船舶と衛星観測から見られた WOCE-P01 測線周辺における 植物プランクトンの時空間分布 ○ 笹岡晃征・内田裕・村田昌彦(海洋研究開発機構) 北太平洋は世界的にも栄養塩が豊富で生物生産が高く、海洋の物質循環を考える上で非常に重要な 海域といわれている。近年、海洋においては今まで見過ごされてきたイベント的現象を全球的な長期 変動の文脈で理解することが決定的に重要であることが明らかになってきており、従来の船舶観測に 加えて人工衛星観測や定点観測を加えた時系列観測の必要性が強調されている。西部北太平洋におい ては、2010 年以降、JAMSTEC 海洋地球観測船「みらい」によって観測定点(K2, S1)における比較観 測が実施され、当海域における生態系を介した物質循環過程の変化に関する知見が蓄積されるように なってきた。このような背景の中、我々は「みらい」MR14-04 航海(主要課題:「海洋循環による熱・ 物質輸送とその変動についての研究」、課題提案者:村田昌彦)に参加し、レグ1の 7 日間(2014 年 7 月 9 日から 7 月 15 日、横須賀〜釧路)では、世界海洋循環実験計画 (WOCE) の P10 測線北部に沿って、 レグ 2 の 45 日間(2014 年 7 月 17 日から 8 月 29 日、釧路〜米国ダッチハーバー)では、WOCE の P01 測線に沿って多項目・高精度観測を実施した。本航海では従来の観測項目に加え、クロロフィル a デ ータもルーティン観測として CTD による採水を行い、さらに航走連続観測でも分析試料を採取した(図 1)。このような広い海域でこれだけ密にクロロフィル a データが連続して得られた観測はあまり例が なく、大変貴重なデータが取得できた。 発表時には、MR14-04 航海におけるクロロフィル a 濃度分布の特徴を紹介し、海色衛星によるクロロ フィル a 濃度の測定精度、及び 1998 から 2014 年まで過去 17年における海色衛星データから得られた P01 測線付近の時系列変化についても議論したい。 図1:「みらい」MR14-04 航海で得られたクロロフィル a 濃度分析試料のサンプリング点(□:CTD+航走連続観測、計 94 点)。 背景の画像は海色衛星 MODIS から得られた 2014 年 8 月の月平均クロロフィル a 濃度(mgm-3)、色が白いほどクロロフィル a 濃度 が高く、黒いほど低いことを表す。
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