学校 検 尿 を契機 と して発 見 され たJuvenile - J

日腎 誌 第XXX巻 第10号1988
田中 完
他4名
1227
学 校 検 尿 を 契 機 と して 発 見 さ れ たJuvenile
Nephronophthisis(若
田中
年 性,ネ フ ロ ン 癆)の
完,杉 本
和賀
Early
detection
和 彦,貫
忍,永
HIROSHI
TANAKA,
Department
Ohyokyo
Key words:
WAGA
of Pediatrics,
Kidney
juvenile
nephronophthisis
for urinary
KAZUIIIKO
SHINOBU
清 孝,
田紀 四郎
of a case with
school mass screening
井
一
例
abnormality
SUGIMOTO,
and
Hirosaki
KISHIRO
in
KIYOTAKA
NUKII,
NAGATA
University
School
of Medicine,
5-Zaifu Cho, Hirosaki-shi,
Aomori 036
Institute,
90 Kozawa-Yamazaki,
Hirosaki-shi,
Aomori
036
juvenile nephronophthisis,
school-mass screening, hyperreninemia
without hypertension,
electron microscopical findings
A 12 year-old boy was pointed out proteinuria in school mass screening for urinary
abnormality, and following informations, including short stature, history of polydipsia and
polyuria, increased beta-2 microglobulin in urine, deteriorated renal function tests as well
as the characteristic
findings of renal biopsy except for the juxtamedullary
cyslic formation, have led to the diagnosis of juvenile nephronophthisis(JN).
His proteinuria on
admission was gradually decreased to negative during the 2 months of hospital course,
parallel to the improvement of high serum IgG and immune complex, suggesting that his
disease was detected by chance when he suffered from some immunological invasion causing
proteinuria.
Metabolic acidosis was mild and insulin loading test for growth hormore(GH)
secretion was normal, so that his short stature could not be explained by metabolic
acidosis or decreased GH secretion as previously
reported.
High plasma renin activity
was demonstrated, although his blood pressure was normal, indicating a syndrome, "hyperreninemia without hypertension".
FENa (fractional excretion of Na) was slightly increased
and FEK (fractional excretion of K) was significantly high. Taking together these findings, his condition of active salt wasting, stimulating renin-angiotensin
system was suggested.
Electron microscopic finding for renal biopsy specimen, which was apparently
minor abonormality by light microscopy, revealed typical findings in JN such as a thickening, lamellation of the basement membrane of Bowman's capsule, scattered by electron
