1 2014/7/28 ファイナンス応用研究 第3回 2014年7月26日 畠田 2014/7/28 2 PC演習 PCの実習を通じて,現在価値,NPV法,IRR法の理解を深めよう。 文献 Berk J., and DeMarzo, P., Corporate Finance, 2013, Ch. 4, Pearson (久保田,芹田,竹原,徳永,山内訳,「コーポレートファイナンス:入門 編」,丸善,2014年), 4章 3 2014/7/28 1 割引債の現在価値 例4:額面100円,満期4年の割引債の現在価値はいくらか?但し,資本コス ト:𝒓 = 𝟎. 𝟎𝟖とする。 1 0 100 1 + 0.08 4 100 (1) 𝑃𝑉 = 1 + 0.08 2 3 4 100 4 = 73.5 4 2014/7/28 2 割引債の現在価値 例4:額面100円,満期4年の割引債の現在価値はいくらか?但し,資本コス ト:𝒓 = 𝟎. 𝟎𝟖とする。 現在価値: 満期期間 = 4 額面 = 100 0 クーポン 100 額面 4 満期期間 8% 資本コスト 現在価値 PV関数の利用 73.50 <-- =B3/(1+$B$5)^B4 73.50 <-- =PV(B5,B4,-B2,-B3,0) EXCEL関数: PV(資本コスト, 満期期間, 定期支払額, [将来価値], [支払期日]) 定期支払額,将来価値は,マイナスのCFを表す。 将来価値,支払期日は省略できる。将来価値を省略すると,将来価値は0として処理される。 支払期日は,CFが発生する期日を表し,0なら期末,1なら期首。省略すると,0として処理さ れる。 5 2014/7/28 3 複数のキャッシュフローの現在価値 例6:1年後に3,000円,2年後に2,000円,3年後に1,000円のCFを生み出す 事業の現在価値は?資本コスト:𝒓 = 𝟎. 𝟎𝟓とする。 2 1 0 3,000 1 + 0.05 3 3,000 2,000 1 + 0.05 2 1,000 1 + 0.05 3 (2) 𝑃𝑉 = 2,000 1,000 3,000 1+0.05 + 2,000 1+0.05 2 + 1,000 1+0.05 3 = 5,535.039 6 2014/7/28 4 複数のキャッシュフローの現在価値 例6:1年後に3,000円,2年後に2,000円,3年後に1,000円のCFを生み出す 事業の現在価値は?資本コスト:𝒓 = 𝟎. 𝟎𝟓とする。 現在価値: 5% 資本コスト 年 CF CFの現在価値 1 3000 2857.14 <-- =B4/(1+$B$2)^A4 2 2000 1814.06 <-- =B5/(1+$B$2)^A5 3 1000 863.84 <-- =B6/(1+$B$2)^A6 CFの合計の割引現在価値 5,535.04 <-- =SUM(C4:C6) 現在価値の合計 NPV関数の利用 5,535.04 <-- =NPV(B2,B4:B6) EXCEL関数: SUM(数値 1,[数値 2],...), SUM(範囲) EXCEL関数: NPV(割引率,CFの値 1,[CFの値 2],...) 7 2014/7/28 5 利付債の現在価値 例8:毎期のクーポンが𝟏𝟎𝟎,額面価値𝟓𝟎𝟎𝟎,満期期間𝟓年の利付債の現在 価値は? 資本コストは𝟔%とする。 100 100 100 100 100 5000 (3) 𝑃𝑉 = + + + + + 2 3 4 5 5 1+0.06 1+0.06 1+0.06 1+0.06 1+0.06 1+0.06 現在価値: 満期期間 = 5クーポン = 100 額面 = 5000 100 クーポン 5000 額面 5 満期期間 6% 資本コスト 年 クーポン 1 100 2 100 3 100 4 100 5 100 CFの合計の割引現在価値 現在価値の合計 PV関数の利用 NPV関数の利用 額面 5000 CF 100 100 100 100 5100 CFの現在価値 94.34 <-- =D7/(1+$B$5)^A7 89.00 <-- =D8/(1+$B$5)^A8 83.96 79.21 3811.02 4,157.53 <-- =SUM(E7:E11) 4,157.53 <-- =PV(B5,B4,-B2,-B3,0) 4,157.53 <-- =NPV(B5,D7:D11) 8 2014/7/28 6 内部収益率 例11:額面価値100円,満期5年の割引債が75 円で売買されていたとする。 