和泉市浄化槽整備推進事業 PFI事業優秀提案者選定審査結果 和泉市浄化槽整備推進事業PFI事業者選定委員会(以下「委員会」という。)は、和泉 市浄化槽整備推進事業を実施するPFI事業者の選定について、「和泉市浄化槽整備推進事 業に関する優先交渉権者選定基準(平成 26 年 10 月 1 日公表)」に基づき提案内容の審査を 行い、優秀提案者を次のとおり選定し、市に報告しました。その審査結果及び審査講評につ いては、下記のとおりです。 平成 26 年 12 月 26 日 和泉市浄化槽整備推進事業PFI事業者選定委員会 委員長 阿部 昌樹 ○委員会の構成 委員長 阿部 昌樹 大阪市立大学大学院法学研究科教授 副委員長 中島 淳 委員 品末 僚子 委員 森吉 豊 委員 藤本 人司 和泉市環境産業部環境監 委員 渡士 敏彦 和泉市上下水道部下水道監 立命館大学理工学部環境システム工学科教授 野邊会計事務所 公認会計士 和泉市市長公室長 1.応募者 和泉市が平成 26 年 10 月 1 日より実施した和泉市浄化槽整備推進事業(以下「本事業」と いう。)のPFI事業者の募集には、次の2つの応募グループより提案がありました。 【応募グループ名】 応募者 A:藤野興業株式会社 応募者 B:和泉市環境整備グループ 2.参加資格審査 和泉市は、各応募グループから提出された参加資格確認書類に基づき、各応募グループと も募集要項に定める参加資格要件を満たすことを確認しました。 3.審査結果 委員会は、平成 26 年 12 月 19 日(金)に、各応募グループの提案書に基づき定性的評価 と定量的評価を行い、これらを合算した総合評価をもって各応募グループの提案に順位を付 しました。 (1) 定性的評価 優秀提案者に選定した応募グループの定性的評価の結果は、以下のとおりです。 大項目 1. 中項目 (1)事業推進策 本事業へ の取組方 小項目 住民広報活動、事業推進への取 組み、みなし浄化槽の転換促進 (2)地域への貢献 針 ①地域経済への貢献 ②地域環境への貢献 (3)コストの縮減 ①設置工事費の縮減 ②維持管理業務費の縮減 2. (1)事業運営 SPC運営計画 事業計画 (2)構成員の経営 構成員決算状況 状況 (3)資金等 ①SPC資本金 配点 評価点 5 4 5 5 10 8 10 6 10 7 5 3 10 8 ②資金調達 3. 浄化槽設 置工事 (4)リスク管理 加入を予定する保険等 (1)設置工事の体 設置工事実施体制、浄化槽整備 制等 (2)標準設置工事 計画等 実績、マネジメント方法 ①設置する浄化槽 ②標準設置工事の手順等 ③工事検査等 (3)標準以外の工 事等の扱い ①付帯工事の対応 ②みなし浄化槽撤去工事 ③標準工事が困難な場合にお ける特殊工事等の対応 ④大型浄化槽設置工事 (4)整備目標未到 達の場合の減額 減額措置の考え方、買取り額の 減額率等 措置 4. 浄化槽維 持管理 (1)維持管理の体 制等 (2)標準とする維 持管理業務 維持管理実施体制、維持管理実 績、有資格者の配置 ①自ら設置した浄化槽 ②寄附された浄化槽 ③清掃業務との連携 ④法定検査への対応 ⑤機器補修 ⑥緊急時対応 (3)標準以外の維 持管理業務の扱 い ①ブロワの更新 ②大型浄化槽の維持管理 大項目 中項目 小項目 (4)維持管理記録 配点 評価点 5 4 10 8 5 4 75 57 維持管理台帳の整備、運用 の方法 (5)「不適正」の場 減額措置の考え方、維持管理費 合の減額措置 の減額率等 5. (1)住民負担の軽 ①浄化槽の補強、障害物の移 住民サー 減 設、排水設備、放流管工事等に ビス おける対応 ②本事業(浄化槽設置工事)と 関連した水回りの改造工事、住 宅リフォームの需要への対応、 その他住民負担の軽減に関す る提案 (2)住民サービス 住民向けの窓口の開設、浄化槽 の向上 の使用にあたり発生するニー ズへの対応、その他住民の高齢 化等地域の実情を踏まえ、住民 サービスを向上させるための 提案等 定性的評価点 (2) 定量的評価 優秀提案者に選定した応募グループのあらかじめ公表した下記の算定式により算定した 提案金額に関する定量的評価の結果は、以下のとおりです。 