#457 American College of Rheumatology 2014 Poster Session 2014年 米国リウマチ学会 NEWS FLASH November 14–19, 2014 in Boston, Massachusetts 実臨床におけるトシリズマブの長期安全性:日本の関節リウマチ患者5,573例 を3年間追跡した製造販売後調査の初めての報告 First Confirmation Data of Long-Term Safety for Tocilizumab in a Real-World Setting: 3-Year Follow-up Postmarketing Surveillance of 5573 Patients with Rheumatoid Arthritis in Japan 山本 一彦 先生 東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 アレルギーリウマチ学 教授 関節リウマチ(RA)に対するトシリズマブ(TCZ)の日本の実臨床における長期安全性を評価する3年間の製造販売後調査を実施した。その結果、 長期観察期間中に死亡率および重篤な感染症・悪性腫瘍・消化管穿孔・重篤な心機能障害の発現率の増大は認められなかった。 ・2008年4月∼2010年8月にTCZ (静注、 8mg/kg) が1回以上投与されたRA患者を追跡した、 生物学的製剤としては国内初の3年間の調査報告である。 ・本安全性解析の対象患者は5,573例、平均年齢58.7歳、平均罹病期間10.5年で、 平均治療期間は2.1年であった (図1、表1)。 ・追跡期間中に144例(2.58%) が死亡した。日本人の一般人口と比較した標準化死亡比(SMR) は1.27(95% CI: 1.08∼1.50)で、日本人の一般RA 患者のSMR(1.46∼1.90)1)と同程度であった。 ・死亡率は初回TCZ投与後12 ヵ月までが最も高く、その後の長期観察期間中に上昇は認められなかった。なお、 死因は感染症や呼吸器疾患、 悪性腫瘍 が多かった(図2)。 2.24%、 0.65%、2.19%で、 いずれも長期調査期間中に発現率の上 ・重篤な感染症、悪性腫瘍、消化管穿孔、重篤な心機能障害の発現率は各9.94%、 昇は認められなかった(図3)。 ・日本人の一般人口と比較した悪性腫瘍の標準化罹患比 (SIR) は0.79 (95% CI: 0.66∼0.95) であった。癌腫別では悪性リンパ腫のみ日本人の一般人口に比 べて有意に高かったが (SIR 3.13、 95%CI: 1.82∼5.39) 、 既報2)における日本人の一般RA患者のSIR (6.07、 95%CI: 3.71∼9.37) と同様の傾向であった。 1)Nakajima A, et al. Scand J Rheumatol. 39: 360-367: 2010 2) Yamada T, et al. Rheumatol Int. 31: 1487-1492: 2011 患者の内訳 図1 患者背景 表1 背景因子 TCZ 投与患者 (N=5,573) 4,542(81.5) 女性、例 (%) 組入れ患者数: 5,620例 安全性解析から除外: 平均年齢(SD) 、 歳 58.7(12.8) 平均体重(SD)、 kg 53.3(10.3) 10.5(9.2) 平均罹病期間(SD) 、 年 47例 TCZ治療前の併存症歴、例 (%) 有害事象データなし: 42例 契約違反: 3例 消化管障害 1,177(21.1) その他: 2例 呼吸器疾患 864 (15.5) 糖尿病 585 (10.5) 肝障害 401 (7.2) 心機能障害 364 (6.5) 腎機能障害 313 (5.6) 安全性解析対象: 5,573例 32 (0.6) 悪性腫瘍 追跡完遂 1年 * 5,327例 (95.6%) 2年 * 4,850例 (87.0%) 3年 * 4,527例 (81.2%) *死亡、転院、追跡不能例は除く TCZ の総曝露量:11,734人・年 平均治療期間(中央値) :2.1 (2.9)年 Steinbrockerの放射線学的stage分類 Ⅰ+Ⅱ、例 (%) 1,920(34.5) Steinbrocker の機能的class分類 1+2、 例 (%) 4,103(73.6) ベースライン時生物学的製剤使用、 例 (%) 3,502(62.8) ベースライン時csDMARD使用、 例 (%) 3,867(69.4) ベースライン時MTX使用、 例 (%) 2,972(53.3) ベースライン時ステロイド (経口・静注) 使用、例 (%) 4,156(74.6) ・ 患者の平均年齢は58.7歳、平均罹病期間は10.5年であり、Steinbrockerにて 評価した病態進行度はstageⅠ+Ⅱが34.5%、class 1+2が73.6%であった。 ・ 患者の62.8%には生物学的製剤の使用歴があった。 本安全性解析の対象患者は5,573例、平均治療期間は2.1年であった。 致死性イベント発現率の変化と死因 図2 a)調査期間中の致死性イベント発現率の変化 b)調査中の死因 (%) 1.6 1.4 発現率 1.2 (95%CI) 0.8 0.6 1.18 (0.92∼1.50) 0.85 (0.62∼1.14) 0.4 0.2 0.0 感染症 28.47% その他 31.95% 1.0 呼吸器障害 15.97% 0.47 (0.29∼0.70) >0∼12ヵ月 >12∼24ヵ月 >24∼36ヵ月 心機能障害 9.03% 悪性腫瘍 14.58% ・ 長期観察期間中に死亡率の上昇は認められな かった。 ・ 主 な 死 因 は感 染 症(28.47%)、呼 吸 器 障 害 (15.97%)、悪 性 腫 瘍(14.58%)、 心機能障 害(9.03%)であった。 初回TCZ投与後の期間 企画・提供: この資材は学会の最新情報を掲載しています。 掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書を参照ください。 #457 Poster Session American College of Rheumatology 2014 2014年 米国リウマチ学会 NEWS FLASH November 14–19, 2014 in Boston, Massachusetts 実臨床におけるトシリズマブの長期安全性:日本の関節リウマチ患者5,573例を3 年間追跡した製造販売後調査の初めての報告 重篤な感染症、悪性腫瘍、消化管穿孔、重篤な心機能障害の発現率の変化 図3 a)重篤な感染症 (%) 8 b)悪性腫瘍 c)消化管穿孔 (%) 1.5 d)重篤な心機能障害 (%) 1.5 (%) 1.5 5.67 7 (5.08∼6.31) 4 (95%CI) 3 2.16 (95%CI) (1.77∼2.62) 1.0 (95%CI) 0.5 発現率 3.25 (2.78∼3.77) 0.81 (0.59∼1.10) 0.68 0.66 (0.45∼0.93) 1.0 (0.48∼0.93) 発現率 5 発現率 発現率 6 0.36 (0.22∼0.55) 0.5 0.61 (0.42∼0.85) 0.41 (0.25∼0.62) (95%CI) 0.15 0.15 (0.06∼0.31) (0.07∼0.30) 2 1.0 0.5 0.11 (0.03∼0.25) 1 0 0.0 >0∼ 12ヵ月 >12∼ 24ヵ月 >24∼ 36ヵ月 初回TCZ投与後の期間 企画・提供: 0.0 >0∼ 12ヵ月 >12∼ 24ヵ月 >24∼ 36ヵ月 初回TCZ投与後の期間 0.0 >0∼ 12ヵ月 >12∼ 24ヵ月 >24∼ 36ヵ月 初回TCZ投与後の期間 >0∼ 12ヵ月 >12∼ 24ヵ月 >24∼ 36ヵ月 初回TCZ投与後の期間 この資材は学会の最新情報を掲載しています。 掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書を参照ください。
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