平成 26 年春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験合格発表 分析コメントと今後の対策 (株)アイテック 教育研究企画本部 2014,6,20 4 月 20 日(日)に行われた平成 26 年春期の情報処理技術者試験について,応用情報技術者ほ か高度系 5 試験の合格発表がありました。同時に発表された得点分布などの統計データをもとに, エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格発表コメントをお知らせします。 ■エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) 〔平成 26 年春期のエンベデッドシステムスペシャリスト試験 統計情報〕 応募者 4,874 人 受験者 3,506 人 合格者 601 人 合格率 17.1% 平成 26 年春期のエンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率は 17.1%で, 前回の 17.0% とほとんど同じでした。まず始めに,新試験で従来の午前試験が分割された午前Ⅰと午前Ⅱの試 験の分析結果をお知らせします。 〔午前Ⅰ試験(高度試験の共通知識問題)〕 ・高度試験に共通して出される問題 30 問は,従来どおり,すべて応用情報技術者試験(AP)か ら選ばれています。これまで,AP の問題の中でも比較的素直で常識的な問題が選ばれていました が,今回は少し難しめの問題が選ばれており,やや解答しづらかったといえます。 ・過去問題の比率は約 6 割で従来どおりの比率といえ,新傾向問題も前回と同様で多くはありま せんでした。 ・分野別の出題比率は前回と同じで,出題範囲の中で 23 ある中分類からまんべんなく出題されて いますが,重要な内容(中分類)からは複数出題されています。今回からセキュリティ分野を重 視した出題に変わりましたが,出題数は前回より 1 問増えて 4 問でした。 ・新傾向問題は次の 3 問でした。 (新傾向問題) 問3 記憶領域管理アルゴリズムのベストフィット方式 問 25 BABOK の説明 問 26 ダイバーシティマネジメントの説明 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -1- 平成 26 年春期の高度試験共通 午前Ⅰ問題出題比率 H26春 高度共通 午前Ⅰ問題出題比率 7% 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10% 10% 13% 10% 基礎理論 コンピュータシステム 技術要素 開発技術 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略 企業と法務 10% 27% 7% 6% 〔午前Ⅱの専門知識問題〕 午前Ⅱ試験はハードウェア関連の出題が前回に続き減りました(前回 6 問,前々回 9 問)。過去 問題は 6 割あり,全体としては解きやすかったといえます。今回,エンベデッドシステム専門分 野としてのハード,ソフト,システム開発関連の問題は 9 問出題されましたが,前回の 12 問と比 べて少なくなっています。 新傾向問題は少なかったのですが,次の問題がありました。 問2 問4 問 16 問 23 MMU(Memory Management Unit)の活用法 インクルージョンキャッシュの説明 NFC(Near Field Communication)の説明 サーバ負荷分散に使われる DNS ラウンドロビンの説明 平成 26 年春期のエンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ問題出題比率 H26春 ES午前Ⅱ 問題出題比率 4% 20% 20% 5問 5問 4% 3 コンピュータ構成要素 4 システム構成要素 5 ソフトウェア 6 ハードウェア 10 ネットワーク 11 セキュリティ 12 システム開発技術 13 ソフトウェア開発管理技術 8% 5問 4% 5問 ※出題数ありは重点分野 20% 20% Copyright by ITEC,Inc. 2014 -2- 〔午後問題〕 ・午後Ⅰ問題の出題分野とテーマは次のとおりです。新試験では解答数が 3 問から 2 問に減りま したが,解答する量や記入する文章量が多くなっていますので,解答時間の余裕はあまりなか ったと思われます。