平成 26 年2月 18 日 電源開発株式会社 「大間原子力発電所第1号機における「九州電力株式会社玄海原子力発電所 第3号機で確認された充てんポンプ主軸の折損を踏まえた確認等について (指示)」に関する報告書」に対する確認事項について(コメント回答) 1.前回面談時のコメント 平成 25 年2月 28 日に実施した題記報告書に係る原子力規制庁との面談に おいて受けた、以下のコメントについて回答する。 (1)過渡時に想定される原子炉の減圧沸騰によるポンプへの影響について確 認すること。 (2)サプレッションチェンバへのクエンチャ排気によるポンプへの影響につ いて確認すること。 (3)スキマサージタンクへの落水によるポンプへの影響について確認するこ と。 (4)復水貯蔵タンクへの落水によるポンプへの影響について確認すること。 (5)復水貯蔵タンク蒸気加熱コイル及び同タンク出口配管加熱装置の加温に よるポンプへの影響について確認すること。 2.コメントに対する回答 (1) 原子炉の減圧沸騰によるポンプへの影響 原子炉の減圧沸騰により気泡が発生して原子炉冷却材再循環ポンプへ 流入した場合に、異常拡大防止等の対応が可能であるか確認した。 原子炉が急速に減圧するような場合、原子炉水位低等のインターロッ クにより原子炉冷却材再循環ポンプはトリップする。トリップ後は直ち に回転数が減少してポンプは停止することから、気泡が流入するような 状況であっても、ポンプに影響は生じない。 また、原子炉冷却材再循環ポンプの運転状態は中央制御室において常時 監視することから、振動大で警報を発した場合にはポンプを停止させる等、 異常の拡大を防止する対応が可能である。 以上のことより、原子炉の減圧沸騰により発生した気泡が原子炉冷却材 再循環ポンプに流入しても、直ちにポンプを停止させることができること から、ポンプに影響は生じないことを確認した。 1 (2) サプレッションチェンバへのクエンチャ排気によるポンプへの影響 サプレッションチェンバへのクエンチャ排気による残留熱除去ポンプ、 高圧炉心注水ポンプ及び原子炉隔離時冷却ポンプへの影響を確認した。 いずれのポンプにおいても、ポンプの吸込み口とクエンチャの間で十 分な離隔距離をとっているため、クエンチャ排気はポンプ吸込み口に持 ち込まれず、ポンプに影響は生じないことを確認した。 (3) スキマサージタンクへの落水によるポンプへの影響 落水により発生した気泡が残留熱除去ポンプの吸込み口まで到達する か否かにより、ポンプへの影響の有無を確認した。その際、スキマサー ジタンク内の水位は通常の水位変動幅における最低水位に設定するとと もに、落水する全流量がせき1箇所に流入すると想定して落水の流速を 大きくするなど、保守的な条件を用いて評価を行った。 評価の結果、気泡はポンプ吸込み口に持ち込まれず、ポンプに影響は 生じないことを確認した。 (添付資料①、②参照) (4) 復水貯蔵タンクへの落水によるポンプへの影響 落水により発生した気泡が高圧炉心注水ポンプ及び原子炉隔離時冷却 ポンプの吸込み口まで到達するか否かにより、ポンプへの影響の有無を 確認した。その際、復水貯蔵タンクの水位は当該ポンプが取水する際の 最低水位に設定するとともに、気泡は浸入深さから浮力により上昇しつ つポンプ吸込み口に移動すると想定し、気泡が水平移動する速度はポン プ吸込み配管周辺の流速とするなど、保守的な条件を用いて評価を行っ た。 評価の結果、気泡はポンプ吸込み口に持ち込まれず、ポンプに影響は 生じないことを確認した。 (添付資料①、②参照) (5) 復水貯蔵タンク蒸気加熱コイル及び同タンク出口配管加熱装置の加温 によるポンプへの影響 蒸気加熱コイル及び加熱装置による気泡発生の可能性の有無を確認し た。 復水貯蔵タンクに設置される蒸気加熱コイルは、設定値 10℃で温度制 御(PI 制御)を行う設計としている。よって、水温が 10℃以上の場合に は蒸気加熱コイルによって加温されることはない。また、タンク出口配 管に設置される加熱装置は加熱装置の温度が上昇すると発熱量が減少す る自己制御型ヒータであり、原理的に 65℃以上になることはないため、 タンク出口配管内の水が 65℃以上に加温されることはない。 2 以上のことより、蒸気加熱コイル及び加熱装置での加温により気泡が発 生する可能性はなく、ポンプに影響は生じないことを確認した。 3.結論 上記2.の確認結果から、大間原子力発電所第1号機においては、気体の 流入等により、安全上重要なポンプに影響が生じることはないことを確認した。 