平成 26 年春期 データベーススペシャリスト試験合格発表 分析コメントと今後の対策 (株)アイテック 教育研究企画本部 2014,6,20 4 月 20 日(日)に行われた平成 26 年春期の情報処理技術者試験について,応用情報技術者ほ か高度系 5 試験の合格発表がありました。同時に発表された得点分布などの統計データをもとに, データベーススペシャリスト試験の合格発表コメントをお知らせします。 ■データベーススペシャリスト試験(DB) 〔平成 26 年春期のデータベーススペシャリスト試験 応募者 15,807 人 受験者 10,016 人 合格者 1,671 人 合格率 16.7% 統計情報〕 平成 26 年春期のデータベーススペシャリスト試験の合格率は 16.7%で,過去最も高かった平 成 23 年春期の 18.2%に次ぐ合格率でした。 まず始めに,新試験で従来の午前試験が分割された午前Ⅰと午前Ⅱの試験の分析結果をお知ら せします。 〔午前Ⅰ試験(高度試験の共通知識問題)〕 ・高度試験に共通して出される問題 30 問は,従来どおり,すべて応用情報技術者試験(AP)か ら選ばれています。これまで,AP の問題の中でも比較的素直で常識的な問題が選ばれていました が,今回は少し難しめの問題が選ばれており,やや解答しづらかったといえます。 ・過去問題の比率は約 6 割で従来どおりの比率といえ,新傾向問題も前回と同様で多くはありま せんでした。 ・分野別の出題比率は前回と同じで,出題範囲の中で 23 ある中分類からまんべんなく出題されて いますが,重要な内容(中分類)からは複数出題されています。今回からセキュリティ分野を重 視した出題に変わりましたが,出題数は前回より 1 問増えて 4 問でした。 ・新傾向問題は次の 3 問でした。 (新傾向問題) 問3 記憶領域管理アルゴリズムのベストフィット方式 問 25 BABOK の説明 問 26 ダイバーシティマネジメントの説明 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -1- 平成 26 年春期の高度試験共通 午前Ⅰ問題出題比率 H26春 高度共通 午前Ⅰ問題出題比率 7% 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10% 10% 13% 10% 基礎理論 コンピュータシステム 技術要素 開発技術 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略 企業と法務 10% 7% 27% 6% 〔午前Ⅱの専門知識問題〕 午前Ⅱ試験は基本的な問題が多く,データベースの専門知識の出題数は前回より 1 問少ない 19 問でした。このうちの 12 問は過去のデータベーススペシャリスト試験に出題された問題でした。 前回の試験では正規化に関する出題がなく,SQL 関連の問題が 6 問もあったのですが,今回の 試験は傾向が変わり,正規化の出題が 2 問で,SQL 関連の問題が 3 問でした。ここ 3 年間を見る と交互に変化しているといえます。 新傾向問題といえるものは,次の 1 問でした。 問 23 Web システムの性能モデル 平成 26 年春期のデータベーススペシャリスト試験 午前Ⅱ問題出題比率 H26春 DB午前Ⅱ 問題出題比率 4% 4% 4% 3 コンピュータ構成要素 4% 4 システム構成要素 8% 9 データベース 11 セキュリティ 12 システム開発技術 13 ソフトウェア開発管理技術 19問 ※出題数ありは重点分野 76% Copyright by ITEC,Inc. 2014 -2- 〔午後試験〕 ・午後Ⅰ問題の出題分野とテーマは,次のとおりです。新試験では解答数が 3 問から 2 問に減り ましたが,1 問あたりの問題文,設問数が増えているので,受験者負担はあまり軽減されたと はいえません。 ・出題内容の特徴としては,3 問とも解答分量が多く,やや難の内容でした。 