今回は計算させる設問が全体に増えました。 ・問 1 がハード/ソフトウェア設計の融合した内容で必須問題(40 点) ,問 2 のソフトウェア設 計と問 3 のハードウェア設計(60 点)が 1 問選択という出題形式になっています。 問1 IC レコーダ(HW/SW) 必須 やや易~普通 ファイル名の衝突条件,チェックディジット,レジューム情報,受信に必要な制御,最大 録音時間,消費電力計算,主要タスクの処理,メインタスクの処理,情報取得の理由 問2 省エネ対応の自動販売機(SW 主体) 普通 LED 消灯時間の計算,夜間の判断,正常動作の確認,タスクの機能概要,シリアルタスク の通知情報,タスク間の情報,機能追加によるタスクの変更,テストの不具合内容 問3 プランタの管理システム(HW 主体) 普通 ポーリング通信開始理由,通信制御方法,光量検出要素,ローカル制御部の設定内容,水 分センサの制御方法,ノイズ対策,ノイズの影響,各モードの制御方法,給水制御の方法 ・午後Ⅱ問題の特徴としては,問 1 がネットワークの知識がないと少し難しい問題でした。全体 に解答分量が増え,前回よりもやや難しかったと思われます。今回の出題分野とテーマは次の とおりです。 問1 無線を使用した安全運転支援システム(HW 主体) 普通~やや難 パケット受信タイミング,パケット内容,ディジタル署名,ホップ数と経路有効時間,通 信時間,センサ停止時間,データ送信時間,情報表示時間,通信の問題,情報の管理方法 問2 工業用内視鏡(SW 主体) 普通~やや難 選択項目の条件,FPGA 制御コマンド,データ更新の保守機能,フラグ設定理由,動作時 期の理由,制御部のタスク構成,タスク間の送信情報,情報の検出時間,内視鏡の機能拡 張,タスク間の処理,リモート制御モードへの移行 〔平成 26年春 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 スコア分布〕 得点 0点 ~ 9点 10 点 ~ 19 点 20 点 ~ 29 点 30 点 ~ 39 点 40 点 ~ 49 点 50 点 ~ 59 点 60 点 ~ 69 点 70 点 ~ 79 点 80 点 ~ 89 点 90 点 ~ 100 点 計 対前試験比率 午前Ⅰ免除者概算 合格者数 午前Ⅰ60 点以上合計 午前Ⅱ60 点以上合計 午後Ⅰ60 点以上合計 午後Ⅱ60 点以上合計 午前Ⅰ試験 0 0 9 47 128 237 363 345 242 76 1,447 午後Ⅰ試験 1 6 34 100 266 530 548 349 156 6 1,996 65.0% 2,059 午前Ⅱ試験 0 0 29 93 417 522 1,056 603 325 26 3,071 212.2% 58.7% 601 1,026 2,010 1,059 601 採点者数の割合 70.9% 65.5% 53.1% 57.0% 合格者数との差 425 1,409 458 0 午後Ⅱ試験 6 0 6 50 120 272 273 200 109 19 1,055 52.9% 合格者 601 57.0% Copyright by ITEC,Inc. 2014 -3- 平成26年春 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 得点分布 1,000 午後Ⅱ試験 午後Ⅰ試験 午前Ⅱ試験 午前Ⅰ試験 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 0点 ~ 10点 ~ 20点 ~ 9点 30点 ~ 19点 40点 ~ 29点 50点 ~ 39点 60点 ~ 49点 70点 ~ 59点 80点 ~ 69点 90点 ~ 79点 89点 100点 新試験制度で春期の試験で午前Ⅰ試験免除になった人がたくさん出ましたが,得点分布を分析 してみると,今回午前Ⅰ試験の免除者は概算で 2,059 人(58.7%)おり,受験者の 6 割近くが午 前Ⅱからの受験となりました。 得点分布を分析すると,高度系共通の午前Ⅰ試験で基準点(60 点)以上の人は 1,026 人(受験 者の 70.9%)でした。また,午前Ⅱ試験で基準点以上の人は 2,010 人(受験者の 65.5%)と高い 率になっていますが,前回の午前Ⅱ試験は 76.0%でしたので,今回は難しかったといえます。 