dense micro-particles.
phthise"と
緒
Juvenile
言
nephronophthisis(以
年Fanconiら1)が"Die
familiare
して 初 め て 報 告 した 先 天性 嚢胞 性 疾 患 で あ
る。 以後,欧 米 では 約220例,本 邦 で は約23例 が 報 告 され
下JNと
juvenile
て い る。JNの
略)は1951
典 型 的 臨床 像 は多 飲,多
尿,貧 血,進 行
す る腎 不 全,成 長 遅 延 お よび 低比 重 以 外 の尿 所 見 に乏 し
Nephrono-
弘 前大学医学部小児科
*鷹 揚郷腎研究所
(昭 和63年7月19日
(67)
受 理)
1223
学 校 検 尿 を 契 機 と し て 発 見 され たJuvenile
tiephronophthisis(若
い こ と で,欧 米 にお け る小 児 末 期 腎 不 全 の1.0∼20%が 本
め ら れ,約3ケ
症 で あ る と され て い る3)3)病
独 歩1歳6ケ
理 組 織 学 的 に は,尿
障 害 の 程 度 に比し て糸 球 体 障 害 が軽 微 で,主
細管
と して腎 皮
年 性 ネ フ ロ ン癆)の
月 間 の 入 院 管 理 を 要し た 。 頸 定4ケ
月 で あ っ た が,乳
の時の学校検尿で初め
て 蛋 白 尿 を 指 摘 され た が,以
らの特 微 は 発 見時 期 に よ り修 飾 を 受 け る こ とが 多 く,早
再 度,学
期 発 見は 必 ず し も容 易 で は な い,今 回我 々は患 児 の一 過
後,指
診 時 低 身 長 の ほ か 軽 度 血 尿,蛋
性 の 蛋 白 尿 発 現 が学 校検 尿 の時 期 に偶 然 に重 な って 早 期
尿,さ
に 本 症 を診 断 で きたCIF.例
を経 験 し,こ れ ま での 報 告 例 に
中β2microglobulin(U-β2MG)3.625μg/dlと
み られ な い い くつ か の 興 味 あ る知 見 が 得 られ た の で報 告
た め,精
ら にBUN
37 mg/dl,creatinine
(2.7SD)と
主 訴:蛋
家 族 歴;両
小 さ く,頭
身長。
親 が い と こ結 婚,父
と7歳
の 弟 は正 常 発 達 で
あ る.家
系に腎疾患患者
重23kg
正 常 範 囲 で あっ
た,胸
腹 部 に も異 常
部 に 浮 腫 は な く,神
経学
的 に 異 常 は な か っ た,口
腔 所 見 と して は 歯 エ ナ ズル 質 の
hypoplasiai (Fig,1)が
認 め られ た.眼
科 的 に 両 側 の軽
度 の 白 内 障 の み を 認 め た。 血 圧 は110/60mmHgで
は い な い。
あっ
た。
頃 よ り両 側 性 の 浸 出 性 中 耳 炎 の 反 復,,
現 病 歴;在
2.200g.自
高値 の
囲 は49cmで
所 見 を 認 め な か っ た,.四 肢,頭
あ る が 母 が 低 身 長1,143cm;で
既 往 歴;7歳
尿
例
児。
白 尿.低
l,7mg/dl。
長119cm(-4,0SD),休
た。 眼 瞼 結 膜 に は 貧1血 を 認 め ず,ま
患 児:12歳,男
白
査 を 目的 に 入 院 し た。
入院 時 現 症:身
症
摘 さ才1な か っ た。 校 検 尿 に て 蛋 白 尿 を 指 摘 さ れ,
当 科 を 受 診し た,受
す る。
月,
児 期 よ り低 身 長 の 傾 向 に
気 付 か れ て い た。9歳
髄 境 界 部 に嚢 胞 形 成 を 見 る こ とで あ る2),し か し,こ れ
一例
胎36週,生
然 分 娩 に て 出 生 .生
Fig.
1
Teeth
Bite
血 を 認 め ず.血
直 後 よ り哺 乳 障 害 が 認
of patient.
wears
入院 時 倹 査 成 績(Table 1,2):末
下時 休 重
on the
Hypoplasia
top of teeth
液 生 化 学 検 査 に てBUN,creafinine高
fib:,軽 度 肝 機 能 障 害 が 認 め ら湘,IgG高
of adamantin
are also
( 68)
layer
shown.
悄血 一 般 倹 査 で貧
is seen
horizontally.
値 に よ る と思 わ
日腎 誌
第XXX巻 Table 1
第10号1988
田中
完
他4名
Laboratory data(1).
1229
Table
2
Loboratory
data(2).
む し ろ 高 値 傾 向 で あ っ た が,10月27日
19.1mg/dl,36.8u/mlと
査 で は 多 尿 に 加 え て 低 張 尿,蛋
尿 は
り,経
ま で に 各 々118.9.
