Aza-Morita-Baylis-Hillman 付加体を使った複素環合成 Heterocyclic

第 24 回福岡シンポジウム Poster 発表要旨
Aza-Morita-Baylis-Hillman 付加体を使った複素環合成
Heterocyclic synthesis from Aza-Morita-Baylis-Hillman adducts
葉隆一郎・宮崎弘一郎・山根侑・石川慎吾・上村明男(山口大学大学院医学系研究科)
最近我々は光学活性なスルフィンイミンを用い、チオラートをトリガーとする不飽和エステルへ
の Michael/Mannich 反応を経由して、光学活性な-アミノ--メチレンエステルを容易に合成できる
方法を見いだした。これを N-アリル化を行った後に閉環メタセシス反応使って、光学活性な 2,5ジヒドロピロールの合成を開発し、(-)-trachelanthamidine の合成を達成してきた。そこで、このユ
ニットの合成的な価値を高め新しい合成方法論を展開するために、1)ラジカルカスケード反応に
よる光学活性な縮環式複素環の合成、および2)光学活性ピペリジン合成を用いた生理活性物質の
合成を検討した。
—(N-プロパルギル)アミノ--メチレンエステル 2 と Me2S2 もしくは(Me3Si)3SiH を反応させると、
それぞれから生じたラジカルが付加-環化-置換反応を一気に進行させて、高立体選択的にビシクロ
ジヒドロチオフェンもしくはビシクロジヒドロシロールが収率よく得られることを見いだした 1, 2)。
すなわちスズ以外にもこのようなラジカルカスケード反応が進行することを明らかにした。
また、化合物 1 を塩基存在下でホモアリル化して得られるホモアリル体 4 に第二世代の Grubbs
触媒を作用させると、効率よく閉環メタセシス反応が進行して、目的の光学活性な環化体 5 が得ら
れた。得られた環化体 5 は複素環合成のビルディングブロックとして有用と考えられる。例えば、
化合物 5 を水素化還元すると立体選択的に 2,3-cis 置換ピペリジンに変換できた 3)。この方法を用
いて生理活性物質である CP-99994 の合成を現在進めている。
Ts
N
X
toluene(10-2M)
N
Ts
3
CO2t-Bu
CO2t-Bu
Ar
Ts
HXR or (RX)2
radical iniciator
2
NH
Ar
X = Sn (R = (n-Bu)3), yield; 88-72%(11 entry),
d.r.; 99/1-93/7, >95%ee
Si (R = (Me3Si)3), yield; 61-42%(10 entry),
d.r.; 91/9-71/29, >90%ee
S (R = Me), yield; 91-43%(10 entry),
d.r.; 90/10-74/26, >91%ee
CO2t-Bu
Ar
Ts
1
Grubbs 2nd
N
CO2t-Bu
Ar
DCM, reflux
4
H
N
CO2t-Bu
N
Ar
Ts
5
Ar = p-Tol yield; 80%, 83%ee
3-Indole; 78%, 92%ee
OMe
N
H
CP-99994
<参考文献>
1) Kamimura, A.; Miyazaki, K.; Yamane, Y,; Yo, R.; Ishikawa, S.; Uno, H.; Sumimoto, M. J. Org.
Chem. 2013, 78, 7816
2) Miyazaki, K.; Yamane, Y.; Yo, R.; Uno, H.; Kamimura, A. Beilstein J. Org. Chem. 2013, 9, 1326
3) Kamimura, A.; Yo, R. manuscript in preparation
発表者紹介
氏名
葉隆一郎(ようりゅういちろう)
所属
山口大学大学院医学系研究科
応用分子生命科学系専攻
学年
博士前期課程 1 年
研究室
生命有機合成化学研究室
研究室紹介写真