問1 バグ管理システムのデータベースの設計 やや難 候補キー,部分関数従属性,推移的関数従属性,正規形,第 3 正規形,リレーションシッ プ,属性名,設計内容の不具合,関係スキーマ設計,関係代数演算,検索内容と検索結果 問2 データベースアクセスの同時実行制御(会議室予約システム) やや難 SQL 穴埋め,行が挿入できない理由,予約成否と失敗検知箇所の記入,ダブルブッキング となる条件,スループットが低下する原因,テーブルの状態,更新行がない状況 問3 テーブルの設計及び SQL の設計(受注管理システム) 普通~やや難 UNIQUE 制約の目的,ユニーク索引作成,外部キー定義の不都合,検査制約,SQL の穴 埋め,ネストループ結合のアクセス頻度減少策,デッドロックの発生有無と発生防止 ・午後Ⅱ問題の出題分野とテーマは,次のとおりです。前回の試験と同様に 2 問とも解答分量が 非常に多いのが特徴で,全体にやや難しい内容といえます。 問1 データベースの物理設計(株式取引管理システム) やや易~普通 テーブル構造,検索効率の改善,テーブル定義表,DB 実装が不適な理由,データ所要量 見積り手順と結果,空き領域率を高める効果,応答時間試算と改善案検討,性能測定誤差 問2 データベース設計(宿泊管理システム) 普通~やや難 概念データモデルのサブタイプ・リレーションシップ記入,処理変更に伴うテーブルの変 更,業務の制約条件,行更新必要なテーブル,要件追加によるテーブル構造見直し・変更 〔平成 26 年春 データベーススペシャリスト試験 スコア分布〕 得点 0点 ~ 9点 10 点 ~ 19 点 20 点 ~ 29 点 30 点 ~ 39 点 40 点 ~ 49 点 50 点 ~ 59 点 60 点 ~ 69 点 70 点 ~ 79 点 80 点 ~ 89 点 90 点 ~ 100 点 計 対前試験比率 午前Ⅰ免除者概算 合格者数 午前Ⅰ60 点以上合計 午前Ⅱ60 点以上合計 午後Ⅰ60 点以上合計 午後Ⅱ60 点以上合計 午前Ⅰ試験 0 2 23 97 350 630 928 1,000 684 185 3,899 6,117 1,671 2,797 6,598 3,501 1,671 午前Ⅱ試験 1 2 52 164 824 1,088 2,265 1,757 2,035 541 8,729 223.9% 61.1% 午後Ⅰ試験 56 85 207 411 843 1,323 1,559 1,254 607 81 6,426 73.6% 採点者数の割合 合格者数との差 71.7% 75.6% 54.5% 48.4% 午後Ⅱ試験 29 24 86 241 525 876 857 588 206 20 3,452 53.7% 合格者 1,671 48.4% 1,126 4,927 1,830 0 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -3- 平成26年春データベーススペシャリスト試験 得点分布 2,500 午後Ⅱ試験 午後Ⅰ試験 午前Ⅱ試験 午前Ⅰ試験 2,000 1,500 1,000 500 0 0点 ~ 10点 ~ 20点 ~ 9点 30点 ~ 19点 40点 ~ 29点 50点 ~ 39点 60点 ~ 49点 70点 ~ 59点 80点 ~ 69点 90点 ~ 79点 89点 100点 新試験制度で春期の試験で午前Ⅰ試験免除になった人がたくさん出ましたが,得点分布を分析 してみると,今回午前Ⅰ試験の免除者は概算で 6,117 人(61.1%)おり,受験者の 6 割の人が午 前Ⅱからの受験となりました 得点分布を分析してみると,高度系共通の午前Ⅰ試験で基準点(60 点)以上の人は 2,797 人(受 験者の 71.7%)でした。また,午前Ⅱ試験で基準点以上の人は 6,598 人(受験者の 75.6%)でした が,前回の試験で 60 点以上は 66.8%でしたので,かなり高くなりました。他の高度試験でも同 じですが,午前Ⅱ試験で出題される知識は午後の試験問題を解くための必須知識ですので,確実 に学習することが重要です。 午後Ⅰで基準点(60 点)以上取れた人は 54.5%で,前回の 60.9%から 5%ほど低くなっていま す。午後Ⅱで基準点(60 点)以上取れた人は 48.4%で,前回の 48.8%とほとんど同じです。 