(BS)をやってみよう

6章
問題解決
TFU リエゾンゼミ・ナビ
『学びとの出会い』
2.ブレインストーミングをやってみよう
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ブレインストーミングとは?
〔1〕ブレインストーミングの由来
ブレインストーミング(以下ここでは BS といいます 略して「ブレ
スト」という場合もあります)とは、米国の広告会社 BBDO 社の副社
長だったアレックス・オズボーン(Osborn、A.F.)氏が開発・創始した
技法です。
直訳すれば、
「ブレイン」とは〈頭脳〉
、
「ストーミング」とは〈突撃〉
「独創的な問題に突撃す
るために頭を使う」からこ
の名称にしたと、オズボー
ンは自身の著書『独創力を
伸ばせ』(ダイヤモンド社)
の中で述べている。
です。
〔2〕BS の汎用化
BS は、欧米ではプロジェクトマネジメントにおけるリスク抽出など、
多くのビジネスシーンで使用されています。
BS は広告会社で考案されながら、当初は製造業の GM(自動車)、GE
(電機)などでよく用いられましたが、現在では、学校やまちづくり、研
究開発など、様々な場でたくさん使われています。
〔3〕リスクマネジメントと BS
近年プロジェクトマネジメントのグローバルスタンダードになりつ
つある PMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、リ
スクマネジメントにおける情報収集技法の 1 つとしてブレインストーミ
ングを挙げています。
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BS の4つの基本的ルール
〔1〕自由奔放
あらかじめ、自由奔放なアイディアを歓迎する雰囲気を作り出してお
きます。
また、開始してからも大いにリラックスして「少々、へんなことを言
1
このような雰囲気によっ
て、参加者は自由にアイデ
ィアを出す気持ちになる。
っても許される」という雰囲気づくりをします。
〔2〕批判厳禁
他人の発言については一切批判をしてはいけないということです。
批判しないというルールによって制約やタブーが排除されるようにな
り、何を言っても批判されないということになればグループが自由にな
ります。
参加者が「批判されるか
も」と思った瞬間にアイデ
アが出なくなる。また集団
発想のときに「もっとよい
ものを」などと言われる
と、メンバーは頭の中で批
判をし始める。
〔3〕質より量
アイディアを出す段階では、何が良くて何が悪いかを判断できません
(しません)。そこで、リーダーは参加者全員が発言し、アイディアがた
くさん出てくるよう議論を活発化させていきます。
重要なのはアイディアの数であって、結果として良質のアイディアが
増えます。質はどうでもよいということではなく、量が質を生むという
自分一人で物事を考えよ
うとするとどうしても限
界があるが、複数名で考え
ると他人のアイディアに
刺激され、新たな発見が生
まれてくる。
考え方です。
〔4〕便乗発展(結合改善とも言います)
ある参加者が出したアイディアに便乗する形で、アイディアを発展さ
せます。
このアイディアは自分のものだという意識をなくさせ、全員のものと
「アイディアの質は量に
比例する」という考えに基
づいている。
します。
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BS の展開
〔1〕準備
会場には机、大きな紙を用意
落ち着いた部屋で、机は四角形、できれば楕円形で全員の顔が見渡せ
るようにします。
あとで評価するため、
記入用紙は保存する必要があります。そのため、
黒板やホワイトボードへの記入は消してしまうのであればよくありませ
んが、デジカメの撮影などで保存できるならばかまいません。
普通の黒板の場合は、黒板に模造紙を貼り、フェルトペンで発言を書
いていきます。あるいは、机上に大きな(最低でも A3 サイズ)の用紙
を置き、全員が見える大きさの字でアイディアを書きます。
2
電子黒板は、BS には最適
な道具といえる。
〔2〕リーダー
乗せ上手な人を
BS の鍵はリーダーです。
りーダーはテーマについて事前によく考え、
考えるべき観点を多角的に洗い出しておきます。
人数が少ない時は、リーダ
ーは書記兼用でもよい。
実践する時には、全員をうまく乗せながら的はずれな方向に行かない
よう、うまくリードし、さまざまな角度からアイディアを出せるように
工夫します。
〔3〕メンバー構成
できるだけ混成部隊で
メンバーの数は5~8名程度。10名以上では多すぎます。そのテー
マの専門家は半数以下とし、他はいろいろな専門分野の人が望ましいの
です。
同じ階層同士がよいのですが、やむをえない時でも、権威主義の“上
当初は適切なメンバー数
は十名くらいといわれて
いたが、今では(特に日本
では)五~八名くらいが最
適と思われる。
の人”には遠慮してもらいましょう。
〔4〕発想・発言
自由に発言させ、すべてを書く
ルールに従ってメンバーは自由に発言します。用紙には「テーマ」と
発言の記入には、要約を簡
潔にすることが大切。
「アイディアの番号」を必ずふっておきます。
リーダーまたは書記係はメンバーの発書をすべて記入します。
〔5〕時間
基本は 1 時間程度、それ以上なら休憩を
BS の時間は1時間程度が適当です。途中で発言がつまずいたら各自
に数分考えさせ、再度発言を求めます。
1時間もあれば、テーマにもよりますが、最低でも百くらいのアイデ
ィアは出るでしょう。
〔6〕評価
批判厳禁で
出たアイディアは、できれば 1 日くらいおいてから評価します。評価
メンバーの半数は最初からの参加者とします。
今度は批判解禁で、徹底的にアイディアを評価するときです。評価の
基準は、「独自性」と「実現可能性」です。
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1時間以上やる場合は、途
中で十分に休憩をとると
効果的。
BS の留意点
〔1〕ルール順守とテーマの具体化
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この評価をとおしてアイ
ディアが結合され、高レベ
ルのアイディアになって
いく。この評価をとおして
アイディアが結合され、高
レベルのアイディアにな
っていく。
BS はさまざまな分野に用いられます。技法自体はそれほど難しくはな
いので、すぐに利用されがちです。しかし、四つのルールと、テーマを
具体化することに注意しないと失敗します。その上、評価しながらアイ
ディアを結合改善するという進め方が大切です。
〔2〕繰り返し行う
BS は一度で済ますのではなく、大きなテーマでまずはラフな発想をし
ます。
そして次には、前の BS の中の重要なポイントを選び、細かなテーマ
として BS を再度行うなど、繰り返していくことが大切です。
〔3〕他の技法との組み合わせ
BS を一度やると意見が数多く出るので、その数に安心してしまいがち
です。
ただし、ブレインストーミング自体には整理の手法はないので、KJ 法
やマインドマップなどを使うとよいと思います。
参考文献
高橋誠著「問題解決技法の知識〈第 2 版〉
」日本経済新聞社、2010
BS(ブレーンストーミング)
で出た意見はKJ法やマイン
ドマップで整理するといいよ
【BSの基本的ルール】
4

自由奔放

批判厳禁

質より量

便乗発展