≪別紙 2:グローバル IT マネジメントに関する国内アンケート調査結果≫ 【調査・分析概要】 本調査では、情報システムや IT マネジメントのグローバル化の実態を把握したうえで、情報 システムのグローバル化とビジネスの関係性や、情報システムのグローバル化における課題に ついて調査・分析を実施しました。情報システムや IT マネジメントのグローバル化については、 以下の 3 つの観点から調査しています。 ① ≪情報システムのグローバルでの集約・統合状況≫ 情報システムをどの範囲(グローバル全体、リージョン単位、海外拠点単位、等)で 集約・統合しているか? ② ≪グローバル IT マネジメントの一元実施状況(実施主体)≫ 海外拠点の IT マネジメントについて、どの範囲で一元的に実施(グローバル HQ が グローバル全体で一元的に実施、リージョン HQ がリージョン単位で実施、各海外拠点 が独自に実施、等)しているか? ③ ≪グローバル IT マネジメントのプロセス・ルールの標準化状況≫ 海外拠点の IT マネジメントについて、どの範囲(グローバル全体、リージョン単位、 各海外拠点単位、等)でプロセス・ルールを標準化しているか? 【主な調査・分析結果】 ① リージョン・グローバルでの「情報システムの集約・統合」、「ITマネジメント の一元的な実施」、「ITマネジメントのプロセス・ルールの標準化」について、 実施を志向している企業と志向していない企業で二極化している ② 情報システムの集約・統合は、業務プロセスや経営リスク対策に関する ビジネス目的達成に貢献する ③ 情報システムの集約・統合をするうえで、「拠点間での調整・各拠点への 浸透」や「集約・統合の推進ノウハウ確保」が課題となっている ① リージョン・グローバルでの「情報システムの集約・統合」、「IT マネジメントの一元的な 実施」、「IT マネジメントのプロセス・ルールの標準化」について、実施を志向している 企業と志向していない企業での二極化している スケールメリットの観点から、ビジネスのグローバル化に対応して、グローバル全体で情報 システムの集約・統合、IT マネジメントの一元的な実施、IT マネジメントのプロセス・ルール の標準化を推進することが有効であると考えられます。そこで、情報システムや IT マネジメン トのグローバル化の目指す姿(To-Be)について調査・分析しました。 その結果、約半数の企業がリージョン・グローバルでの情報システムの集約・統合や IT マネジ メントの一元的な実施、IT マネジメントのプロセス・ルールの標準化を志向している一方、残 りの約半数の企業はリージョン・グローバルでのこれらの実施を志向していないことが明らかに なりました。 (図表 1) ITの集約・統合範囲/ITマネジメントの一元実施の範囲/ ITマネジメントのプロセス・ルールの標準化範囲の目指す姿 0% 情報システムの 集約・統合 (N=225) ITマネジメントの 実施主体 (N=223) ITマネジメントの プロセス・ルール の標準化 (N=212) 20% 31.0% 24.9% 31.6% 40% 19.7% 24.6% 21.0% 60% 11.8% 12.3% 11.5% 80% 100% 37.5% 38.2% 35.9% 凡例 :未実施/実施しない :各海外拠点が独自に実施 :リージョンごとに実施 :グローバル全体で実施 グローバル展開している企業であっても、必ずしもリージョンやグローバルでの情報システム や IT マネジメントの統合を志向しているわけではなく、個々の企業のビジネスや情報システム の事情に応じて目指す姿を検討しているものと推察されます。 2 ② 情報システムの集約・統合は、業務プロセスや経営リスク対策に関するビジネス目的達成 に貢献する一方、商品・サービスや営業等の顧客接点に関するビジネス目的達成とは関係 性が弱い 海外拠点ごと、ある或いはリージョン・グローバルでの情報システムの集約・統合は、個々の 企業のビジネス上の何らかの目的を達成するために実施されるものと考えられます。そこで、 情報システムの集約・統合とビジネス目的の達成状況の関係性を調査・分析しました。 その結果、情報システムのを集約・統合を進めている企業ほど、業務プロセスや経営リスク 対策に関する目的をが達成している傾向にある一方、顧客接点に関する目的は情報システムの 集約・統合とは関係性が認められませんでした。 (図表 2) 情報システムの集約・統合との関係性による 該当するビジネス目的 ビジネス目的の分類 (抜粋) 業務プロセスの効率化 情報システムの集約・統合を進めている 業務プロセスの質・精度の向上 企業ほど達成している傾向にある目的 グローバル経営の見える化 経営の透明性確保 営業力の強化 情報システムの集約・統合とは 関係性が弱い目的 商品・サービスの差別化・高付加価値化 情報システムの集約・統合を推進するうえで、業務プロセスの可視化や精査(効率化・高度化) を実施することから、業務プロセスや経営リスク対策に関する目的が達成されるものと推察され ます。一方、顧客接点に関するビジネス目的については、市場特性による違いが大きいため、 市場が異なる海外拠点間やリージョン間での情報システムの集約・統合による目的達成への貢献 は小さいものと推察されます。 3 ③ 情報システムの集約・統合をするうえで、「拠点間での調整・各拠点への浸透」や「集約・ 統合の推進ノウハウ確保」が課題となっている 情報システムの集約・統合や集約・統合範囲のリージョン・グローバルへの拡大を実施する上 では、様々な課題に直面することが考えられます。そこで、情報システムの集約・統合と直面し やすい課題の関係性を調査・分析しました。 その結果、情報システムの集約・統合を推進する上うえでは、「拠点間での調整・各拠点への 浸透」と「集約・統合の推進ノウハウ確保」の 2 つの課題に直面しやすいことが明らかになりま した。 (図表 3) 情報システムの集約・統合を推進するうえで直面しやすい課題 直面しやすい 課題 拠点間での調整・ 各拠点への浸透 集約・統合の推進 ノウハウの確保 集約・統合の実施 情報システムの 集約・統合の 推進 拠点間での調整・ 各拠点への浸透 集約・統合は 未実施 集約・統合範囲の拡大 海外拠点ごとに 集約・統合 リージョンやグローバルで 集約・統合 情報システムの集約・統合には、様々なステークホルダーが関わり、利害の不一致(コンフリ クト)が起こることが多いため、集約・統合の推進する上うえでは常に、「拠点間での調整・ 各拠点への浸透」が課題になっているものと推察されます。また、集約・統合範囲のリージョン やグローバルへの拡大においては、難易度が高いことに加えて個々の企業の事情に合わせて実施 する必要があることから、参考になるベストプラクティスやフレームワークが少なく、「集約・ 統合の推進ノウハウの確保」の課題に直面しやすいものと推察されます。 調査概要 1. 調査対象:海外拠点を有する日系上場企業等(約 2,650 社) 2. 調査方法:アンケート形式(所定調査票の送付、または所定 Web サイト回答による) 3. 調査期間:2013 年 3 月~2013 年 4 月 4. 有効回答数:250 社(回収率約 9.4%) 5. 回答者の属性:各企業の IT 部門を俯瞰できる立場の責任者あるいは担当者 4
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