「京都府薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)」骨子案(PDF:189KB)

「京都府薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)」骨子案
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条例制定の背景
・
近年、危険ドラッグの販売店、使用者が増加するとともに、これが原因と思わ
れる第三者の被害が発生し、大きな社会問題となっています。
・
危険ドラッグは、その使用方法(お香、アロマ等)を偽装して販売されており、
従来の法規制では規制成分を検出しない限り取締が困難となっています。
・
本府では、危険ドラッグ対策について、京都府警及び近畿厚生局と緊密に連携
し、合同立入調査や強制捜査を実施し、看板を掲げている店舗をほぼ根絶状態に
追い込んできたところです。
・
一方で、最近では、地下店舗やインターネットによる販売形態が登場し、販売
業者の所在判明に時間を要しているとともに、全国的に交通事故や健康被害が後
を絶たない状況です。
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条例骨子案の内容
(1)目 的
薬物の濫用の防止に関し、府、府民及び関係者の責務を明らかにするとともに、
薬物の濫用の防止に関する基本的な施策、薬物の濫用を防止するための規制等を
定めることにより、薬物の濫用による危害から府民の健康と安全を守り、もって
府民が安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とします。
(2)定 義
次に掲げる物を「薬物」とします。
① 大麻
② 覚せい剤及び覚せい剤原料
③ 麻薬、麻薬原料植物及び向精神薬
④ けし、あへん及びけしがら
⑤ トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー、
接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料
⑥ 薬事法(昭和 35 年法律第 145 号)第2条第 14 項に規定する厚生労働大臣の
指定薬物
⑦ 危険薬物(①~⑥に掲げる物と同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類
する作用を人の精神に及ぼし、人の健康に対する被害が生ずるおそれがある物
であって、人が摂取し、又は吸入するおそれがあるもの(酒類、たばこ及び薬
事法第2条第1項に規定する医薬品を除く。))
(3)責 務
① 府の責務
・ 薬物濫用防止に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとします。
・ 国、他の地方公共団体、関係団体と連携することとします。
②
府民の責務
・ 薬物濫用防止に努めることとします。
・ 府の施策に協力するよう努めることとします。
③
医療機関の医師、薬局の薬剤師の責務
・ 危険薬物による中毒症状を呈する患者を診察したとき、患者の情報を得た
ときは、薬物の名称等の情報を知事に提供するよう努めることとします。
④
不動産関連業者の責務
・ 各種法令又はこの条例の規定に反した薬物の販売目的の賃貸借契約を行わ
ないよう努めるとともに、同目的の賃貸借契約を覚知したときは、契約の解
除に努めることとします。
⑤
運送営業者の責務
・ 郵便の場合を除き、各種法令又はこの条例の規定に反した薬物の販売を覚
知したときは、運送契約の自粛に努めることとします。
(4)基本的な施策
① 府は、薬物の濫用防止に関する施策を推進するための体制を整備することと
します。
② 府は、薬物の危険性に関する情報を収集、整理、分析及び評価し、施策に反
映することとします。
③
府は、府民に必要な情報を提供することとします。
④
府は、教育及び学習を推進することとします。
⑤
府は、適切かつ効果的な監視及び指導を実施することとします。
⑥
公安委員会は、必要な調査を行い、知事に情報提供、助言することとします。
(5)薬物濫用防止のための規制
①
②
③
「危険薬物」に関する規制
危険薬物について、次の規制を行うこととします。
内
容
・製造、栽培の禁止
・販売、授与、その目的の所持の禁止
・販売、授与目的の広告の禁止
・(単純)所持、購入、譲り受け、使用の禁止
・使用場所の提供、あっせんの禁止
「知事指定薬物」に関する規制
知事指定薬物について、危険薬物としての規制を行うこととします。ただし、
命令を経ない罰則を科す等、厳しい対応を検討します。
・知事指定薬物:危険薬物のうち、現に府内で濫用されているもの、又は
そのおそれがあるとして知事が指定したもの
「知事監視店舗」に関する規制
・知事監視店舗:危険薬物に該当する疑いのある物を製造、販売等してい
るとして知事が指定した店舗
・知事監視薬物:知事監視店舗で製造、販売等されている、製品の成分本
質、形状、広告、製品名、使用方法の表示、販売場所、
販売方法、健康被害の発生状況等、製品に係る情報を総
合的に勘案し、人が摂取し、又は吸入するおそれがある
と認められるもの(他法令で規制されているものや、安
全性を証明したものを除く。)
ア
営業者に対する規制
知事監視店舗に対し、知事監視薬物について次の義務を課すこととします。
内
容
・製造者住所・氏名、販売者住所・氏名・問合先の表示
・購入者等に使用説明書交付、責務告知
・購入者等から譲受書(住所、氏名、年齢、品名、数量、使用目的、人体使
用しない旨の誓約、購入日、押印)を徴収し、保存【身分確認要】
・頻回購入者、大量購入者の氏名等の知事への届出
・製造、購入履歴の記録、保存
・販売、授与目的の広告の禁止
イ
購入者に対する規制
知事監視店舗で知事監視薬物を購入する者に対し、次の義務を課します。
内
容
・営業者に譲受書(住所、氏名、年齢、品名、数量、使用目的、人体使用し
ない旨の誓約、購入日、押印)を提出【身分確認要】
・頻回購入者、大量購入者は知事に届出
(6)警 告
次の場合に、知事が警告を発することができることとします。
① (5)①、②の規制に反した者
② (5)③の手続に違反した者
(7)販売等の一時停止命令
(5)①の規制に反した者に対し、知事が警告の発出と併せて販売等の一時停止
命令を発することができることとします。
(8)販売中止等の命令
(6)①、②((5)③アの手続きに係るもの)の警告又は(7)の販売等の一
時停止命令に従わない者に対し、知事が販売中止等の命令を発することができる
こととします。
ただし、薬物の濫用から府民の健康と安全を守るため緊急を要する場合等は、
警告又は販売等の一時停止命令を省略して販売中止等命令を発することができる
こととします。
(9)立入調査及び収去
知事及び公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に立
入調査させ、又は危険薬物等の提出を求めることができることとします。(危険
薬物等の提出を求める権限は府職員のみに付与)
(10)京都府薬物指定審査会(仮称)
知事指定薬物及び知事監視店舗に係る情報の分析及び評価を行い、知事に報告
することとします。
(11)罰 則
次の者に対し、罰則又は過料を課すこととします。
① 禁止行為をした者
② 禁止行為の命令に従わない者
③ 立入調査を拒否等した者
④ (6)②((5)③イの手続きに係るもの。)の警告に違反した者