対馬農業の概要 ~副タイトル~ 平成24年度

対馬農業の概要
∼豊かな自然環境を活かして∼
平成25年度作成
ソバ画像
アスパラガス
農産物直売所
そばの花
水稲
自給飼料受託作業
ミニトマト
(発行元)
対馬振興局
農林水産部農業振興普及課
〒817-8520
対馬市厳原町宮谷224
TEL:0920-52-4011
FAX:0920-52-0960
Eーmail:s14215@pref.nagasaki.lg.jp
肉用牛(褐毛和種)
課内体制(職員9名)
農業振興普及課長
農政企画班
地域振興経営班
6名
(農業経営(1) 農産(1) 畜産(1)
野菜(2) 農業環境(1))
2名
農業概要(統計)
〈耕地面積〉対馬は、北緯34°05
∼42 で大阪から和歌山付
近と同緯度であり、南北が82km、東西が18kmの細長い島です。北
端からは朝鮮海峡を隔て韓国釜山まで49.5kmと近くに位置します。
年平均気温は15.5℃,年間降水量2,100mm以上であり、全島の89%
が山林に覆われています。平地に乏しく耕地面積は938haで対馬の
総土地面積の1.3%です。
〈農家戸数〉総農家戸数は、1,255戸、一戸当りの平均耕地面積
は0.75ha、販売農家は650戸です。就業人口は932人で、そのうち
女性が56%、65歳以上の高齢者が67%を占めています。
戸
農家数の推移
2,500
農家の種別内訳
2,072
専業農家
182戸 15%
1,885
2,000
1,604
1,413
1,500
総土地面積(km2)
708.8
総世帯数(戸)
13,813
総農家数(戸)
1,255
販売農家
650
自給的農家
605
総人口(人)
34,407
農業就業人口(人)
932
男
407
女
525
65歳以上
629
数値:平成22年センサス
第1種兼業
29戸 2%
1,255
自給的農家
605戸 48%
1,000
500
第2種兼業
439戸 35%
0
H2
H7
H12
H 17
H 22
数値:各年センサス
〈農業産出額〉全体では8.6億円。うち 〈特
数値:平成22センサス
徴〉肉用牛(褐毛和種)、対州そば、ニホンミツバチの
米3.7億円、肉用牛0.9億円、みかん及びアスパラ 蜂蜜など、対馬ならではの特産品が生産されています。農
ガス0.7億円、かんしょ0.6億円となっていま 家は多品目栽培や林業などとの複合的な経営が多いのも対
す。
馬の特徴です。
対馬市の農産物産出額(単位:1,000万円)
順位
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
計
品目
米
肉用牛
みかん
アスパラガス
かんしょ
トマト
ばれいしょ
だいこん
たまねぎ
産出額
37
9
7
7
6
2
2
2
2
86
数値:農林水産統計年報(平成18年)
主品目の販売額(H23)
面積・頭数(ヘクタール・頭) 収量(トン・頭) 売上額(万円)
品目
300
1,240
28,520
米
435(うち繁殖用298) 子牛119、肥育牛46
7,451
肉用牛
100
86
3,440
対州そば
3.6
42
3,965
アスパラガス
10
64
1,263
みかん
0.64
499
和蜂ハチミツ
直売所(JA対馬、民間)
-
-
33,686
数値:推計、JA対馬等数値
多様な担い手の育成
〈新規就農者〉関係機関と連携して就農希望者の把握や、就
農相談会を開催し、情報提供や技術習得支援を行っています。
就農後は、生産技術指導など、その方の技能に応じた支援を
行っています。
〈先導的農業者〉農業者等が所得600万円以上を目指す経営
拡大計画を実現できるよう、重点的な支援を行い、他産業に
負けない魅力ある経営体を育成しています。
〈認定農業者〉地域の担い手となる認定農業者を確保するた
めに個別相談会を開催し、経営改善計画の作成支援などを
行っています。また、本計画の実現に向けて、情報提供や技
術支援を重点的に行っています。
就農支援センター連携会議
認定農業者の推移
80
61
66
70
70
70
経 60
認定農業者
営 40
