋
が 42㎡の部屋に引っ張られて、売り方がとても難しくなります。
では 45㎡でやったら客室数はいくつになるのか。試してみたとこ
ろ 42㎡、48㎡の場合とほとんど同じ、290 室になることが分か
りました。290 室あればある程度の規模のコンベンションには対
応できます。そのような経緯で、45㎡に決まったのです。
小原 さすが目先のことだけでなく、
もっと先にある将来のビジョ
ンを見ていく小林社長の経営者としての視点を感じます。
実は、私には大きな夢があります。それは日本の確固たるアイ
デンティティーを世界に向けて発信できるホテルを東京につくる
ことです。部屋数は 50 室から 75 室。スタンダードルームで 50㎡
以上、単価は最低でも 800 ドル以上です。純和風の玉砂利の庭
を進んでいって、建物の中は完全にウェスタンスタイル形式。当
然専任のバトラーもいます。
経営者の視点ではそれぞれの経営指標、つまりレベニューマ
ネージメントでホテルを見ていく必要があると思いますが、私の
視点から言うとホテルは “ 夢 ” そのものなんです。
小林 その夢をかなえるという意味では、お金がたくさんあって、そ
世界をゴールイメージにしてほしい」という思いを込めています。
小林 確かにいいものを見たり、おいしいものを食べたりするこ
とは大切です。
小原 「本物に間違いはない」と思います。若いうちに一流とは
何なのかを知り、審美眼を磨くことが、その後の人生に大きな影
響を及ぼすでしょう。
小林 ホテルの経営者の視点は、ゲストの視点とは違います。ゲ
ストの視点に立てば、ふんだんにお金をかけたホテルは素晴らし
いということになるでしょう。経営者はそうはいきません。採算
Hotel Imperial
のホテルを所有していることがプレステージと考えられるオーナーが
いる形が理想なのかもしれません。
小原 最後に私から二つのトピックスがあります。まず、2014 年
2月 24 日発売の男性誌「GQ JAPAN」において、
「週刊ホテル
レストラン」プロデュースで約 40 ページのホテル特集が組まれる
のですが、その中で私が自分のホテル論を4ページで伝えます。
もう一つ。パレスホテル東京も加盟しているザ・リーディングホテ
ルズ・オブ・ザ・ワールドが全面協力している「はじまりは5つ星ホ
テルから」というイタリア映画が、渋谷の Bunkamura ル・シネマ
で2月1日からロードショー公開されました。2月8日に行なわれる
舞台挨拶では、オータパブリケイションズの村上実専務と私のトー
クショーを行ないます。機会がありましたらぜひご鑑賞ください。
The Savoy
The Hay-Adams
ー 2014.2.14 ー
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