【定量的評価点の算出式】 配点-(当該応募者の提案総価格-提案審査対象応募者中最低の提案総価格)/260万円 ※評価点は、小数点以下第3位を四捨五入し小数点以下第2位まで求める。 定量的評価点 配点 評価点 25 25.00 (3) 総合評価 (1)定性的評価、 (2)定量的評価に関する評価の得点を合計した総合評価点は、以下の とおりです。 総合評価点 配点 評価点 100 82.00 4.優秀提案者の選定 優秀提案者は、総合評価点 82.00 点を獲得した「応募者 B」と選定しました。 【応募者 B の構成】 代表企業 : 岡本設備株式会社 構成企業 : 田中設備工業株式会社 株式会社コクブ設備 有限会社本多衛生 楠本工業株式会社 協力企業 : 岡兵木材工業株式会社 株式会社ジェイピーオー 5.審査講評 (1)はじめに 本事業は、PFI法に基づく特定事業として、民間事業者の有する資金、ノウハウを活用 することにより、住民サービスの向上、公共用水域の水質改善を早期に発現するとともに、 市の財政負担の軽減を図り、効率的・効果的に事業を実施することを目的とするものです。 本事業提案にご参加いただいた応募グループにおかれましては、それぞれが自ら有するノ ウハウを生かし、特徴的で魅力的なご提案をいただきました。委員会では、「優先交渉権者 選定基準」に基づき慎重な審査を行った結果、下記のとおり総合評価において高い評価点を 獲得した応募者 B を優秀提案者として選定しました。 (2)各応募グループの講評 評価項目 講評 1.本事業への取組方針 ・応募者 A の提案については、浄化槽設置及び維持管理に関 して豊富なノウハウを生かし、事業推進策やコスト縮減策に ついて具体的な提案がなされており、信頼性が高い事業提案 であることを高く評価しました。 ・応募者 B の提案については、地元住民への「顔の見える対 応」を事業推進コンセプトにし、地元中心の業務実施体制を 構築し、市の財政負担の軽減に配慮することに加え、和泉市 で生産する木材を積極的に活用する等、具体的かつ効果的な 評価項目 講評 地域貢献策が提案されていることを高く評価しました。 2.事業計画 ・応募者 A の提案については、浄化槽整備を早期に推進し、 安定したキャッシュフローを維持する、実現可能性の高い事 業計画としている点を高く評価しました。 ・応募者 B の提案については、構成企業の出資による資本金 を確保した事業計画としている点を評価しました。 3.浄化槽設置工事 ・応募者 A の提案については、豊富な浄化槽整備実績を生か した設置工事実施体制を構築し、浄化槽の機種として、本業 務で要求する放流水質の性能を満たし、かつ流量調整機能を 有する信頼性の高い高度処理型浄化槽を選定していることを 高く評価しました。また、設置工事において整備目標未到達 の場合における減額措置も提案している点を評価しました。 ・応募者 B の提案については、浄化槽設置工事に関する経験 を豊富に有する地元企業が連携し、本事業の浄化槽設置目標 に対応できる実施体制を構築している点を評価しました。ま た、設置工事において市の負担軽減を図りつつ、整備目標未 到達の場合における減額措置も提案している点を評価しまし た。 4.浄化槽維持管理 ・応募者 A の提案については、豊富な浄化槽維持管理実績を 生かした業務実施体制とマネジメント方法を構築している点 と、携帯端末を利用した浄化槽管理システムの運用など、放 流水質の管理に関する高いサービス水準を示している点を評 価しました。 ・応募者 B の提案については、浄化槽維持管理に関する経験 を有する地元企業による業務実施体制とマネジメント方法が 構築されている点を評価しました。また、本事業の維持管理 業務における市の負担軽減を図りつつ、法定検査結果が「不 適正」の場合における減額措置も提案している点を評価しま した。 5.住民サービス ・応募者 A の提案については、浄化槽設置時に想定される住 民の追加的な負担の軽減策や住宅リフォーム工事への対応を 高く評価しました。また、維持管理業務において高齢者世帯 への訪問時には積極的な対話を心がけるとした点を評価しま した。 ・応募者 B の提案については、浄化槽設置時に想定される住 民の追加的な負担の軽減策や和泉市内の工事業者とのネット ワークを生かした住宅リフォーム工事への対応を評価しまし 評価項目 講評 た。また、槇尾山町の渇水対策として雨水タンクの設置を行 う等、地域特性を踏まえたものである点を評価しました。 (3)総評 優秀提案者に選定した応募者 B の提案については、地元住民への顔の見える対応をコンセ プトにし、市の財政負担を軽減することに十分に留意しつつ、同時に、住民負担を軽減する ことにも配慮した提案内容であることに加え、地元の人材や地元産の木材の活用を図ること による地域社会及び地域経済への貢献を積極的に提案している点を非常に高く評価しまし た。それに加えて、槇尾山町の渇水対策に関する提案や地域清掃活動への参加等、地域特性 を踏まえた提案内容である点も高く評価しました。 一方、応募者 A の提案については、浄化槽設置及び維持管理に関して豊富なノウハウを生 かした、効果的な事業の推進策を提案するものであるとともに、浄化槽の放流水質の確保に 配慮した非常に信頼性が高い事業提案でもあることを、定性的評価においては高く評価しま したが、定量的評価を加えた総合評価において、応募者 B の提案を、より優れた提案内容と 評価しました。 以上のような評価に基づき、このたび、委員会としては応募者 B を優秀提案者として選定 しましたが、本事業が十分な成果を挙げるためには、提案時の提案内容を確定的なものとし て扱うのではなく、よりよき事業内容となるよう市と事業者が真摯に協議を行うことが必要 不可欠です。委員会としては、とりわけ次の点について配慮することを求めます。 ・浄化槽が整備されることによって、トイレの水洗化等が可能となり、これまでよりも快 適な生活環境が実現できることを、高齢者世帯にも十分に理解してもらえるよう、市と事 業者と緊密に連携して事業推進にあたること。 ・住民の浄化槽設置希望時期が集中した場合にも、それに対応できるような設置工事の実 施体制を確立するとともに、浄化槽設置工事に際しては、安全管理に努め、品質管理を適 切に行うこと。 ・事業者からの提案中の市の希望する内容にまで達していない事項については、市は、事 業者に理解を求めて実施に向けた協議を行い、事業内容の改善を行うこと。 ・本事業は住民の生活環境の向上と河川等の水質保全を目的とするものであることを踏ま え、浄化槽の普及のみに留まらず、住民、事業者と市が一体となった地域の環境保全活動 を促進すること。 最後に、本事業の意義を十分に理解した上で、細かな点についても配慮した事業提案を提 出いただいた応募者のそれぞれに、心から敬意を表しますとともに、本事業が契機となり河 川等の水環境の保全が図られることに伴い、地域住民が親しめる水辺空間が創出され、和泉 市南部地域の良好な居住空間が次世代に継承されることを願い、審査講評の結びとします。
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