平常試験

微分積分学 2 期末試験
(2014 年度)
1. 高校の問題です.
∫
ex
(1)
dx,
1 − ex
森 真 立井博子
(
3 )x
(2) lim 1 −
,
x→∞
x
∫
(3)
(log x)2 dx
解 (1) − log |1 − ex |, (2) e−3 , (3) x(log x)2 − 2x log x + 2x
2. 集合 A ⊂ R について,−A = {−a : a ∈ A} とします.
inf(−A) = − sup A
を示してください.
解 ∀ε > 0 について,∃a ∈ A s.t. a ≥ sup A − ε.書き直すと,−a ≤
− sup A + ε. −a ≥ inf(−A) であるから,inf(−A) ≤ − sup A + ε
同様に,∀ε > 0 について,∃−a ∈ −A s.t. −a ≤ inf(−A)+ε.a ≤ sup A
であるから,inf(−A) + ε ≥ − sup A
∫ ∞ −x2
dx が広義積分可能であることを示してください.さらに,上
3. 0 e
∫N
2
1
の積分を誤差 100
で 0 e−x dx で近似するには N はいくつ以上にす
ればよいか.
∫∞
2
解 x ≥ 1 で e−x ≤ e−x であり, 0 e−x dx は広義積分可能である.
∫ ∞ −x
e dx = e−N なので N ≥ log 100 とすればよい.
N
4. コーシー列の定義を述べ,
Sn = 1 +
1
1
1
+
+ ··· +
1·2 2·3
n(n + 1)
がコーシー列になることを示してください.
解 n ≥ m について
|Sn − Sm | ≤
より,n0 は
1
m+1
1
1
1
+ ··· +
≤
(m + 1)(m + 2)
n(n + 1)
m+1
が ε より小さくなるように選べばよい.
5. f (x) = x2 が [−1, 1] の区間で連続なことを示してください.さらに,こ
の区間で一様連続なことも示してください.
√
解 a ∈ [−1, 1] を選ぶ.∀ε > 0 について,δ = min{ a2 + ε − a, a −
√
a2 − ε} とおけば,|f (x) − f (a)| < ε
さらに,δ =
ε
2
ととれば,|x − x′ | < δ ならば,|f (x) − f (x′ )| < ε をみ
たす.
1
微分積分学 2 中間試験
(2014 年度)
森 真 立井博子
1. 高校生の問題です.
∫
∫ 1
x log(1 + x) dx (2)
(1)
1
4,
2x2
xe
(∫
(2)
e8 −1
4 ,
x
)′
sin(t ) dt)
2
dx (3)
0
0
解 (1)
2
x2
(3) sin(x2 ) − 2x sin(x4 )
2. A, B ⊂ R について,
(a) sup A の定義を述べてください.
(b) sup A ∪ B = max{sup A, sup B} を示してください.
解 小試験参照
3. 数列 {log(1 + n1 )} が収束することを ε–δ 法で示してください.
解 小試験参照
4.
∫1
0
ex dx を積分の定義に従って求めてください.
解
n−1
1 ∑ k/n
e(n−1)/n − 1
e
=
n
n(e1/n − 1)
k=0
(e1/n − 1)
n→∞
1/n
lim
は ex の x = 0 における微分なので 1 に等しい.よって,積分は e − 1
2
4月9日
A = { n1 : n ∈ Z} とおくとき,任意の x > 0 は A の最小値にならないこと
を示してください.
解 一般に集合 A の最小値が a であるとは
1. ∀b ∈ A について a ≤ b
2. a ∈ A
の 2 つをみたさなければならない.x > 0 ならば limn→∞
∀ε > 0 について,∃n0 such that n ≥ n0 ならば
して,x をとると
1
n0
| n1
1
n
= 0 であるので,
− 0| < ε が成り立つ.ε と
< x なので,(1) をみたさない.
4 月 16 日
A, B ⊂ R について
max{a + b : a ∈ A, b ∈ b} = max A + max B
と
sup(A ∪ B) = max{sup A, sup B}
を示してください.
