キャンパスの樹木 [PDF 561KB]

キャンパスの樹木
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カ タ ル パ
同志社女子大学栄光館前庭のカタルパ
で あ っ た 故 末 光 力 作 名 誉 教 授 で、 先 生
最初にそれに着目したのは工学部教授
の 今 出 川 校 庭 に は カ タ ル パ が あ っ た が、
木 ︶ も そ の 一 つ で あ っ た。 か つ て 大 学
︵北アメリカ東南部に分布する落葉高
キササゲ属、和名・アメリカキササゲ︶﹂
ている。﹁カタルパ︵ノウゼンカズラ科
るいは逆に送ったりしたことが知られ
友 人 か ら 種 子 や 苗 木 を 入 手 し た り、 あ
校 祖 新 島 襄 は 植 物 好 き で、 国 内 外 の
にはかすかな芳香を漂わせて白い清楚
植 樹 さ れ て い る。 こ の 方 は 毎 年 5 月 末
学 京 田 辺 校 地 の﹁ 新 島 記 念 講 堂 ﹂ 前 に
﹁ 徳 富 記 念 園 ﹂ か ら 苗 木 を 入 手、 女 子 大
1 9 9 1年 秋 に も ご 努 力 の 末 熊 本 市 の
れ て い る。 秦 先 生 は、 こ れ に 先 立 つ
生 ゆ か り の カ タ ル パ を 植 樹、 寄 贈 さ
女 子 大 学 の 今 出 川 校 庭 2か 所 に 新 島 先
名 誉 教 授 秦 芳 江 先 生 は 2 0 1 0年 7月
こ ろ が 嬉 し い こ と に、 同 志 社 女 子 大 学
秦先生が今出川校庭に植樹されたカ
な花を咲かせている。
な か っ た か と 推 測 し て い る。 お そ ら く
タルパの木の説明プレートには、
﹁新島
はそれが新島先生お手植えのものでは
年 代 の 初 め の 頃 で あ ろ う。 ま た
つての聚芳館︶
﹂横︵後に彰栄館南前庭
その位置は最初、現在の大学図書館︵か
田 島 繁 元 同 志 社 中 学 校 教 諭 に よ る と、
帰 国 の 際 に 持 ち 帰 っ た と 思 わ れ る が、
と あ る。 新 島 先 生 は ア メ リ カ 留 学 か ら
峰・ 蘆 花 兄 弟 に 渡 し た と い わ れ る 花 木 ﹂
襄 が 種 子 を 米 国 か ら 持 ち 帰 り、 徳 富 蘇
明治
に 移 植 ︶ で あ っ た が、 戦 後 1 9 6 0年
さ ら に 1 8 8 0︵ 明 治
︶年にはアメ
代 に 枯 れ て し ま っ た と い う。 そ の 後 中
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久 し く 今 出 川 校 地 か ら 絶 え て い た。 と
島先生ゆかりのアメリカ原産のものは
国 原 産 の キ サ サ ゲ が 植 え ら れ た が、 新
て い る。 こ の こ と か ら カ タ ル パ は 新 島
頼んで栽培マニュアルと種子を入手し
リ カ の 知 人 で あ る E・ E・ バ ー ニ ー に
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同志社の校庭に植えることにより物心
で あ ろ う か。 そ し て 帰 国 後、 こ の 木 を
出 し、 さ ら に は 両 親 や 友 人 を 偲 ん だ の
に咲くこの花を見て日本の花々を思い
及 ん だ 先 生 の ア メ リ カ 留 学 時 代、 初 夏
年に
先生にとって特別に思い入れの強いも
うに、﹁樹木は人と人との出会いの象徴﹂
あ る。 ま さ に 末 光 力 作 先 生 が 言 っ た よ
人びととの出会いを用意しているので
み で な く、 同 志 社 と 熊 本 さ ら に 九 州 の
は新島先生と蘇峰の師弟愛を伝えるの
て い る と い う。 そ の 意 味 で は カ タ ル パ
ルパの木は九州各地に少しずつ広がっ
市 民 が 見 物 に 訪 れ る と い う。 ま た カ タ
パを植樹﹂
﹃
1999年2月、
﹁新島ゆかりのカタル
年、﹁ 熊 本
同 志 社 と の き ず な ﹂﹃ Wild
︵ ワ イ ル ド ロ ー バ ー︶﹄ 1 5 巻
Rover
サゲ﹂﹃同志社時報﹄113号2002
究 ﹄ 9 3 号 2 0 0 2 年、 田 島 繁﹁ キ サ
島ゆかりのカタルパが咲いた﹂﹃新島研
志社時報﹄88号1990年、秦芳江﹁新
末光力作﹁田辺キャンパスと植樹﹂
﹃同
現 在、 同 志 社 小 学 校 校 庭 に も﹁ 徳 富
の で あ っ た こ と が わ か る。 苦 節
ともに大きな援助を受けた多くのアメ
なのである。
たのであろうか。もしそうだとしたら、
記 念 園 ﹂ か ら 譲 ら れ た カ タ ル パ が あ る。
新島先生はカタルパの種を九州伝道
島 先 生 と ア メ リ カ と の 関 係、 同 志 社 と
同志社の生徒と学生がこの木を見て新
695号、2014年1月︶
﹄
The Doshisha Times
リ カ の 恩 人、 友 人 を 忘 れ な い よ う に し
カタルパは同志社とアメリカを結ぶう
私は同志社のすべての諸学校に新島先
の 時 に 知 人 に 配 っ た と も 言 う し、 ま た
熊本との関係について、学ぶ契機になっ
生 ゆ か り の カ タ ル パ の 木 が 植 樹 さ れ、
熊本で大江義塾を営み奮闘する愛弟子
てほしいと願っている。
︵参考文献
︵元大学社会学部教授
宇治郷 毅 ︶
と 3世 が 大 木 に 育 ち、 毎 年 5月 に 咲 き
植 物 ﹂﹃ 新 島 研 究 ﹄ 7 2号 1 9 8 8年、
末 光 力 作﹁ 新 島 襄 先 生 と
誇 っ て い る。 そ の 時 期 に は 多 く の 熊 本
塾 の 跡 に で き た﹁ 徳 富 記 念 園 ﹂ で 2世
い に も 新 島 先 生 が 送 っ た 種 は、 今 や 義
徳 富 蘇 峰 を 励 ま す た め に も 送 っ た。 幸
ろう。
るわしい親善友好の絆とも言えるであ
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