【作物別技術情報6月】 <畜 産> ~哺育期間の子牛の事故を減らしましょう!~ 「長野県 ET 和子牛哺育マニュアル」に基づく子牛の管理ついて 1 はじめに 現在、長野県では、県内で飼養されている繁殖和牛の中から特に優秀な個体を選抜し、乳牛への受精卵移植技術の活用により、産肉 能力の高い和牛子牛を効率的に生産して、優れた技術で哺育管理をする体制を整備することで、県産和牛全体の能力を向上させて信州 プレミアム牛肉の生産拡大を目指した取り組みを進めています。 平成25年3月に県内の模範的な ET 和牛を哺育育成している9戸の畜産農家から聞き取りを行い、生後3ヶ月齢までの哺育期間の飼 養管理のポイントについてまとめた「長野県 ET 和子牛哺育マニュアル」(暫定版)を作成しました。その後、関係者による見直しを行 い、平成26年3月に「長野県 ET 和子牛哺育マニュアル」(初版)を完成しました。 2 マニュアルの概要 ☆マニュアルのポイントは、以下の7項目です。 (1) 初乳給与の工夫(6時間以内に・2回に分けて・3 リットル以上を 40~42℃温度に温めて)。 ※初回は出生から3時間以内に初乳製剤給与 (2) 哺育施設 単独の消毒が行き届いた暖かい牛床で(オガ粉・ワラを潤沢に敷き詰める等の工夫を!) (3) 代用乳は、高蛋白(28%程度)・低脂肪(18%程度)の和牛用代用乳をメーカーの指定倍率で希釈して最大 1kg/日まで。 (4) 固形飼料は、馴致(代用乳を飲んだ直後に手に乗せて数粒吸わせる)をして7日齢までに味を覚えさせます。 浅い飼槽(深さ 15cm 以内)! (5) 粗飼料は、30 日齢からやわらかいチモシーを少量(5cm に細断) 固形飼料を主体的に優先し給与します。 ※新鮮な水(冬季は温水)を給与する。 ・・・固形飼料採食には水の飲水が必要です。 (6) 冬場の保温対策と夏場の換気による暑熱対策を行います。呼吸器病対策と下痢対策で動物用医薬品の上手な活用を! (7) ホルスタインに比べて体重が小さいので十分な哺乳量と体脂肪が少ないので、寒冷時は哺乳量を増やすようにします。 固形飼料を1日あたり2kg程度採食するのを確認してから 100 日齢を目安に離乳します。離乳後は、「長野県和牛いきいき子牛 育成マニュアル(第2版)」に沿って市場に上場するまで飼養管理します。 【作物別技術情報6月】 【作物別技術情報6月】 ☆平成25年度に長野地域で行った黒毛和牛子牛の発育調査結果について情報提供します。 平成25年度長野県いきいき子牛育成マニュアル(第2版)現地実証試験に須坂市と飯綱町で取り組みました。7頭調査を行い、 うち5頭が平成25年12月及び26年2月並びに26年4月に長野県中央市場上場されました。 版) ※N-2 は「長野県 ET 和子牛哺育マニュアル」(初版)に沿って飼養しました。 ◎目標とは:(社)全国和牛登録協会の平成 16 年度版「黒毛和種正常発育曲線」上限値と平均値の平均値です。 【作物別技術情報6月】 表1 調査牛の日増体重と販売価格 調査牛 市場平均 販売価格(税込み) DG(kg)/日 DG(kg)/日 (市場平均との比較) N-1 1.03 1.08 60.8万 (+0.6万) N-2 1.31 1.07 69.7万 (+10.4万) 市場上場せず N-3 N-4 1.03 1.07 57.2万 (+0.4万) 表2 調査牛の日増体重と販売価格 市場平均 調査牛 販売価格(税込み) DG(kg)/ DG(kg)/日 (市場平均との比較) 日 N-5 1.16 0.96 55.4万 (+2.0万) N-6 0.98 0.95 54.0万 (+4.2万) 市場上場せず N-7 ※N-3 は、市場を経由しないで肥育農家へ販売されました。N-7 は、推定育種価が大変優れていたため自家保留されました。 ☆結果および考察 調査した3戸の繁殖和牛農家は、いずれも酪農家から繁殖和牛経営に転換した農家です。平成24年度の調査に引き続き実施した農 家も2戸含まれています。前年度の調査結果では、6頭の調査でしたが、2頭しか体高で目標をクリアできませんでした。しかし、本 年は改善されていました。離乳の時期は、2~4ヶ月齢の間でした。 1. 冬場の冷たすぎる水の給与を控えて採食量を落とさないために牧草を細断して給与し、いきいき子牛育成マニュアルに沿って飼養 管理ができたことにより体高については、目標値を7頭中4頭が上回りました。胸囲については、7頭中7頭が上回りました。(図 1~図4)。 2. DGは、2頭が市場平均に及びませんでしたが、販売価格については、販売価格は54万円(税込み)以上となりました。(表1, 表2) (社)全国和牛登録協会の平成 16 年度版「黒毛和種正常発育曲線」の平均値は超えていたため、販売価格が市場平均に届かない 牛はなく良好な成績となっていたと考察します。 ◎発育を良くして肥育農家が欲しくなるような子牛を生産しましょう! ・月齢に応じた発育 ・発達した胃袋 皮下脂肪や筋間 脂肪が少ない。 ロース芯が大きい 【作物別技術情報6月】
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