正 常範 囲 ま で低 下 した 。 尿検
白 尿 が み られ た が,蛋
頃 よ り陰 性 化 し た 。U-β2MGは
白
高値 で あ
過 中 大 き な 変 動 は み られ な か っ た 。 血 液 ガ ス 分 析
で は 軽 度 の 代 謝 性acidosisが
常 ス ク リ ー ニ ン グ は 陰 性,汎
認 め られ た が,尿
代 謝異
ア ミノ 酸 尿 お よ び 特 異 的 な
ア ミ ノ 酸 尿 は 認 め られ な か っ た 。 染 色 体 検 査 は 正 常 で あ
っ た 。 腎 機 能 検 査 で は,Fishberg濃
ト,creatinine
gramで
clearanceい
れ るr-gbbulin分
も に 高値,immune
は 両 腎 機能 低 下 型 を 示 した。 排 泄性 腎 孟造 影 で
た。ASK価,高IgG血
症 及 びIC値
て 漸 減 傾 向 が 認 め られ た 。C3,C4及
てEklofら
腎 長 径7cm,右
腎7.5
の 標 準 で4)各 々-3.5SD,-2.7SDと
明 らか な 矯 小 腎 を 呈 し腎 実 質 部 の 非 薄 化 が 認 め られ た。
画 の 上 昇 が み ら れ た 。ASO,ASKと
complex(IC)も
ス
ず れ も低値 で あ り,reno-
は 造 影 剤 濃 縮 不 良 で あ っ た が,左
cmに
縮 試 験,PSPテ
軽 度 高値 を示 し
CT,超
音 波 検 査 に て 明 らか な 嚢 胞 病 変 を 認 め な か っ だ,
は 入 院2ヵ
月問に
膀 胱 尿 管 逆 流 現 象 は 認 め られ な か っ た 。 ま た,骨
びCH50は
入 院時
ゲ ン写 真 上 で は,特
(69)
に 異 常 を 認 め な か っ た 、,
レン ト
1230
学 校 検bkを
契 機 とし て 発 見 され たJuvenile
Nephronophthisis(若
年 性 ネ フ ロ ン癆)の
(%TRP)は64±11%(M±SD)と
一例
excretion
低下,phosphate
indexは0.15±0.11(M±SD
と や や 上昇 傾 向,燐
し,ア
測 定)で
〔PRA)は5回
や や 低下 傾 向 に あ っ た。血
の 検 査 で 常 に 高値 を 示
ン ギ オ テ ン シ ンⅠ,Ⅱ,ア
ル ド ス テ ロ ン 高 値 との
関 連 が 認 め ら れ た 。 現 症 で 述 べ た 如 く,患
呈
し て お ら ず,い
hypertensionの
Fig.
2
Provocative
test
of
hormone.
growth
for
pituitary
Insulin
induced
(GH : growth
sugar. )
hormone,
BS :
状 態 で あ っ た.定
あ り,イ
PTH-C末
長 ホ ル モ ンの 基 礎 値 は 正 常 範 囲 に
ンス リン負荷 に よ る分 泌 予 備 能 は 正 常 バ タ ー ン
( Fig.2)で
あ っ た。
端
正 常 で あ り,
3
Light
院 中11回
測 定 し た リ ン再 吸 収 率
microscopic
finding
of renal
tubular atrophy,
compensated
cells in the interstitium
were
biopsy
が,定
wastingは
時 的K排
軽 度 増 加 傾 向 に あ り,明
認 め な か っ た 。 尿 中K排
測 定)で
泄
あっ た
泄 率(FEK)は22.8±6.4%(M±SD,
高 光 ら7)が 示 した 健 常 者 値 に 比 し て 明 らか
に 高 値 で あ った 。.多 尿 に か か わ る 検 索 と し て ピ ト レ シ ン
負 荷 試 験 を 試 み た が,ア
t
200 PAS).
dilatation
of tubules
demonstrated.
(70)
泄 率(FENa)は1.28±.
は20.13±7.3mEq/日(M±SD,11回
11回 測 定)で
カ ル シ トニ ン値 で 見 た 副 甲 状 腺 機 能 は 正
常 範囲 に あ っ た が,入
Fig.
ソマ トメ ジ ンCは
時 的Na排
測 定)で
ら か なsodium
内 分 泌 学 的 検 索:成
規定 に よる と中 等度 以 下 の 排 泄
0.77%(M±SD,11回
blood
without
排 泄 量 は43.06±27.73mEq(M+
SD)で,MaherらG)の
hypoglycemia
induced
normal response
of the secretion
of growth
hormone.
