睡眠の質を高める方法と社内でできる睡眠不足対策

関係部署にご回覧ください
編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社
2015.4.6
第 1466 号
SMBC経営懇話会
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FAX:(03)5255-5564
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【就寝前のパソコン・スマホは控えめに】
睡眠の質を高める方法と社内でできる睡眠不足対策
佳子社労士事務所
社会保険労務士・産業カウンセラー 宮沢佳子
1. 睡眠の質は、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。就寝前のパソコン、タブレット、スマートフォンなど
の使用を避け、6 時間以上 8 時間未満を目安に睡眠をとって、脳と身体をしっかりと休めましょう。
2. 2014 年 3 月に厚生労働省は、睡眠と病気との関係にまで踏み込んだ「睡眠指針」を 11 年ぶりに改定しまし
た。指針には、具体的な手だてが記載されています。
日本人の約 5 人に 1 人は睡眠に関する悩みを抱えているといわれています。適切な睡眠が取れないと、生活の
質(QOL)が下がるだけでなく、うつ病や生活習慣病にもつながることが、近年の調査結果で分かってきました。
1.睡眠不足による経済的損失
睡眠に関する悩みは単なる個人的な問題ではなく、職域や社会にも関わる重要な問題です。スリーマイル島
原子力発電所事故(1979 年)や、スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故(1986 年)などの重大事故にお
いて、睡眠不足による眠気が事故の原因となった可能性が指摘されています。
死にまつわる重大事故とまではいかなくても、睡眠不足は日々の仕事のパフォーマンスに大きく影響を与え
ます。「日中の眠気」による経済的損失を試算した研究によると、日本だけで年間 3 兆 5000 億円に上るといわれ
ています(『日本老年医学会雑誌』、2007 年、「睡眠障害の経済的評価」より)。
2.睡眠の基礎知識
(1)満足な睡眠を得るために心掛けること
睡眠中は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」をおよそ 90 分おきに繰り返しています。ノン
レム睡眠にはレベルがあり、最も深い眠りを得られるのが最初の 1、2 回で、睡眠後 3 時間の間に深い眠りに
達することができれば、脳も身体も休まることができ、朝起きた時にぐっすり寝た満足感が得られます。その
ためには、就寝前にパソコン、タブレット、スマートフォンなどの使用を避けることが有効です。夕方から夜に
かけて、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが脳の中で増えていくことにより眠くなるのですが、これらの機器
が発するブルーライトはメラトニンを減らす力が強いため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなるといった影
響があります。
また、寝る前に新しい情報を脳に送ると、脳が目覚めて興奮状態になり、交感神経が副交感神経に切り
替わらないままになってしまい、眠れなくなってしまうこともあります。これらが原因で睡眠外来に訪れる患者
さんがとても増えているといいます。
(2)睡眠不足の判断基準
企業にとって、従業員の睡眠不足を予防することはとても重要です。厚生労働省によると、個人差はある
ものの、成人に必要な睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満が妥当とのことで、睡眠時間は長すぎても短すぎ
ても、死亡率の増加や肥満傾向が高まるといったことが調査により分かってきています。
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人それぞれ個性があるように、眠りに関しても朝型から夜型までさまざまなタイプがあります。そこで、自分
の睡眠が足りているのかを数値で判断することは非常に難しく、そのため厚生労働省は日中の眠気の強さ
で、自ら判断することを勧めています。昼過ぎにある程度の眠気を感じることは自然なことですが、昼過ぎ以
外の時間帯で強い眠気に襲われる場合には、睡眠不足の可能性があります。朝や夕方の重要な会議に、
ついうとうとしてしまった経験はありませんか? その場合は睡眠不足や何かしらの睡眠に関わる病気が隠
れている場合もあります。
3.社内でできる睡眠サポート・睡眠不足対策
労務管理において最も重要なことは、従業員の持っている能力を最大限成果に結び付けることであり、その
ために従業員の健康管理は非常に重要です。
睡眠の質は、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。企業で昼寝制度を導入したり、福利厚生制度の一
環として仮眠室を提供する企業も出てきています。しかし、これにはコストもかかりますし、どこの会社でもできる
ことではありません。まずは、(1)睡眠についての情報を社内報や研修などで提供する、(2)(休憩時間に人目
を気にせず仮眠が取れるような)ソファーなどを用意する、(3)衛生委員会の議題にするなど、それぞれの企業
の実態に合わせ、できることから社員の睡眠や健康についてサポートしてみてはいかがでしょうか。
4.健康づくりのための睡眠指針 2014 ~睡眠 12 箇条(厚生労働省)~
2014 年 3 月に厚生労働省は、睡眠と病気との関係にまで踏み込んだ「睡眠指針」を 11 年ぶりに改定しまし
た。睡眠による科学的知見が蓄積されたことなどが理由に挙げられます。「睡眠指針」の睡眠 12 箇条は表の通
りですが、指針にはほかにも具体的な手だてが記載
されています。特に参考になると思われる部分を
健康づくりのための睡眠指針2014
以下に抜粋しました。
~睡眠12箇条(厚生労働省)~
・ 良い睡眠は心身の疲労を回復する働きがあ
1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
るだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習
2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめの
慣病を予防にもつながります。
・
・
・
・
アルコールを飲むと入眠を一時的には促進
しますが、アルコールの影響で中途覚醒が
増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が得られなく
なります。また、ニコチンには覚醒作用がある
ため、就寝前の喫煙は入眠を悪くし、睡眠を
浅くするため、避けると良いでしょう。
メリハリを。
3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要で
す。
5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らな
い程度の睡眠を。
6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
睡眠による休養感が無く、日中も辛い場合は
うつ病の可能性もあります。
7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズ
不眠を経験すると、心配になって早くから寝
床に就こうとしがちですが、その行動はか
えって寝つきを悪くします。就寝時間はあくま
でも目安とし、「眠くなってから寝床につく」こ
とがスムーズな入眠の近道です。
8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十
仕事や生活上の理由で、夜間に必要な睡眠
時間を確保できなかった場合も、昼寝により、
その後の作業能率の改善が見られたとの調
査結果があります。その際、30 分以内の仮眠
が望ましいとされています。
ムを保つ。
分な睡眠を。
9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運
動で良い睡眠。
10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅ら
せない。
11. いつもと違う睡眠には、要注意。
12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家
に相談を。
厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針 2014」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html
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