体
20
数
うち共同申請
先導的農業者
0
H20
H21
H22
H23
H24
認定農業者個別相談会
数値:対馬市
野菜の生産性向上と産地育成
対馬地域では島外出荷用の野菜として、アスパラガスやミニトマト等の産地育成に努めてい
ます。出荷量の向上が課題で、現地検討会による増収技術の普及や新規栽培者の確保などに取
り組んでいます。
t
アスパラガス出荷量の推移
60
50
47.2
50.7
49.4
41.7
44.7
40
30
20
10
0
H20
アスパラガス現地検討会
12
H22
H23
ミニトマト出荷量の推移
t
14
H21
H24
数値:JA対馬
12.2
10.3
9.2
10
7.8
8
6
4
2
0
ミニトマト雨よけ栽培
H21
H22
H23
H24
数値:JA対馬
対馬あか牛の振興
対馬の肉用牛は古くから「褐毛和種」(あか牛)が飼養され、アスパラガスなどと島外出荷向
け推進品目とされています。近年は、畜産農家の高齢化など、労働力の不足を理由に戸数や頭数
が減少しています。そのため、遊休地を活用した放牧に取り組むことで省力化や低コスト化を図
り、また、飼料生産受託・販売組織(コントラクター)を育成するなど、畜産農家の労力低減と
飼料の確保に向けた取り組みが進められています。
肉用牛飼養戸数と頭数の推移
戸
160
800 頭
761
700 数
140
585
120
532
100
600
511
80
435 500
400
60
300
40
148
20
121
93
57
79
0
戸
頭数
200
100
放牧による省力・低コスト化
0
H12
H15
H18
H21
H24 数値:長崎県畜産課
対州そばの振興
対馬のそばの品種は在来品種で「対州そば」の名称で生産や販売が行われています。作付面積
は115haで県内の約6割を占めています。そばの生産安定と面積拡大を図るため、そばコン
バインなどを活用した機械化一貫体系と水田での排水対策の徹底を推進しています。
そば作付面積の推移
ha
115
120
100
100
87
88
80
80
60
40
20
0
H15
H17
H19
H21
H23
数値:各年農林水産統計年報
そばコンバインによる収穫
水稲の安定生産と担い手組織の育成
水稲の作付面積は300haで、主な品種はヒノヒカリ、コシヒカリです。平均単収は414㎏
/10aと低く、生産量は島内消費の約60%で多くは個人で販売されています。高齢化などに伴い
作付面積は減少傾向にあり、一部の地域では担い手による農地の集積、作業受委託などが進めら
れています。
水稲作付面積の推移
ha
400
348
343
331
302
300
H21
H23
300
200
100
0
H15
H17
H19
数値:各年農林統計
担い手による田植作業
地産地消の推進
地域住民へ新鮮で安全・安心な農産物の提供と農家の所得向上のため、対馬市内の各所では農
産物の直売活動が行われています。また、学校や病院の給食へ地元農産物が出荷されるなど、島
内農産物の地産地消の取り組みが広がっています。
億円
主要直売所の販売額の推移
4
3.4
3
2.9
2
2.2
1.9
1
0
H20
H21
H22
H23
数値:対馬振興局調べ
直売所店内
環境に配慮した農業の推進
〈環境保全型農業の推進〉
エコファーマーにより高度な環境保全型農業を目
指した特別栽培や、※GAP、農薬使用履歴の記帳
などの残留農薬対策、環境保全型農業直接支援対策
などへの取り組みを推進しています。特に、絶滅危
惧種であるツシマヤマネコの生息環境の保護に配慮
した水稲特別栽培推進グループを支援しています。
※GAP:農業生産活動を行う上で、法令等で定められる点検項目に沿って生
産工程を点検・評価して持続的に改善を図る活動のこと
〈イノシシ・シカ被害対策〉
佐護ヤマネコ稲作研究会の水田生
き物調査
対馬地域ではイノシシやシカによる農作物被害が増加しています。農作物被害を防止する
ため、「防護対策」、「捕獲対策」及び「棲み分け対策」の3対策を推進するとともに、イノ