児 は高 血 圧 を
わ ゆ るhyperreninemia
病 態isが 考 え ら れ た 。 入 院 中 測 定し た11
回 の 尿 中Na一日
reserves
測 定)
ク リ ア ラ ンス(Cp)は6.01±2.0
ml/min(M±SD,11回
漿 レ ニ ン活 性
,11回
ナ フ ィ ラ キ シ ー の 為 に 中 止し
Periglomerular
and infiltration
thickening,
of mononuclear
日 腎 誌 第XXX巻 Fig.
4
第10号1988 Electron
and
of
micrograph
splitting
Fig.
5
the
also
for
the
was
biopsy
seen
apparently
of
the
though
membrane
(•~5,800)
of
is
the
1231
他4名
specimen
at
intact,
basement
menihrine
完
membrane
were
micrograph
basement
renal
basement
fibers
glomerular
Electron
the
of
collagen
membrane
of
田中
showing
demonstrated.
(71)
capsule
pericapsular
electron
were
Bowman's
(•~1,900). Thickening,
Bowman's
region.
dense
observed
lamellation.
were
shown.
Bundles
Glomerular
microparticles
basement
in
the
part
(Insert,•~3,600).
scattered
electron
capsule.
Lvnellation
dese
eiicroparticles
and
splitting
in
were
1232
学 校 検 尿 を 契 機 とし
Fig.
6
Electron
て 発 見 きれ たJuveoile
micrograph
(x3,603'
Nephrollophthisis(若
is sho
ing
the
年 性ネフロ
thickening
brane of a renal tubule.
The bundles of collagen
fibers,
nella in the nuclei of tubular
cells were demonstrated.
た。ADH値
失(Fig.6)も
は 正 常 範 囲 で あ った。
腎 生 検 所 見:光
球 体 の う宅.2個
学 顕 微 鐘(以下
は 完全 に 硝 子 化,2個
kirickening(Fig.3)が
min nor
glomerular
Juatagloinerular
光 顕)所
見 で22個
にperiglomerular
み ら れ た が,他
abnormalityの
apparatusの
の糸
所 見 で あ った 。
C3,C9,L5,Clq,fibrin/fibrinogen,fibronectinな
全 て 染 色 され な か っ た 。 電 子 顕 微 鏡(以
常 で あっ た。
以上 の 所 見 に よ りjuvenile
nephronophthisisと
診断
し た。
イ ジ ン青 染 色 でminor
glomerular
判 断 きれ た 糸 球 体 と 周 辺 尿 細 管4個
膜 の 肥 厚,一部
見で
abhor-
について
断 裂,お
よび
え
ら れ て い る が8)International
and
posology
medullary
cystic
体 優 性 遺 伝
で
medullary
Gibson10)は
皮 細 胞 内小 器 官 の 消
(72)
diseaseを
進行程
度 が
各 症 例で
含 め 最 近 の
し て,常
別
明 確
染 色
た。
の に
し て い る 、,さ
らに
で な い も の にjuvenile
す る こ と を 提唱
断 に お い て 臨 床 症 状,検
nomen-
の 高 い(28.4±2.4歳)も
diseaseと区
りJNとし
for
nephronophthisiti-
家 族 内 発 症 が
こ の 見 解 を 取
尿 細 管 基 底 膜 の 肥 厚,上
renal
disease(complex)と
発 症 年 齢
cystic
度 の 小 粒 子 が 散 在 して お り(Fig.4),糸
部に ポー マ ン 嚢 基 底 膜 に み られ た 小 粒 子 が 観 察 され た
of
唱
committee
成 書 で は2)9)(Tamilial)juvenile
nephronophthisisと
球体基底膜の一
案
本 症 の 呼 称 に つ い て は12のsynonym,eponymが
