平成 25 年度 ALS 基金 研究奨励金研究報告書 「メチル化阻害薬の家族性 ALS 治療薬としての検証」 “Assessment of methylation inhibitors as the therapy for FUS/TLS-related ALS” 山口 淳 千葉大学大学院医学研究院 神経生物学 1 目次 ページ 研究背景 3 研究目的 8 実験結果と考察 9 実験方法 15 参考文献 18 謝辞 21 図 22 2 研究背景 近年、家族性ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因遺伝子として、RNAメタボリズムに関与す るタンパク質の遺伝子TDP43(TAR DNA-binding protein 43)とFUS/TLS(fused in sarcoma/translocated in liposarcoma) が相次いで報告された(Arai et al., 2006; Neumann et al., 2006, Shreedhran et al., 2008;Kwiatkowski et al., 2009; Vance et al., 2009)。FUS/TLSは元来、そ の遺伝子変異が筋肉腫、脂肪肉腫等の腫瘍を惹起する遺伝子として報告され、EWSR(Ewing’s sarcoma breakpoint region)、TAF15(TATA-binding protein associated factor 15)とともにTET/FET protein familyに属し、腫瘍関連遺伝子としてその機能解析は進められてきた(Prasad et al., 1994; Andersson et al., 2008: Marko et al., 2012)。 FUS/TLSは、核-細胞質をシャトリングする多機能なDNA/ RNA結合タンパク質であり、 その構造は、N端から、SQGY(serine, glutamine, glycine, and tyrosine)-rich領域、Glycie-rich領 域、RRM (RNA recognition motif)領域、Znf(Zinc finger domain)で区切られた2つの GRR(glycine-rich region)、C端にnon-classical PY NLS(Nuclear localization signal、核移行シグナ ル) を有する(Lagier-Tourenne et al., 2009, 2010; Dormann et al., 2010.)。 C端のnon-classical PY NLS は、核内移行輸送体 Transportin により認識され、特にPY配列がその認識に重要であ ることが報告された(Dormann et al., 2010; Dormann et al., 2011)。実際、FUS/TLS の遺伝子変 異による家族性ALSの患者のうち、FUS P525Lタイプの遺伝子変異の患者は最も重篤な症状 を呈する( Conte et al., 2012; Mochizuki et al., 2012; Sproviero et al., 2012 )。 FUS/TLS遺伝子変 3 異を持つ家族性ALS患者の多くは、FUS/TLS C端のNLS(核移行シグナル)に遺伝子変異があ り、核内移行が障害を受ける結果、患者の運動ニューロンの細胞質にはFUS/TLS変異体の凝 集体を認めることが報告されている(Dormann et al., 2010; Brelstaff et al., 2011; Dormann et al., 2012)。 FUS/TLSの遺伝子異常による家族性ALS発症メカニズムとして、FUS/TLSの核内の機能が 失われる事が原因と考える”Loss of nuclear function”なのか、細胞質の凝集体が原因である と考える”Gain of toxic function”であるのかは不明である。しかし、FUS/TLSノックアウト マウスの運動ニューロン異常は現時点では報告されておらず(Kuroda et al., 2000; Hicks et al., 2000)、FUS/TLS遺伝子変異のトランスジェニックマウスは運動ニューロン異常を認めるこ と(Qiu et al., 2014 )などから、”Loss of nuclear function”に加え何らかの”Gain of toxic function” の可能性が考えられる。従って、FUS/TLS変異による細胞質への異常な偏位もしくは凝集体 形成を抑制すれば治療薬となる可能性がある。 研究代表者を含めた複数の研究グループより、2011年以降、FUS/TLPRMT1が PRMT1(Protein arginine N-methyltransferase 1)によりアルギニンメチル化されることが相次い で報告された(Du et al., 2011; Dormann et al., 2012; Tradewell et al.,2012; Yamaguchi et al., 2012)。 研究代表者は、PRMT1によるFUS/TLSのアルギニンメチル化が、FUS/TLSの核-細胞質シャ トリングに重要な役割を果たすことを報告し、メチル化阻害薬でFUS/TLSのメチル化を阻害 4 すると、FUS/TLSの核内移行が促進することを報告した(Yamaguchi et al., 2012)。