オランダBVの概要

本メモは、2014年10月現在の法規に基づく一般的なご説明
を目的とするものです。個別の事案につきましては別途の検討
が必要となりますので、その際には当事務所にご相談ください。
オランダBVの概要
2014年10月
目次
1. 法源
2. 法人形態
3. 設立
4. 資本構造
5. 株式
6. 組織
7. 代表権と責任
8. 組織再編
1. 法源
• Het Burgerlijk Wetboek Boek 2 (BW)/民第2巻
– 第1編 総則(第1条~第25条)
– 第2編 Verenigingen(第26条~第52条)
– 第3編 Cooperatie en onderlinge waarborgmaatschappijen(第5
3条~第63k条)
– 第4編 Naamloze vennootschappen(第64条~第174a条)
– 第5編 Besloten venootschappen met beperkte aansprakelijkh
eid(第285条~第307条)
– 第6編 Stichtingen(第285条~第307条)
– 第7編 合併及び分割(第308条~第334ⅱ条)
– 第8編 法人内で生じた紛争の解決(第335条~第359d条)
– 第9編 年次計算書類(第360条~第455条)
• 原文:オランダ政府のウェブサイト(overheid.nl)
• ボランティアの英訳サイトあり
2. 法人形態
• Verenigingen
• Cooperatie en onderlinge waarborgmaatschappij
en
• Naamloze vennootschappen(N.V.)
• Besloten venootschappen met beperkte aanspr
akelijkheid(B.V.)
• Stichtingen
3. 設立
• 一人又はそれ以上の法人・自然人により、蘭公証人が
作成する公正証書でもって設立される(art. 2:175 lid
2 BW)。
• 設立公正証書に定款の規定が含まれる。
• 以前は設立公正証書に「法務省の異議のない声明」及
び「銀行発行の資本金払込証明書」を添付する必要が
あったが、廃止済み。
• 設立後、商工会議所内の登記所に登記( art. 2:180
lid 1 BW )。
• 設立には定款ドラフト、委任状(要公証及び
アポスティーユ)、設立当初取締役のデータ
カード(署名確認用)、公共料金の写し、一人
株主のデータカード及び登記簿) が必要。
4. 資本構造①
• 最低資本金制度、授権資本制度(最低1/5発行)は廃
止済み(art. 2:178 lid 1 BW)。
• ユーロ以外の通貨、例えばUSドルも選択可能( art.
2:178 lid 2 BW)。
• 払込義務( art. 2:191 lid 1 BW )あり。
• 特段の合意がない限り金銭により払込( art. 2:191a
lid 1 BW )が行われる。
• 合意により額面以上に払込を行うことも可能(いわゆる
Share Premium Contribution Agreement)。
• 法定準備金(例: art. 2:390 lid 1 BW)。
• 定款の規定による準備金。
4. 資本構造②
• 資本の保護-配当に関して
– 株主総会が株主への配当に関する決定を行う。自己
資本の額が準備金の額より大きいことを要する。
(art. 2:216 lid 1. e.v. BW)
– 取締役会による承認が必要(art. 2:216 lid 2. e.v.
BW )。
• 資本の保護―自己株式の取得と消却に関して
– 自己株式の取得(art. 2:207 lid 1. BW)
– 自己株式の消却(art. 2:208 lid 1. BW)
5. 株式
• 記名式(art. 2:175 lid 1. BW)。
• 取締役会が株主名簿を管理する(art. 2:194 lid 1.
