“急性骨髄性白血病幹細胞の分子標的医薬の開発”

JST 新技術説明会
“急性骨髄性白血病幹細胞の分子標的医薬の開発”
統合生命医科学研究センター ヒト疾患モデル研究グループ
石川 文彦
急性骨髄性白血病の治療の問題点
白血病細胞数
化学療法:寛解導入
1012
化学療法:寛解維持・地固め
再発:原因解明
109
完全寛解
105
微小残存病変
0
時間
ヒト化マウス研究の特色
患者由来白血病細胞の解析
虎の門病院
白血病幹細胞 (= 白血病の根源となる細胞)を、免疫のないマウスに移植
マウスに患者さんの白血病状態を再現 「白血病ヒト化マウス」
治療のシミュレーション
白血病幹細胞の局在を同定
再発の原因を解明
ヒト化マウス研究でわかったこと
抗がん剤治療
時間経過
再発
抗がん剤抵抗性
抗がん剤感受性
抗がん剤治療
白血病幹細胞
細胞周期静止
幹細胞以外の白血病細胞
再発
白血病幹細胞治療
再発防止〜根治の可能性
急性骨髄性白血病の治療標的分子の同定
正常造血・免疫システ
ム
急性骨髄性白血病
正常造血幹細胞
白血病幹細胞
副作用の軽減
再発防止
Hematopoietic cell kinase (HCK)
正常幹細胞に発現低く、白血病幹細胞に発現高い
RK-20449の治療効果 (in vitro)
100nM
300nM
AraC
無治療
RK-24466
RK-20449
試験管内での RK-20449の患者由来白血病幹細胞に対する効果
Flt3-ITD変異あり
(N=7)
120
生きた白血病細胞の割合 (%)
生きた白血病細胞の割合 (%)
Flt3-ITD変異なし
(N=18)
100
80
60
40
20
0
0nM
500nM
1uM
3uM
120
100
80
60
40
20
0
0nM
500nM
1uM
3uM
急性骨髄性白血病の染色体異常と遺伝子変異
予後への影響
染色体異常
遺伝子変異
良好
inv(16) or t(16;16)
t(8;21)
t(15;17)
NPM1 変異
CEBPA 変異
通常
染色体異常なし
+8
t(9;11)
c‐KIT 変異
予後不良
3つ以上の染色体異常
5番・7番の染色体の欠失
11q23の転座
inv(3), t(3;3)
t(6;9)
t(9;22)
FLT3‐ITD 変異
NCCN Guidelines Version 2.2011 AML-A
生体内でのRK-20449によるヒト白血病に対する治療効果
1. 急性骨髄性白血病
(FLT3-ITD+) 患者さん
2. 患者白血病幹細胞 → 新生仔 免疫不全マウス
3. 白血病を再現したマウスの作製と治療
a: 化合物の水溶性
c: 肝臓での代謝・腎臓での排泄
b: 投薬による有効性と毒性
d: 吸収・膜透過性など
生体内でのRK-20449によるヒト白血病に対する治療効果
ヒト白血病細胞の末梢血中での割合 (%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1
2
3
4
5
30mg/kg RK-20449 bid
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17 (w)
治療による骨・脾臓の変化
貧血状態
脾腫
無治療
AraC (day6)
RK-20449
(day6)
脾腫の改善
RK-20449
(day52)
正常な赤血球が回復
病理組織学的解析による治療効果判定
HE staining
ヒト白血病細胞
無治療
RK-20449 (治療6日)
RK-20449 (治療16日)
hCD45 staining
治療52日
大腿骨
上腕骨
胸骨
肋骨
脊椎
無治療(低倍)
無治療(高倍)
RK-20449 (低倍) RK-20449 (高倍)
RK-20449の想定される用途
再発
完全寛解
白血病の発症
抗がん剤治療
幹細胞以外は有効に死滅
幹細胞は抗がん剤抵抗性
白血病幹細胞の
分子標的医薬
白血病幹細胞
幹細胞以外の白血病細胞
死んだ白血病細胞
再発の克服=根治の実現
本技術に関する知的財産権
【発明の名称】
急性骨髄性白血病の治療又は再発抑制剤
【公開番号】
WO/2014/017659
【出願人】
独立行政法人理化学研究所
【発明者】
石川 文彦、斉藤 頼子、橋爪 良信、
甲田 泰子、幸 瞳
お問い合わせ先
独立行政法人理化学研究所 社会知創成事業
創薬・医療技術基盤プログラム
事業開発室
住所:〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22
TEL:045-503-9153
Mail:[email protected]
http://www.riken.jp/dmp/
お問い合わせ先
独立行政法人理化学研究所 社会知創成事業
創薬・医療技術基盤プログラム
事業開発室
住所:〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22
TEL:045-503-9153
Mail:[email protected]
http://www.riken.jp/dmp/