シシA級インストラクターなどの人材育成に取り組んでいます。
イノシシの捕獲頭数と農作物被害額
頭
12,000
31,978
捕獲頭数(頭)
30,000
農作物被害額(千円)
10,000
千円
35,000
25,000
8,000
20,000
14,582
6,000
13,737
4,000
15,000
7,801
10,000
5,399
2,000
インストラクターによる防護柵設置
指導
5,000
3,261
2,348
6,001
6,833
10,648
H19
H20
H21
H22
H23
0
0
数値:県農政課調べ
耕作放棄地の解消
対馬地域では、高齢化が進む中、担い手が減少し耕作放棄地が増加しています。そのため、県
では農地集積推進員を設置し、このような農地の利用希望者と地権者とのマッチングを支援し、
農地の流動化に努めています。特に、農業振興公社や認定農業者などの意欲が高い担い手への利
用集積を推進しています。
解消
推進員によるマッチング支援
利用されず荒れた農地
(耕作放棄地)
利用可能な農地として復元
6次産業化の推進
付加価値の高い農業経営を推進するため、農産物の生産・加工・販売が一体となった6次産
業化への取組みを支援しており、セミナーの開催(年に1回)、個別相談会の開催(6次産業
化プランナーの派遣)、原材料となる農作物の栽培技術指導などを行っています。
現在、柚子胡椒、紅茶、豆酘の赤米を使ったケーキや清酒、ブルーベリーアイスやソーダな
どが商品化されています。今後も佐護米の米粉を使った商品の開発などの支援を行うとともに、
新たな可能性もさぐっていきます。
6次産業化セミナーの開催
商品開発「対馬紅茶」
対馬の地域資源を活用した取組(スローフード)
〈赤米〉
とうなかま
千数百年前から神事として頭仲間で栽培されてき
た対馬赤米は、現在一人の方がその役割を担ってい
ます。そのため、この価値ある伝統を多くの方に
知ってもらうことや、神事の費用を賄うために、赤
米の加工と販売に努めています。対馬赤米は古来か
ら他の品種との交配が行われておらず、地域の自然
や生活と深く結びついています。このようなことが
評価されて、世界スローフード協会(本部:イタリ
ア)から平成25年1月に「スローフード」として認
定されました。現在、この赤米を利用した商品とし
て、清酒、ケーキ、飾り物などがあります。
「赤米」を利用した商品
〈せん〉
対馬は田や畑などが極めて少なく、米麦が不足し、
江戸時代にはたびたび飢饉に見舞われていました。
そのため、薩摩から栄養が豊富な甘藷を導入して栽
培し、飢えをしのいだという歴史的な背景がありま
した。「せん」は当時から対馬だけに伝承された技
術で、甘藷を発酵させ手間を掛け複雑な製法で製造
されてきた保存食です。「せん」のプリプリした食
感は独特のもので、赤米と同様にスローフードへの
認定が期待されています。
「せん」だんご
〈ニホンミツバチ(蜂蜜)〉
対馬はニホンミツバチのみが生息する日本唯一の
島です。対馬のニホンミツバチは、トウヨウミツバ
チの日本亜種で大陸系に近い対馬型です。セイヨウ
ミツバチに比べて外敵や病害に強く、性格も穏やか
といわれています。古くから山際などに蜂洞といわ
れる巣箱を置き、養蜂して採蜜している方が多く、
その多くは自家用で健康増進のために食されていま
す。また、春から秋にかけて咲く花から集められた
蜂蜜は高品質であり、百花蜜と呼ばれて贈答用・販
売用に利用されています。
はちどう
丸太を利用した伝統的な蜂洞
対馬の地域資源を活用した取組(未利用資源)
〈魚残さと広葉樹バークを混合した堆肥製造〉
対馬は家畜が少なく、農業生産に必要な堆肥を十分確保できないことが、農作物の収量等が
低い原因とされています。そのため、地域で盛んな水産業や林産業から排出される魚の残さや
広葉樹バーク(樹皮)などの未利用資源を混合・発酵させた安価な堆肥の製造方法を開発しま
した。このように、第1次産業が連携した資源循環型のモデル的な取組みに着手しています。
堆肥施設に搬入された「魚残さ」
「魚残さ」と「バーク」の攪拌作業
対馬の位置
大韓民国(韓国)
九州本土