資本コストが8%とすると,この債券のNPVはいくらと考えられるか? (4) 𝑁𝑃𝑉 = 100 1+0.08 5 − 75 = 68.06 − 75 = −6.94 < 0 例12 額面価値100円,満期5年の割引債が75 円で売買されていたとする。 資本コストが8%とすると,この債券のIRRはいくらと考えられるか? (5) 0 = −75 + 100 , 1+𝑘 5 𝑘 = 5.92% < 8% = 𝑟 9 2014/7/28 現在価値: 満期期間 = 5クーポン = 0 額面 = 100 0 クーポン 100 額面 5 満期期間 8% 資本コスト 75 債券価格 年 クーポン 額面 0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 100 CFの合計の割引現在価値 現在価値の合計 PV関数の利用 NPV関数の利用 NPV法 IRR法 EXCEL関数: IRR(CFの値, [推定値]) CF -75 0 0 0 0 100 CFの現在価値 -75.00 <-- =D8/(1+$B$5)^A8 0.00 <-- =D9/(1+$B$5)^A9 0.00 <-- =D10/(1+$B$5)^A10 0.00 0.00 68.06 68.06 <-- =SUM(E9:E13) 68.06 <-- =PV(B5,B4,-B2,-B3,0) 68.06 <-- =NPV(B5,D9:D13) -6.94 <-- =NPV(B5,D9:D13)-B6 5.92% <-- =IRR(D8:D13) 推定値は省略できる。IRR 関数の計算には、反復計算の手法が使用されます。 推定値を初期値とし、計算結果の誤差が 0.00001% になるまで、利益率の値を変えて反復計算が行われます。 反復計算を 20 回行っても結果が得られない場合は、エラー値 #NUM! が返されます。 2014/7/28 10 7. エクセル関数のまとめ ①PV:現在価値,②RATE:資本コスト(内部収益率),③NPER:満期期間, ④PMT:定期支払額[一定値],⑤FV:将来価値 で表すとき,以下のExcel関数はそれらの変数を組合わせることで求まる。 ①PV:現在価値を求める – 第2回資料の例4 PV(RATE, NPER,PMT, [FV], [支払期日]) If CF > 0, −PMT If FV > 0, −FV,FV値を省略するとFV = 0として処理 支払期日(CF発生期日): 0 or 1,0が期末,省略すると0として処理 ②IRR:内部収益率を求める - BD.Ch4の例4.15 RATE(NPER, PMT, PV, [FV], [支払期日], [推定値]) If CF > 0, −PMT If FV > 0, −FV, FV値を省略するとFV = 0として処理 支払期日: 0 or 1 推定値:収束計算の初期値:0~1で設定,省略すると0.1として処理 2014/7/28 11 7.エクセル関数のまとめ ①PV:現在価値,②RATE:資本コスト(内部収益率),③NPER:満期期間, ④PMT:定期支払額[一定値],⑤FV:将来価値 で表すとき,以下のExcel関数はそれらの変数を組合わせることで求まる。 ③NPER:満期期間を求める - BD.Ch4の例4.17 NPER(RATE, PMT, PV, [FV], [支払期日]) If CF > 0, −PMT If FV > 0, −FV,FV値を省略するとFV = 0として処理 支払期日(CF発生期日): 0 or 1,0が期末,省略すると0として処理 ④PMT:定期支払額を求める - BD.Ch4の例4.14 PMT(RATE, NPER, PV, [FV], [支払期日]) 値は支払額を表す If FV > 0, −FV, FV値を省略するとFV = 0として処理 支払期日: 0 or 1 2014/7/28 12 7. エクセル関数のまとめ ①PV:現在価値,②RATE:資本コスト(内部収益率),③NPER:満期期間, ④PMT:定期支払額[一定値],⑤FV:将来価値 で表すとき,以下のExcel関数はそれらの変数を組合わせることで求まる。 ⑤FV:将来価値を求める - BD.Ch4の例4.12,例4.13 FV(RATE, NPER, PMT, [PV], [支払期日]) If CF > 0, −PMT PV値を省略するとPV = 0として処理 支払期日(CF発生期日): 0 or 1,0が期末,省略すると0として処理 2014/7/28 13 7. エクセル関数のまとめ PMT:定期支払額が一定でないとき,具体的なPMTの値を指定する必要が ある。この下で,現在価値と内部収益率などの変数をもとめることができる。 ⑥現在価値を求める:第2回資料の例6 NPV(RATE, PMT) PMTは正のCF ⑦内部収益率を求める:第2回資料の例12 IRR(PMT, 推定値) PMTは正のCF 推定値:収束計算の初期値:0~1で設定,省略すると0.1として処理 2014/7/28 7. エクセル関数のまとめ Excel関数を使ってやってみよう! BD Ch.4の章末問題 + 追加問題 #2,#4,#5, #9, #10, 追加問題 14 2014/7/28 15 8. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 2. 2,000ドルの将来価値について考える。 a. 利子率5%で5年後の将来価値を計算しなさい。 b. 利子率5%で10年後の将来価値を計算しなさい。 c. 利子率10%で5年後の将来価値を計算しなさい。 4. あなたはこの先3年にわたって毎年末に100ドルずつ受けとる。 a. 利子率が8%のとき,これらキャッシュフローの現在価値を求めなさい。 b. 問aで計算した現在価値の3年後における将来価値を求めなさい。 5. あなたは,他にはない投資機会が提案されている。もし現時点で10,000ドル投資すれ ば,1年後に500ドル,2年後に1,500ドル,10年後に10,000ドルを受けとれる予定である。 a. 利子率が6%のとき,この投資機会のNPVを求め,採択の有無を判断せよ。 b. 利子率が2%のとき,この投資機会のNPVを求め,採択の有無を判断せよ。 9. 現時点で初期投資額5,000ドルが必要で,1年後に6,000ドルを支払ってくれる予定の 投資機会がある。この投資機会のIRRを求めなさい。 10. あなたの祖母は,退職時にロックソリッド生命保険から200,000ドルで年金プランを購 入した。その200,000ドルと引き換えにロックソリッド生命保険は彼女が死ぬまで毎年 25,000ドルを支払うことになっている。利子率は5パーセントである。最終的にもうける (すなわち,彼女が支払った金額以上のお金を受けとる)ためには,彼女は退職後どれだ け生きなければならないか? 追加問題.XYZ社は100億円で倉庫を買う計画を立てている。銀行は利子率8%で毎年 均等返済という10年ローンをXYZ社に提案している。ローンの年間返済額はいくらか? 2014/7/28 16 9. 追記 エクセル関数の詳細な説明は, • Berk J., and DeMarzo, P., Corporate Finance, 2013, Ch. 4, Pearson (久 保田,芹田,竹原,徳永,山内訳,「コーポレートファイナンス:入門編」,丸善, 2014年), 4章 あるいは, • エクセルのヘルプ,エクセルの扱い方についてのテキストを参照してください。 • ネットサーフィンされてもよいかと思います。 17 2014/7/28 10. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 2. 2,000ドルの将来価値について考える。 a. 利子率5%で5年後の将来価値を計算しなさい。 b. 利子率5%で10年後の将来価値を計算しなさい。 c. 利子率10%で5年後の将来価値を計算しなさい。 (a) =FV(0.05,5,0,-2000,0) (b) =FV(0.05,10,0,-2000,0) (c) =FV(0.10,5,0,-2000,0) 0 2000 5 10 (a) 𝐹𝑉5 = 2000 × 1 + 0.05 5 2000 2000 (b) 𝐹𝑉10 = 2000 × 1 + 0.05 (c) 𝐹𝑉5 = 2000 × 1 + 0.10 5 10 18 2014/7/28 10. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 4. あなたはこの先3年にわたって毎年末に100ドルずつ受けとる。 a. 利子率が8%のとき,これらキャッシュフローの現在価値を求めなさい b. 問aで計算した現在価値の3年後における将来価値を求めなさい。 0 3 2 1 𝑃𝑉 = + + 100 1+0.08 100 1+0.08 2 100 1+0.08 3 100 100 100 (a) =PV(0.08,3,-100,0,0) 0 257.7 (b) =FV(0.08,3,0,-257.7,0) 3 𝐹𝑉10 = 257.7 × 1 + 0.08 3 19 2014/7/28 10. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 5. あなたは,他にはない投資機会が提案されている。もし現時点で10,000ドル投 資すれば,1年後に500ドル,2年後に1,500ドル,10年後に10,000ドルを受けと れる予定である。 a. 利子率が6%のとき,この投資機会のNPVを求め,採択の有無を判断せよ。 b. 利子率が2%のとき,この投資機会のNPVを求め,採択の有無を判断せよ。 (a) =NPV(0.06, 500, 1500, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 10000) – 10000 投資機会の現在価値 投資額 (b) =NPV(0.02, 500, 1500, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, 10000) - 10000 0 −10000 1 2 10 500 1500 10000 𝑁𝑃𝑉 = −10000 + 𝑁𝑃𝑉 = −10000 + 500 1+0.06 500 1+0.02 + + 1500 1+0.06 2 1500 1+0.02 2 + + 10000 1+0.06 10 10000 1+0.02 10 20 2014/7/28 10. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 9. 現時点で初期投資額5,000ドルが必要で,1年後に6,000ドルを支払ってくれ る予定の投資機会がある。この投資機会のIRRを求めなさい。 =RATE(1,0,-5000,6000,0,0.1) =IRR(-5000,6000,0.1) 0 1 -5000 6000 0 = −5000 + 6000 1+𝐼𝑅𝑅 21 2014/7/28 10. BD, Corporate Finance, 2013, Ch. 4,章末問題の解答 10. あなたの祖母は,退職時にロックソリッド生命保険から200,000ドルで年金プ ランを購入した。その200,000ドルと引き換えにロックソリッド生命保険は彼女 が死ぬまで毎年25,000ドルを支払うことになっている。利子率は5パーセント である。最終的にもうける(すなわち,彼女が支払った金額以上のお金を受けと る)ためには,彼女は退職後どれだけ生きなければならないか? =NPER(0.05,-25000,200000,0) −200000 + 0 25000 1+0.05 + 1 −200000 25000 25000 1+0.05 2 + ⋯+ 25000 1+0.05 𝑁𝑃𝐸𝑅 >0 2 ⋯ 𝑁𝑃𝐸𝑅 25000 ⋯ 25000 22 2014/7/28 11. 追加問題:ローンの返済額の解答 追加問題:XYZ社は100億円で倉庫を買う計画を立てている。銀行は利子 率8%で毎年均等返済という10年ローンをXYZ社に提案している。ローンの 年間返済額はいくらか? =PMT(0.08,10,-100,0,0) 100 = 𝑃𝑀𝑇 1+0.08 + 𝑃𝑀𝑇 1+0.08 2 + ⋯+ 𝑃𝑀𝑇 1+0.08 10 0 1 2 ⋯ 10 −100 𝑃𝑀𝑇 𝑃𝑀𝑇 ⋯ 𝑃𝑀𝑇
© Copyright 2024 ExpyDoc