BW)。
• 以前は株式譲渡制限規定を定款に設ける義務があっ
たが廃止済み(art. 2:195 lid 1. BW) 。
• 株式の発行及び譲渡は公正証書の作成により行われ
る(art. 2:196 lid 1. BW)。
• 様々な種類株式の発行が可能。
6. 組織①
• Bestuur/取締役会
• Aandeelhoudersvergadering/株主総会
• Raad van commissarissen/監査役会(これを設置
する義務が生じるのは一定の要件を満たす場合のみ。
任意での設置も可能)
Ondernemingsraad/従業員組織は会社法上の組織
ではない(art. 2:189a BW)。
6. 組織②-取締役会
• 定款の規定により制限される場合を除き、会社の経営
に責任を負う(art. 2:239 lid 1 BW)。
• 選任・解任はある特定の種類株式の保有者により行わ
れる(art. 2:242 lid 1 BW)。
• 取締役会の開催回数、定足数等については法律には
規定されていない。
• 定款の規定により、取締役会の決議を他の会社機関の
承認の対象とすることが可能(art. 2:239 lid 3 BW)。
• 定款の規定により、取締役会は他の会社機関の指示に
従うことを要するとすることが可能
(art. 2:239 lid 4 BW)。
• 配当に関する承認。
6. 組織③-株主総会
• 取締役会又はその他の会社の機関に与えられなかった
権能は、法律の範囲内で、全て株主総会の権能となる。
(art. 2:217 lid 1 BW)
• 法律に明記された株主総会の権能
– 新株発行、減資、年次決算書類の承認、定款変更、
取締役及び監査役の選解任、合併及び分割、法人
格変更、法人の解散。
• 最低年1回開催( art. 2:218 lid 1 BW )、召集通知
期間8日。
• 定款の規定により国外開催可。
• 定款の規定により書面決議可。
• 取締役及び監査役に意見を述べる機会を
与える必要あり。
6. 組織④-監査役会
• 会社の規模が一定の大きさに達する場合(払込済株式
EUR 16m以上、従業員100人以上、OR設置済)を除
き、設置は任意 。
• 「取締役会の経営方針」及び「会社の業務並びにそれ
に関連する事業の一般的なあり方」を監督する(art.
2:250 lid 1 BW) 。
• 取締役会は少なくとも年に1度はRvCに書面でもって経
営方針の概要、一般的及び財政的リスク、会社の統治
及びコントロールについて報告しなくてはならない(art.
2:250 lid 2 BW) 。
• 責任(art. 2:260 BW)
• One-tier board
7. 代表権及び責任
• 取締役会(art. 2:240 lid 1 BW)
• 各取締役(art. 2:240 lid 2 BW)、定款の規定により
制限可能(会社法の規定にある制限のみ第3社に対抗
可)
• 対内的責任
– 不当経営に関する責任(art. 2:9 BW)
• 対外的責任(殆どの場合会社の債権者に対する責任)
– 原則、取締役の個人的責任は問われない(art.
2:5BW)
– 例外、取締役の明白な不当経営により
会社が破産した場合(art. 2:248 BW)
– 年次決算書類の登記義務(art. 2:394
BW)を怠っていた場合には「明白な不当
経営」が推定される(挙証責任転換)
7. 代表権及び責任②
• 年次決算書類の承認と登記
– 取締役会は事業年度終了の時点から5ヶ月以内に年次
決算書類を作成しなくてはならないが、株主総会は当該
期間を最大で6ヶ月まで延長することができる(art
2:210 lid 1 BW)。
– 年次決算書類は取締役及び監査役により署名されること
を要する(art 2:210 lid 2 BW)。
– 株主総会による監査人の選任と、それによる監査(art
2:393 lid 2 BW)。
– 株主総会による承認(art 2:210 lid 3 BW)。
– 法人は年次決算書類を、その採決から8日以内に登記所
に登記してこれを公開する義務を負う(art 2:394 lid 1
BW)。
– 年次決算書類が作成されてから2ヶ月以内に
これが株主総会によって承認されない場合に
は、取締役会は未承認であることを付した上で
これを登記所に登記して公開する義務を負う
(art 2:394 lid 2 BW) 。
8. 組織再編
• 増資
• 減資
• 定款変更
• 合併及び分割
• 解散及び清算
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岡野・ハイマンス 謙次
弁護士(オランダ王国)/アソシエイト
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