clature
ど
下 電 顕)所
考
層 状 形 成 が み ら れ た 、 肥 厚 した 基 底 膜 の 中 に は 高 電 子 密
( Fig.5)。
orga-
身 長 の 見 られ た 母 親 に お こ なっ た一 般
値1性
認 め ら れ た。 採 取 切 片 の 中 に は 明 ら か な 嚢 胞
観 察 した。 ボ ー マ ン嚢基底
mem-
of
過 形 成 は 認 め られ な か っ
形 成 は 認 め られ な か っ た。 螢 光 抗 体 法 に て はIgG,A,M,
malityと
of the basement
and diminution
検 尿,U-β2MG,BUN,creatinineは正
拡 張 が 認 め られ た 。 間 質 は 広 範 開 の 単 核 細 胞 浸 潤 と
は,トル
一 例
認 め ら れ た。
家 族 内 検 索:低
の 糸球 体 は
た。 尿 細 管は 大部 分 で 墓 底 膜 肥 厚 を 伴 った 萎 縮,代
fibrosisが
ン 癆)の
して お
先 に 述 べ た 如
く,本
査 所 見 は 発 見 時 期,動
異 な る こ と か ら,確
り ,我
々 嵐,
症 の 診
機 に よ り
診 に は,腎
生
日腎 誌 第XXX巻 検,摘出腎
CTで
第10号1988
の 病 理 学 的 所 見,さ
田中
完
Debre-de
ちに 最近 で は 超 音 波,
の 嚢胞 の証 明が 有 力 と され て い る。 腎 生 検 にお い
て は,当
該 嚢 胞 部 位 が 採 取 され な い 場 合,慢
性 腎盂 腎
くは上 述 の特 微 的 臨 床 経過 に よ り除外 で き る2)。 超 音波
証 明 につ い てGarelら11)は17例
全 を 呈 したJN全
の末期腎不
て に証 明 で きた と してお り,こ の 時 点
Toni-Fanconi症
る。4)JN患
wastingの
あ り9),病
理 学 的 に もCollenburgら16)は9例
本 症 にjuxtaglomerular
apparatusの
解 析 の 報 告 は 少 な く,本
の
過 形 成 を 報 告 して
邦 で は 木 下 ら14),落
定 を 行 っ て い る の が,各
は彼 等 の早 期 例 に相 当 した た め に検 出で き なか った こ と
る。 木下
が考 え られ る。
か か わ らずPRAは
牙 の 形 成 異 常 が認 め られ た こ と。
中5例
い る 。 本 症 に お け るrenin-angiotensin-aldosterone系
PRA測
は,臨 床 的 には,1)歯
血 症は
病 態 に そ の 原 因 を求 め るの が 一般 的 で
のJN2例
本 症例 にお い て,こ れ まで の報 告 に み られ なか った 点
らに複 雑 な機 序 が 考 え られ
者 に み ら れ る 高renin-aldosterone
で の 腎組 織 診 断 は 不 要 と して い る。 しか し,比 較 的早 期
につ いて は 検 出 で きて い な い。 我 々の 症 例 で
候 群 に お け るacidosis改善
後 の 低 身 長 の 持 続 と 同 様,さ
Salt
炎,慢 性 糸球 体 腎 炎 末 期 像 との鑑 別 が必 要 に な るが,多
で のcystの
1233
他4名
々 正 常,高
ら の 症 例 で はFENa10.3%と
合17)ら が
値 と して い
高値 であ るの に
正 常 範 囲 で あ っ た が,FENa値
動 は日 常 し ば しば 経 験 す る と こ ろ で あ り,経
の 値 で あ る の か,記
の変
過 を 通 じて
載 が な い の で 明 らか で は な い 。 我 ・
々
2)本 症 例 が 発 見 され た の は,病 期 の進 行 に よ るJN固 有
は 患 児 入 院 中11回
の 測 定 を 行 い,FENa軽
度 上 昇 に もか
の 症候 に よる も ので は な く,入 院経 過 中 の尿 所 見 消 失,
か わ らずFEKが
高 値 で あ り,強
wastingが
血 清補 体 値,IC伯
本 に あ り,renin-angiotensin-aldosterone系
またIgG値
の正 常 化 が み られ た こ と
か ら,何 らか の 感 染 に よ る一 過 性 の免 疫 学 的 侵 襲 が 腎 紅
Na再
いsalt
雄
作動 による
吸 収 機 構 が 活 発 に な っ て い る と 考 え られ た 。
織 に加 わ った こ とに よ る と思 わ れ る一 過 性 の蛋 白尿 に よ
病 理学 的 に は,電 顕 所 見 にて,光 顕上 正 常 と思 わ れ た