以 3 上 添付資料① 低水位での落水影響確認方法(確認フロー) ※1 流入水の向きは以下のとおり 安全上重要なポンプの水源のうち、低水位時に流入する流体により気泡が 発生する可能性があるものを抽出 ○復水貯蔵タンク、 ○スキマサージタンク 流入水入口 do Lj ① 流入向きによる落水位置算出 流入水入口 Vj do Vj ポンプ吸込 Hp タンクへの流入水の向き※1 から水面入水時の位置を算出 HLL d1 L1 ②落水位置から気泡が吸込み配管 へ移動し、その時の気泡上昇高さ Yes 浸入量評価※2 により気泡の浸入深さ Hpを算出 HLL - Hp > HN + R 【スキマサージタンク】 浸入量評価※2 により気泡の浸入深さ Hpを 算出後、※4へ No 浸入深さ Hpと水深 HLLを比較 ポンプ吸込 Hp HLL ○横向き、 ○下向き を算出 Lj No Hp < HLL ※2 浸入量評価による気泡浸入深さは以下 の式で求める。 (評価式の妥当性について は、別紙参照) HP=1.2Vj0.77 d00.625 Lj-0.094 (出典:Gas Entrainment by Plunging Liquid Jets) 気泡が吸込み配管内の流速 Viで 吸込み配管側へ移動すると仮定 L R HLL Hp H Vi HN C点 ※3 判定基準 Ht については、気泡上昇速度(0.3m/s) の仮想半球に到達した際に吸込み流量の影響に より気泡が吸い込まれる限界の高さとして算出。 保守的に右図のハッチングした領域に到達する と、吸い込まれるものとして確認した。 Ht = HN + R Vi HN Ht Q d1 R Yes d1 L :吸込み配管内の流速(Vi=Q/(πd12/4) :吸込みノズル高さ :判定基準値 :吸込み配管流量 :吸込み配管口径 :0.3m/s での仮想半球の半径 吸込み限界高さ 気泡上昇速度 Vi Q Ht H HN Vi 仮想半球 R により気泡上昇を算出 0.3 ③吸込み配管への 気泡持込みの有無 吸込み流速が気泡上昇速度(0.3m/s) ※4 スキマサージタンクの場合 HP を算出後、HLL - R と比較 HLL - R > HP ならば、気泡持込みなし となる位置(C 点)での気泡高さ H を算出 流入水入口 No 気泡高さ H と判定基準 Ht※3 を比較 Ht < H Yes Yes 気泡持込みなし 気泡持込みあり又は再評価 ポンプ吸込 4 落水によるポンプへの気泡の影響確認結果 (単位:m) タンク 号機 スキマサージタンク 大間1号 タンク 号機 HLL-R *1 1.13 HLL-HP *1 復水貯蔵タンク 大間1号 0.55 HP *2 判定 HLL-R>HP 0.63 気泡持込みなし HN+R *2 判定 HLL-HP>HN+R 0.84 次判定へ HP *2 0.60 HLL *1 判定 HP<HLL 1.15 次判定へ Ht H *2 0.84 *1 判定 Ht<H 1.26 気泡持込みなし *1 保守的になるよう切下げを実施 *2 保守的になるよう切上げを実施 5 添付資料② 別紙 気泡浸入深さ評価式の妥当性について 落水による気泡浸入深さ評価に用いた浸入量評価式※は、落水高さ 0.01m~ 1.07m、ノズル口径×流速 0.0035m2/s ~ 0.35m2/s の条件の下で行われた試験を 基に導かれたものである。この試験条件は、実機プラント条件を包絡したもの とはなっていないが、実機プラント条件による落水試験の結果と浸入量評価式 による評価値が概ね合致していると確認できたことから、浸入量評価式を適用 して、気泡浸入深さを評価することに問題はなく、適切であると判断した。 ※ 文献「Gas Entrainment By Plunging Liquid Jets」 浸入量評価式:Hp=1.2Vj0.77・d00.625・Lj-0.094 1.実機落水条件による落水試験結果 実機プラント条件による落水試験の結果は表1のとおりであり、試験結果 と浸入量評価式による評価値は概ね合致している。 表1 No. 落水高さ(m) 1 試験結果(抜粋) ノズル口径×流速(m2/s) 気泡浸入深さ(m) 評価値 試験結果 15 0.45 0.41 2 11 0.45 0.33 3 1.5 0.45 0.43 4 0.75 0.45 0.37 5 0.01 0.65 0.64 6 0.005 0.70 0.65 7 18 8 0.005 9 10 11 11 0.161 0.621 1.16 -6 0.79 -4 3.46×10 2.1×10 注1 0.621 1.16 0.86 0.310 0.68 0.61 0.0254 0.092 注2 注1:気泡浸入が認められなかったデータ。 注2:気泡浸入深さが小さく、水面の乱れにより、気泡浸入深さの測定が 困難であったデータ。 6 2.大間原子力発電所第 1 号機の落水条件と落水試験条件 大間原子力発電所第 1 号機の落水条件は表2のとおりであり、落水試験範 囲内であることから、浸入量評価式を適用することができる。 表2 大間原子力発電所第 1 号機の落水条件と落水試験範囲の比較 落水高さ(m) ノズル口径×流速(m2/s) 落水試験範囲 0.005~18 3.46×10-6~0.621 スキマサージタンク 4.86 0.34 復水貯蔵タンク 11.8 0.24 以 7 上
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