Evolving Markets 人口動態の迷信を打ち砕く- 特に日本について

グローバル投資展望
2014 年 12 月 8 日
Evolving Markets
focus
人口動態の迷信を打ち砕く - 特に日本について
日本:労働年齢人口と比較した企業利益
88
160
87
140
86
120
次に、最近発表された日本の GDP データに関して、日本のリス
ク資産に対して投資家が心配する必要がない理由を述べる。こ
の点はこのページの下部に示した資料にも関連しており、日本企
業のコーポレート・ガバナンスがこの 10 年で大きく改善したこと
が明確に分かる。
最後に、米国の政治情勢に関する向こう一年の見通しについて
詳細に述べる。残念ながら、米国政治の膠着状態は、民主党の
大きな敗北を受けて一部のアナリストが想像するように改善を見
せるのではなく、むしろ悪化するだけだと当社は考えている。
8%
6%
4%
6.0%
名目GDP前年比(左軸)
税引前経常利益(右軸)
4.0%
3.0%
0%
2.0%
-4%
1.0%
-6%
-8%
出所:ブルームバーグ、財務省
100
83
80
82
81
80
79
60
日本の労働年齢人口
Japan Working Age Population
日本の企業利益
Japan Corporate Prof it (USD, 3yr
avg)
(3
年移動平均)
78
1986 年
CQ4
40
20
1989 年 1992 年 1995 年 1998 年 2001 年 2004 年
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
2007 年 2010 年
CQ4
CQ4
2013 年
CQ4
マーケットウォッチ
5.0%
2%
-2%
84
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 四半期ま
での歴四半期(CQ)
日本企業の収益性:
「ショー・ミー・ザ・マネー(収益性の向上)」
10%
人口(百万人)
people
(millions)
85
十億米ドル
大方の投資家は人口動態が思わしくない時には企業収益も低下
すると考えている。しかし、当社の調査では、特に日本とドイツに
関して、このような考え方は否定された。反対に、良好な人口動
態が必ずしも堅調な企業業績に結びつかないことも示す。事実、
全体的な結びつきは希薄であり、特に日本とドイツについては、
当社としては投資家に対してこの要因に慎重になるようにと助言
したい。
0.0%
最近発表された 2014 年第 3 四半期の日本の(上場企業に限定
されない)企業収益全般についての数字によると、GDP 統計が
思わしくないにもかかわらず、税引前経常利益率の 4 四半期平
均は過去最高の 4.84%に達した。前年同期比では、弱い景気に
もかかわらず税引き前利益は 7.6%増加しており、もし 2014 年
第 4 四半期に景気が反騰すれば企業収益はさらに伸びるはず
である。しかし、気をつけなければならないのは、2013 年第 4 四
半期と 2014 年第 1 四半期は、消費税引き上げ前の駆け込み消
費のために比較対象として非常にベースが高いということであ
る。それ故、利益率の向上はもはや放物線的急上昇にはならな
いが、当社は今後数四半期にわたり、利益率がさらに拡大すると
予想している。これによって、日本の構造的な高収益トレンドが順
調に上向いていることがさらに証明されるだろう。
本文書末尾の免責条項ご確認ください。
人口動態の迷信を打ち砕く
労働年齢人口と企業利益の回帰分析
3 年移動
平均
(米ドル)
相関係数
3 年移動
平均(現地
通貨)
R2 乗
相関係数
1 年移動
平均
(米ドル)
R2 乗
相関係数
16
70
15
1 年移動
平均(現
地通貨)
R2 乗
相関係数
80
60
50
14
40
十億米ドル
billions
当社では、10 カ国につき、それぞれの労働年齢人口と上場
企業の利益(四半期業績の 3 年と 1 年の移動平均を使い、
データを平準化したもの)を比較してみたが、良好な人口構
成が企業収益の成長をもたらすという一般的な想定に反し、
両者の関係はよく言ってもあいまいで、相関関係はプラスか
ら大きなマイナスまで幅があった。
オーストラリア労働年齢人口と比較した米ドルおよび
豪ドルでの企業利益
人口(百万人)
people (millions)
ジョン・ヴェイル(チーフ・グローバル・ストラテジスト)による
2014 年 11 月 14 日付け配信レポート
30
13
20
オーストラリア労働年齢人口
Australia Working Age Population
Australia Corporate Profit (USD, 3yr
オーストラリア企業利益
avg)
(3
年移動平均)
R2 乗
10
12
2003 年
CQ1
米国
2005 年
CQ1
2007 年
CQ1
2009 年
CQ1
2011 年
CQ1
2013 年
CQ1
カナダ
オーストラリア
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
ドイツ
メキシコ
韓国
16
英国
80
フランス
70
日本
15
いくつかの国では、労働年齢人口と企業収益(米ドルと現地
通貨の両方で見て)の間に強い相関があった。当社の見ると
ころでは、米国や韓国でかなり強い相関関係が成り立ってい
るが、多くの国では人口動態の企業収益に対する影響はコ
モディティ価格などの他の要因に比べて限定的である。オー
ストラリアの場合、企業収益は鉄鉱石価格に連動して動き、
メキシコとカナダでは石油価格につれて上下している。これ
らの国でコモディティ価格以外の要素も働いていることは言
うまでもないが、天然資源を豊富に持つ国では、人口動態は
強い相関がありながらもその国の収益性にさしたる影響を持
たないように思われる。
60
50
14
40
十億米ドル
billions
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定
人口(百万人)
トルコ
30
13
12
2003 年
CQ1
2005 年
CQ1
オーストラリア労働年齢人口
Australia
Working Age Population
20
Australia
Corporate Profit (AUD, 3yr
オーストラリア企業利益
avg)
(3 年移動平均)
10
2007 年
CQ1
2009 年
CQ1
2011 年
CQ1
2013 年
CQ1
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
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本文書末尾の免責条項ご確認ください。
人口動態の迷信を打ち砕く
カナダ労働年齢人口と比較した米ドルおよび
カナダドルでの企業利益
54
100
90
18
16
52
80
14
23
50
22
50
40
人口(百万人)
people
(millions)
60
十億米ドル
人口(百万人)
people
(millions)
70
30
10
46
8
6
44
カナダ労働年齢人口
Canada
Working Age Population
21
12
48
20
カナダ企業利益
Canada
Corporate Profit (USD,
3yr
avg)
(3 年移動平均)
20
2003 年
CQ1
42
10
メキシコ労働年齢人口
Mexico Working Age Population
4
Mexico Corporate Profit (USD, 3yr
メキシコ企業利益
avg)
(3
年移動平均)
2
40
2005 年
CQ1
2007 年
CQ1
2009 年
CQ1
2011 年
CQ1
2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
2013 年
CQ1
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
24
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
54
100
90
250
52
200
80
23
50
50
40
カナダ労働年齢人口
Canada Working Age Population
21
30
46
100
44
メキシコ労働年齢人口
Mexico Working Age Population
20
カナダ企業利益
Canada Corporate Prof it (CAD, 3yr
avg)
(3
年移動平均)
150
48
十億米ドル
22
人口(百万人)
60
十億米ドル
billions
人口(百万人)
people
(millions)
70
42
10
50
メキシコ企業利益
Mexico Corporate Prof it (MXN, 3yr
(3
年移動平均)
avg)
40
20
2003 年
CQ1
十億米ドル
24
メキシコ労働年齢人口と比較した米ドルおよび
メキシコペソでの企業利益
2005 年
CQ1
2007 年
CQ1
2009 年
CQ1
2011 年
CQ1
2013 年
CQ1
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
CQ1
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
Page 3 of 8
本文書末尾の免責条項ご確認ください。
人口動態の迷信を打ち砕く
強いマイナス相関は日本とドイツで見られ、この両国では労
働年齢人口が減少したにも関わらず企業収益は大きく伸び
た。
原油価格と比較したカナダ企業の利益
100
120
100
80
60
60
40
日本とドイツ - 労働年齢人口と比較した企業利益
88
140
86
40
20
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
カナダ企業利益(1
年移動平均)
Canada
corporate profits
(1 yr avg)
原油価格(1
Oil
price (1 yr 年移動平均)
avg)
84
80
原油価格と比較したメキシコ企業の利益
120
100
12
80
10
60
40
20
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
U S D p e r b a rre l
米ドル/バレル
U十億米ドル
S D b il l i o n s
日本企業利益
Japan Corporate Profit (USD, 3yr
(3avg)
年移動平均)
1986 年 1989 年 1992 年 1995 年 1998 年 2001 年 2004 年 2007 年 2010 年 2013 年
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
16
8
60
日本労働年齢人口
Japan Working Age Population
78
140
14
80
82
79
18
100
83
81
出所:MSCI、CSLA、日興アセットマネジメントによる推定、2014 年第 1 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
20
120
85
20
2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
160
87
人口(百万人)
people (millions)
U十億米ドル
S D b i ll i o n s
80
十億米ドル
140
U米ドル/バレル
S D p e r b a r re l
120
55
80
70
40
6
0
メキシコ企業利益(1
年移動平均)
Mexico corporate profit
(1 yr avg)
年移動平均)
Oil原油価格(1
price (1 yr avg)
出所:MSCI、CSLA、日興アセットマネジメントによる推定、2014 年第 1 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
中国鉄鉱石スポット価格と比較したオーストラリア企
業の利益(鉄分 63.5%粉鉱石)
80
200
160
U十億米ドル
S D b i l li o n s
60
140
50
120
40
100
80
30
米ドル/メートルトン
180
70
60
20
10
40
2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2013 年
CQ4
CQ3
CQ2
CQ1
CQ4
CQ3
CQ2
CQ1
CQ4
CQ3
CQ2
CQ1
CQ4
20
CQ4 CQ3 CQ2 CQ1 CQ4 CQ3 CQ2 CQ1 CQ4 CQ3 CQ2 CQ1 CQ4
2004 2005 2006 2007 2007 2008 2009 2010 2010 2011 2012 2013 2013
オーストラリア企業利益
OZ
corporate profit (1 yr avg)
(1 年移動平均)
鉄鉱石価格(1
Iron
ore price (1年移動平均)
yr avg)
50
54
40
billions
十億米ドル
2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年
CQ4
CQ4
CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4 CQ4
CQ4
CQ4
CQ4
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
人口(百万人)
people
(millions)
2
60
20
4
30
ドイツ労働年齢人口
Germany
Working Age Population
20
ドイツ企業利益
Germany
Corporate Profit (EUR,
3yr
avg)
(3 年移動平均)
10
53
2006 年 2007 年 2008 年
CQ4
CQ4
CQ4
2009 年
CQ4
2010 年
CQ4
2011 年
CQ4
2012 年
CQ4
2013 年
CQ4
出所:MSCI、OECD 、日興アセットマネジメントによる推定、2013 年第 4 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
この両国は継続して革新に力を入れること(例えば積極的に
ロボットを導入するなど)、そして日本について言えば、企業
のリストラクチャリングと多国籍化、そして重商主義的姿勢
から次第によりよいコーポレート・ガバナンスに軸足を移すこ
とで人口動態のマイナス面を乗り越えることができた。逆に、
フランスは非常に弱い相関関係を見せており、当社では革
新の欠如と硬直的な労働市場が、人口動態が良好なのにも
関わらず同国の企業収益がほとんど横ばいを続けている大
きな理由だと考えている。
出所:MSCI、CSLA、日興アセットマネジメントによる推定、2014 年第 1 暦四
半期までの暦四半期(CQ)
Page 4 of 8
本文書末尾の免責条項ご確認ください。
人口動態の迷信を打ち砕く
株価収益率の見通しが一定だと仮定すると、人口動態はそ
の国の株式市場のパフォーマンスを左右する重要な要素で
はないと言える。この点はドイツや日本の株式の投資家、ひ
いては人口構成が悪化し始めている韓国株式の投資家(人
口構成が悪化し始めている)への安心材料になるだろう。反
対に、おそらく米国を除いては、投資家は人口動態の良好な
国に引きつけられるという間違いをするべきではなく、投資を
する前にその関係、特に米ドルに換算した企業収益との相
関関係の証拠を確認すべきである。言うまでもなく、企業収
益には世界経済のサイクルが最も大きな影響力を持つが、
人口動態の好ましくない国の中には良好な国よりも同一の
長期サイクルの中ではるかに繁栄を見せることができる国も
ある。つまり、投資先の国を選ぶにあたって、投資家は人口
動態的議論にはかなり慎重な目を向けるべきである。
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本文書末尾の免責条項ご確認ください。
日本は景気後退に? 3 つのキーポイント
ジョン・ヴェイル(チーフ・グローバル・ストラテジスト)による
2014 年 11 月 18 日付け配信レポート
最近、日本の GDP が発表され、同国が景気後退局面に
入ったことを示唆する内容がかなりの大騒ぎを引き起こし
た。しかし、これについては 3 つの大切なポイントがある。
第一に、こういった統計は往々にして大幅な修正があり、直
近の四半期の数字にはいくつか変則的な点があったため、
今後それが修正されてプラス成長になったとしてもショッキン
グではない。
第二に、GDP 統計は日本の企業収益とは何の相関関係も
ない。当社の Evolving Markets レポートが長らく指摘してき
たように、この 10 年間、GDP の内容が思わしくないのにか
かわらず、日本企業の利益はかなり堅調であった。実際、景
気後退に入ったと言われるこの第 2 四半期と第 3 四半期に
おいて、日本企業の利益は市場予想を大幅に上回って前年
比 10%増となり、危機を迎えている状況とはほど遠い。これ
には円の下落も関わっているのは言うまでもないが、銀行を
含むサービス産業の利益も予想を上回っている。
第三に、機械受注や個人消費が上向き続けるなど、第 4 四
半期の経済成長率がかなり良好なものになるという兆候が
いくつかある。同時に、この直近の GDP データがさらに円を
下落させるなら、それは日本経済を下支えするものになる。
しかし、こういったデータは政治的な文脈でより重要であり、
消費税の引き上げは先延ばしになるだろう。これは短期的に
は経済を成長させ、資産効果により将来の消費が押し上げ
られるためプラス材料である。
この状況は新たな選挙にもつながり、それによって向こう数
年間の安倍政権の基盤が強まり、またひいては安倍首相が
経済改革を進める助けにもなるだろう。特に、首相が目指す
TPP の合意には追い風になり、それは日本にとって大いに
必要なことである。
つまりは、思わしくない経済データも、日本のリスク資産への
投資家を心配させるものではないといえるだろう。
Page 6 of 8
本文書末尾の免責条項ご確認ください。
米中間選挙:共和党が議会の支配権を握ることで大統領
との関係は膠着状態に
ジョン・ヴェイル(チーフ・グローバル・ストラテジスト)、
ロジャー・ブリッジズ(グローバル金利通貨ストラテジスト)
による 2014 年 11 月 7 日付け配信レポート
米国中間選挙の結果、共和党は上院の 52 議席を獲得し、
もともと過半数を占めていた下院でも差をさらに広げ、
2006 年来初めて議会の上下両院を支配するに至った。こ
の結果についてはオバマ大統領の不人気が大きな要因では
あるが、有権者のわずか 36.6%しか投票しなかったことは
選挙前の議会与党、また一般的に民主党にとって良い結果
ではない。大統領選に比べて中間選挙の投票率は大抵低
く、これは共和党側にすれば 2016 年の大統領選に向けて
喜びも半ばといったところかもしれない。例えば、1998
年の大統領選では、中間選挙で共和党が議会の過半数を獲
得したにも関わらずビル・クリントンが 2 期目の当選を果
たしている。
選挙結果の意味するものは、ワシントンの膠着状態が続く