っ て で あ り,こ の時 期 に 学 校検 尿 が適 用 され なけ れ ば 腎
ボー マ ン嚢 基底 膜 に も,こ れ までCollanら18)な
不 全 が よ り 進 行 してか ら 見 い だ され た 可 能 性 が あ る。
り病 変 の 明 らか な部 位 に関 して 報告 され て きた 層 状 化,
JN患
断 裂 等 の 変 化 が観 察 され た こ と,ま た一 部 の糸 球 体 基 底
児 の早 期 発 見 は尿 所 見 の 軽 微 な こ とか ら 必 ず しも
どに よ
容易 で な く,少 な く とも これ まで 報告 され て きた 本 邦 症
膜 に も 高電 子密 度 小 粒 子 が み ら れ た こ とはBrouhard
例 で は貧 血 も と も な った 高 度 腎不 全 例 が 多 く,楠 ら12)の
ら19)が,JN患
報 告 を除 い て早 期 の透 析 移 行,腎 移 植,更 に は尿 毒 症 死
お け る電 顕 異常 所 見 の記 載 と軌 を一 にす る もの と考 え ら
も稀 で は な い よ うで あ る。 今 回 の 我 々 の経 験 か ら早 期 発
れ,本 症 の遺 伝 形 式 を考 え る上 で 興味 あ るこ と と考 え ら
見 の対 策 と して,日 常 診 療 にお け る本症 の認 識 に加 え,
れ た 。 この こ との確 認 には さ らに 症 例 を集 積 させ て の 検
感 染時 の尿 比 重を 含 め た 検 尿,学 校検 尿,糖 尿 病 ス ク リ
討 が 必 要 と思わ れ るが,臨 床 的 に 遺 伝形 式 を 決 定 す る場
ーニ ン グの際 の 問 診 表 中 の多 飲
らに
合,発 症 者 の 家系 図 の作 製 が 基 本 で あ り,も し正 常 と思
測 定 が重 要 な 点 で あ る こ とが 示 唆 さ
わ れ た 家 族 にす で に 電 顕 学 的 に 変 化 がみ られ る と す る
は,尿
中 β2MGの
れ た,,3)こ
,多 尿歴 の記 載,さ
れ ま で の報 告 例 で は,JN患
身 長 の原 因 と して,GH分
児 にみ られ る低
泌 異 常13),acidosis14)の 面 か
ら推 定 され る こ とが 多 か った が,本
症 例 では,acidosis
は 軽 度 で あ り,イ ンス リン負 荷 に よるGH分
児 の健 常 近 親 者 に 行 っ た 貴 重 な腎 生 検 に
と,家 系 図 に お け る罹 患 者 の 位 置 が不 確 定 に な り,遺 伝
形 式 の 判定 が変 わ って くる 可能性 が あ る。
本 症 の治 療 に関 しては 対 症 的 で あ るが,病 態 に お け る
泌 予備 能 も
salt wastingを
考 え,急 激 なNa制
限,水
制限は避け
正 常 パ ター ンで あ った こ とか ら,こ れ らに よ る患 児 の 低
るべ きで あ り,PRA,aldosteroneを
身 長 は 説 明で ぎ なか った 。 本 症 に 対 して行 わ れ た 腎 移 植
の が 望 ま しい と孝え られ る。JNに
後4年 の 身 長 増 加 の 経 過 で,戸 澤 らは15)-2.7SD→-2
ロ リー食 の効 果は 不 明 で あ るが,本 症 例 に も適 川,経 過
SDの
観 察 中 で あ る。JNは
増 加 を見 た として い るが 有 意 とは 考 え られ ず,
(73)
測 定 しなが ら行 う
対 す る低蛋白,高
最 終 的 に透 析,腎
カ
移 植 を 余 儀な く
1234
学 校 検 尿 を 契 機 と し て 発 見 さ れ たJuvenile
Nephronophthisis(若
年 性 ネ フ ロ ン癆)の
され る疾 患 で あ り,本 邦 で は これ まで3例 の うち2例 が
London
生 着,1頂 調 に経 過 して い る15)17)20)。
これ らの 最 終 治療 は
1979, pp 1-39
十分 な準 備 期 間 が必 要 で あ り,上 述 した 早 期 発 見,適 切
and
Melbourne,
Churchill
7) 高 光 義 博,折
語
何 らか の免 疫 学 的侵 襲 に よ る と思 わ れ る一 過 性 の蛋 白
尿 発 現 が 学 校 検 尿 時 期 と 一 致 し,早
nephronophthisisの12歳
期 に 診断 し得た
Med
135:
くつ か の興 味 あ る知 見 を 得 た。
日本 小 児 腎 臓 病 学 会(1988.6.23.東
第20回
日本 腎臓 学 会 総 会 口演
1977
8) Steele
BY, Lirenman
DS, Beattie
CW :
Ne
- phronophthisis.
