資料10 伊藤敏憲オブザーバー提出資料(PDF形式:217KB)

金融界はガスシステム改革を
どのようにみているのか
㍿伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー
代表取締役 兼 アナリスト
伊藤敏憲
金融市場における評価
 エクイティ市場
 評価対象:株式やエクイティ債の市場価格
 収益、財務データ、株主還元等の予想値に基づく投資指標を相対評価
 当該企業、関連セクター、市場平均等との比較
 過去のトレーディングレンジ、変化率等を考慮
 経済・金融情勢、投資市場の環境等の影響を強く受ける
 経営戦略の評価が重要
 クレジット市場
 評価対象:金利、債券の価格・発行条件
 金融債務・債券の元本の返済・償還、利息・配当の支払いの確実性を評価
 財務内容
 担保価値
 キャッシュフロー
 リスク評価の重要性が高く、不確定なリスクは最大源に考慮する傾向がある
2
IR&A
電力・都市ガス大手の財務格付
東京電力
R&I
中部電力
BBB- (13/11/14) A+
(13/11/14)
関西電力
A
(13/11/14)
A+
(12/10/1)
中国電力
A+
(13/11/14)
北陸電力
A+
(13/11/14)
東北電力
A
(13/11/14)
四国電力
A+ (13/11/14)
九州電力
A
(13/11/14)
A+
(12/10/1)
北海道電力
電源開発
A
(13/11/14)
A+
(13/11/14)
AA-
(12/5/16)
AA-
(12/5/16)
AA-
(12/5/16)
AA-
(12/5/16)
A+
(12/1/27)
AA- (12/5/16)
AA-
(12/5/16)
AA-
(12/5/16)
AA-
(12/5/16)
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
AA
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
AA
(11/6/29)
東京ガス
大阪ガス
東邦ガス
BBB (11/11/7)
A-
(11/6/1)
A
(11/4/7)
AA-
(11/3/25)
AA+
AA+ (02/4/26) AA+ (02/4/26)
AA+
AA
A
(11/11/16)
(11/5/13)
AA
(11/4/1)
(12/6/19)
AA-
(13/7/25)
AA
(12/6/19)
(11/6/20)
(12/6/19)
AAA
AAA
Moody's
AA
AA+
AA+
AA+
AAp (12/6/27)
AA+
AA+
AA+
AA-
(13/7/25)
AA-
(13/7/25) AA-p (13/7/25)
AA
(12/4/27) AAp (12/6/19)
AA
(12/6/19)
AA
(02/4/26)
AAA
AAA (98/10/14) AA+ (98/7/15)
AAA
AA+p
AA+p (14/8/26)
AAp (12/6/19) AA+ (12/6/27)
AA+ (11/9/22) AA+ (11/9/22) AA+p (11/9/22) AA+p (11/9/22) AA+p (11/9/22) AA+ (11/9/22) AA+p (11/9/22)
AAA
B1
AA+
AA+
JCR
A+
(11/6/29)
AAAp
AAAp
AAAp
AAA
AAA
AAAp
AA+
A3
(12/3/10)
A3
(12/5/10)
A3
(12/5/10)
A3
(12/5/10)
A3
(12/5/10)
A3
(12/5/10)
A1
(12/5/10)
Aa3
(11/9/1)
Aa3
A1
(11/7/1)
A1
(11/7/1)
A1
(11/7/1)
A1
(11/7/1)
A1
(11/7/1)
A1
(11/7/1)
Aa3
(11/7/1)
Aa2
(11/7/1)
Aa2 (92/3/12)
Aa2
(07/3/8)
Aa2
(07/3/8)
Aa2
(07/3/8)
Aa2
(07/3/8)
Aa2 (07/3/28) Aa2 (07/3/28) Aa2 (08/1/21) Aa1 (93/3/31)
A-
(12/10/12)
(11/9/1)
Baa3 (11/5/16)
Baa1 (11/3/31)
A1
(11/3/18)
Aa2
(07/3/8)
B+
(11/5/30)
S&P
BBB (11/5/13)
A-
(12/10/12)
A
(12/5/29)
AA-
(11/4/27)
AA-
(11/4/27)
BBB+ (11/4/1)
A+
(11/3/18)
AA-
(11/1/27)
AA
(07/4/23)
出所:R&I, JCR, Moody's, S&P
3
IR&A
電力各社の財務体質は急速に悪化
(%)
(倍)
35
0
株主資本比率
D/Eレシオ
1.4
30
1.6 1.6
1.8
2.2 2.2
2.0 2.1
1.9
1.9
2.2 2.2
2.1
2.5 2.5
2.7
2.5
25
2.0
1.8
1.4 1.4
2.2
2
2.5 2.5
2.9
2.6
1
2.7
3
3.3
3.8
20
3.7
3.8
