Page 1 Page 2 Page 3 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 高安晋一郎氏の

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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On stable summands of Thom spectra of B(Z/2)^n associated to
Steinberg module( Abstract_要旨 )
Takayasu, Shinichiro
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181931
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
【7
1】
氏
名
妄
篇
醤
士
=
学 位 (専 攻 分 野 )
博
学 位 記 番 号
理
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学位授 与 の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
理 学 研 究 科 数 学 専 攻
学位 論 文題 目
ons
t
a
bl
es
umma
ndsofThom s
pe
c
t
r
aofB(Z/2)
na
s
s
oc
i
a
t
e
dt
oSt
e
i
nbe
r
gmodul
e
博
第
(
理
鮎
学)
2008 号
(
B(Z/2)
n
上 の トム ・スペ ク トル の ス タイ ンバ ー グ加 群 に関連 す る安
定 直和 因子 につ いて)
(
主査)
論 文調 査 委 員
教 授 西 田 吾 郎
論
文
内
教 授 河 野
明
容
旨
の
要
講 師 清 水 勇 二
高安晋一郎氏の主論文の内容は次の通 りである。
Z/ 2Z)A
,またこの群の分類空間B(
Z/ 2Z)D
と表わす。群 (
Z/ 2Z)Dの実表現は分類空間
階数 nの基本ア-ベル 2群 を (
B(
Z/ 2Z)D
上 の実ベ ク トル束 を定 め るが, 特 に 自明成分 を除いた正則表現の定 める実ベ ク トル束 を αDと表わす. 群
(
Z/ 2Z)
Dの線形変換群 GLD(
F2
)は (
Z/ 2Z)Dの正則表現に自然 に作用す ることか ら,B(
Z/ 2Z)
n
上の実ベ ク トル束 αD
は
群 GLh(
F2
) の作用 を持つ同変ベ ク トル束 となる。 kを整数 とす ると,負のkに対 しても同変ベ ク トル束kαDのTho
m複体 (
B(
Z/ 2Z)
n
)
k
a
nが群 GLD
(
F2
)の作用 を持つ安定複体 として定義 され る.群 GLn
(
F2
)の群環F2[GLh(
F2
)
]のべ き等元 e.
・
達に
よる直和分解 は, (
B(
Z/ 2Z)D)
血 の 自己安定写像 ej
に関す るテ レスコープX.達によるウェッジ分解
(
B(
Z/ 2Z)A)
血
と V X,
・
を与 えるが,特にSt
e
i
nbe
r
g
表現に対応す るべき等元 e
D
のウェッジ成分 をM (
n)kと表わす。
高安晋一郎氏 は主論文 において, この安定複体M (
n)kの厳密な構成 とそのホモ トピー型 の徹底 した研究を行 っている。
まず,k- 0の とき, この安定複体はMi
t
c
he
l
lとPr
i
ddyにより研究 され,特にそのコホモ ロジーはSt
e
e
nr
o
d代数上の加群の
構造が決定 されてい る。Tho
m複体 (
B(
Z/ 2Z)
A
)
k
a
Dのコホモ ロジーは,qを実ベク トル束を αDのEul
e
r
類 とす るとき,環F2
[xl
,・
・
・
,X血
][
q1
] においてq
kで生成 された 自由F2[xl
,・
・
・
,Xn
]加群である。高安氏はまず,このコホモ ロジーにおける
St
e
e
nr
od代 数 お よび , St
e
i
nbe
r
gべ き等 元 の作 用 の計 算 か ら, 一般 の n, kに対 し安 定複 体 M (
n)
kの コホモ ロジー
H*(
M(
n)A) を決定 した.次に,秤 (
Z/ 2Z)D
の階数が 1以下の部分基本ア-ベル 2群達のなす半順序集合 Cn,,を考える。
分類空間B(
Z/ 2Z)n
お よびTho
m複体の構成 を, この半順序集合か ら定まるホモ トピー極限に適用 し, さらにSt
e
i
nbe
r
gべ
き等元 を取 ることに よ り,安定複体M (
n,
1)
k
を構成 した。定義 よ り,M (
A,
n)
A
-M (
n)kであ り,また,St
e
i
nbe
r
gべき等元
の性質か ら,1
<n- 1の ときM (
n,
1)k
-*である。 さらに,上記のコホモ ロジーの結果 と,半順序隼合 C n
,
)の包含関係 を巧
みに用いることによ り,次の安定ホモ トピー同値
M(
n,n-1
)
k
と ∑k
M(
n- 1)2k. 1
が存在す ることを示 した。 同変ベ ク トル束の包含写像 kαD
-(
k+1
)αDは写像M (
n)a
-M (
n)A. 1 を定めるが,上記の結果を
用いて次の主定理 を示 した。
定理
写像M (
n)i
-M (
n)
i. 1 のコファイバーは ∑ k' 1
M(
n- 1)2k. 1で与えられ る.