Am J Med, 68: 531-538, 1980
9) Welling LW, Grantham JJ : Cystic and develop
男 児 例 を経 験 し,文
mental
diseases
Third
本 稿 の要 旨は 第18回 日本 腎 臓 学 会東 部部 会(1988。5.7.
東 京),第23回
Intern
田義 正:代 謝 特 性 よ りみた 腎 疾 患― 腎
疾患 と 電解質代謝
献 的考 察 を 行 い,い
Arc
Prognosis
273-278, 1985
結
Juvenile
Livingstone,
6) Maher JF, Bryan CW, Abeamn DJ:
of chronic renal failure.
な管理 が重 要 と考え られ た 。
一例
Ed.,
Philadelphia,
京)
kidney. in The Kidney,
by Brenner
BM, Rector FC,
London, Toronto,
de Janeiro,
にお い て発 表 した 。
of the
edited
Sydney,
Tokyo,
Mexico City,
Saunders
Rio
Company,
1986, 1341-1376
(稿 を終え る に あた り,御 校 閲 い た だ いた 横 山〓
教
10) Gibson AAM,
Arneil
GC.:
Nephronophthisis-
Report of 8 cases from Britain.
授 に深 謝 いた し ます 。)
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文
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by Brenner
New
浩,富
田
斉,永
田
康,田
中正
身 長 を主 訴 とし 早 期 に 発 見 され た
juvenile
nephronophthisis(家
族性若年性
13) 内 田
哲,富
沢
夫,吉
田 洋 二,坪
滋,鈴
木 成 欣,黒
内 平 吉:若
梅 恭 芳,福
田利
年 性 ネ フ ロ ン癆 の 一 部 検
木 下 明 俊,横
敏,草
田 隆 夫,志
野 正 一,明
尾
賀 祐 二 ,矢
内
淳,藤
潔:Nephronophthisisの
本昌
一例
智 雅 晴,新
淳,楠
智 一,松
隆 宏,橋
本
川 正 治,大
井 嘉 昭,大
勇:腎
矢 紀 昭,沢
森 吉 弘,中
根 佳 宏,岡
移 植 を 施 さ れ たJuvenile
児 の 発 育 経過
田
Nephro-
小 児 科 臨 床34:317-
321,191
16) van Collenburg JJM, Thompson MW, Huber J
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and genetic aspects of a
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越 靖 郎:低
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良 輔,永
田松 夫,榎 本 和
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司 祥 雄,植
弘 基,倉
田中 完
第10号1988
松 武 史,佐
山 英 昭,森
Nephronophthisisに
藤
野 正 明:高
博,山
田 研 一,土
田
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隆,鈴
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嵐 良 雄:Familial
床
Nephron
惇,阿
juvenile
に 行 っ た生 体 腎 移 植 の 一 例
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レ ニ ンー
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優,鈴
曽 佳 郎,鈴
木 俊 秀,太
田信
木 克 好,五
nephronophthisisの
十
女児
小 児 腎 不 全 研 究 会 誌6: