山口FPの 知っておきたい お金の話

To p i c A b o u t M o n e y
山口FPの
知っておきたい
お金の話
山口大介、56歳。証券会社に勤務後、
ファイナンシャル・プランナーとして独立。
ファイナンシャル・プランナー
山口 大介
相続・事業承継から資産運用まで、
多様な相談業務に携わっている。
追加緩和と外貨建商品の税制
だし、年間50万円までの売却益は非課税扱い)
。
収益の種類で異なる課税方法
こ う し た煩雑さ の改善や課税の公平を図る た め
こんにちは、
山口大介です。2014年もいよいよ師走。
2016年1月から導入されるのが、
「金融所得課税の一体
皆さんはどのような1年を過ごされましたか? 市場
化」
。これにより、現在非課税である②の外貨建MMF
で大きな話題となったのが、10月31日に決定された日
の為替差益(売却益)や③の利付き外債の売却益など
銀の追加金融緩和。急速な円安 ・米ドル高が進んだこ
は、税率20.315%の申告分離課税に変わります。
とによって、為替差益を得た方も多いのではないでし
2つの税制が関わる外国株式
ょうか。しかし、運用で得た利益には税金がかかりま
す。やや複雑な外貨建商品の税制。外貨建商品にかか
今年から税率が本来の20.315%に戻った⑤の株式
る税金を見ていきましょう。
投信や⑥の外国株式にかかる税金も、おさらいをして
下表に主な商品の収益ごとに、課税方法や税率を整
おきたい税制の1つ。国内と外国の2つの税制が関係し
理しました。①の外貨預金の為替差益が課税対象にな
てくる外国株式は少し説明が必要かもしれません。外
るのに対し、②の外貨建MMFは非課税になることは
国株式の売却益は、原則として20.315%の申告分離課
ご存じの方も多いかもしれませんが、見落とされがち
税で国内上場株式と同じですが、注意したいのは、配当
な注意点をご紹介しましょう。
金については多くの国で現地と国内の二重課税になる
まず、同じ外国債券でも利子の支払い方法や換金時
こと。外国源泉税率が10%の場合、配当金から10%引
期によって課税方法が異なること。③の利付債の利子
かれた額に対し、国内で20.315%が源泉徴収されま
は原則、源泉分離課税ですが、売却益は非課税で、償還
す。外国で課せられた源泉額は、確定申告によって外
まで持っていた場合の利益は雑所得。一方、④のゼロ・
国税額控除の適用を受けられますが、条件などがある
クーポン債は売却益、償還差益ともに課税対象です(た
ので専門家に確認することを勧めます。
■ 外貨建商品にかかる税金
商品
収益の種類
所得の分類
課税方法
税率(%)
①外貨預金
利子
為替差益
収益分配金
売却益
為替差益
利子
売却益
償還差益
売却益
償還差益
売却益
普通分配金
利子所得
雑所得
利子所得
非課税
非課税
利子所得
非課税
雑所得
譲渡所得
雑所得
譲渡所得
配当所得
源泉分離
総合課税
源泉分離
20.315%
累進税率
20.315%
源泉分離
20.315%
売却益
配当
譲渡所得
配当所得
②外貨建 MMF
③外国債券(利付債)
④外国債券(ゼロ・クーポン債)
⑤株式投信
⑥外国株式
―
―
―
総合課税
総合課税
総合課税
申告分離
源泉徴収、申告分離
総合課税
申告分離
源泉徴収、申告分離
総合課税
―
―
―
累進税率
累進税率
累進税率
20.315%
20.315%
累進税率
20.315%
20.315%
累進税率