NEDOフォーラム 2015 再⽣可能エネルギー ~⼤量導⼊時代の課題と処⽅箋~ 第1部 系統接続問題と技術的対応 デマンドレスポンスを活⽤した 需要家側調整⼒による系統対策 平成27年2⽉13⽇ 早稲⽥⼤学 林 泰弘 講演の概要 2 1.デマンドレスポンスと需要家調整⼒による系統対策 2.デマンドレスポンスとEMSの通信制御実証 3.DRを活⽤した需要家調整⼒による太陽光出⼒抑制への技術対応 4.これからの再エネとDRの系統通信制御の姿 2 デマンドレスポンス と 需要家調整力による系統対策 3 デマンドレスポンス(DR)とは︖ 4 インセンティブや電気料⾦にもとづく消費電⼒ピーク抑制要請に対し, 需要家側が電⼒ピークを抑制するように電⼒消費パターンを変化させること ①インセンティブや電気料⾦に基づく ピークカット/シフト要請 供給側 電気を 作り送る側 Producer, Supplier ピーク電⼒ 情報通信 ②DR応答信号 時間 BEMS ビル スマートメーター MEMS 集合住宅 (Producer+Consumer) ②要請に対するピークカット/シフト応答 ①要請する抑制量 需要側 電気を 消費・創る側 Prosumer DR応答後の消費電⼒ 想定される消費電⼒ DRサーバー ①DR発動信号 CEMS ⼾建住宅 HEMS 機器制御 例えば消費電⼒を ②抑制要請に応答 別の時間帯にシフト 時間 ⾃動デマンドレスポンス(ADR︓Automated DR) 地域 契約電⼒ CEMS DRアグリゲータ ③節電計測・応答 ビル BEMS ④節電分への対価 電気事業者 低 減 作業 消費電⼒ DRサーバー ②節電制御 ①節電要請 節電 要求 電 ⼒ 需 要 通常時 作業 時間 マンション MEMS オートノマス化 消費電⼒ 緊急時 使⽤可能電⼒内で重要機器 ・負荷へ優先供給 ブラウンアウト 緊急レベル レジリアント化 ⼾建住宅 HEMS 時間 5 DRアグリゲーション BEMS インセンティブ⽀払 ⼩売事業者 送配電事業者 DR DR DR DR DR 電 ⼒ 1 2 3 4 5 ピーク カット 要求 DR契約 DR発動 シグナル DR アグリゲータ MEMS 節電指令 DR 4 BEMS 節電指令 DR 1 DR 2 DR 3 BEMS 節電分 ビル1 BEMS ビル2 BEMS ビル3 DR 5 MEMS 節電分 MEMS マンション1 消 費 電 ⼒ DR 1 ビル1 消費電⼒ 時間 消 DR 2 費 ビル2 電 消費電⼒ ⼒ 消 時間 費 DR 3 電 ビル3消費 ⼒ 時間 消 費 電 ⼒ DR 4 マンション1 消費電⼒ 時間 需 要 MEMS マンション2 消 費 電 ⼒ DR 5 マンション2 消費電⼒ 時間 6 デマンドレスポンスによるネガワット = 需要家側調整⼒ 東京主要部 中小オフィスビル 2000棟 化石燃料 DR信号 火力発電所 1機 等 価 照明電力×2000棟×10%削減 50W/㎡ 従来の火力発電機制御 15万kW 15万kW ポジワット DR ネガワット 需 給 安 定 現 在 需 要 需 給 安 定 想定 増分 発電 デマンドレスポンス 計画値同時同量におけるインバランス調整 計画段階 (1時間前) 実需給段階 70MWh 発電計画(電源A) 発電実績(電源A) 発電事業者 70MWh 100MWh 発電計画(電源B) 発電側の インバランス調整 (発電量調整供給) 電源トラブル 発⽣ 不⾜ インバランス インバランス補給 50MWh インバランス発⽣ (=50MWhの不⾜) インバランス料⾦ 発電実績(電源B) 不⾜ 70MWh ⼩売事業者 190MWh 100MWh 需要計画(D社) 100MWh 需要計画(E社) インバランス 需要超過 インバランス発⽣ (=20MWhの不⾜) 需要側の インバランス調整 (託送供給) インバランス補給 インバランス料⾦ 需要実績(D社) 80MWh 余剰 インバランス 需要下振 インバランス発⽣ 需要実績(E社)(=20MWhの余剰) 送 配 調整⼒提供者 電 調整⼒提供 事 待機料⾦ ・発電事業者 ・DR提供者 従量料⾦ 業 者 インバランス買取 インバランス料⾦ 8 デマンドレスポンスとEMSの通信制御実証 ~ EMS新宿実証センターでの取り組み ~ 9 EMS新宿実証センターで何を⾏っているのか︖ 国際標準通信規格を用いて、 日本の目指すデマンドレスポンス技術の 整理・研究開発・実験実証・技術支援 早稲田大学 EMS新宿実証センター 電気事業者を中⼼とするDR通信制御 (OpenADR2.0b) HEMSを中⼼とするDR宅内通信制御 (ECHONET Lite) DR信号 DR発動 OpenADR DRサーバ 電気事業者 DRサーバ アグリゲータ ECHONET Lite 10 EMS新宿実証センターの設備画像 建物正⾯ スマートハウス(4棟) 東京電⼒ 関⻄電⼒ 中部電⼒ 九州電⼒ スマートメーター HEMS 配電系統模擬システム ANSWER PHV/EV エアコン 充電器 分電盤 燃料電池 ヒートポンプ給湯機 蓄電池 EMS新宿実証センターレイアウト 実証スマートハウス(4棟) 節電指令所 配電系統制御シミュレータ (ANSWER) 太陽光パワコン 11 12 新宿実証におけるデマンドレスポンス実証の5つの枠組み 電力会社 早稲田大学 給電指令所 新宿実証センター <新宿標準試験サイト> スマートハウス HEMS 節電信号 ②HEMS相互接続実証 ADR標準信号 DR信号発動用 クライアント DR管理サーバー (運用中) (運用中) 電力DRAS(子) ①アグリゲーター連携 DR信号 (アグリゲータ 連携のみ) けいはんな CEMS ADR標準信号 Web Server アグリゲーターDRAS ADR標準信号 4地域実証 ADR標準信号 北九州 CEMS 電力DRAS (親) ④4地域実証連携 ⑤インセンティブ型 ADR信号 DR実証連携 節電 アグリゲータ クライアント ADR標準信号 豊田 CEMS 横浜(YSCP) CEMS スマートフォン ③外部試験サイト実証 ADR標準信号 BEMS/FEMS試験サイト (デベロッパー、企業) 自動DR信号経路 電力会社の節電依頼信号経路 デマンドレスポンスアグリゲーションに対応したHEMS自動DR制御 DRを活用した需要家調整力による 太陽光出力抑制への技術対応 15 太陽光発電⼤量導⼊時の電⼒品質課題(電圧と周波数) [%] 太陽光発電 ⾵⼒発電 蓄電池 配電ネットワーク スマート ストアなど 電圧問題 太陽光発電の 出⼒変動の例(夏季) 余剰電⼒による周波数逸脱 晴 49.8Hz≤周波数≤50.2Hz (東⽇本の場合) 供給(⽣産者) / ⾬ 情報ネットワーク [時] ) 周波数調整⼒の不⾜ [%] 60 負荷 コジェネ エネルギーマネジメント 次世代SS 配電網の電圧上昇による逆潮流の困難化 配電⽤変電所 負荷 負荷 負荷 100/250V 負荷 需要(消費量) スマート ビル スマート スクール スマート パーキング 雲 定格出⼒ エネルギーマネジメント スマートハウス 出⼒⽐ 発電出⼒ ( スマート ビル スマート スクール 出⼒抑制 50 〜 40 6000V 潮流電流 逆潮流(太陽光発電出⼒が系統側の潮流) 適正電圧 107V 逆潮流あり 範囲 電圧 逆潮流なし (101±6V) 95V 配電⽤変電所の変圧器からの距離 連系点電圧の適正電圧範囲(95〜107V)の 逸脱による出⼒抑制 30 20 10 (揚⽔動⼒) スマートハウス 太陽光発電 ⾵⼒発電 蓄電池 スマートストアなど 周波数問題 ゴールデンウィーク 太陽光発電余剰 (揚⽔発電) 原⼦⼒ ⽔⼒ ⽕⼒ 太陽光発電 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 [時] ネットワーク全体の周波数適正範囲(49.8〜50.2Hz、 59.8〜60.2Hz)の逸脱による出⼒抑制 安定供給範囲を逸脱 ⇒ 機器の⾮動作や停電へ 16 出⼒抑制ルールの変更と出⼒制御システムの構築 出⼒抑制前の、 出なりの発電 下げ代 500kW以上 対象 今後 ⽇別出⼒抑制 (年30⽇無補償) 抑制後の ソーラー出⼒ 時間帯別出⼒抑制 (年360時間無補償) 下げ代 すべて対象 (住宅余剰分) 各インターフェイス ・標準化 ・ガイドライン ・通信制御スキーム等 抑制後の ソーラー出⼒ 太陽光発電遠隔出⼒制御のシステムのイメージ ⼀般電気事業者 インターネット/ VPN (専⽤回線) 