2015 年 2 月 5 日 NEWS RELEASE 213 首長の本音を分析 「地方創生」に関する自治体首長アンケート調査結果 「移住促進」よりも「子育て」「観光」に重点 ニーズは「規制緩和」よりも「予算」「人材」 社会人向けの専門職大学院である事業構想大学院大学(東京都港区、理事長:東英弥、学長:清成忠男) は 2014 年 12 月、地域活性学会の後援で、 「地方創生」をテーマとした地方自治体(市町村区)首長への アンケート調査を実施し、213 自治体から回答を得ました。 調査では、注力している地域活性化施策や、産業振興と観光への取り組み、ふるさと納税の効果、地域 活性化施策の推進における障壁などについて質問。結果を市町村区人口とクロス集計して分析しました。 【調査結果サマリー】 ◆「移住促進」への取り組みは少なく、まずは「子育て支援」「観光促進」に重点 地域活性のために力を入れている政策(複数選択)で、「子育て支援」をあげた自治体が 63.8%(136 自治体) 、「観光促進」をあげた自治体が 45.5%(97 自治体)にのぼる一方で、 「移住促進」は 16.0% (34 自治体)と低かった。小規模自治体ほど「6 次産業化」 「医療福祉」への取り組みが多い。 ◆ふるさと納税税収額は自治体人口規模との相関は低い。小規模自治体にもチャンス ふるさと納税税収額(年度間または年間)は、 「1000 万円以下」と「5000 万円以下」が合計で 90.9% を占めている。人口規模にかかわらず、現状では自治体の税収増にそれほど効果をあげていない。しか し、小規模自治体(人口1万人以下)でも「5億円以上」の税収を獲得する例もあった。 ◆自治体は「法制度整備」よりも「予算」「人材」を求める 地域活性化施策を行う上での障壁(複数選択)で、 「法制度不足」をあげた自治体は 10.8%(23 自治体) と少なかった。最も多いのは「予算不足」の 55.4%(118 自治体)で、 「域内の人材不足」が 37.5%(80 自治体)と続く。都市と地方部で人材を還流させる仕組みづくりが、国に求められていると言える。 ※調査結果詳細は次ページ以降に掲載しています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【本件に関するお問い合わせ先】 事業構想大学院大学・出版部 江口 TEL:03-3478-8402 2015 年 2 月 5 日 【調査結果】 問1:地域活性のために力を入れている政策は(3つ選択) (有効回答 213 自治体) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 136 97 62 58 57 37 34 16 27 8 22 36 人口規模別分析(人口別に色分け、縦軸が回答率) 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ~10000 ~30000 ~50000 ~100000 ~200000 200000~ 「子育て支援」をあげた自治体が 63.8%と最も多く、 「観光促進」が 45.5%で続く。 「産業誘致」 「地場 企業の振興」 「医療福祉」がほぼ横並びで 60 件前後の回答だった。仕事づくりと交流人口増大に加えて、 子育て・福祉の充実による生活基盤の確立が、地方創生の最重要テーマであることは首長の回答からも 裏付けられる。 一方で「移住促進」は 16.0%、 「起業支援」は 7.5%と少なかった。人口規模別で見ると、小規模自治 体ほど「6 次産業化」 「移住」「医療福祉」の優先度が高い。 選択回答以外に、独自の地域活性施策を自由記述してもらった。その中では、①地域のマイナスをプラ スに変える取り組み…北海道美唄市の「ホワイトデータセンター構想」 (雪を冷熱利用するデータセンタ ーの構築・企業誘致) ②知名度向上への仕掛け…熊本県高森市の「たかもり POINT チャンネル」 (自治 体発の WEB テレビ局開設) ③産業育成と人材育成の連動…奈良県奈良市の観光起業予備軍化事業(中 学生が学校区ごとに地産ブランドを開発) など、創意工夫をこらす自治体の姿勢が目立った。 2015 年 2 月 5 日 問2:ふるさと納税の税収額は(有効回答 202 自治体) 2 11 1 6 53 129 ~1000万円 ~5000万円 ~1億円 ~3億円 ~5億円 ~10億円 10億円以上 人口規模別分析(縦軸が人口) 「1000 万円以下」と「5000 万円以下」が合計で9割近くを占めており、ふるさと納税は現状では自治 体の税収にそれほど効果をあげていない。