解
1. c = max{a + b : a ∈ A, b ∈ B} とおくと,c = a0 + b0 をみたす a0 ∈ A,
b0 ∈ B が存在する.したがって,
c = a0 + b0 ≤ max A + max B
2. a0 = max A,b0 = max B とすると,a0 ∈ A かつ b0 ∈ B より,a0 +b0 ≤
max{a + b : a ∈ A, b ∈ B}
2 つを合わせれば,最初の式の証明が終わる.
1. sup(A ∪ B) ≥ sup A なこと.
• ∀b ∈ A ∪ B について,b ≤ sup(A ∪ B) が成り立つ.したがって,
∀b ∈ A について b ≤ sup(A ∪ B). 一方,∀ε > 0 について,∃b ∈ A
s.t. sup A − ε < b.合わせて,sup A − ε ≤ sup(A ∪ B).
• 背理法により,sup A > sup(A ∪ B) が成り立つとすると ε =
sup A−sup(A∪B)
ととると,sup A − ε > sup(A ∪ B) となり矛盾
2
する.よって,sup(A ∪ B) ≥ sup A.
3
• 同様の議論をすれば,sup(A∪B) ≥ sup B も出る.ゆえに sup(A∪
B) ≥ max{sup A, sup B}
2. sup(A ∪ B) ≤ sup A なこと.
• ∀ε > 0 について,∃b ∈ A ∪ B s.t. sup(A ∪ B) − ε < b.
• b ∈ A のときは,sup(A ∪ B) − ε < b ≤ sup A 同様に,b ∈ B のと
きは,sup(A ∪ B) − ε < b ≤ sup B, したがって,sup(A ∪ B) − ε ≤
max{sup A, sup B}
• 上と同じ背理法を用いると,sup(A ∪ B) ≤ max{sup A, sup B}
3. 双方を合わせれば,sup(A ∪ B) = max{sup A, sup B}
4 月 23 日
sup{an + bn } ≤ sup{an } + sup{bn } を示してください.
解 ∀ε > 0 について,∃m s.t.
sup{an + bn } − ε < am + bm ≤ sup{an } + sup{bn }
逆は言えない.an = (−1)n , bn = (−1)n+1 とすれば,an + bn = 0 だが,
sup{an } = sup{bn } = 1
5月7日
数列 {log(1 + n1 )} の収束を ε–δ 法で示してください.
解 n0 =
1
eε −1
5 月 14 日
積分の定義にしたがい
∫
∫
b
b
cf (x) dx = c
a
f (x) dx
a
を示してください.
4
5 月 21 日
inf(f (x) + g(x)) ≥ inf f (x) + inf g(x)
を示してください.
解
∀ε > 0,
∃x0 s.t. f (x0 ) + g(x0 ) ≤ inf(f (x) + g(x)) + ε
したがって
inf(f (x) + g(x)) ≥ f (x0 ) + g(x0 ) + ε ≥ inf f (x) + inf g(x) + ε
ε は任意なので
inf(f (x) + g(x)) ≥ inf f (x) + inf g(x)
5 月 28 日
f (x) = 2x − 3 が a = 1 で連続なことを示してください.
解
ε>0
δ=
ε
s.t. |x − 1| < δ ⇒ |2x − 3 + 1| < ε
2
6月4日
A = {an },B = {bn } について,C = {an + bn } とします.
sup C ≤ sup A + sup B
を示してください.
解 5 月 21 日と同じです.
6 月 11 日
0 < p < 1, q > 1 のとき,
∫
1
tp−1 (1 − t)q−1 dt
B(p, q) =
0
5
が広義積分可能なことを示してください.
解 0 < 1 − t < 1 より
tp−1 (1 − t)q−1 ≤ tp−1
また,
∫
[
1
p−1
t
ε
∫1
0
tp
dt =
p
]1
tp−1 dt が広義積分可能なので,
=
ε
∫1
0
1
1
(1 − εp ) →
p
p
tp−1 (1 − t)q−1 dt も広義積分可能
6 月 18 日
閉区間 [a, b] の数列 {xn } には収束する部分列が存在することを示してくだ
さい.
解 区間縮小法を用いる
7月2日
{an } は a0 に収束する数列とするとき,これがコーシー列になることを示
してください.
6