アルギニン メチル化は、リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、SUMO化等とともに翻訳後修飾 (Post-translational modification, PTM)の一種であり、シグナル経路、RNAメタボリズム、転 写制御、エピジェネテイック制御(クロマチン修飾)、DNA損傷修復経路を含めた多くの細胞 内生理機能に関与する。PRMT1は、PRMT1~PRMT11からなるprotein arginine methyltransferases (PRMTs)ファミリーに属し、その中でもPRMT1は.細胞内のアルギニンメチ ル化に主要な役割を果たす(Tang et al., 2000)。PRMTsによるアルギニンメチル化は、 AdoMet(S-Adenosylmethionine) をメチル基供与体として標的タンパク質のアルギニンの guanidino 窒素基がメチル化される。AdoMet依存的なメチル化酵素はその反応形式より3つ のカテゴリー(Class I, II, III)に分類される。PRMTsが含まれるClass Iは、AdoMet-dependent MTase-foldと呼ばれる共通のβ-sheet 構造を有しタンパク質、DNA、RNAをメチル化する酵 素で、Class IIは SET domainを含むSET lysineメチル化酵素であり、Class IIIはisoprenylcysteine カルボキシル基メチル化酵素などの細胞膜に関するメチル化酵素群である。PRMTsの含ま れるclass I は、下図のように中央にコア共通ドメイン(Catalytic domain, MTase)を有し、 AdoMet依存的にアルギニンをメチル化する(Bedford et al., 2009; Nicholson et al., 2009)。 5 アルギニンジメチル化反応過程は、まず、アルギニンのguanidino 窒素原子がモノメチル 化 (monomethylarginine; MMA) さ れ た 後 に 、 対 称 的 な ジ メ チ ル 化 (symmetrically dimethylarginine; SDMA) あるいは非対称的なジメチル化 (asymmetrically dimethylarginine; ADMA)が行われる(下図)。 PRMTsは、非対称的なアルギニンジメチル化によりasymmetric-NG,NG-dimethylarginine (aDMA) residues を形成するType I、対称的なアルギニンジメチル化により 6 asymmetric-NG,NG-dimethylarginine (aDMA) residues を形成するType II、基質タンパク質のア ルギニンのモノメチル化のみに関与するTypeIIIに分類されるが、PRMT1は非対称的なア ルギニンジメチル化に関与するType Iの主要メンバーである (Bedford et al., 2009; Nicholson et al., 2009 )。 アルギニンメチル化阻害剤は、概して[1] General methylation inhibitor (or nonspecific methyltransferase inhibitor) と、[2] Specific methylation inhibitor に分類される(Cheng et al., 2004; Feng et al., 2009; Bonham et al., 2010; Wang et al., 2012)。[1]General methylation inhibitor としてこれまで用いられてきたのは、MTA(5'-Deoxy-5'-(methylthio)adenosine)、 AdOX(adenosine dialdehyde) である。これらは、S-adenosyl-L-homocysteine(AdoHcy) hydrolase を阻害することで、AdoHcyが細胞内に蓄積し、フィードバック阻害により間接的にAdoMet 依存性のメチル化が非特異的に阻害されると考えられている。[2] Specific methylation inhibitorとしては、低分子化合物ライブラリーのスクリーニング等により同定された AMI-1(Cheng et al., 2004)、A9、 A36 (Wang et al., 2012)がある。商業的に入手可能であるの は、MTA、AdOx、AMI-1であり、当該研究ではこれらの試薬を用いた。 7 研究目的 研究代表者は、上述したように、FUS/TLS は PRMT1 によりアルギニンメチル化され、 PRMT1 による FUS/TLS のアルギニンメチル化が FUS/TLS の核-細胞質シャトリングに関与 することを報告した。すなわち、メチル化阻害薬でアルギニンメチル化を阻害すると FUS/TLS の核内移行が促進することから、メチル化阻害薬は C 端の核移行シグナル(NLS) に遺伝子変異を有する FUS/TLS 変異体の核内移行を促進することが予想される。上述した ように、FUS/TLS 遺伝子変異による家族性 ALS 発症原因は、現時点では”Loss of nuclear function”か”Gain of toxic function”は不明であるが、FUS/TLS 変異体の細胞質への異常な偏位 もしくは凝集体形成を抑制すれば治療薬となる可能性がある。 