ということだが、今度は下院対上院ではなく議会対大統領
の対立になる。主な意見の相違点と考えられるものにはオ
バマケア(医療保険制度改革)、環境や移民政策があり、
これらの分野では大統領と共和党が真っ向から対立してい
る。環境問題は、エネルギーや外交・産業政策など様々な
政策分野に関わってくる。民主党は、オバマ大統領の環境
政策が原因で、石炭の産出地であるウエストバージニア州
やガス産出州のサウスダコタなど主要なエネルギー関連州
を落としている。一般的に言って、環境保護主義者は水圧
破砕による原油生産や輸出に反対しているが、共和党は支
持しており、また、原油の増産は米国のエネルギー自給を
可能にして中東からの輸入への依存度を減らせるため多く
の有権者にも訴求力がある。
2011 年に起きた連邦債務上限をめぐる危機や、2013 年の
財政の崖問題の原因の一つとして、歴代大統領に比べてオ
バマ大統領の議会に積極的に働きかける姿勢が足りなかっ
たことがある。オバマ大統領がこれから 2 年で業績を残し
たいのであれば、この状況は変わらなければならない。
潜在的な対立の火種はあるものの、大統領が新しい議会と
より歩み寄り、協力に前向きになれる分野も存在する。例
としては貿易協定を早急に進める権限を与えられているこ
とで、特に環太平洋パートナーシップ(TPP)について言
えば民主党よりも共和党のほうがはるかに積極的である。
しかし、オバマ大統領は米国の労働や環境の基準および農
業が守られるように他の参加国と厳しい交渉をするものと
見られ、その任期中に交渉が進展するか疑問視する向きも
ある。そのため、オバマ大統領の下では TPP が進展しない
可能性はかなりあり、参加国は(もし 2 年待てると思うな
ら)大幅な譲渡をするよりも共和党から大統領が選ばれる
可能性を待つことにするかもしれない。オバマ大統領の外
交政策の中心はいわゆる「アジア・ピボット(アジアへの
軸足移動)
」であり、TPP はその中核基盤ともなるもので
あった。したがって、もしそのリーダーシップ下で TPP を
締結することができれば、米国の外交政策の軸足をアジア
へ移したという業績を確かに残すことができるであろう。
もう一つ、下院と上院の対立による膠着状態が際立ってい
たのは、9 月に下院を通過した法案で、連邦政府監査院に
対して金融政策の検討内容も含めて連邦準備銀行(連銀)
の全面的な監査を行わせるというものだった。同案は、下
院通過後、民主党により上院の審議から遠ざけられていた
が、新しい上院の下でこの状況は変わるかもしれない。共
和党議員の中には、連銀が量的緩和策を取ったり他国の中
央銀行にドルスワップラインを与えたりすることが権限逸
脱だと感じている者がいる。連銀を監査するという案を最
初に唱えたのはポール・ライアン議員であるが、連銀がホ
ワイトハウスを味方に付けたことから最終的には見送られ
た。しかし共和党が議会の支配権を握ったことから、連銀
の監査を行ったりその独立性を減らそうとしたりする圧力
が改めて起きてくるかもしれない。
Page 7 of 8
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当資料は日興アセットマネジメント アメリカズ・インクが市場環境等についてお伝えすること等を目的として作成した資料(英語)を
ベースに日興アセットマネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した日本語版であり、特定商品の勧誘資料ではなく、推奨等を
意図するものでもありません。また、当資料に掲載する内容は、当社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。資
料中において個別銘柄に言及する場合もありますが、これは当該銘柄の組入れを約束するものでも売買を推奨するものでもあり
ません。当資料の情報は信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について当社が保証
するものではありません。当資料に掲載されている数値、図表等は、特に断りのない限り当資料作成日現在のものです。また、
当資料に示す意見は、特に断りのない限り当資料作成日現在の見解を示すものです。当資料中のグラフ、数値等は過去のもの
であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。当資料中のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するも
のではありません。尚、資料中の見解には当社のものではなく著者の個人的なものも含まれていることがあり、予告なしに変更す
ることもあります。
日興アセットマネジメント アメリカズ・インクは当社のグループ会社です。
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