需給調整機能 (指令サーバ) デ タ 配信先管理機能 (配信サーバ) 指 令 ⼤規模太陽光発電(2000kW〜) 指令 データ 指令 データ 配信先管理機能 (配信サーバ) インターネット/ VPN 公衆通信網 ・携帯電話網等 配信事業者 (アグリゲーター、メーカー等) 指令 データ デタ 域内専⽤通信 リアルタイム制御指⽰器 制御機器 (通信 / 管理機器) (パワコン) 太陽光パネル 中⼩規模太陽光発電(10〜500 or 2000kW) 域内専⽤通信 通信・カレンダー機能付き 制御指⽰器 (通信/ 管理機器) 制御機器 (パワコン) 太陽光パネル 家庭⽤太陽光発電(〜10kW) 家庭内専⽤通信 通信・カレンダー機能付き 制御指⽰器 (通信/ 管理機器) 制御機器 (パワコン) 太陽光パネル 17 技術的課題と標準インターフェイスでの通信制御の必要性 ①専⽤回線等通信インフラの整備 ②⽇照変化による発電量予測技術の⾼度化 ③⼤規模件数の制御量の計算システム ④家庭内太陽光発電の余剰電⼒逆潮流の防⽌機能の開発 ⑤停電など通信不可時の需給セキュリティの確保 1.4万件:4,056万kW システム間 インターフェース の標準化 抑制ルールへの対応 ・ユースケース ・開始終了時間 ・抑制時間 ・抑制量 71万件: 2,633万kW 76万件: 334万kW 数⼗万件の太陽光発電の遠隔⼀括抑制制御を⾼確度で実現可能 【標準化しない場合のデメリット】 送配電事業者~アグリゲータ〜PV発電者間の通信制御システムがバラバラ⇒ 全体コスト⾼騰 出力制御方法の例 2015年2月資源エネルギー庁資料より 標準通信プロトコルを利⽤したPVアグリゲーション PV事業者 インセンティブ ⽀払 送配電 事業者 時間帯 出⼒ 抑制 要求 PV PV PV PV PV PV 電 ⼒ 需 要 PV抑制契約 1 2 3 4 5 PV抑制 シグナル (標準) PV アグリゲータ 余剰電⼒ 抑制指令 PV 4 PV 5 PV 余剰電⼒ 抑制分 PV発電 抑制指令 PV 1 PV 2 PV 3 メガソーラー 抑制分 PV事業者1 PV事業者2 PV事業者3 発 電 電 ⼒ 発 電 電 ⼒ 発 電 電 ⼒ PV 1 PV1 発電電⼒ 時間 PV 2 PV2 発電電⼒ 時間 PV 3 PV3発電 時間 PV保有プロシューマー プロシューマー1 プロシューマー2 PV 4 余 PV発電電⼒ 剰 電 プロシューマー1 ⼒ 消費電⼒ 時間 PV 5 余 剰 PV発電電⼒ 電 ⼒ プロシューマー2 消費電⼒ 時間 20 19 需要抑制と再エネ出⼒抑制要求へのDR対応 これまでのDR(ピークカット・シフト) エネルギー 供給者 需要 需要 エネルギー 消費者 時間 需要抑制要求 調整⼒ 供給者 エネルギー 供給者 調整⼒ 消費者 今後のDR 再エネ出⼒ 抑制要求 が加味される PV PV Prosumer (Producer+Consumer) 時間 21 抑制DRと吸収DRによる需要とPVの抑制への対応 アグリゲ DR エネルギー 供給者 重負荷時 (負荷>発電) 需要抑制 要求 抑制DR 需要 需要 タ 通常発電 PV PV 発電抑制 タ アグリゲ DR 再エネ出⼒ 抑制要求 アグリゲ PV 調整⼒ 供給者 軽負荷時 (負荷<発電) PV PV 吸収DR タ 需要 需要 22 抑制DRとPVの抑制に対応した通信規格 エネルギー 供給者 重負荷時 (負荷>発電) 需要抑制 要求 DRアグ リゲータ 需要家 前⽇イベント送信型 ●OpenADR ①イベント情報(開始⽇時、期間) ②イベント内容 例︓負荷抑制、3kW削減 (LOAD_DISPATCH) 抑制DR 需要 需要 軽負荷時 (負荷<発電) 調整⼒ 供給者 再エネ出⼒ 抑制要求 PVアグ リゲータ 前⽇イベント送信型 送信必要な情報 ①イベント情報(開始⽇時、期間) ②イベント内容 例︓出⼒抑制、3kW削減 PV発電事業者 発電抑制 PV PV 抑制DRと同内容の情報となる。受信側でシグナル名 の意味等を読み換える事で、OpenADRを利⽤可能 23 HEMS⾃動負荷シフト制御による再エネ出⼒抑制回避デモ 24
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