当該研究では、家族性 ALS の D.melanogaster 疾患モデル、哺乳類細胞培養系を用いてメ チル化阻害薬の家族性 ALS 患者に対する治療薬としての可能性を検証する。 8 研究結果と考察 1, GFP-fused FUS/TLS 変異体 R521G、 P525L、dC(1-523aa)の細胞内局在 まず、 当該研究で用いる FUS/TLS の C 端 変異体を作製した。 下図のように、 FUS R521G、 P525L、dC(1-523aa)の 3 つの変異体を作製した。R521G は、発症時期や神経症状の重篤性に 関して Moderate type であり、P525L は発症時期が早く、急速な経過を持つ Severe type であ る。dC(1-523aa)は、Severe type である FUS R495X に相当する(Kwiatkowski et al., 2009; Vance et al.,2009; Conte et al., 2012)。 次に、N 端に GFP を融合した FUS/TLS 変異体 R521G、P525L、dC(1-523aa)と野生型 wt を、腎由来 HEK293、神経細胞腫由来の SH-SY5Y、SK-N-SH、N1E115、Neuro2a に一過性 に遺伝子導入して細胞内局在を確認した(Figure 1) FUS wt は核-細胞質シャトリングタンパク質であるが、通常状態ではほとんど核内にその 細胞内局在を認める。しかし、FUS P525L、FUS dC は細胞質に留まり、その細胞内局在が 細胞質へ異常に偏位する。HEK293 においては、FUS P525L、FUS dC の細胞質への異常な 偏位に加え凝集体形成(>3μm)が著明である。FUS R521G の細胞内局在は、神経系細胞であ 9 る SH-SY5Y、Neuro2a, N1E115 では大部分は核内であるが、軽度び漫性に細胞質に認める。 しかし、HEK293 では、び漫性の細胞質での局在に加え、凝集体形成(>3μm)を認める。 2, GFP-fused FUS R521G, P525L と SGs マーカーとの共局在 FUS/TLS を含む RNA メタボリズムに関与する RNA 結合タンパク質の多くは、ヒ素 (Arsenite)、熱、高浸透圧などのストレス下で Stress granules(SGs, ストレス顆粒)を形成する ことが報告されている(Guil et al. 2006;Bosco et al., 2010)。ストレス顆粒のマーカーとして、 eIF3、G3BP1、TIAR などが知られており(Tourriere et al, 2003; Gilks et al, 2004; Buchan et al., 2009)、我々は、GFP を融合した FUS/TLS 変異体 R521G、P525L とストレス顆粒マーカー の共局在を解析した(Figure 2)。 その結果、GFP を融合した FUS/TLS 変異体 R521G、P525L が形成する凝集体は、細胞質 においてストレス顆粒マーカーeIF3、G3BP1、TIAR と共局在することを確認した。これは、 FUS/TLS 変異体 R521G、P525L が形成する凝集体は、ストレス顆粒に相当する顆粒である ことを示唆する。 10 3, GFP-fused FUS P525L 凝集体形成の時間経過 次に、GFP-FUS P525L の凝集体形成の時間経過を解析した(Figure 3)。HEK293 細胞に一 過性遺伝子導入後、12 時間後には少なくともタンパク質の発現を認め、24 時間後には凝集 体形成を認めた。 4, GFP-fused FUS P525L に対する AdOx の時間経過 Figure3 の実験系を用いて、メチル化阻害剤 AdOx の GFP-FUS P525L の細胞質での凝集体 形成への影響を解析した。一過性遺伝子導入後、12、24、36 時間後にメチル化阻害剤 AdOx を投与したところ、遺伝子導入後 24 時間後以降に投与した場合は、凝集体形成の抑制効果 が減弱した。 これは、メチル化阻害剤 AdOx は、早期に投与すれば GFP-FUS P525L の細胞質への偏位お よび凝集体形成の抑制効果があるが、凝集体形成後にメチル化阻害剤を投与しても効果を 認めない可能性を示唆する。 5, メチル化阻害薬 MTA, AMI-1 の FUS P525L の細胞内局在への影響 次に、他のメチル化阻害薬 MTA, PRMT1 特異的阻害剤 AMI-1 の FUS P525L の細胞内局在 11 への影響を解析した。 その結果、 形態学的には、 AdOx に比べて MTA はその効果が弱い結果が得られた(Figure 5-1)。 また、PRMT1 特異的阻害剤 AMI-1 は、用いた濃度の範囲内では、その効果をほとんど認め なかった。 次に、細胞分画法を用いてメチル化阻害薬の効果を解析した。その結果、AdOx に比べて MTA は、その効果が弱いことを確認した(Figure 5-2)。 6.メチル化阻害剤の効果発現に必要な部位の同定 次に、メチル化阻害剤の効果発現に必要な FUS/TLS の部位の同定を行った。先行研究によ り、FUS/TLS にはメチル化部位が複数存在する(Du et al., 2011)。