4.2
4
4.5
31.1
15
5.4
26.8
24.7
24.4
19.7
23.4
22.3
21.2
20.6
25.7
24.5
23.7
22.6
15.9
14.4
5
10.8
33.0
32.9
32.7
31.2
4.9
24.2
10
4.6
25.5
23.8
20.6
20.6
21.8
5.6
5.6
25.8
25.0
20.1
5
6
20.2
7
15.0
13.5
12.2
12.3
10.9
10.7
11.5
8
8.0
7.6
5.2
8.2
8.7
0
9
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
13
12
11
10
中 部
関 西
中 国
北 陸
東 北
四 国
九 州
北海道
データ出所:電力各社の有価証券報告書より算出
IR&A
13
12
11
10
13
12
11
10
東 京
沖 縄
ガス各社は健全な財務体質を維持
(%)
(倍)
54
0
52
0.1
51.8
株主資本比率
50
49.8
47.9
47.5
48.2
48.0
46.9
46
45.9
0.4
44.7
44
0.49
42
0.54
0.58
0.58
0.5
0.49
0.49
0.51
0.56
0.56
0.54
0.6
40
0.7
東邦ガス
13
12
11
10
大阪ガス
13
12
データ出所:ガス各社の有価証券報告書より算出
11
10
13
12
11
10
東京ガス
IR&A
0.3
45.5
0.41
0.54
0.2
49.4
48
47.8
D/Eレシオ
自由化後に引き下げられた欧米エネルギー各社の財務格付
S&P
長期債格付 (自由化前:○、2014年12月2日時点:◆)
会社名
主地域
Con Edison
アメリカ
EDF
フランス
○
E.ON
ドイツ
○
RWE
ドイツ
○
ENEL
イタリア
○
Endesa
スペイン
Vattennfall
スウェーデン
AAA
AA+
AA
AA-
A+
A
A-
BBB+
BBB
BBB-
BB+
BB
BB-
B+
Ba1
Ba2
Ba3
B1
◆
○
◆
◆
◆
◆
◆
○
○
◆
出所: S&P
Moody's
長期債格付 (自由化前:○、2014年12月2日時点:◆)
会社名
主地域
Con Edison
アメリカ
EDF
フランス
E.ON
ドイツ
○
RWE
ドイツ
○
ENEL
イタリア
○
Endesa
スペイン
Vattennfall
スウェーデン
Aaa
Aa1
Aa2
Aa3
A1
A2
A3
○
○
Baa1
Baa2
Baa3
◆
◆
◆
◆
◆
◆
○
○
◆
出所: Moody's
6
IR&A
欧米電力各社の財務体質は比較的良好
(Times)
(%)
35
0.25
0.38
Equity ratio
D/E ratio
30
0.45 0.45
32.0 32.0
31.0
32.0 32.0
31.0
31.0
0.50
29.8
29.7
29.4
28.8
27.6
0.68
0.72
0.72
0.75
25.9
25
0.81
0.83 0.82
0.86 0.87
0.92
26.5
0.81
0.83 0.82
0.75
24.7
0.93
1.02
1.02
20
1.08
1.00
18.7 18.4 18.6
15
1.25
15.3
1.35
14.1
12.3
10
1.50
10 11 12
Con Edison
10 11 12
EDF
Data source: Companies
IR&A
10 11 12
E.ON
10 11 12
RWE
10 11 12
10 11 12
10 11 12
ENEL
Endesa
Vattennfall
ガスシステム改革に対する金融界の見解
 ガスシステム改革全般に対する見解
 ガスシステム改革に対する関心は極めて高い。
 規制事業から一般事業への移行による信用の低下は避けられない。
 小売全面自由化に対する見解
 制度設計次第では新規参入が促される可能性がある。
 新規参入者によるクリームスキミングによる影響が懸念される。
 導管事業の分離に対する見解
 事業者間での公平性・中立性を高めるために分離体制を強化する必要がある
ことは理解できる。
 分離はその形態によらず、コストの増加につながる可能性がある。
 特に、法的分離が実施されると、行為規制の内容いかんで、ガス事業全体及び
ガス各社の全社コストが増加し、ガス料金の上昇、ガス各社の収益圧迫につな
がる可能性がある。
 よって、行為規制については十分かつ慎重に議論・検討する必要がある。
8
IR&A
中立性向上も含めガスシステム改革は以下に配慮して進めて欲しい
事業者間での公平性・中立性を高めるために分離体制を強化する必要があ
ることは理解できる。
 ガス事業全体の健全性が損なわれないよう十分に配慮する。
 行為規制は、中立性・公平性の確保に資する内容に限定するなど、緩や
かな内容とし、コストアップ、サービスの低下などができるだけ生じないよ
うに配慮する。
 過度な非対称規制を設定しない。
 資本市場や金融情勢にも十分配慮し、改革の内容を資本及び金融市場
の関係者、並びに、国民にわかりやすく説明する。
9
IR&A