- 206-
論
文
審
査
の
結
果
の
要
旨
高安晋一郎氏の主論文における研究の動機お よび背景は次の通 りである。
Z/ 2Z)
Dの分類空間B(
Z/ 2Z)
Dの安定ホモ トピー型 の研究は特 に球面の安定ホモ トピー群
階数 nの基本ア-ベル 2群 (
の研究に関連す る重要な課題 である。n- 1の場合 は,Ka
hnPr
i
ddyの定理等 の深い結果が知 られてい るが, これ らの結果
ho
wa
l
ds
pe
c
t
r
umと呼ばれ る安定複体 P芸が安定球面 S1 1 と安定ホモ トピー同値である とい
は--次元までのセル を許すMa
うLi
nの結果 に集約 され る。安定複体p:はB(
Z/ 2Z)
n
上の標準線束 を Eとす る とき,T叫o
m複体 B(
Z/ 2Z)
k
f
,k< 0の射
ho
wa
l
ds
pe
c
t
r
umの 自然 な階層付 けによ り,球面の安定ホモ トピー群か らそれ 自身 に収束す るス
影極 限で与 えられ る。 Ma
ペ ク トル系列が構成 され, これ を用いてルー ト不変量 と呼ばれ る重要な不変量が定義 され る。 しか しなが ら, n≧ 2の場合
は計算の困難 さか らあま り多 くの ことは知 られていないo B(
Z/ 2Z)
nの安定ホモ トピー型 の一般論 としては,一般線形群
GLn(
F2
)の各既約モジュラー表現 に対応す る群環 F2 [
GLn(
F2
)] のべ き等元e
,
・
に関す るテ レス コープXi
達 による安定分解
B(
Z/ 2Z)
D
とVX,
・
が存在す ることが知 られているo従 って,B(
Z/ 2Z)
Dの安定ホモ トピー型 の研究は,各既約成分K・
の安
定ホモ トピー型の研究に帰着 され る。 GLn(
F2) の既約モジュラー表現達の中で, St
e
i
nbe
r
g表現 は唯 1つの射影 的表現であ
Z/ 2Z)
Dの成分 M (
n) はKuhn,Mi
t
c
he
l
l
,Pr
i
ddy等 によ り多
り,その性質が良 く知 られてい る。 このため,対応す るB(
くの研究がな されている. しか しなが ら,これまでの研究は分類空間B(
Z/ 2Z)
D
そのもののSt
e
i
nbe
r
g
成分の安定ホモ トピー
型の研究 に止まってお り,階数 1の ときに上で述べた よ うなMa
ho
wal
ds
pe
c
t
r
umの一般化,お よびその階層付 けについて
はこれまで知 られていない。
Z/ 2Z)
Dを考 えるのではな く,B(
Z/ 2Z)
n上の被約正則表現の負数 も込 めた整数倍 のベ ク トル
高安氏は単に分類空間B(
束のTho
m複体のSt
e
i
nbe
r
g
成分M (
n)kを考 え, 自然な写像
-M (
n)五
一M (
n)A
.1
-
に関す る射影極限M (
n).
∞が一般の階数 におけるMa
ho
wal
ds
pe
c
t
r
umの役割 を果たすであろ うと考 えた. このs
pe
c
t
r
umは安
定球面S nと安定ホモ トピー同値であろ うと予想 されてい るが, これが球面の安定ホモ トピー群 の計算 に有効であるために
n)_
∞の階層付 けにおける階差,つま り,上の写像 M (
n)A
-M (
n)i
.1の コファイバーの構造 を求めなければな らない。
は, (
高安氏の主定理は安定ホモ トピー同値
M(
n)A
+1
/M (
n)kと
∑
k
'l
M(
n- 1)2k
.1
の存在 を主張 してい るが, これは階数 nの問題 を階数n- 1の問題 に帰着 させ ることを可能 に してお り,大変興味深い結果
である。 また,この結果か らすべての階数 に渡 り複合化 されたルー ト不変量が定義 され,球面の安定ホモ トピー論 に強力な
手法 を与 えるもの と思われ る。
よって本論文は博士 (
理学)の学位論文 として価値 あるもの と認 め,合格 と判定 した。
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