PRMT1 のアルギニンメチ ル化のコンセンサス部位は、“GRG” "RGG" 配列などが報告されており、FUS/TLS は C 端近 傍に RGG-rich 領域を 2 か所持つことから、この部位が PRMT1 によるメチル化部位として 予想される。 解析のため、 まず FUS/TLS の RGG 部位の欠損変異体 FUS-dRGGs を作製した(Figure 6)。 GFP-FUS-dRGGs の細胞内局在は、FUS-dC と同様に細胞質にび漫性に認めたが、顆粒形成 は認めなかった(Figure 7)。メチル化阻害剤 AdOx を投与したところ、FUS-dC の場合と同様 にその効果は消失した。 12 以上の結果より、 FUS/TLS の C 端近傍の RGG-rich 領域が PRMT1 のメチル化部位であり、 そのメチル化が FUS/TLS の核内移行に関与する可能性、すなわち Transportin による FUS/TLS の C 端への結合に関与することがが示唆される。 7, Gal4/UAS 系によるショウジョウバエ疾患モデル(GMR-Gal4 /UAS-FUS )の作製 次に、モデル生物であるショウジョウバエ(Drosophila melanogaster) を用いて、FUS/TLS の機能解析を試みた。目的遺伝子を時間・組織特異的に発現することが可能な Gal4/UAS 系を用いて、ヒト遺伝子 hFUS wt, hFUS P525L をショウジョウバエの複眼に強制発現す ることで、FUS によるショウジョウバエの ALS 疾患モデルの作製を試みた。 まず、ショウジョウバエ由来の S2 細胞において、hFUS wt と P525L の細胞内局在を確認 した (Figure 8)。hFUS wt の細胞内局在は、大部分が核内に認めるが、hFUS P525L は S2 細 胞においても核と細胞質に認める。メチル化阻害剤 AdOx を投与したところ、細胞質の異常 な偏位が消失し、ショウジョウバエ細胞実験系でもメチル化阻害剤 AdOx が有効であること を示している。 家族性 ALS に認める変異型 FUS/TLS P525L を発現させるプラスミド(pUAST-hFUS P525L)を構築し、D.melanogaster の Embryo に injection し、UAS-hFUS P525L 系統を 13 確立した。UAS-hFUS P525L 系統を、複眼に特異的に発現させるためのドライバー系統 GMR-Gal4 (Stock center より入手)と交配し、hFUS P525L の D.melanogaster 疾患モデ ルを作製した(Figure 9)。 その結果、FUS 野生型(wt)の複眼での強制発現のみでも rough eye を認めた。FUS R521G、 FUS P525L の強制発現でも同様の結果が得られたが、野生型と比較して顕著な差は認めな かった(Figure 9)。これは、FUS 野生型(wt)の強制発現は発達段階において、何らかの toxicity を有する可能性が示唆される。最後に、FUS R521G、FUS P525L ショウジョウバ エ疾患モデルの餌にメチル化阻害剤 AdOx を混入し投与したが、顕著な効果は得られなかっ た(Figure 10)。 以上の結果より、メチル化阻害剤は、培養細胞系を用いた実験系では、FUS/TLS C 端変 異体の細胞質での凝集体形成以前の早期に投与すれば、細胞質への異常偏位と凝集体形成 を予防する効果が示唆された。しかし、タンパク質の翻訳語修飾としてのメチル化の生理 的機能は多岐であり、治療薬としては FUS/TLS のアルギニンメチル化を特異的に阻害する ようなメチル化阻害剤の開発が必要である。 14 研究方法 細胞培養 Human embryonic kidney HEK293、 neuroblastoma 由来 Neuro2A, N1E115, SK-N-SH, SH-SY5Y 細胞は、 10 % FBS(fetal bovine serum)を加えた Dulbecco’s modified Eagle’s medium (DMEM) 培 地で、5% CO2、37℃恒温培養器で培養した。一過性遺伝子導入には、Lipofectamine ™ 2000 (Invitrogen, #11668-027)を用いた。当該研究で用いた試薬は、adenosine-2′,3′-dialdehyde (AdOx) (Sigma-Aldrich, #A7154), 5'- methylthioadenosine (MTA) (Sigma-Aldrich, #D5011) 、 AMI-1 (Sigma-Aldrich, #A9232)である。 発現コンスタラクト作製と PCR による遺伝子変異導入 FUS/TLS、 Transportin 1 の cDNAs は、HEK293 cDNA を鋳型として高正確性 PCR 酵素 (TOYOBO、#KOD-401)を用いて PCR で作製した。FUS R521G、FUS P525L は、QuickChange site-directed mutagenesis kit (Agilent Technologies)のプロトコルを利用して作製した。 FUS/TLS の 1-513 aa からなる FUS-dC (C-terminal NLS deletion mutant)の cDNA は、次のプ ライマーを用いて作製した。