しかし、人口規模別で見ると、人口1万人以下の小規模自治体 でも「1億円以上3億円以下」や「5億円以上 10 億円以下」といった税収を獲得している例も。工夫次 第では小規模自治体にも税収拡大のチャンスがありそうだ。 「ふるさと納税を新規事業の財源に活用する予定は」との設問に対しては、108 自治体が「はい」、92 自治体が「いいえ」と答えた(有効回答 200 自治体)。人口1万人以下の自治体が7割「はい」と回答し たのに対し、20 万人以上の自治体は「はい」は2割程度。小規模自治体ほど、ふるさと納税を活用した 新事業に可能性を感じている。 2015 年 2 月 5 日 問3:独自の地域活性化施策を行う上での障壁は何か(複数選択可) (有効回答 213 自治体) 140 120 100 80 60 40 20 0 118 80 75 68 60 23 「法制度の不備」をあげた自治体は 10.8%(23 自治体)と少ない。 「予算不足」が 55.4%(118 自治 体)で最も多かった。 「域内の人材不足」が 37.5%(80 自治体)で続き、 「ノウハウ」 「事業のアイデア」 「組織体制」という回答も多く、自治体の悩みの多さが伺える。予算措置も重要ではあるが、地域内にイ ノベーションをうみだす人材の育成や交流、アイデアを生み出す仕組みづくりと実行体制、ノウハウの 構築も不可欠である。 問4:地域産業の活性化において特に重視する政策は(3つ選択)(有効回答 213 自治体) 160 141 140 120 93 100 80 53 60 40 20 0 92 31 28 22 21 9 1 53 10 20 「地場企業の活性化」の 66.1%(141 自治体)をトップに、「工場、産業誘致」43.7%(93 自治体)、 「6次産業化」43.2%(92 自治体)の回答数が多い。人口規模別で見ると、 「ICT・インターネットの活 用」の回答は人口1万人以下の自治体で突出していた。また、小規模自治体ほど、 「バイオマス活用など による発電・エネルギー事業」 「環境・エネルギー産業の創出」の回答率が高く、過疎地域や山間部の自 治体が、自然エネルギーによる地方創生に興味を持っていることがわかった。 2015 年 2 月 5 日 問5:観光誘客で重視している分野は ヨーロッパ 大都市圏 北米 周辺地域 アジア 0% 0% 20% 重視している 40% 60% 80% 100% ある程度重視している 重視していない 20% 40% 60% 80% 100% 重視している ある程度重視している 重視していない 観光においては、海外よりも国内からの集客を重視する傾向が圧倒的に強い。海外からの誘客は受け入 れ体制等を含め整備が必要であることなどが理由と思われるが、インバウンド客を一気に取り込めるチ ャンスと考えることもできる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【調査概要】 調査方法:書面送付/調査対象:1742 市町村区の首長/調査機関:2014 年 12 月 1 日~12 月 19 日/有 効回答数:213 自治体/結果を人口規模別(1万人以下、1万人以上3万人以下、3万人以上5万人以下、 5万人以上 10 万人以下、10 万人以上 20 万人以下、20 万人以上)でクロス集計し分析/後援:地域活性 学会 【学校法人東教育研究団 事業構想大学院大学について】 住所:東京都港区南青山 3-13-16 URL:http://www.mpd.ac.jp/ 事業構想大学院大学(理事長:東英弥、学長:清成忠男)は 2012 年に東京・表参道に開校した社会人 向けの大学院です。本学は、事業の根本からのアイデアを考え、事業構想を構築し推進する人材、事業構 想修士(MPD、Master of Project Design)を育成する、クリエイティビティを重視した従来の枠を超え た新しい大学院です。 企業の新規事業担当者、事業承継者、起業を目指す人のほか、地域活性化を志す人(自治体職員含む) が所属しています。 附属の事業構想研究所では、多種多様な企業が参画し、経営資源を活用した新規事業創出につながる プロジェクト研究を実施しています。このプロジェクト研究は、長野県飯田市など全国の自治体も取り 入れ、人材育成、雇用創出、観光促進など地方創生につながるテーマでも開始され、着実に成果を挙げ始 めています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【本件に関するお問い合わせ先】 事業構想大学院大学・出版部 江口 TEL:03-3478-8402
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