植物高含有天然物(ゼルンボン)を 用いた医薬品・機能性分子開発 近畿大学 農学部 教授 バイオサイエンス学科 北山 隆 1 研究背景 多様な反応性をもつ天然材料を用いた有機合成 (Natural Materials-Related Diversity-Oriented Synthesis: NMRDOS) 天然物 新規(母)骨格形成 一般的誘導化法 ケミカル スペース の拡大 コンビナトリアル合成 機能性物質の創出 ・医薬原料・中間体・本体 ・その他機能性材料 ・試薬 etc 2 新技術の概要 • 有用機能性物質の開発のためには、様々な骨 格をもつ出発物質の化学変換によって得られ た誘導体を用いて、それらの機能を探索するこ とが重要である。我々は植物が生産する反応 多様な物質に着目し、ハナショウガ中に含まれ るゼルンボンを出発物質に用いて反応検討し た結果、これまでに得られなかった多くの新規 化合物の構築に成功した。 3 Conjugated carbonyl group Conjugated double bond 乾燥重量 3~4% 水蒸気蒸留 0.3~0.4% Isolated double bond Zerumbone 11-memberd ring sesquiterpene Biological activity ・ Anti-HIV activity ・ Anticancer activity ・ Antiinflammatory activity 4 従来技術・競合技術との比較 • 第一ステージではゼルンボンの直接的な反応 によって特徴的な位置選択的物質を得ることが でき、第二ステージではこれらに対して反応条 件を僅かに変えるだけで多様な構造を有する 新規化合物に変換できる。このように基礎的な 物質変換を体系的に達成した例はほとんどな い。 5 従来技術とその問題点 これまでの医薬開発は、リード化合物の誘導化 や、特定の反応による官能基導入法を用いたコ ンビナトリアルケミストリーが用いられていたが ・特定の母骨格が出発物質となるため、新たな 機能発現が困難 ・特定の反応による骨格形成であるため、上記 と同様、新たな機能発現が困難 等の問題があった。 6 新技術の特徴・従来技術との比較 • 反応多様な天然物を利用することにより、これ までと異なる骨格構築法を開発した。 • 新しい骨格が形成されるため、新たな機能性 発現が期待される。 • 再生可能天然物を利用するため、定常的な物 質供給が可能である。 7 8 想定される用途 • 医薬開発用の母骨格としての利用が期待され る。 • 上記以外にも、様々な機能性材料開発におけ る母骨格としての利用が期待される。 • 試薬としての販売も可能 9 実用化に向けた課題 • 特許取得関連の反応に限らず、新たな反応 系も開発しているため、利用可能。 • 栽培技術も確立されているため、大量入手も 可能。 • 実用化に向けて、ハナショウガの栽培量増産 のためのスタートアップの商品化が大きな課 題。 10 企業への期待 • 開発用途の一部は確立しているため、ハナ ショウガの増産を可能とする用途開発可能な 企業との共同研究を希望。 • 開発した骨格を用いた新規用途開発を可能と する共同研究を希望 • ファインケミカルズを主戦力としている企業に は、本技術の導入が有効と思われる。 11 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :新規物質ゼルンボン誘導 愛及びこれらの生成方法 • 出願番号 :特願2005-058188 • 登録番号 :4418878 • 出願人 :近畿大学 • 発明者 :北山隆、岡本忠 12 生理活性 発癌ウイルスの増殖阻害 抗HIV活性 EBV活性化抑制 抗炎症鎮痛抑制活性 枯れ葉病原菌活性 白血病細胞抗腫瘍活性 iNOS産生阻害効果 潰瘍性大腸炎抑制効果 植物成長調節因子 抗菌活性 13 ゼルンボンの機能性を利用(保存)した構造体(誘導化法)の開発【高機能化】 H2O O O Br N 1min O + in CH3CN/H2O=1/1 O Br Quick and Clean Reaction !! Filtration 14 C N O 15 機能性置換基 16 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :ゼルンボン誘導体およびそ の製造法 • 出願番号 :特願2008-172671 • 登録番号 :5416928 • 出願人 :近畿大学 • 発明者 :北山隆、粟田正崇 17 酸素付与による酸化体 & 光学活性体の開発【基本構造】 OH OH OAc O OAc Meito QLM, + o THF, 35 C O rac-t-10 conv. = 73% O (+)-(1R,6S,7S)-10 99.6% ee O (-)-(1S,6R,7R)-11 33.5% ee O (-)-(6S,7S)-8 99.5% ee Dess-Martin reagent, r.t., 1 h, 78 % OH OH OAc O OAc Meito QLM, + o THF, 35 C O rac-e-9 conv. = 54% O (-)-(1R,6R,7R)-9 92.0% ee O (+)-(1S,6S,7S)-12 75.4% ee O (+)-(6R,7R)-8 92.0% ee Dess-Martin reagent, r.t., 1 h, 72 % 18 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :ゼルンボン誘導体およびそ の製造法 • 出願番号 :特願2001-251457 • 登録番号 :4547525 • 出願人 :近畿大学 • 発明者 :北山隆、高谷政広、岡本忠、 沢田誠二 19 酸素付与による様々な酸化体 & 光学活性体構築【高機能化】 (電子リッチ・立体制御・水素結合) OH Ti(O-Pri)4 TBHP L-(+)-DET OH OH O OH O + OH O + O O -35 ~ -40oC With L-DET Second attack O "enantioselective" OH First attack O "diastereoselective" 20 7点不斉誘導体合成~すべての二重結合の利用 OH Epoxidation OH O O O O Reagents MCPBA (92%) H2O2, Pyridine (33%) Solvent:CH2Cl2(Hexane) Crystal System:monoclinic GOF = 1.02 R = 0.032 O OH Dihydroxylation O Reagents OsO4, NMMO (95%) AD-mix- (70%) AD-mix- (70%) O HO HO Solvent:AcOEt/Hexane Crystal System:monoclinic GOF = 1.26 R = 0.043 21 光学活性エポキシ体構築法のまとめ 22 企業への期待 • 開発用途の一部は確立しているため、ハナ ショウガの増産を可能とする用途開発可能な 企業との共同研究を希望。 • 開発した骨格を用いた新規用途開発を可能と する共同研究を希望 • ファインケミカルズを主戦力としている企業に は、本技術の導入が有効と思われる。 23 産学連携の経歴 これまでの連携 大量生産:ショウガ生産企業 用途開発:香料会社・大手化学メーカー・ 試薬会社 24 お問い合わせ先 近畿大学 リエゾンセンター コーディネーター 武田 和也 TEL 06-4307 - 3099 FAX 06-6721 - 2356 e-mail [email protected] 25
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