科学技術振興機構 分野別 二次電池 / 次世代エネルギー 新技術説明会 2014年2月18日(火) JST東京別館ホール CNTを補強材とする リチウムイオン電池負極構造 信州大学 工学部 教 授 物質工学科 新井 進 1 本技術開発の背景 リチウムイオン電池の高容量化へのニーズ 現在、負極活物質として用いられているグラファイト (理論容量:372 mA h/g)の代替材料の探索 Sn(991 mA h/g )、Si(4200 mA h/g)の検討 (充放電時の大きな体積変化の問題) めっき法によるSn系活物質の開発 (パルスめっき,合金めっき等) 充放電耐久性の更なる向上 2 本技術開発の背景2 優れた機械特性,低い密度,導電性を持つCNTの 電池材料への応用 CNTを活用した集電体(Cu)と活物質(Snめっき膜) との密着性の向上 CNT複合めっき法による高耐久性負極構造の構築 3 CNT複合めっき めっき浴中にCNTが 分散している 外部電圧を印加すると、 カソード上で金属が析出 する。その際、CNTが金 属中に取込まれる。 金属/CNT複合めっき膜 が形成される。 4 従来技術とその問題点 集電体(Cu) Snめっき膜 充放電 Sn/CNT複合めっき膜 集電体(Cu) 体積変化等のストレ スによる集電体から のSnの滑落 Sn/CNT複合めっき膜は Snめっき膜よりは滑落し難 いが、滑落防止に対してそ れほど大きな効果は無い。 充放電 5 新技術の特徴 Sn CNTが集電体のCuと 活物質のSnの双方に 食い込んでいる。 新規負極構造 充放電 集電体(Cu) 集電体(Cu) CNTs CNTが集電体のCuと活物質のSn を繋ぎ止めているため、密着性が 高く、充放電の際の大きな体積変 化が起きてもSnが集電体から滑落 し難い。また、CNTがSn同志の分 離も抑制する。 6 新規負極構造の作製プロセス 集電体(Cu) Cu/CNT複合めっき Cu/CNT複合めっき膜 集電体(Cu) Snめっき Cu/CNT複合めっき膜の表面SEM像 Snめっき膜 集電体(Cu) Snめっき後の表面SEM像 7 1st 5th 10th 20th 30th 1 Snめっき膜 Cuめっき膜 集電体(Cu) 0 0 500 1000 Capacity ( mA h g-1 ) Cuめっき膜上のSnめっき膜 (従来構造) Electrode Potential (mV vs. Li/Li+) Electrode Potential (mV vs. Li/Li+) 充放電曲線 1st 5th 10th 20th 30th 1 Snめっき膜 Cu/CNT複合めっき膜 集電体(Cu) 0 0 500 1000 Capacity ( mA h g-1 ) Cu/CNT複合めっき膜上のSnめっき膜 (新規負極構造) 8 サイクル特性 1000 Sn/CNT 放電容量 Sn 放電容量 800 80 600 60 400 200 0 0 40 20 グラファイト容量 (350 mA h g-1) 10 20 30 Coulombic efficiency / % Discharge capacity / mA h g −1 100 Sn/CNT 効率 Sn 効率 新規負極構造は30回 の充放電試験後も約 600 mA h g-1の容量 を維持した。 0 Cycle number 9 充放電試験後の活物質(スズ)の表面形態 従来構造(下地層Cu) 新規負極構造(下地層Cu/CNT) CNT 1μm Snめっき層にはクラックが 見られ、Snの滑落が確認 される。 1μm Snめっき層にはクラックが 見られるが、CNTがSn同志 を繋ぎ止め滑落が抑制され ている。 10 想定される用途 リチウムイオン電池負極 その他 今後の方向性 CNTの種類や量の最適化による充放電特性の向上 スズ以外の活物質の検討(例えばスズ合金など)に よる充放電特性の向上 熱処理によるCuとSnの合金化による充放電特性の 向上 11 企業への期待 実環境での評価 リチウムイオン電池の電解液の検討 正極材料との組合せによるフルセルの作製 および評価 12 高比表面積銅の作製方法 信州大学 工学部 教 授 物質工学科 新井 進 13 本技術開発の背景 各種電極における電気化学反応速度向上へのニーズ 高比表面積Cu電極作製の検討 よりシンプルな方法による高比表面積Cu電極作製 14 めっき法による高比表面積Cuナノ構造の構築 緻密なCu めっき膜 Cuめっき浴 (+) (–) (+) (–) 通常のCuめっき 添加剤 多孔質 Cuめっき膜 Cuめっき浴 (+) (–) (+) (–) 本発明:めっき浴に添加剤を加えるだけで多孔質Cu構造を構築 → シンプル 15 作製した高比表面積Cuの微細構造 1 µm 表面 Cu substrate 1 µm 断面 薄板状のCuの析出物(厚さ約50 nm)から成る3次元ナノ構造 16 微細構造の調整1 通電量 14 C 54 C 27 C 1 μm 1 μm 通電量を増大させるとCuの板状析出は成長するが、厚さは変化しない。 通電量を変えることによって表面凹凸を変えることができる。 1 μm 微細構造の調整2 表 面 Cuめっき 表 面 1 μm 1 μm 断 面 断 面 1 μm 1 μm 作製した高比表面積Cu構造に、別のめっき浴を用いてCuを めっきすることにより、板状析出物の厚さのみを増大できる 高比表面積Cu構造を利用した リチウムイオン電池用シリコン系負極の作製 Cu(集電体) マイクロポケット シリコン粒子 本電極の利点 特殊Cuめっきによるマ イクロポケット形成 Cu電極にSi粒子が 直接固定されている ため、バインダーがい らない。 • シリコン粒子の付着 Si粒子 シリコン粒子の固定 Cuめっきによるシリコン 粒子の固定 •Siは半導体であるが、 CuでSi粒子を挟み込 んでいるため導電助 剤もいらない。 • 隙間のある構造の 中にSi粒子が固定さ れているため、充放 電時のSi粒子の体積 変化に対応可能。 充放電特性 600 2 −1 1 0.5 0 0 100 200 300 400 Capacity / mA h g −1 充放電曲線 500 600 500 80 400 60 300 200 40 グラファイト容量 (350 mA h g-1) 20 100 0 0 10 20 30 Coulombic efficiency / % 1.5 100 Discharge capacity / mA h g Electrode potential / V vs. Li/Li + 1st 5th 10th 20th 30th 0 Cycle number サイクル特性 高比表面積Cu構造を用いたSi系負極は優れたサイクル特性を示す。 想定される用途 リチウムイオン電池負極 電気二重層キャパシタ用電極 その他各種電極 今後の方向性 高比表面積Cuナノ構造の精密制御 高比表面積Cuナノ構造への各種活物質の固定 21 企業への期待 高比表面積Cu構造の各種エネルギーデバイ ス(リチウムイオン電池、電気二重層キャパシ タ等)への応用 高比表面積Cu構造を用いたSi系負極と正極 材料との組合せによるリチウムイオン電池フ ルセルの作製および評価 22 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称:電池用電極及びその製造方法 出願番号 :特願2013-152410 出願人 :国立大学法人信州大学 発明者 :新井 進 • • • • 発明の名称:金属膜及びめっき膜の形成方法 出願番号 :特願2013-153135 出願人 :国立大学法人信州大学 発明者 :新井 進 23 お問い合わせ先 信州大学工学部物質工学科 教授 新井 進 TEL 026-269-5413 e-mail [email protected] 信州大学産学官連携推進本部 コーディネーター 丸山育男(知財関連) TEL 026-269-5642 e-mail [email protected] 24
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