5′-ATGGCCTCAAACGATTATACCCA-3′ and 5′- GGAATCCATCTTGCCAGGGC -3′. 作製した cDNA は、pAcGFP1 C1(Clontech), FPC1-HA [Endo et al. 2007] ベクターにサブクローニングした。 15 ウエスタンブロッテング ウエスタンブロッテングは、既に発表した方法を利用して施行した(Yamaguchi et al. 2012, Koga et al. 2011). 細胞抽出サンプルは、細胞を lysis buffer [50 mM Tris-HCl (pH 8.0), 20 mM EDTA, 1% NP-40, 100 mM NaCl, 10 mM β-glycerophosphate, protease inhibitor cocktail (Roche Diagnostics)]で溶解して抽出した。 サンプル (20 µg/lane) は、loading buffer [100 mM Tris-HCl (pH 6.8), 200 mM dithiothreitol, 4% SDS, 0.2% bromophenol blue, 0.2% glycerol] で 5 分間煮沸 した後、10% SDS-PAGE で電気泳動した。その後、Polyvinylidene difluoride (PVDF) membrane (Millipore Corp.)にトランスファーし、約 1 時間、blocking buffer [phosphate-buffered saline (PBS) containing 0.05% Tween 20 (PBS-T) with 5% nonfat dried milk] でブロッキングを行い、1 次抗体、 でプローブした後、 メンブレンを 3 回 PBS-T で Wash し、 Horseradish peroxidase-linked anti-mouse or -rabbit IgG antibody (Cell Signaling Biotechnologies) でプローブし ECL chemiluminescence system (GE Healthcare Ltd)で発色してバンドを検出した。 細胞免疫染色法 細胞は 4% paraformaldehyde (PFA) で 15 分間固定し、3 回 PBS で洗浄した後、透徹化し Blocking solution [PBS containing 0.1% Triton X-100, 5% bovine serum albumin (BSA) and 3% goat serum]でブロッキングした。Blocking solution で希釈した 1 次抗体で室温 1 時間インキ ュベートした後 Alexa568 (Invitrogen) を付加した 2 次抗体で室温 1 時間インキュベートした。 16 その後、サンプルは、核染色液 DAPI (4′,6-diamino-2-phenylindole)で染色した後、蛍光顕微 鏡(Nikon, E600)で観察した。当該研究で使用した抗体は、FUS/TLS 抗体 (A300-302A)(Bethyl Laboratories, Inc., TX, USA), anti-FUS/TLS (4H11)(Santa Cruz Biotechnologies, sc-47711), anti-Histone H4 (F-9) (Santa Cruz Biotechnologies, sc-25260), anti-eIF3η (N-20) (Santa Cruz Biotech い nologies, sc-16377), anti-TIAR (C-18) (Santa Cruz Biotechnologies, sc-1749), anti-HA (Sigma-Aldrich, HA-7), anti-Actin (I-19) (Santa Cruz Biotechnologies, sc-1616), and anti-alpha-Tubulin (B-7) antibody (Santa Cruz Biotechnologies, sc-5286). 細胞分画法 細胞分画は先行研究に基づいて施行した(Yamaguchi et al. 2012)。80-90%のコンフルエントな 直径 6cm 培養皿から細胞を集め、100 µL の Buffer A (10 mM HEPES, pH 7.9, 10 mM KCl, 0.1 mM EDTA, 0.1 mM EGTA, 0.15% NP-40)で Lysis し、on ice で 15 分間インキュベートした。 その後、12 000 g で 1 分間遠心した。その上清を Cytosolic fraction として保存した。ペレッ トは、 100 µl の Buffer B (20 mM HEPES, pH 7.9, 0.4 mM NaCl, 1 mM EDTA, 1 mM EGTA, 0.5% NP-40)で lysis し、12 000 g で 30 分間遠心し、上清を nuclear fraction として保存した。 17 引用文献 1. 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