午後Ⅰで基準点(60 点)以上取れた人は 53.1%で,記述式解答の分量が増えましたが,前回試 験と大きく変わりません。午後Ⅱで基準点(60 点)以上取れた人は 57.0%で,前回の 52.0%に 対して少し上がっています。解答分量の変化はあまり得点に影響してないといえます。 午後の試験で合格スコアに至らなかった方は,次回試験の対策として,専門知識分野で「午前 試験で出題される知識の理解度をまず上げる」,その次に,「午後試験で必要とされている知識を 題材として,さらに深く学習する」のがよいでしょう。 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -4- (今回合格された人) 今回見事合格された方で,今秋の IT スキル標準レベル 4「ネットワークスペシャリスト,IT ストラテジスト,システムアーキテクト,IT サービスマネージャ」の試験を目指す方は,午前の 試験が「共通知識」の午前Ⅰと「専門知識」の午前Ⅱに分かれます。ただし、午前Ⅰ試験に関し ては免除になりますので,午前Ⅱの学習をなるべく早く開始しましょう。 初めて IT スキル標準レベル 4 の試験を受験する方には,書籍・e ラーニング(WEB 教材・WEB テスト)・公開模試がセットになって試験範囲全体を短期間で万遍なく学習できる通信教育の 「WEB 午前Ⅰ免除コース」がオススメです。 その他,学習を進めていくにあたっては,通信教育以外にも午前試験対策に重点をおいた「宿 題メール」 。受験対策のプロ講師による午後試験対策に重点をおいたセミナーの「合格ゼミ」など, 学習アイテムを豊富に取り揃えております。通信教育に午後試験対策用に「合格ゼミ」を追加す るなど組合せは自由自在なので,今春の受験で苦手意識のあった分野の弱点克服をしつつ,次の ステップアップを目指しましょう。 (今回残念ながら不合格だった人) まずは,自分がよく理解していない内容について早めの学習が重要です。午前分野が苦手な方 は, 「応用情報・高度共通 午前試験対策」や「応用情報技術者 最頻出問題集」などの書籍を活用 しじっくりと振り返り学習をしてください。 今回の午前試験の得点が 50 点~59 点だった方は,合格ラインまで“あと一歩”のところま で実力がついていますので,身に付けた知識が薄れないうちに,早めに次回試験の対策を始めま しょう。移動中などのスキマ時間で問題演習に取組める「宿題メール」なども活用してみてくだ さい。 また,午後試験の得点が 60 点未満だった方は,確実に得点するために落ち着いて問題を解き, 解答が正しいかを検証する力を付けましょう。選択範囲が広がったことで解答し易い問題を選び 早めに対策を始めましょう。なお、午後試験に強くなるには,時間を決めた問題演習やアイテッ クの模擬試験を会場で受験するなど,本番を想定した学習を行うのも効果的です。 再受験される方には,午前試験対策はポイント確認とトレーニング問題,午後試験対策は重要 ポイントを音声・スライドで解説などの充実した弱点補強に最適な演習型 e ラーニングコース 「WEB 演習コース」や,本番と同じ条件(出題形式・出題数・試験時間)で実施される模擬試験 を受験し,ベテラン講師による採点評価で自身の弱点を把握することができる「全国統一公開模 試」などがおすすめです。午前試験対策の「宿題メール」,午後試験対策の「合格ゼミ」などを組 み合わせれば,さらに合格へと近づくことができるでしょう。不足している知識や分野ごとに組 み合わせて補強して次回合格を勝ち取りましょう。 2014 年秋期試験対策の新しい書籍については弊社のホームページからご覧ください。 (http://www.itec.co.jp) Copyright by ITEC,Inc. 2014 -5- ■現在刊行済みの 2014 年用 試験対策書籍 ・午前試験対策おすすめ書籍 ・午後試験対策おすすめ書籍 ・分野別予想問題集 Copyright by ITEC,Inc. 2014 -6- ・問題演習おすすめ書籍 ・論文対策おすすめ書籍 ■今後の刊行予定書籍 ・ 「2014 秋 徹底解説 情報セキュリティスペシャリスト 本試験問題」 7/上旬 発売予定 直近の本試験の内容を理解して、出題傾向を把握するのに最適!! Copyright by ITEC,Inc. 2014 -7-
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