午後の試験で合格スコアに至らなかった方は,次回試験の対策として,専門知識分野で「午前 試験で出題される知識の理解度をまず上げる」,その次に,「午後試験で必要とされている知識を 題材として,さらに深く学習する」のがよいでしょう。 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -4- (今回合格された人) 今回見事合格された方で,今秋の IT スキル標準レベル 4「ネットワークスペシャリスト,IT ストラテジスト,システムアーキテクト,IT サービスマネージャ」の試験を目指す方は,午前の 試験が「共通知識」の午前Ⅰと「専門知識」の午前Ⅱに分かれます。ただし、午前Ⅰ試験に関し ては免除になりますので,午前Ⅱの学習をなるべく早く開始しましょう。 初めて IT スキル標準レベル 4 の試験を受験する方には,書籍・e ラーニング(WEB 教材・WEB テスト)・公開模試がセットになって試験範囲全体を短期間で万遍なく学習できる通信教育の 「WEB 午前Ⅰ免除コース」がオススメです。 その他,学習を進めていくにあたっては,通信教育以外にも午前試験対策に重点をおいた「宿 題メール」 。受験対策のプロ講師による午後試験対策に重点をおいたセミナーの「合格ゼミ」など, 学習アイテムを豊富に取り揃えております。通信教育に午後試験対策用に「合格ゼミ」を追加す るなど組合せは自由自在なので,今春の受験で苦手意識のあった分野の弱点克服をしつつ,次の ステップアップを目指しましょう。 (今回残念ながら不合格だった人) まずは,自分がよく理解していない内容について早めの学習が重要です。午前分野が苦手な方 は, 「応用情報・高度共通 午前試験対策」や「応用情報技術者 最頻出問題集」などの書籍を活用 しじっくりと振り返り学習をしてください。 今回の午前試験の得点が 50 点~59 点だった方は,合格ラインまで“あと一歩”のところま で実力がついていますので,身に付けた知識が薄れないうちに,早めに次回試験の対策を始めま しょう。移動中などのスキマ時間で問題演習に取組める「宿題メール」なども活用してみてくだ さい。 また,午後試験の得点が 60 点未満だった方は,確実に得点するために落ち着いて問題を解き, 解答が正しいかを検証する力を付けましょう。選択範囲が広がったことで解答し易い問題を選び 早めに対策を始めましょう。なお、午後試験に強くなるには,時間を決めた問題演習やアイテッ クの模擬試験を会場で受験するなど,本番を想定した学習を行うのも効果的です。 再受験される方には,午前試験対策はポイント確認とトレーニング問題,午後試験対策は重要 ポイントを音声・スライドで解説などの充実した弱点補強に最適な演習型 e ラーニングコース 「WEB 演習コース」や,本番と同じ条件(出題形式・出題数・試験時間)で実施される模擬試験 を受験し,ベテラン講師による採点評価で自身の弱点を把握することができる「全国統一公開模 試」などがおすすめです。午前試験対策の「宿題メール」,午後試験対策の「合格ゼミ」などを組 み合わせれば,さらに合格へと近づくことができるでしょう。不足している知識や分野ごとに組 み合わせて補強して次回合格を勝ち取りましょう。 2014 年秋期試験対策の新しい書籍については弊社のホームページからご覧ください。 (http://www.itec.co.jp) Copyright by ITEC,Inc. 2014 -5- ■現在刊行済みの 2014 年用 試験対策書籍 ・午前試験対策おすすめ書籍 ・午後試験対策おすすめ書籍 ・分野別予想問題集 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -6- ・問題演習おすすめ書籍 ・論文対策おすすめ書籍 ■今後の刊行予定書籍 ・ 「2014 秋 徹底解説 情報セキュリティスペシャリスト 本試験問題」 7/上旬 発売予定 直近の本試験の内容を理解して、出題傾向を把握するのに最適!! Copyright by ITEC,Inc. 2014 -7-
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