71 - 近江八幡市立総合医療センター

近江八幡市立総合医療センター 薬剤部 2014.08.15
目次
1.添付文書改訂情報 P.1~
2.今月話題の薬剤 P.2~
3.新規採用医薬品情報 P.3~
4.今月のトピックス P.5~
1.添付文書改訂情報
効能効果、用法用量等の変更
※以下の採用薬につきまして、効能・効果、用法・用量の変更等の重要な改訂がありま
したので、臨時報告いたします。
一般名(主な薬品名)
変更箇所
改訂内容
一硝酸イソソルビド(アイトロール、
フランドル)
併用禁忌
リオシグアト(アデムパス)との併用禁忌
硝酸イソソルビド(ニトロール)
併用禁忌
リオシグアト(アデムパス)との併用禁忌
ニトログリセリン(ミオコール)
併用禁忌
リオシグアト(アデムパス)との併用禁忌
医薬品・医療機器等安全性情報 314 号
※以下の医薬品につきまして、各種添付文書の変更・追加がありましたので、ご報告いた
します。
一般名(主な薬品名)
変更箇所
主な変更点・追記点
ARB各種(アジルバ、アバプロ、オ
ルメテック、ディオバン、ニューロタン、ミ
カルディス等)
相互作用
ACE阻害剤との併用注意
p.8
ACE阻害剤各種(タナトリル、レニ
ベース、コバシル等)
相互作用
ARBとの併用注意
p.9
-1-
掲載ページ
ロスバスタチン(クレストール)
副作用
多形紅斑、末梢神経障害を追加
p.10
イミダフェナシン(ステーブラ)
副作用
肝機能障害を追加
p.11
ナルトグラスチム(ノイアップ)
副作用
毛細血管漏出症候群を追加
p.11
フィルグラスチム(グラン)
副作用
毛細血管漏出症候群を追加
p.11
詳細および安全性情報バックナンバーにつきましては、院内 LAN 掲示板「医薬品安全性
情報」または医薬品医療機器情報提供 HP(http://www.info.pmda.go.jp/)をご参照くださ
い。
2.今月話題の薬剤
プレベナー13 水性懸濁注
2014 年 6 月より沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー13®水性懸濁注」が高齢者(65 歳
以上)に適応拡大となりました。プレベナー13 は新しい作用機序を有するキャリアタンパク結合型
のワクチンであり、他剤に比して高い有効性が期待されています。
以下に以前より使用されていた 23 価肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」とプレベナー13 との
比較を示します。
ニューモバックス
NP
プレベナー13
小児への
小児以外へ
適応
の適応
2歳以下なし
2歳以上
2 か月齢以上
高齢者(65歳
6 歳未満
以上)のみ
接種間隔
5年以上あける(副
反応増強のため)
規定なし
接種価格
公費補助
8千円前後
2014 年 10 月より 65
歳のみ定期接種※
(小児)定期接種
(高齢者)1万円前後
なし
※ただし、2014年~2018年は経過措置期間として、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳も対象
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3.新規採用医薬品情報
7月開催の薬事委員会にて、以下の通り、新規採用薬・削除薬品が決定されましたので
再度ご報告いたします。
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薬剤部:安部 美樹子
-4-
GI(グルコース・インスリン)療法について
先月号にて低血糖について述べましたが、今回は1歩間違えると重大な低血糖につながりかねないグル
コース・インスリン療法について記載させていただきます。
GI療法については、明確な資料、文献等はなく、各病院ごとのマニュアルや医師の経験で行われているこ
とがほとんどであり、ミスを防ぐためにはインスリンの使用方法についての正しい知識が必要となります。
<GI療法とは>
インスリンは血中のブドウ糖を細胞内に取り込んで血糖値を下げる。この際ブドウ糖が細胞内に取り込ま
れる過程で、血清中のカリウムが同時に細胞内に取り込まれる。
この性質を利用して高濃度ブドウ糖液とインスリンを同時投与することで、血清中カリウム濃度を下げようと
するのがGI療法である。
一般的には以下のような処方例がある。
50%ブドウ糖 50 mL
または 10%ブドウ糖 250 mL
または 5%ブドウ糖 500 mL(すべてブドウ糖として 25g)
+速効性インスリン 5~10 単位を持続投与
※参照:Wikipedia「高カリウム血症」
速効性インスリン 5~10 単位を静注し、この直後またはこれと同時に 50%ブドウ糖
液 50mL を迅速に注入する。
低血糖予防のために 10%ブドウ糖液を 50mL1時間で引き続き注入すべきである。
※参照:メルクマニュアル
インスリンをブドウ糖3~4g に対し1単位(もし糖尿病があれば2g に対し1単位)
加えた 20~50%高張ブドウ糖液 200~300mL を 30 分くらいで静脈内投与
・・・つまりブドウ糖として 25g にインスリン6~8単位
(糖尿病患者 12.5 単位)加注
※参照:スローケー添付文書
またGI療法を行う際、腎機能の低下している患者ではインスリンの分解が遅いため、遷延する低血糖に注
意が必要である。
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※参考として・・・
インスリン分泌能のない1型糖尿病患者での1日当たりのインスリン必要量は、おおまかに「体重と同程
度」といわれている。
体重 50kg ⇒ 50 単位前後/日
つまり 50 単位のインスリンとは、1日3食での糖質摂取分すべてをまかな
うことが可能な量である!
<高カリウム血症に対するその他の治療薬>
1. 不整脈の予防
高カリウム血症で致死的なのは不整脈であるので、それさえ防げればしばらくは時間を稼ぐことがで
きる。そのための治療としてカルシウム製剤の投与を行う。血中カルシウム濃度を上昇させることで
心筋の活動性を抑制し(これを膜安定化という)、不整脈を抑制する。
処方例)グルコン酸カルシウム(カルチコール)8.5%
10ml
3~4 分かけて静注
2. 代謝性アシドーシスの改善
高カリウム血症では細胞内の水素イオンと血清カリウムイオンが交換されて、代謝性アシドーシスと
なっていることが多い。血液ガス分析で強度のアシドーシスが認められる場合は、炭酸水素ナトリウ
ム(メイロン注)を投与してアシドーシスを改善させる事で、一時的に血清カリウム値を改善させること
ができる。これは 5 分以上かけて緩徐に静注する。
<グルコース・インスリン療法とグルカゴン・インスリン療法>
グルコース・インスリン療法とグルカゴン・インスリン療法は同じGI療法と言われるが、全く別の目的で行わ
れる治療法である。グルコース投与とグルカゴン投与はどちらも血糖値を上昇させるが、グルコースが糖そ
のものであるのに対し、グルカゴンは肝臓からの糖新生を促進することにより血糖値を上昇させるホルモン
である。
グルコース・インスリン療法:高カリウム血症を是正する目的で行う
グルカゴン・インスリン療法:劇症肝炎等の肝障害時に肝再生機構に作用して再生を促進したり、壊
死を防止する目的で行う
グルカゴン・インスリン療法の処方例)
10%ブドウ糖液 500ml
グルカゴン 1mg
インスリン 10 単位
KCL 30mEq
1日2回
200ml/hr
やはりインスリンの作用によりカリウムが細胞内に取り込まれるため、グルカゴン・インスリン療法ではカリ
ウムを補充する必要がある。
薬剤部:安部 美樹子
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