独立行政法人 経済産業研究所(RIETI) BBLセミナー プレゼンテーション資料 2014年7月2日 「今後50年の世界経済展望: 政策転換の時」 玉木 林太郎 http://www.rieti.go.jp/jp/index.html OECD 50年 グローバル シナリオ 今後50年間の政策課題 玉木林太郎 OECD事務次長・チーフエコノミスト 東京、2014年7月2日 今後50年の政策課題 OECDは2060年に100周年を迎える。 これから50年間の政策課題はどうなる であろう? 「OECD 50年 グローバル シナリオ」は 世界の主な政策課題と、それらの相互関 連性を明らかにする 2 世界の経済成長は鈍化する GDP 成長率 3 所得は増加するが、格差は残るだろう 一人当たりGDPの推移 : OECD加盟国平均一人当たりGDPに対する比率 米ドル 名目購買力平価 50 China 45 China 40 35 Emerging economies Emerging economies average (average) 30 25 India 20 India 15 10 5 0 2000-2010 2010-2020 2020-2030 2030-2040 2040-2050 2050-2060 4 世界経済は相互依存性を高め… 世界の GDPに占める輸出の割合 Per cent 35 30 25 20 15 10 5 0 2010 2060 5 …貿易は新興諸国、とりわけアジアへ 移行するに伴い、多極化する 世界貿易の規模とシェア 2060 2012 EME-EME 15% AE-AE AE-EME 47% 38% AE-AE 25% EME-EME 33% AE-EME 42% AE = 先進国経済, EME = 新興国経済 6 新興国経済は より付加価値の高い活動に移行する 部門別付加価値のシェア China サービス 43% 49% India Euro Area Japan USA 51% 58% 72% 高技能を必要と する製造業 69% 75% 71% 71% 78% 16% 7% 21% 13% 8% 41% 41% 31% その他(農業、エネル ギー、その他の製造業) 2010 9% 2060 10% 8% 12% 6% 29% 2010 2060 20% 22% 2010 2060 15% 17% 16% 2010 2060 2010 21% 2060 7 貿易特化は著しく移行する 世界輸出の産業別シェア Manufacturing Rest of world 8% 15% Services 20% 28% 32% 40% 21% 29% Energy 11% 25% Emerging Asia Agriculture 22% 43% 18% 36% 29% 37% OECD 68% 63% 54% 42% 57% 39% 39% 23% 2010 2060 2010 2060 2010 2060 2010 2060 8 就業者数増加は、 もはや成長の主な牽引力とはならない 高齢化が、人口増加による経済成長の機会を 軽減する イノベーションと生産性の「キャッチアッ プ」が成長を牽引し続ける 教育と技能の向上が鍵となる 9 3つの政策チャレンジ 成長の持続 広がる格差 環境保護 10 1. 経済成長のための課題 2010-2030 2030-2060 Per cent 6 5 4 3 2 1 0 United-States Japan Euro zone China India 今後の成長を達成するためには堅実な政策が要求される 政策はよりダイナミックな知識基盤型高付加価値経済を 支えるべきである 11 高齢化は成長の持続をより困難にする 15才〜74才の人口の総人口に対する比率 European union United States Japan China Per cent 80 78 76 74 72 70 68 66 64 62 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 12 高齢化の影響を緩和するために 移民にたよることも困難になるだろう 2060年の労働人口 Baseline Scenario with less immigration Million 300 250 200 150 100 50 0 Euro area United States * 所得格差縮小の結果移民が減少するシナリオ 13 2. 格差に対する課題: 先進国における所得格差拡大 総賃金比率:トップ90%/ボトム10% 2010 2060 8 7 6 5 4 3 2 1 0 Italy Sweden France Japan Germany OECD - 29 United countries Kingdom Canada United States 高技能労働者の賃金は高まる 先進国における低技能労働者の所得は低減する 14 経済成長は各国間の所得格差を縮小し、貧困を 削減する しかし、2060年のOECD諸国における所得格差平 均は現在の米国に近いレベルになるだろう 教育・技能・生涯学習への更なる投資が必要である 持続可能な成長のためには、累進性と分配性を重視 する政策がより求められる 15 3. 環境に関する課題 CO2 換算、単位100万トン 2010年 487億トン 2060年 995億トン GDPは今のレベルの4倍になる 資源集約度が下がるとしても、資源への圧迫は膨大になるだろう 16 政策課題への新しいアプローチ 世界経済の移行に備えた政策が必要である 新しい課題と共に、構造改革の重要性と緊急度 が高まる 福祉のあらゆる面における関連性が高まる 17 「グローバル・パラドックス」 世界経済はより統合し、より緊密な相 互協力が必要となる 世界は多極化し、相互協力を達成する ことはより困難になる 18 より詳しくは以下を参照 OECD 50年 グローバル シナリオ ウェブサイト OECD 経済局 ワーキングペーパーシリーズ 19 OECD 50年 グローバル シナリオ の枠組み 20
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